米空軍が開発を進めている極超音速兵器「AGM-183A」は2回連続で試射に失敗していたが、再び挑戦した試射で連続失敗の記録を3回に更新してしまった。
参考:Third Test Of The Air Force’s Hypersonic Weapon Has Failed Like The Ones Before It
ARRWよりもLRHWの方が先に実用化に到達するとレイ空軍大将は何と言って弁解するのだろうか?
米空軍は2種類の極超音速兵器を進めており、1つ目はスクラムジェットを使用した極超音速巡航ミサイルのコンセプトモデル「HAWC」で2つ目は極超音速で目標に向かって滑空するブースト・グライド・ビークル(極超音速滑空体/HGV)を搭載した「AGM-183A ARRW」だ。
1つ目のHAWCは昨年末に実施された試射でリリースシークエンスのトラブル=B-52Hからの切り離しに失敗したが、今年9月の挑戦でB-52Hからの切り離し→HAWC本体に取り付けられたブースターの点火→所定の速度までの加速→HAWC本体からブースターの分離→スクラムジェットによる極超音速飛行という一連の技術的課題をクリア、ただHAWCは極超音速巡航ミサイルのコンセプトモデルなので試射成功=実用化ではなく今回の結果をもとに実用モデルの開発が進められるという意味だ。
問題は試射を成功させて2021年中に量産開始→2022年中に初期作戦能力の獲得を宣言する豪語していたAGM-183A ARRWの方で、2021年4月に実施された試射ではB-52HからARRWを切り離すことに失敗、7月に実施した試射ではB-52HからARRWを切り離すことに成功したもののブースター点火に失敗して性能確認が全く進んでいない。
満を持して12月15日に3回目の試射に米空軍が挑んだのだが、1回目と同じ切り離し失敗に終わりB-52HはARRWを抱えたままエドワーズ空軍基地に帰還したらしい。
空軍関係者は「発射シーケンス中に未知の問題に直面してシーケンスを中断した、問題に対処して可能な限り迅速に試射を再開する」と述べているが、もう2021年中にARRWの量産開始を始めることは誰の目にも難しいと映っており「2022年中に初期作戦能力の獲得を宣言する」という当初の見込みも完全にアテが外れてしまったと言っていいだろう。
米空軍地球規模攻撃軍団(AFGSC)のティモシー・レイ空軍大将は「陸軍が開発を進めている地上発射型の極超音速兵器LRHWの実用化は2023年以降でARRWと能力が重複する」と議会で批判、LRHWよりも先に実用化されるARRWに「一本化すべきだ」と豪語していたのだが、仮にARRWよりもLRHWの方が先に実用化に到達するとレイ空軍大将は何と言って弁解するのだろうか?
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※アイキャッチ画像の出典:Air Force photo by Matt Williams
飛ばせもせず、かといって捨てていくほど緊急のトラブルでもないなら安全装置の誤作動とかですかね。実際は分からないけど、複数回やっても打ち出すとこまで達しないというのは開発体制側の不備を疑いたくなる。やっぱ開発プログラムの工期を政治日程で決めたらだめなんだなぁ…
イヤイヤ、開発者にスケジュール設定を任せたら、いつまで経ってもできやしない。
出資者が期限を決めることは、世の中ではよくあること。全く変な話じゃない。
問題なのは、開発者が作ったスケジュールで出資者を説得できないこと。
「出資者=政府」な。
現実を知らない上が決めてるスケジュールでいつも工程めちゃくちゃになってる会社に勤めてる身としてはとても賛同できないな。おまえらは良いよな、口先で現場に無理させるだけなんだから。当然結果には責任持たないし。
それは、上を説得できない現場にも問題がある。
すなわち、自業自得な部分もあるんだよ。
上が立民の議員みたいな人間ばかりだったら説得は無理でしょ。
え? そんな現場ならとっとと転職しろって?
どんな無茶なスケジュールでも、そのスケジュールを受けた時点で責任は現場にもあるよな。
この分野では中露に全く追いついてないなぁ。
いっそ中国に外注したらと思ってしまう
米帝も落ちぶれたモンだな
切り離しってそんなに難しいもんなの?
素人目から見たら切り離し時のコード転用すればいい気がするけど‥
詳しい人教えて
調整が不十分だと切り離したミサイルが機体に当たって自爆することもある
機関砲にしろミサイルにしろそれぞれ種類によって空力特性が違い、そこをちゃんと検証してきちんと分離(発射)しないと、自分で撃った機関砲弾やミサイルが自機に当たって墜落することがある(前例多数あり)んよ
しかもこれは本来航空機から発射するものじゃないから実験用に専用の発射シークエンスプログラムを組み込む必要がある上に従来のミサイルとは特性が異なるものだから、推測だけど発射母機にダメージを負わせないよう環境要因とか機体の姿勢状態とか安全係数を高く取りすぎて、ちょっとでも条件に合わなければセーフティーが働いて発射中止プログラムが働いてしまっているんじゃないかな
>ただHAWCは極超音速巡航ミサイルのコンセプトモデルなので試射成功=実用化ではなく今回の結果をもとに実用モデルの開発が進められるという意味だ。
しっくりきたよ。
ありがとう!
いや今回失敗したARRWは航空機からの発射が前提。
安全係数を高く取りすぎて、という可能性はあるだろうが、亜音速で翼下なので、結局何がそんなに厳しいのかはよく分からない。
誰か、飛行機からのミサイルの切り離しに詳しい方いらっしゃいませんか?
っているわけないじゃん
レイ空軍大将「こういうときどんな顔すればいいかわからないの」
中国「笑えばいいと思うよ。むしろ笑いが止まらないよ(笑)」
なぜ地上発射で試さないですか
わかる方教えてください
最初から飛行に近い状態にある方が技術的なハードルが低いからかな
いや、なんで空中発射ミサイルを地上発射で試験しようなんて思うのさ、そのほうがよっぽど不思議な発想だろ。
地上では、エンジンと風洞試験はやってる見たいよ。
発射実験は空からだけど。
アメリカの無能エリート軍人じゃだめだ
勲章をぶら下げた威張ることしかできない異様なハゲ&角刈り集団じゃ何もできない!!
片方が無事完成しそうなだけでもまだ幸いでしょうか…
スカイボルトしかり、米空軍はこの手のミサイルには呪われてるな
ファントム無頼で不良品ミサイルが名残惜しいって発射されない話思い出した
同じ所のAGM-158ファミリー?は対した問題なく使用しているのに比べてうまく行かない理由はどこにあるのか。本体サイズなのか高速兵器故のフェールセーフの効かせすぎなのか。少なくともこいつを運用するのに特別な配線した新型パイロンを使っている訳でも無し、地上での切り離し試験ぐらいしているだろうしイマイチ不調の原因が分からないな。