ウクライナ軍は無人水上艇(SEA BABY、MAMAI、MAGURA V5など)で黒海艦隊の運用を抑止することに成功したが、米海軍もMARTACが開発した消耗可能なMUSKIE M18をテストしており、海上の艦艇戦闘に非対称戦を持ち込もうとしている。
参考:Integrated Battle Problem 24.1
参考:First Images Of American Black Sea-Style Maritime Attack Drone
伝統的な陸上戦力が直面している非対称戦は伝統的な海上戦力にも襲いかかってくるかもしれない
黒海艦隊と比較してウクライナ海軍の艦艇戦力は規模が小さく、旗艦だったヘトマン・サハイダチヌイも拿捕されることを恐れてムィコラーイウで自沈し、ほぼ外洋での作戦能力を喪失してしまったが、ウクライナ軍は無人水上艇(USV)で黒海艦隊を抑止することに成功した。
ブダノフ中将は複数存在する自爆型USVについて「ウクライナ保安庁が開発したSEA BABYはクリミア大橋など静止目標への自爆攻撃用、MAMAIはSEA BABYほどの爆発物を搭載していないもののノヴォロシスクまで到達可能な航続距離を備え、ウクライナ国防省情報総局のMAGURA V5は移動目標(艦艇)を攻撃するためのハンターだ」と述べ、MAGURA V5はタランタル型コルベットのイヴァノヴェツ、ロプーチャ級揚陸艦のシーザー・クニコフ、Project22160(1,500トン)のセルゲイ・コトフを撃沈して大きな注目を集めている。
任務に応じて武装や搭載品を変更可能なUSVは開発・実用化が進んでいるものの、海上目標に自爆型を仕掛けるUSVの実用化はあまり例がなく、特に航行中の艦艇を攻撃できるMAGURA V5への関心は非常に高く、国防総省もMARTACが開発した消耗前提のMUSKIE M18(全長5.5m、最大速度50ノット、航続距離500海里、ペイロード1000ポンド)を調達しているらしい。
Naval NewsはM18について「黒海での出来事は群れで襲いかかるUSVが現代の水上戦闘に新しい変革をもたらすと実証している。この様なUSVの使用は従来の艦艇に対して非対称の優位性を生み出し、群れで襲いかかることで敵に捕捉されにくくなり、予測不可能な抑止力をもたらすだろう」と指摘。
MARTACのブルース・ハンソン最高経営責任も「海上戦闘におけるUSVの可能性を広げるMUSKIE M18の発表に興奮している。開発期間はたったの3ヶ月間だが、低コストで攻撃に使用可能なものとして1から設計し、当社の高度な自律能力とフリート・ソリューション(複数のUSVを群制御する技術)と組み合わせることで従来戦力への抑止効果が期待でき、当社の軍事顧客が求めるニーズに対応できるだろう。MUSKIE M18は今直ぐ購入が可能だ」と述べており、米海軍の第3艦隊が行う実験(Integrated Battle Problem)にもMUSKIE M18が含まれている。
日本周辺は気象条件が厳しいので「小型USVの運用には不向きだ」という考え方もあるが、米英を含む多くの国々は積極的に小型USVの外洋運用(あらゆる天候での運用能力を求めていない)に取り組んでおり、MUSKIE M18の航続距離も外洋運用時のもので、伝統的な陸上戦力が直面している非対称戦は伝統的な海上戦力にも襲いかかってくるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Lily Gebauer
こうして、シーパワー国家の戦力は、攻められにくく攻めにくくなり、世界は平和になったのであった。めでたしめでたし。とはならないのでしょうね。。
とはいえ、米英海軍などは動きにくい世の中になったのかもしれませんね。日本台湾あたりも、こういうのをたくさん作れば、けっこう抑止力にはなりそうな気がします。
無人の艦船、車両、航空機が必須な時代が来ているのは間違いないのでしょう。
なのに中々、日本でこの手の物の進捗は見られない。
話が聞かれないのは何故?
携わる全関係者の意識改革が必要なのでしょうね。
大なり小なり、金額は多様ですが既得権益を守るのに汲々としている限り。
日本の未来。
暗いです。
UAVもUSVもUUVもUGVも色々と調達も開発も研究も進めてますよ。
「足りない」「遅い」というなら分かりますが、「進捗は見られない」「話が聞かれない」と言われるとアンテナが低いだけに見えてしまいます。
USVとUUVは割と期待できそうなイメージ
戦闘支援型多目的USVとかカッコいい!UUVは魚雷にしか見えないけどw
>>UUVは魚雷にしか見えない
広義には魚雷もUUVの範疇に含まれますし
というかまあ地球の海中で運動効率のいい形となると
お魚型が一番と5億年の歴史が証明してるので
それ以外の形がとりにくいと言いますか
多くの人は、見たいと欲する現実しか見ていない
ーガリウス・ユリウス・カエサル
ソースはないが割とマジで「無人兵器はエレガントじゃない」という意見で、政治的に議論が敬遠されているのではないかと思っている。
もちろん小さな単位で研究を繰り返し、技術を開発しているのは知っているが、大手を振って議論できないのは政治家の新しい物への理解の拒否が原因ではないか。
タブレットの国会内での使用を「権威の問題」「品性にかける」と議論を一蹴してしまう老人が議会を握っているからな。
日本には無人小型艇のちょうどいいベースがあるのにな。
競艇ボート。60kg前後の人間を乗っける事が出来て、それなりに速度を求められるし
????「レーダーや航空機による飛び道具は卑怯」
一周回ってきましたか
レース距離2km弱、レース時波高45cm以下の内海どころかプールみたいな競艇場で使用されて、それでも「うねりにやられたー」とかゆーてるボートそのままでは厳しい気がします。
人乗る代わりに弾頭よりも燃料優先すれば航続距離は数十kmやそこら確保できそうですが、走波能力の方は速度や運動性の裏返しなのでなかなか解決が難しそうです。大きいキールとか追加したら速度はもちろん航続距離もガタ落ちしそうですし。
一隻60万円の価格と年1600隻の生産性は魅力的ですけどね。
どこぞの海軍卿「潜水艦は卑怯、海賊とかわらん」
潜水艦乗り「戦果上げたら海賊旗掲げて入港したろ」
まあ、「暗いです」で達観した気分になり思考停止してしまう、日本ではありがちな意識の改革も必要とは思いますがね。
思考停止も困りますが、「暗い」という現実は直視する必要がありますね。
戦後に奇跡の復興を遂げた日本が、過去30年も停滞してしまった原因は色々ありますが
世界情勢の劇的な変化という不都合な現実を直視できなかった。という側面は大きいと感じております。
この遅れを取り戻せるかは、決して楽観できないと思います。
「現実は暗い」=「未来は暗い」ではないですからね。
現実を直視し明るい部分から、未来を追及する試みは普通になされるわけで、「総じて現実が暗いから」というのは、思考停止をしても仕方がない理由にはならないです。
その意味では30年分の遅れを取り戻すまでする必要はない。現在の停滞を打破するだけであれば、情勢が大幅に変わっているのに現状維持バイアスから漫然と続けてきた「奇跡の復興時代」の制度政策を変えるだけでも十分可能とは思いますね。
サンゴ礁を乗り越えて上陸、海岸堡の設定や補給品輸送用の「無人水陸両用車」なんて、他国で研究・開発してるとは聞きませんね。しかも2028年度の装備化を見通した開発事業ですし。海兵隊を持つ国軍は興味を示しそうです。
2026年度に開発完了を見込む「目標観測弾」も、敵防空網を回避・侵入し目標情報取得や戦果確認を行う独自構想の使い捨て型無人機システムですね。効果が立証されれば興味を示す国はあるかもです。
将来に渡り自衛隊隊員定数確保は楽観できない状況ですし、近い将来に我が国の防衛政策に適した広範な無人アセット運用システムの構築が必須になると防衛省も認識してます。
出遅れがあるので急いではいるが、同時に地道に体系的技術基盤構築を目指してもいる、てところでしょうか。
陸上自衛隊の導入済み、または導入予定の無人機
・E-5L型UAV(フジ・インバック製)
・UGV(無人車両)のTHeMIS(ミルレム製)と、Mission Master SP(ラインメタルカナダ製)
・犬型のVision60(ゴーストロボティクス製)
海上自衛隊
もがみ型護衛艦にて無人機雷排除システムUSVの試験運用中。あと戦闘支援用の多目的USVの開発研究
航空自衛隊
『脱中国』を謳うACSL製の国産空撮ドローンを発注。大型案件とは言うものの購入数は不明
能登半島地震でロボット犬が避難経路の偵察に利用された事をご存知ないのなら、これを機に調べたらいかがでしょうか。
あと「かが」の改造が終了したらしいので、かがに載せる無人機の情報も期待したいところ。
「FURUNO」のレーダーはどこでも見るね
狙われる側に、防御手段が必要でしょうね。
昔、日本海軍が、米海軍の高速魚雷艇に狙われたような感じでしょうか。
以前にも書いたけど、USVの高さが低くて、レーダーで観ると
シークラッターと混ざって検出しにくいとのことですが、
それならば、航跡を観ることはできないのでしょうか。上空から。
水面にいて航行する限り、航跡は出るでしょう。どんなに低速でも。
真偽のほどは知らないのですが、魚雷の場合、航跡追尾のものがあるとか。
攻撃は、目標の頭上からの自爆UAVが良いのではないかと思います。
何せ、早くても50kt(92.6km/h)程度ですから。最終は機関砲としても。
前記の航跡?追跡レーダーなどもUAVに載せて24時間警戒でしょうか。
航跡って消すのは難しいけど作るのは簡単なんですよね。
単純な話長い衝角つけてダミー曳航すればそれだけで前後にダミー航跡できるし浮上ダミー引かせたUUVなら本体無傷で激撃しばらく引き受けられそうです。
飽和攻撃掛けるつもりなら当然こうした手段も使われるでしょうから航跡追尾UAVによる迎撃とかだと手数で押し負けそうですね。
なるほどです。
もともと、レーダーでも目視でも見つけにくい
のでしょうから、航跡かなと思ったのですが。
飽和攻撃されるなら、やっぱり、数の勝負でしょうか。
監視のUAVの数を増やして、それぞれの機体に
固定翼自爆ドローンを親子形式で4台くらい
吊るさないとでしょうか。
子機の操作は母船からのFPVとして、
オペレーターがデコイを見分ける形で。
あさひ型護衛艦に搭載された潜望鏡捜索用レーダーOPS-48は自爆型USVの探知にも有効でしょう。
あとは対処手段の有効射程及び数の問題になりますが、例えばファランクスBLOCK1Bはかなり有効かと思います。
USVや(管制のための通信マストや目標確認に潜望鏡を露顕する必要がある)UUVの脅威度が高くなれば、今後は当初から対策したり改修したりはあるんじゃないでしょうか。
他所の記事によると。
ロシアは積載3tのゴム製救命艇に船外機を2つ付け、
SSN-2スティックスの弾頭を載せた自爆USVを製作したとのこと。
スターリンクによる遠隔操作であるとのこと。
イーロンマスク氏は?状態なのかな?。胡散臭い人物とは思っていましたが。
当該自爆USVはルーマニア沿岸でルーマニア海軍に回収されたとのこと。
その後、(遠隔操作で?)自爆したとのこと。危険ですね。
この記事の自爆USV対策も急がないといけないのでしょうか。
小型船はレーダーでも見張員でも発見が遅れて危険というのは
米艦コール襲撃事件や護衛艦あたご漁船清徳丸衝突事件などでも言われてましたからね
小型だからレーダー電波も反射しづらいし肉眼でも見つけるのが難しい 夜間であれば猶更
米海軍も海自も露海軍も小型船を見落として大変なことになってますから
精神論で見張員に頑張らせようとするのではなく小型船でも発見できる可視光や赤外線のセンサーを全周に配置するとか技術で対抗するしかないでしょうね
水平線の問題でどうしても見つけるの難しいから装甲化すりゃいいのでは
戦艦を震洋で沈めるのは無理でしょ
まあ自律徘徊型魚雷とか出てきたら装甲化も無意味だけど
「外洋に不向きなんて常識、まずその幻想をぶっ壊す」
というイノベーションが繰り返されるのが軍事という分野です。
それこそ駆逐艦・吹雪を作った日本がやってほしいところですね
要するにこれ魚雷艇とか長距離魚雷の亜種だよなあ
潜水艦に積んで近海でリリース、泊地攻撃のほうがメインになりそうな
駆逐艦が正しく駆逐艦のお仕事に戻る時代が来たのかな
あと絶対にコレのホビー版というか廉価版がオクスリの密輸に使われるから
まず発見法を開発するほうが先決だと思う
見た目はまんま震洋だな
ほぼ高滝湖とかのダム湖にバス釣りにくる輩が引いている牽引ボート
全ての軍艦・輸送船の喫水線は、巨大な爆発を受ければ大打撃になりますからね。
USVが大量に存在する世界は、軍艦だけでなく、輸送船(シーレーン)にもすさまじい脅威になります。
輸送船が単艦行動できず、護送船団方式を強いるようになるだけでも輸送効率は凄まじく悪化するため、インフレ脅威が凄まじくなります…。
無人機の話になると調べもせずに他の国はこんなに進んでるのに日本はみたいなレスが絶対一個はあるのなんなの
民生の実用無人機ではむしろ先行してたのに何でこんなに出遅れてんだ、という印象はどうしても拭えないですけどね。
少なくとも広大な領海・EEZを抱える我が国において哨戒・監視用途で無人機が有効であることは議論の必要すらなかったはずなのに。
防衛装備の開発で出遅れたり、外国製に頼るのは好ましくない
日本は技術立国であり続けてほしいという立場の人もいるでしょう
不思議なことではないと思いますが
元コメは「調べもせずに〜」なので「ちゃんと調べて評価した上でそうした評価になる」事まで否定するものではないと思います。
何度も此方の方々が指摘してきたように、この種のUSVなどの海上安保は何より安価かつこれまでになく保管施設の規模を抑えられる攻撃方法なので、海賊・テロ組織が扱うようになる近い将来が恐ろしい……
沿岸沖合では常に追尾魚雷のような兵器に怯えないといけない海域では海運コストが跳ね上がるでしょう。