シルスキー陸軍司令官は15日「敵はバフムートを包囲しようとして失敗し続けている」と発表したが、露ワグナーがバフムート近郊のザリズニャンスキーを制圧、市内でも中心部向けて前進し続けており、刻々と状況は悪化している。
参考:В США прокомментировали решение Зеленского остаться в Бахмуте
参考:В Бахмуте враг безуспешно пытается окружить город и продвинуться вперед – Сырский
米国がウクライナに歩み寄った格好だが、バフムートを取り巻く状況に明るい話題はない
バフムートがもつ戦略的価値や戦況について西側諸国とウクライナでは見解が異なり、西側諸国の国防当局者は再三「同地を失っても戦局的に大きな変化はなく、ロシアが仕掛ける消耗戦に付き合えば準備中の反攻作戦に影響が出るので撤退すべきだ」と主張、この様な西側諸国の見解にゼレンスキー大統領もウクライナ軍も「この戦争におけるバフムートの重要性や価値は高まっている」と反論、増援を送って防衛を強化しつづけているため「ウクライナと西側諸国(特に米国)の相違が拡大している」と報じられていた。

出典:DoD photo by U.S. Navy Petty Officer 2nd Class Alexander Kubitza
このような報道を気にしているかは不明だが、米国のオースティン国防長官は15日「バフムートの重要性を決めるのはゼレンスキー大統領で、彼が防衛強化のため増援を送ると決定したのなら、それは優位性を保つため必要なことなのだろう。(バフムートに)どれだけ留まるのかを決めるのはゼレンスキー大統領で他の誰でもない。繰り返しになるが戦場での決定がどうであれ、我々の目標はゼレンスキー大統領を確実に支援することだ」と発言。
オースティン国防長官の発言は「バフムートの重要性や価値が高いと考えるウクライナ側の意向を尊重し、これを貶めるような発言(撤退の示唆)を控える」と解釈するのが妥当で、米国がウクライナに歩み寄った格好だが、バフムートを取り巻く状況に明るい話題はない。
シルスキー陸軍司令官は15日「敵はバフムートを包囲しようとして失敗し続けている」と発表、ウクライナ軍は限定的な反撃でイワニフスキーに迫っていた敵部隊を数百mほど南へ追い払い、ワグナーに奪取されていたクロモヴェ近くの塹壕を取り戻すことに成功したが、ワグナーがザリズニャンスキーを支配していることが視覚的に確認(リンク)され、クロモヴェ方面に対する大規模な攻撃を行い00506を物理的に遮断するための足場を築いたらしい。
さらに問題なのはバフムート市内の状況で、MiG-17モニュメント付近で前進するワグナー部隊は行政庁舎周辺に通じるメインストーリー(korsunskogo.st)を超えてT0504に近づいており、市内南部の住宅街を守っていたウクライナ軍は「バフムト川沿い」と「線路沿い」に前進する敵に包囲されるのを恐れ後退した可能性が高く、北部より南部の攻撃が先に市内中心へ到達するかもしれない。
クロモヴェ方面に対する大規模な攻撃を行い00506を物理的に遮断するための足場を築いたという話が真実の場合、ロシア軍はバフムート郊外と市内でウクライナ軍の退路を脅かし始めたという意味になるので、市内で戦うウクライナ軍の補給は更に苦しくなるだろう。
因みにシルスキー陸軍司令官は「クピャンスク方面とリマン方面でも敵の攻撃が激しくなっている」と言及しているが、ロシア軍がクピャンスク方面のフリャニキフカを支配している視覚的な証拠(ウクライナ軍がフリャニキフカに駐留するロシア軍兵士をドローンで攻撃する様子を公開=リンク)が登場した。
ウクライナ軍参謀本部は引き続き「ドヴォリチナとマシュティフカで敵を撃退した」と述べており、もしかするとロシア軍は先にドヴォリチナを確保、その後にオスキル川の両岸からクピャンスクに迫るつもりなのかもしれない。
関連記事:バフムートにゼレンスキー大統領が決定を下す、今後も防衛して保持する
関連記事:ウクライナ侵攻383日の戦況、露ワグナーはスラビャンスク方向に道路を北上
※アイキャッチ画像の出典:СИРСЬКИЙ
アフガンでもあったいつもの親米国家敗北ムーブですかね・・・
南ベトナムもアフガンも米国が撤退したらあっさり崩壊しました
欧米に都合がいいので生命維持装置に繋いでもらってる感じはありますね 供給面の制約や利上げ不況のはじまった欧米に支えることを期待するのは難しいと思いますよ
財政支援までしてもらってるウクライナが今後自力で立ち向かうことは非常に難しいと思います
バフムト陥落しても戦線に影響ないでしょ。
それはそうだけど反攻戦力溶かした上陥落したらマズい。
>南ベトナムもアフガンも米国が撤退したらあっさり崩壊しました
そう言えばこの2国も戦時中にも関わらず腐敗してたよな…
正直ウクライナだってみんなの大嫌いなソ連そのものだったわけでしょ
利権欲しさに欧米に寝返っただけなのでそんなに国としての芯は強くないでしょう
中国が一番の友好国で 欧米から突っ込まれたからなのか北朝鮮は切ったみたいだけどw
戦争がはじまってから大分たってようやく腐敗高官を切り始めたけどおそいよね
うーん 戦争が奇跡的にウクライナ有利で終わったとしても中国の経済植民地になってそう・・・
ただ、堪え性がないのがいつものアメリカ。
手厚い支援もいつまでか。
アメリカはベトナムやアフガニスタン、韓国、イラクで何年間莫大な支援をし続けたかご存じないのですか?
堪え性がないというのは事実に反します。
3月はじめにバフムトは川での防衛ラインで二週間はバフムト防衛できるいわれて二週間たちましたから、こうなりますよね。バフムトに余り補給がないのは、バフムトで装備おいての撤退に備えているんですかね。
バフムトで近距離ではロシアの大軍の勇敢な動員兵士に防弾装備意味なくするスコップで殺されて、ロシアの訓練している正規兵やワグナーには、銃撃戦で、ウクライナの数ヶ月の訓練しかうけてない訓練不足の動員兵士が劣勢でかなり殺されて、砲弾はウクライナのうつ砲弾の8倍撃ち込まれるのは不味いが、バフムトのお陰でロシアの他の地域の砲弾数は精々ウクライナの二倍程度に押さえられているからバフムト放棄のしづらい。
ロシアの軍事力はやはりアメリカのぞいたら化け物ですね。
そういうセリフは実際上手く行ってから聞きたいもんだ。西側寄りの政権を防衛するのに成功するのに上手く行ったの韓国くらいじゃないか。
いつも尻尾巻いて逃げてるやん。
あんまりパトロンの意向を無視してると朝鮮戦争の韓国みたいになっちゃうぞ
ドイツが度々ウクライナやポーランドから”お叱り”を受けたことがあったように、ウクライナに厳しい分析をする→ウクライナの主張を信じてない→結束を乱しロシアの味方をするとは何事か、みたいな自家中毒に陥ったりしてないだろうか
撤退して防衛線を引き直せばよかったはずの都市が、その陥落が戦争の勝敗を左右する戦略上の要衝の如く喧伝され、防衛のためのリソースを注ぎ込むことで、結果として皮肉にもその実際の価値がどんどん積み増しされているように見える
防衛することができたならそれでいいかもしれないけれど、仮に陥落するようなことになれば軍事的にも政治的にもダメージが計り知れないことになりそう
ずっと守り続けてきた市内でここにきてロシア軍の突破が進んでいるのがバフムートの弾薬が限界なせいだとするともう防衛どころではないような
ウクライナ軍も補給路近辺で反撃したところを見ると補給路(撤退路も含め)確保の為に動いているのは間違いないけど、市内で幹線道路を抑えられる寸前となると意味がなくなってしまう…
それとは別にザリズニャンスキー及びおそらくその北側の高台に進出されたとなると、北のヴァシュキフカの半包囲も見えてくるのでウクライナ側はとにかく戦線の手当てが難しそう
泥濘が終わればウクライナも反撃に移るだろうけど、いつごろ地面が固まるんだろうか
私はウクライナ・マイダン→内戦開始の2013~14年から露・米・英・仏・中などのウクライナ報道をチェックしておりますが、西側には嘘が多すぎると感じており、米英の地政学的な世界の分断支配に憤りを感じているものです。管理人氏はウクライナ応援の立ち位置にもかかわらず、双方の発表を精査してウクライナ不利情報も躊躇なく伝える姿に感銘を覚えております。日本のマスコミ、評論家、偽学者に管理人氏の爪の垢を煎じて飲ませたい。一方的にウクライナ発・親分米国の大本営発表を増幅する行為は日本国をミスリードするもので全く許しがたいと思います。添付されている戦場の地図はとても参考になります。今後とも精査された事実に立脚した報道を期待いたします。