ウクライナ戦況

ウクライナメディア、アゾフ海上空でロシア軍のA-50を撃墜したと主張

ウクライナメディアのRBC-Ukraineは14日「ウクライナ軍がアゾフ海上空でロシア軍のA-50を撃墜し、近隣の空域を飛行していたIl-22Mも損傷した」と報じているが、今のところウクライナ軍はA-50撃墜について何の発表していないため真偽は不明だ。

参考:ВСУ сбили российский самолет А-50 над Азовским морем, еще один подбили
参考:Media: Ukraine downs Russian A-50 plane over Azov Sea

ロシア軍はA-50を少数しか保有していないため、本当に撃墜しているなら大きなインパクトがある

ウクライナメディアのRBC-Ukraineは14日「ウクライナ軍がアゾフ海上空でロシア軍のA-50を撃墜し、近隣の空域を飛行していたIl-22Mも損傷した」と報じ、最高議会のユーリー・ミシアギン議員も「14日午後9時頃にウクライナ軍がアゾフ海上空を飛行していたロシア軍機に向けて発砲した」と自身のTelegramに投稿、これを受けて他の現地メディアも「A-50撃墜」を報じ始めている。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

RBC-Ukraineは「軍関係者からの情報」として「14日午後9時10分頃にアゾフ海に面したザポリージャ州キリリフカ地区でA-50が撃墜された」「A-50はレーダーから姿を消して無線の呼び出しに応じなくなった」「その後にSu-30のパイロットが墜落して炎上する航空機の存在を確認した」と報じた。

さらに「アゾフ海に面したヘルソン州ストリルコヴェ地区で任務に就いていたIl-22Mも被弾、アナパへの緊急着陸を計画して救助や消防車を無線で要請した」とも報じ、この関係者はRBC-Ukraineに「Il-22Mのパイロット」と「アナパの管制官」との会話を傍受したデータを提供。

ウクライナ最高議会の国家安全保障・国防・情報委員会で副委員長を務めるユーリー・ミシアギン議員も「14日午後9時頃にウクライナ軍がアゾフ海上空を飛行していたロシア軍機に向けて発砲した。A-50は撃墜され、損傷したIl-22Mは最寄りの空港に向かい、ケチル付近で降下を開始してレーダーから消えた」と自身のTelegramに投稿。

RBC-Ukraineを報道を引用して「A-50撃墜」を報じたKyiv Independentは「ウクライナ軍はA-50撃墜について何の声明も発表していない」と指摘しており、この話が事実かどうかは今のところ不明だ。

因みにロシア軍はA-50を少数しか保有(ロシア軍が運用しているA-50について諸説ある)していないため、本当にA-50を撃墜しているなら大きなインパクトがある。

追記:ウクライナは夜明け前なので朝になれば新しい情報が入ってくるかもしれない。

関連記事:クリミアでロシア海軍の大型揚陸艦が爆発、ウクライナ軍が関与を認める
関連記事:ウクライナ軍、巡航ミサイルで大型揚陸艦と改キロ型潜水艦の破壊に成功
関連記事:ウクライナ軍がセバストポリ造船所を攻撃、大型揚陸艦と潜水艦を破壊か
関連記事:ウクライナ軍参謀本部、オデッサ方向でSu-30SMを撃墜したと発表
関連記事:ウクライナ空軍、マリウポリ方面でロシア軍のSu-34を1機撃墜したと発表
関連記事:ウクライナ空軍、南部方面でロシア軍のSu-34を3機撃墜したと発表

 

※アイキャッチ画像の出典:Mil.ru/CC BY 4.0

米海軍、SPY-6搭載のジャック・H・ルーカスは期待通りの性能を発揮した前のページ

A-50撃墜はドニプロ市攻撃の報復、ウクライナ空軍司令官が関与を仄めかす次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領、アウディーイウカでロシア軍を破壊すれば流れが変わる

    ゼレンスキー大統領は14日夜「ロシア軍はバフムート近郊よりもアウディー…

  2. ウクライナ戦況

    BAYKARがポーランド人の善意に連帯、3度目のTB2無償提供を発表

    BAYKARがポーランド人の善意に「我々もウクライナ人を助けたいという…

  3. ウクライナ戦況

    ロシア軍がドンバスからヘルソンに戦力を移動、戦いは新たな段階に突入

    英国防省は6日、ロシア軍はウクライナ軍の反撃に備えるため「ドンバスから…

  4. ウクライナ戦況

    ロシア軍はA-50を下げざるを得ない、その分だけ前線上空の認識力が低下

    米ディフェンスメディアはA-50撃墜について「貴重な機体が失われたこと…

  5. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍はバフムート周辺で反撃を継続、ロシア軍は市内で前進を再開

    ウクライナ軍はイワニフスキー方面の森林地帯から敵を追い出し、チャシブ・…

  6. ウクライナ戦況

    アウディーイウカの戦い、ウクライナ軍はオプトネ北西の採石場を失う

    アウディーイウカ方面についてロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは…

コメント

    • Whiskey Dick
    • 2024年 1月 15日

    ウクライナ軍も長射程のAAM若しくはSAMを保有していたのか。腐っても旧ソ連構成国なのでウクライナ軍はロシア軍と同等の攻撃手段を持つものとして警戒すべきだった。緒戦の巡洋艦モスクワ撃沈と似たようなヘマやりやがった。

    15
      • NHG
      • 2024年 1月 15日

      すでにF-16供与してる説(眉唾ゴシップ)もあるよ
      F-16の供与を隠せるとは思えないから、西側対空ミサイルと宇の東側戦闘機との統合ができたとかそっちの可能性はありそう

      2
        • 名無し
        • 2024年 1月 15日

        普通に考えて戦闘機の功績ではないでしょ
        射程100キロ+αのAAMでアゾフ海上空のロシア機を落としたって事はロシア支配地域の上空をウクライナ軍機が飛んでるっつー事になるw

        15
          • NHG
          • 2024年 1月 15日

          アゾフ海上空ってより大陸の上じゃんと思って書いたけど確かにそうですね
          地図の尺寸考えてなったです

          1
    • 765
    • 2024年 1月 15日

    嘘か誠かは追加情報待ちだけど、そりゃレーダー波と無線電波垂れ流してる高価値目標の大型機なんだから隙見せたら撃墜されるよな
    ぶっちゃけ日本も他人事ではないので、この辺りは詳細に情報を共有して分析してほしいな。実際アメリカはもうAWACSには見切りつけ始めてる訳で

    37
    • cafe
    • 2024年 1月 15日

    地図の通りならAWACSを前線付近に出し過ぎでは。
    まあロシア軍が弱体化するのは愉快だからどうでもいいが。

    59
    • 黒丸
    • 2024年 1月 15日

    ヘルソンからキリリフカまで直線距離で約210㎞
    ウクライナ軍が復活させたというS200が射程300㎞と言われているのでこれを使ったのかな。
    復活目的は対地攻撃用弾道ミサイルとしてでしたが、何かしらの改造に成功したのかも。

    ウクライナにできることは中国にもできる可能性があるということなので
    旧式ミサイルと言えども長射程対空ミサイルへの用心がますます必要になるかも

    8
      • 黒丸
      • 2024年 1月 15日

      過去のウクライナによる誤射事件と同じように、S200を使用したかと

      シベリア航空機撃墜事件
      リンク
      現場から約240 km離れたクリミア半島東部の軍事施設で行われていた地対空ミサイルの発射訓練によるミサイル誤射・撃墜説が唱えられた。
      ロシア政府は事件の2日後、「ウクライナ軍が発射したS-200 (SA-5 ガモン)地対空ミサイル(射程300 km)が命中した疑いがある」

      1
    • のー
    • 2024年 1月 15日

    これでロシアの防空網に大穴が空きますか。
    AWACSのような替えが効かなくて、必須な兵器も増産ラインを閉じないようにする必要があるんですかね。
    撃墜でなくても、事故で壊れることはあり得ますし。
    ますますコストがかかりますな。

    6
      • 123
      • 2024年 1月 15日

      それ以前に、自前ではまともに半導体を作れず西側からは制裁で半導体の輸出規制されてる今のロシアに、
      AWACSのような空飛ぶスパコンを新造する余裕があるのかね。

      12
        • 名無し
        • 2024年 1月 15日

        E-3やE-767、最新鋭のE-737でも使ってる半導体は中国が量産してるレベルのだぞ
        最先端の半導体なんか使ってないからどうとでも調達出来るでしょ

        31
          • qwerty
          • 2024年 1月 15日

          窒化ガリウムは?

          6
          • hage
          • 2024年 1月 15日

          どうにもなってないからA-100は未だに量産出来ないし、
          A-50Uも10機程度しかいないのだが

          29
        • 暇な人
        • 2024年 1月 15日

        40年前の機体のスパコンとかいまならスマホ以下なんじゃないかなと

        12
      • 名無し
      • 2024年 1月 15日

      空かないでしょ、A-50は20~25機程が稼動状態にあると言われてる
      1機欠けた程度ではダメージは軽微だろう

      15
    • 123
    • 2024年 1月 15日

    巡洋艦モスクワは嵐で沈んだ(大本営発表)そうだから、
    A-50は隕石に当たって落ちたという大本営発表でもありそうだな。

    50
    • マダコ
    • 2024年 1月 15日

    残り少ない機が撃墜されたというのは、ロシアからすれば、ある意味痛いですね。日本のメディアでも報道されはじめていますが、残り7機程度でしょうか?とりあえず、この空域は安全ではなさそうですね。

    5
    • コバートX
    • 2024年 1月 15日

    Il-22Mが損傷ってなんなんだろうな。普通、被弾(ミサイル)=撃墜なんじゃないの?対空機銃で撃ってたのかな…届くのか…。

    2
      •    
      • 2024年 1月 15日

      ミサイルで損傷しても落ちない例はいくらでもありますよ

      15
    • 名無し
    • 2024年 1月 15日

    S300の射程では前線ギリギリまで引っ張ってきても届かないと思うんだが、何を使ったんだろう?
    工作員がスティンガー持ってロシア占領地域に浸透してたとか?それは非現実的かな
    そもそもA-50のような航空機は高空を飛ぶのでMANPADSでは無理か

    9
    • 58式素人
    • 2024年 1月 15日

    事実であれば、ウクライナの大金星でしょう、ロシアは大ポカ(?)でしょうね。
    本当なら、キンジャールを装備したロシア機は迂闊に近づけなくなるでしょうし。
    R-37を使うMig-31も行動が限られることになるでしょうし。
    SAMを使ったなら、必ず複数発射をすると思うので、一機命中を確認後に、
    残りのミサイルについてイルミネーターの向きを直したのかな。
    でも、そんなことが出来るのかな?。初めから複数目標を狙っていたり?。
    届きそうなミサイルはS-200と思いますが、復活したのかな。
    管制はS-300のでしょうか、そうであれば良いと思いますが。

    2
      • T.T
      • 2024年 1月 15日

      確かにS-300でS-200のミサイルは管制出来るから可能性としてはありますね。
      でもリビアでもシリアでもバンバン外してますし、当たらないと評判だった記憶があるので正直どうかなとは思います。
      でも、一応F-16Iを1機落としてますし、誤射での撃墜もありますから、A-50みたいな大型機ならやれるかも知れませんね。

      2
        • 58式素人
        • 2024年 1月 15日

        先日のSu-34の時もですが。
        ロシア側の不意をついた可能性はあると思います。
        A-50にも電子戦の能力はあるでしょうから。
        ウクライナ側の詳細の公表待ちでしょうか。
        S-200は元々、高高度の戦略爆撃機が目標と思います。
        今回のA-50はそれに近い機体ですね。
        近頃のミサイルのような運動性はないでしょうが、
        代わりに(?)やたらに速い、と憶えています。
        可能性はあると思っています。

        2
    • 幽霊
    • 2024年 1月 15日

    事実ならロシアにとって大打撃ですね
    西側諸国から経済制裁を受けているロシアは高性能な電子機器の入手が難しいので、新たに作るのも難しいでしょうし。
    それにウクライナは領空外にいる西側諸国のAWACSから支援を受けているので、撃墜される恐れはまず無いのですからロシア側だけ防空能力が減ると言うロシアとって最悪の事態でしょうね。

    14
      • 765
      • 2024年 1月 15日

      大打撃かどうかは微妙じゃないですかね?少なくともまだA-50Uだけで最低でも5機以上はいるので十分に穴は埋められるでしょう
      ただ、去年にパトリオットによってSu-34やSu-30が撃墜されて移行にロシア空軍の活動が低調になったと同様に、A-50の運用はかなり縛られたものになるでしょうね

      11
      •  
      • 2024年 1月 15日

      西側の高性能な電子機器がないから新造出来ないってA-50の初飛行がいつだと思ってるんだか
      最近のキッズはソ連って国を知らないのかな

      8
    • 島谷
    • 2024年 1月 15日

    これが事実ならまたウクライナは報復としてミサイル攻撃を受ける模様
    喜んでいる場合ではない

    8
    • 名無し
    • 2024年 1月 15日

    軍通信の保安体制どうなってるんだろう?数年前からナチュラルに復号化されてるけど……。

    1
    • Easy
    • 2024年 1月 15日

    ロシア側が強く否定していないところを見ると,実際に落ちてるパターンが濃厚かなと。ロシアは落ちてる時は割と何も言わないんですよね。
    一説には、クリミア半島をカバーするロシア軍の電波妨害が強力過ぎてロシア側のレーダーもノイズだらけでよく映らなくなってしまい。それでA-50を前に出さざるを得なくなってるところを狙われたのでは、と。

    38
    • 帝国
    • 2024年 1月 15日

     ウクライナ軍公式発表とロシア側からの情報滲み出しを待たないと。先日のSu-34などの撃墜の折には滲みだしていた。
     一般論で言えば(1)貴重な機材でスタンドオフ運用するものなのにSAMの射程内に侵入するかあ?(2)逆探RWRで気付かないの?(3)SAMの射程の恐らく一番外側で、もうロケットが燃え尽きて滑空しているんだからA-50と言えども躱しようがあるんじゃないの?(4)ECMはどうした?といった疑問は残る。とはいえ結構、不注意・不思議なことをやって無駄な損害を出しているからねえ。先日のSu-34などもARMを1本吊るしておくかアイアンハンド機を随伴させていたら、ウ軍は迂闊に撃てなかったろう。
     露軍はレーダー照射なり、SAM発射があればこれ幸いと防空制圧したろうが、ウクライナ軍としてはA-50撃墜が伴うなら数少ないSAMバッテリーを犠牲にしても引き合うと考えたのだろう。貴重なA-50が撃墜されたなら露軍にとって痛いだろうが、まだ残りがそこそこあるしMiG-31やSu-35などのAWACS機能で代替できる部分し、むしろ優れた部分もある。露軍にとってはウクライナ軍の数えるほどしかなく惜しみ惜しみ使っているSAMバッテリー、さらに残り少ない長距離SAMバッテリーを削れるなら犠牲を出したとしてもまあ引き合ったのではないか?

    3
      • kitty
      • 2024年 1月 15日

      アイアンハンドってきょうび聞かねえなぁ

      1
    • 名無し太郎
    • 2024年 1月 15日

    もし事実なら、久しぶりに胸のすく嬉しいニュース。世界平和のためにはロシア空軍の壊滅が望ましいので、ぜひ事実であって欲しい。続報が待ち遠しい。

    16
    • たむごん
    • 2024年 1月 15日

    事実ならば、ウクライナ軍の大戦果であり、続報を見守りたいですね。
    ウクライナ軍が、都市防衛用の防空ミサイルを、前線に近付けた可能性を思い出しました。

    何のミサイルで、撃墜したのか気になっています。

    7
    • kitty
    • 2024年 1月 15日

    なんでAWACSを目視できる様な距離に戦闘機が飛んでいられるんだ?と思ったらSu-30だから友軍機か。

    • ななしびと
    • 2024年 1月 15日

    もし仮に事実ならそれなりの痛手にはなるが、そもそも航空戦力差ありすぎるからウクライナがここから優位に!なんて展開は無いんだよな。
    久々に目を見張る戦果だって喧伝したい人も多かろうが、押し込まれ後退し続けてるウクライナ地上軍はどうにもならないからなぁ。

    7
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 日本関連

    防衛装備庁、日英が共同で進めていた新型空対空ミサイルの研究終了を発表
  2. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  3. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
  4. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  5. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
PAGE TOP