ウクライナ戦況

アウディーイウカは危機的状況、北東市内に侵入したロシア軍が足場を築く

ウクライナ人が運営するDEEP STATEは5日、危機的なアウディーイウカ方面について「ロシア軍が市内北東部で前進している」「ピソチヌイ・カールヤー湖までウクライナ軍が押し込まれた」「ピソチヌイ・カールヤー湖の東でロシア軍が前進した」と報告した。

参考:Мапу оновлено!

街を守るウクライナ軍にとっては厳しすぎる結果だ

アウディーイウカ方面では今月2日に「ロシア軍が街の北東郊外に到達した」と視覚的に確認され、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも3日「ロシア軍が街の北と南から攻撃している」「特に北側で敵が大きく前進した」「ロシア軍はペルヴォマイズケでは家屋を巡る激しい戦いが行われている」「ある家屋は我々が支配して別の家屋は敵が支配する状況だ」「ここでの成功を確実なものにするため敵は新たな戦力を投入してきている」と報告。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

ロシア軍は1月下旬にカムヤムカからピソチヌイ・カールヤー湖方向に前進していたが、新たにベセル南西のダーチャからアウディーイウカ北東郊外に到達したため、長らく保持していた「ダーチャとカムヤムカの間のスペース」を失いつつあり、ペルヴォマイズケ方向でもロシア軍は約1kmほど前進を見せてたが、DEEP STATEは5日も更新した戦況マップの中でロシア軍の前進を報告した。

DEEP STATEは「ロシア軍が市内北東部で前進している」「ピソチヌイ・カールヤー湖までウクライナ軍が押し込まれた」「ピソチヌイ・カールヤー湖の東でロシア軍が前進した」「ペルヴォマイズケでもロシア軍が前進した」と報告しており、ロシア軍の前進範囲は広域マップで見ても明らかだ。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

市内北東部ではロシア軍の足場が目に見える形で拡大、ダーチャとカムヤムカの間のスペースは完全に失われてピソチヌイ・カールヤー湖までロシア軍が南下、ピソチヌイ・カールヤー湖の東でも500mほど、ペルヴォマイズケでも700mほどロシア軍が前進しており、街を守るウクライナ軍にとっては厳しすぎる結果と言える。

ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏はアウディーイウカ方面について3日「増援を送り込む敵と我々の間には大きな戦力差が生じている」敵は常に人的損失を補充して定期的なローテーションも実施している」「一方のウクライナ軍は予備戦力が不足しているため兵士に休息を与えることが出来ない」と指摘していたが、4日も「ロシア軍がアウディーイウカ市内に進軍してきて市街戦に発展している」と報告。

“ロシア軍はアウディーイウカ北(北東)郊外の通りに布陣しており状況は危機的だ。第110機械化旅団などの部隊は数倍の兵力をもつ敵と戦っており、ロシア軍は常に新鮮な歩兵を投入し続けている。2年近くアウディーイウカで戦い続けた第110機械化旅団は完全に疲弊し切っているのに街を守り続けている。この英雄的な部隊には新鮮な予備兵力とローテーション(休息)が必要だ。さらに弾薬や物資も極端に不足し、この分野でのロシア軍は大きな優位性をもっている”

“防衛上の課題も相変わらずで、部隊運用や攻撃手段の統合レベル、相互運用、運用手順に問題がある。さらに一般レベルの報告にも嘘が混じっている。自分たちが安心したい、悪い知らせで上層部を刺激したくないという願望は非常に有害で、最高司令部も批判的な情報ではなく「肯定的な情報」のみを聞きたがっている。だから状況の危機的な変化に対応出来ていないのだ”

出典:Сухопутні війська ЗС України

“敵は市内でドローン操縦者を標にした狩りを本格的に始めた。どんな建物もアンテナも砲撃や滑空爆弾の攻撃に晒されており、ロシアは事実上「無差別爆撃」を行っている。前進には代償が伴うため敵は大きな損害を被っているが、ロシア軍司令部はウクライナ軍司令部よりも素早く予備戦力を移送し続けている”

ブトゥソフ氏は自身の財団を通じて「第110機械化旅団のドローン操縦者向けの操縦装置」を購入する予定で、そのための資金を寄付してほしいと呼びかけている。

追記:ブトゥソフ氏は5日「今日のアウディーイウカは晴れているものの雪が降っている。この良く知られた場所(写真を撮影した街の入り口)から敵までの距離は1,200mしか離れていない。我が軍の兵士たちは踏みとどまり全力で反撃をしている。今夜、この状況について詳しく書くつもりだ」と述べている。

ソレダルやバフムートでも現地から報告を上げていたブトゥソフ氏は現在「アウディーイウカにいる」という意味で、恐らく前線の状況に最も精通したジャーナリストの1人だろう。

関連記事:前線で生じる戦力差、予備戦力がウクライナ軍とロシア軍の明暗を分ける
関連記事:アウディーイウカの戦い、ロシア軍兵士が南郊外に続き北東郊外にも侵入
関連記事:ウクライナ人ジャーナリスト、兵士の自己犠牲で前線が支えられている
関連記事:ウクライナ軍が直面する兵士不足、戦争を継続できるかどうかは動員次第

 

※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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コメント

    • もこもこ
    • 2024年 2月 05日

    いや厳しい、前線は厳し過ぎる。首都は政争で厳しいし、今までに兵士、武器は溶かしまくって、精神論しか残ってない。
    ここ取られたら、何の未来が描けます?

    25
    • ブタゴリラ
    • 2024年 2月 05日

    さっさと撤退してくれ。

    25
    • gepard
    • 2024年 2月 05日

    コークス工場と市街地の間の道路がウクライナ軍に残された最後のまともな補給路である。
    右側面の湖畔を奪取したことでダーチャのロシア軍は突出状態を解消し、補給路遮断に向けて決定的な攻勢を発動できる条件を整えつつある。

    ウ軍は予備隊不足が致命的な状況を招いていると見られる。ステポヴェ方面や南部に戦力を振り向けた結果市内が手薄にならざるを得なかったのだろう。

    36
      • らっく
      • 2024年 2月 06日

      突出部を作ってその間を埋める赤軍のやり方ですよね。

      赤軍の全縦深同時攻撃を打ち破った例というのは過去にあるのでしょうか?

      2
    • 名無し
    • 2024年 2月 05日

    ウクライナには悪いけどまぁ予想通りに推移していますねぇ
    ここが陥落するのもかなり現実的になってきたけどこのまま死守を続けるのかな?
    兵士の数ならウクライナ軍の方が多かったと記憶しているけど激戦区ですら兵力が不足しているなら相当おっ死んだ訳か…
    ゼレンスキーラインがどこまで準備出来ることやら(要塞線って航空優勢無し兵力ボロボロで維持出来るもんなんですか?詳しい人教えて)

    42
      • kame
      • 2024年 2月 05日

       ロシア軍が航空優勢と言えるほどの状況を確保できているのなら、正直、焼け石に水だとは思います。ただ、現在のウクライナの戦場では両軍の対空火器で網を張っている状態なので、空の戦場だけで限定するなら五分五分位の状況だとは思います。ただ、ウクライナ側の対空兵器にどれだけの余裕があるのか分からないので、判断できませんね。
       何にせよ、陸に対しても、空に対しても弾薬とミサイルが不足している事が今の劣勢を作り出している大きな一因のため、今後、安定的に弾薬及びミサイルの補充が見込めるかが全てでしょう。出来ないのであれば、徴兵が出来てもまともに戦闘も出来ずに、捕虜か戦死するために戦場に赴く事になるでしょう。

      9
    • 名無し
    • 2024年 2月 05日

    hoi4で言うところの無能攻勢で消耗したのが響いてるねぇ…

    21
    • ななしびと
    • 2024年 2月 05日

    ザルジニーの目算通り2~3か月内の陥落が見えてきたね…そしてそういう計算をちゃんとしていた人間が今辞めさせられようとしている。
    アウディイウカが陥落したとして戦争が終わるわけではないが、終戦への一歩が始まったという感じはしてきたね。

    47
    • 拓也さん
    • 2024年 2月 05日

    バフムートはクロモヴェとイワニフスクが耐えてたから補給はなんとかなったが、アウディーイウカではコークス工場南の住宅地に定着して更に西進したら補給が困難なのでは。 ツァルスカ・オホタ方面の細長く浸透したロシア軍ですら排除できなかったのだから、ここも排除は不可能だと思われる。遅くても3月中旬頃には陥落しそう。

    14
    • ポンポコ
    • 2024年 2月 05日

    ザボリージャのウクライナ軍の総反撃が失敗したので、今の重要地点は、クピャンシクとアウディーイウカでしょうか。

    アウディーイウカでは、このピソチヌイ・カールヤー湖(貯水池?採石場跡?)の東側(北側なのか?)にロシア軍が侵入したのは大きいですね。

    ここを進むと、南の住宅地とコークス工場を遮断してしまいます。それどころか、南の住宅地や要塞地帯への北からの補給路が遮断されてしまう恐れがあります。

    ここは、アウディーイウカ戦の焦点かもしれませんね。

    もちろん、ウクライナ軍の方も承知で、この辺は、国家親衛隊のオメガ分遣隊(特殊部隊)や第53機械化旅団のアイダール大隊(本物のアゾフと同じくロシア側に悪名が高いので降伏しにくい)などが、守っているはずです。ウクライナぐんは、砲爆撃で削られているのでしょうか?

    ウクライナ軍の増援がどのように機能するか、アウディーイウカ戦では、この場所に注目ですね。

    アウディーイウカが陥落してから、ザルジニー解任か?しかし、ロシア軍はそれほど急いでいない様子なので、アウディーイウカ陥落はまだ時間がかると思う。

    7
    • ポンポコ
    • 2024年 2月 05日

    ザボリージャのウクライナ軍の総反撃が失敗したので、今の重要地点は、クピャンシクとアウディーイウカでしょうか。

    アウディーイウカでは、このピソチヌイ・カールヤー湖(貯水池?採石場跡?)の東側(北側なのか?)にロシア軍が侵入したのは大きいですね。

    ここを進むと、南の住宅地とコークス工場を遮断してしまいます。それどころか、南の住宅地や要塞地帯への北からの補給路が遮断されてしまう恐れがあります。

    ここは、アウディーイウカ戦の焦点かもしれませんね。

    もちろん、ウクライナ軍の方も承知で、この辺は、国家親衛隊のオメガ分遣隊(特殊部隊)や第53機械化旅団のアイダール大隊(本物のアゾフと同じくロシア側に悪名が高いので降伏しにくい)などが、守っているはずです。ウクライナぐんは、砲爆撃で削られているのでしょうか?

    ウクライナ軍の増援がどのように機能するか、アウディーイウカ戦では、この場所に注目ですね。

    アウディーイウカが陥落してから、ザルジニー解任か?しかし、ロシア軍はそれほど急いでいない様子なので、アウディーイウカ陥落はまだ時間がかると思う。

    2
    • 名無し
    • 2024年 2月 05日

    アウディーイウカが戦略的に極めて重要なのは重々承知ですが、この期に及んで撤退せず徹底抗戦させているのは完全にゼレンスキーらキエフ首脳部の政治案件ですからね

    もはや軍事的合理性よりも自分たちの面子や政治生命を優先して抗戦させているという点である意味第三帝国の末期よりも救いようが無いというか…

    正直初戦のキエフや一昨年秋のへルソン撤退の際にロシア軍やプーチンを嘲笑う意見が多かったですけれども、これむしろ手強い相手であると警戒しなければならない事案でしたからね

    つまるところ自身や国家の面子に傷が付いたり政治生命に亀裂が入るというリスクを全て承知の上、それらよりも軍事的合理性を最優先にして軍部に全てを任せたり意見を聞き入れ、作戦全般にも介入を控えるだけの理性や判断力を保持しているという事の証左でもありますから

    54
    • 歴史と貧困
    • 2024年 2月 05日

    補給路を守るためにステポヴェ、ベルティチ、シェベルネに兵力を割けば、南部が手薄になり突破される。
    突破された南部を必死に塞ごうとすれば、北東部ががら空きとなり突破される。
    予備兵力が完全に枯渇していることは誰が見ても明らかなのに、ゼレンスキーは総司令官を解任して後任を決めるのにもたついている始末。

    この戦争はもはや、「ウクライナはどのように終わるのか」が焦点となってきそうです。政権が先に終わるのか、戦争が先に終わるのか。

    36
    • 名無し
    • 2024年 2月 05日

    スターリングラードみたいになってきたな

    10
    • たむごん
    • 2024年 2月 06日

    アウディーイウカの厳しい状況の中で、ザルジニー総司令官とシャプタラ参謀総長の更迭が話題になっていますからね。
    ウクライナ軍が、撤退タイミング・防衛ライン構築・資材配分など、難しい決断が必要な時に本当に大丈夫なのかなと。

    マリウポリの鉄鋼コンビナートは、再生が進んでいると言われていますが、アウディーイウカのコークス工場なども経済・雇用のために再開させるのではないでしょうか。
    (個人的な意見ですが)アウディーイウカ攻略後、ロシア軍はさらに前進する計画と考えています。

    (2024年1月3日 ロシア占領下のマリウポリで巨大製鉄所が生産再開 ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ)

    12
    • KM
    • 2024年 2月 06日

    直ちに市内から撤退してセメニフカ辺りで防衛線を整頓すべきだけど、最前線の部隊が拘束されてしまっている場合はもう離脱できずに包囲される可能性が高いかもしれないですね…

    11
    •  
    • 2024年 2月 06日

    キーウとアウディーイウカの直線距離は580キロ
    東京〜青森間とほぼ同じ

    果たしてキーウ再市街戦はいつになるのかな?

    3
      • らっく
      • 2024年 2月 06日

      それは、バグラチオンⅱがいつになるかっていうこと?
      6月じゃない?

      1
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 2月 06日

    戦況図の推移を見る限りだと、2024年に入ってからアウディーイカはものすごい勢いで防衛線が崩れているように見えます
    これが砲弾不足・人員不足による崩壊なのか、ロシア側の戦力投入によるものなのかは判断がつきませんが、防衛するにはよほどの増援と補給が無いと無理な展開でしょう

    こんな状況でザルジニー総司令官を解任するだのしないだの、ウクライナが何をしたいのかさっぱりわかりません

    28
    • TKT
    • 2024年 2月 06日

    ウクライナ軍の砲兵、榴弾砲は砲弾がない、歩兵も戦車も戦闘機も不足している、ということで最後の標的はFPVドローンの操縦者です。

    しかしFPVドローンを操縦するには、絶対的に電波を発信せざるを得ず、ロシア軍が電波の発信源を逆探知するのは原理的に容易であり、FPVドローンの操縦者が隠れるために電波を止めれば、FPVドローンはすぐに落ちてしまいます。

    FPVドローンのコントローラーの電波の発信源を逆探知で特定できれば、後は砲撃でも、滑空爆弾を使った爆撃でも、ロシア軍の方は何でもできます。そもそもウクライナ軍の方は砲兵の砲弾も歩兵も、戦闘機も足りないわけです。

    司令部の方は司令官も、参謀総長も当分どうなるかわからず、後任の人事も定かでなく、何をどう報告したところで、この先何がどうなるのかよくわかりません。FPVドローンの操縦者にとって明らかなのは、電波を出せばロシア軍に探知されて、現在地を発見され、砲撃されたり爆撃されたりするということです。

    6
      • Whiskey Dick
      • 2024年 2月 06日

      透明な通信・給電コードで地上設備とドローンを接続する凧型ドローンとか作れないかな、電動ドローンの弱点である使用時間と電波絡みの問題は解決できる。但しコードの重量が嵩む、コードを目視で発見されたら操縦者の位置がバレるという欠点はありそうです。
      若しくは赤外線やレーザーで通信・給電を行うドローンも考えられます(使用は光線が届く範囲に限定される)。

      2
        • kitty
        • 2024年 2月 06日

        凧の原理で滞空時間を延長しているドロ-ンや、有線で給電・通信するドローンは既にありますよ。
        こういうの開発するの日本は得意なんですけど、毎年やってる国際ドローン展の記事を見るとニッチな市場で頑張っているようです。

        3
    • カロリーナ
    • 2024年 2月 06日

    未確認情報によるとアウディーイウカ市内の精鋭部隊は既に殆ど撤退済みのようだ。
    市内に取り残された部隊には気の毒だが戦線整理の都合上やむを得ない犠牲だ。
    まだ要所は陥落していないので出来るだけロシアに出血を強いるのが彼らの最期の任務となるだろう。
    ポクロウシクを中心としたゼレンスキーラインを構築すれば1年は持つ。
    その間にウクライナ軍の戦力回復は十分に可能だ。

    4
      • D-day
      • 2024年 2月 06日

      アリガトウ アリガトウ サヨウナラ サヨウナラ…

      (´;ω;`)ブワっ

      2
      • MarkⅡ
      • 2024年 2月 06日

      人の心とかないんか、なさそう
      というかバフムート周りで同じような事を既にやってるんだよな

      4
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