ロシア軍によるウクライナ侵攻から663日が経過、ドネツク西郊外方面のロシア軍はマリンカを完全占領、ノボミハイリフカでは集落内の建物を瓦礫に変えてウクライナ軍の防衛を困難にしており、バフムート方面のロシア軍はT0504沿いで成功を収めイワニフスキーに近づいた。
参考:Освобождение Марьинки обстановка по состоянию на 19.00 25 декабря 2023 года
参考:Кацапи продовжують знищувати всі будівлі в Новомихайлівці
参考:Мапу оновлено!
ロシア軍が集落内の建物を破壊しているためノボミハイリフカの防衛はますます困難になっている
ドネツク西郊外方面では「ロシア軍がマリンカ北西郊外で国旗を掲げる様子=Ⓐ」「ウクライナ軍がマリンカ北西郊外で保持していた最後の塹壕が掃討される様子=Ⓑ」が登場、これを受けてロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも「ロシア軍が9年以上に渡る戦闘(7年間の陣地戦+2年間の積極的な衝突)を制してドネツク郊外を解放した。相当の努力と大きな犠牲を強いられたもののマリンカからウクライナ人の存在を消し去った」と報告。
さらにRYBARは「マリンカを失ったウクライナ軍はヘオリフカに戦力を集結させている。ここはドネツク西郊外の中でも標高が低く『ヘオリフカ方向からの反撃』はウクライナ軍に大きな犠牲をもたらすだけで『マリンカ奪還への試み』を期待するだけ無駄だ」と指摘。
今後の展開については「ウクライナ軍がヘオリフカからポブジェダや周辺の森林ゾーンに進むことが予想(ポブジェダ~ノボミハイリフカの間を固めるという意味)され、これが最も論理的な選択だ。ポブジェダ一帯の要塞は依然としてウクライナ軍の支配下にあり、ノボミハイリフカからコスティアンティ二フカ方向に進みたいロシア軍の成功を阻んでいる。但し、ロシア軍の戦闘機はウクライナ南部からドネツクに移動してノボミハイリフカ郊外の拠点を襲撃している」と述べている。
- Ⓒ=ロシア軍がFPVドローンでノボミハイリフカの北にあるウクライナ陣地を攻撃する様子
- Ⓓ=ロシア軍がTOS-1でノボミハイリフカ集落内のウクライナ陣地を攻撃する様子
- Ⓔ=ロシア軍がTOS-1でノボミハイリフカ集落内のウクライナ陣地を攻撃する様子
- Ⓕ=ロシア軍がFPVドローンでノボミハイリフカ集落内のウクライナ陣地を攻撃する様子
- Ⓖ=ロシア軍がノボミハイリフカ集落内のウクライナ陣地を砲撃する様子
- Ⓗ=ロシア軍がノボミハイリフカをFAB-500で破壊する様子
RYBARの主張通り「ノボミハイリフカをFAB-500(UMPKキットを取り付けた滑空爆弾かどうか不明)で攻撃する様子」が確認されており、ウクライナ人が運営するDEEP STATEも「ロシア軍が集落内の建物を破壊しているためノボミハイリフカの防衛はますます困難になっている」と指摘しているが、この破壊が空爆によって引き起こされているとまでは言及していない。
因みにロシア人ミルブロガーのNGP RaZVedkaはバフムート方面について23日「バフムート南西郊外のダーチャ一帯で絶え間ない砲撃とFPVドローンによる攻撃を加えた結果、ウクライナ軍の防衛は崩壊してバフムートとイワニフスキーを結ぶ道路(T0504)の一部を占領した。このような攻撃を敵は予想していなかったため負傷者と装備を残して退却した。ロシア軍は確保した陣地を固めて次の攻撃を準備している」と報告していたが、DEEP STATEは26日朝の更新でダーチャ一帯でのロシア軍前進を認めた。
ウクライナ軍がO-0506沿いの墓地をロシア軍から取り戻したという情報もあるが、今のところ良く分かっていない。
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※アイキャッチ画像の出典:Воин DV
ウクライナ側がロシアのマリンカ制圧宣言について否定をしてすぐに、はっきりとした証拠映像が出てしまったために、またもやウクライナへの不信感が募る形になってしまった。
簡単に認められない部分もあるのだろうが、嘘を吐いて誤魔化したと思われるぐらいなら沈黙した方が無難な気もしますね。欧米含めて殆どの国はウクライナが劣勢、ロシアが優勢という認識でいますし、今更体裁を繕っても意味がありません。
仰る通りです。
他国は、偵察衛星や各種情報を通じて、現状を理解してるでしょうからね。
ウクライナは、スポンサー国の国民(納税者)に対して、正直な情報を発信する義務があります(もう3年目を迎えるのですから…)。
マリンかやっと終わったのか、あんな廃墟なんてどうでもよかったろうに
マリンカを奪回する意味とは、ロシア軍にとってはそこから東の方のロシア軍占領地を砲撃するウクライナ軍の砲兵を追い出して、ロシア軍占領地への砲撃を阻止すること、またウクライナ軍にとってはそこからロシア軍占領地を砲撃して、占領するロシア軍に損害を与えることです。
マリンカの西のへオリフカは低地ということであれば、マリンカの東のロシア軍占領地を砲撃するには不利になります。
ロシア軍にとってはバフムトやアウディイウカ、ザポロジェ州よりは優先順位は低かったと思われますが、そのへんのウクライナ軍も弱体化しつつあるので、逆にマリンカの優先順位が相対的に上がったということでしょう。
地図からロシアにとってのマリンカの重要性を考察してみる
この先にあるクラホヴェのウクライナ軍砲兵陣地がマリンカからクラホヴェをカバー。砲兵を無力化できたら何度やっても失敗したウフレダルも制圧できる。
この記事の地図を見てもわかるようにこの地域の前線近くを鉄道がある。兵站線の安全確保。
ドネツクの水不足を解消するためにクラホヴェにある貯水池が欲しい。
訂正
マリンカからクラホヴェをカバー ×
マリンカからウフレダルをカバー 〇
動員兵を都合のいい肉盾として使用し続けてきた結果ですね。砲弾投射量に何倍も差を付けられ孤立した廃墟に送られつ続けたウクライナ兵が気の毒でなりません。
ウクライナ軍の兵舎の動画が有りましたが、白髪のご老人が沢山居てもはや軍隊と言うよりもはや老人ホームの様相でした。
前線では老人や女性、少年まで戦っているというのに、首都キエフでは富裕層の若者が遊び惚けています。この不都合な真実を受け入れない限り、戦線の崩壊はもはや避けられないでしょう。
仰る通りですね。
階級社会、賄賂、コネ社会の末路でしょう。
日本の喜捨も、彼等の生活や年金のために使われています。
キエフで遊んでる姿をSNSや動画で見れば、『ウクライナを助けろ!』と叫んでる方々も、何か変だと気付く契機になるのではないでしょうか。
散々壊されたTOS-1がまた前線に出っ張ってきてるんだな。
こんなんFPVドローンからして格好の的だろうに、ウクライナ軍はドローンも枯渇してきているのかな?
それはロシア軍がTOS-1の部隊に対・FPVドローン用のジャマ―、妨害電波発信機を優先的に装備させればかなり解決する問題でしょう。
もちろん電波妨害でウクライナ軍のFPVドローンがボトボト堕ちれば、FPVドローンもすぐに枯渇するかもしれません。クラスター砲弾も残弾が少なくなっているのではないでしょうか?
TOS-1は無誘導のロケット弾だから、電波妨害に影響されない。よって自軍の電波妨害と相性はいいだろうな
周囲1kmぐらいを電波妨害しながら移動し、敵軍から肉眼で見れない場所から発射して帰ればわりと安全なのではないか
0506線の墓地の辺りはウクライナ軍が奪回したという情報もあったものの、中立派OSINTのMajakovskは数時間前の最新情報でロシア軍の支配が確定したとジャッジしていましたね
ただ個人的に高地にあるチャシブ・ヤール防衛にあたってのウィークポイントであるボダニフカにおけるロシア軍の進軍スピードの速さが気になりますが、重点的に守らなければならないはずのこの集落でこの有様という事は、想像以上に現地のウクライナ軍の状況は悪いのかなと感じられますな
今年初春にバフムートが半包囲されている段階で、ウクライナはイワニフスキーやチャシブ・ヤールを含めて損切りして撤退し、クラマトルスク~スラビャンスクのラインで防衛線を引いて持久し、現地に展開している兵力と増援として送られている部隊を南部に転用するべきだという意見がありましたが、結局貴重な精鋭を無駄に磨り潰して反攻の成果が無に帰りつつある現状を踏まえると、その通りだったなあと
ただ一方で、南部反攻の醜態と体たらくだとバフムートの部隊を現地で投入していたところで大して変わらなかった可能性も高いですが
日本の報道でも、そこそこマリンカの陥落について記事が出ていますね。
ここ最近、戦闘機撃墜報道が多かったですが、どうも大きな起点でこういう報道が見られる傾向がありますね。
領土がドンドン取られて行ってる現状で、ロシア軍の損害が多いからウクライナ軍の勝利!というのは、もう無理があると思うんですよね。
もはや現実逃避としか言えません。
>ロシア軍の損害が多いからウクライナ軍の勝利!というのは、もう無理がある
その通りだと思います。その論法を繰り返すと、独ソ戦はナチスドイツの勝利ということになってしまう。
当然、「ピュロスの勝利」は有名ですが、重要なのは戦闘の勝敗を積み重ねた末に、最終的にどちらが戦争での勝利を手にするか。今のウクライナは、内政・軍事・外交・経済(支援)、全ての面でロシアに劣っています。
早く停戦や講和を進めなければ、戻らない領土が増えるだけ。バフムートに続いてマリンカであり、次はどこか、となってしまう。
おっしゃる通り、私個人が見ても重要な陣地の制圧と兵器の撃破とでは重みが違うと思います。
敢えて土地を棄て戦線を整理する事も、長期戦では必要になったりしますが、
(ロシア軍のドニプロ川西岸からの撤退が代表的)
ウクライナ側は引いて有利な地形がすぐ近くには無いので単純な敗退ですからね…
ロシア軍としてはクリシェイフカ高台の小さな突出部だけでT0504線を西進する部隊の側面を保護している状況というのは決して楽ではないですね。
逆にウクライナ軍としてはこの小さな突出部さえ潰せばイワニフスキーを救えるかもしれないのでクリシェイフカを捨てることはできないだろうと想像します。
クリシェイフカを棄てられないとなれば、チャシフ・ヤールからの兵站線の長さがウクライナ軍にとって厳しいことになるかと思います。
近い上にT0504線が走っているイワニフスキーと違って、兵士や物資を補充するにもクリシェイフカへの道が細く舗装もされていない。対してロシア軍はバフムートからクリシェイフカへとC-050303の直通路と、T-0513の迂回路が使える。
厳冬期ということも考えると、維持は難しく、撤退したほうが傷は少ないのではと考えます。
マリンカもついに陥落か
いつからやってんねんこの戦い
この辺は分離独立戦争の頃からですから、2014年から数えて10年目になるところじゃないですかね。
南部戦線やクピャンスク周辺の北東戦線はようやく3年目に入ろうとするところですが、ドネツク周辺は本当に長いと思います。
ですが、マリンカが陥落した今、アウディーイウカも陥落したら、分離独立戦争の頃からの主戦線は全てロシアに制圧されることになりますか。
文字が潰れて読めてないものの、マリンカからポブジェダ方面に進軍したらノボミハイリフカを後ろから突く事ができるのでウクライナ側は更に後方で陣地を構築する事が迫られそうですね。
にしても、TOS-1って結構希少種なイメージがありましたが、この戦争でどれだけ数が増えたんでしょうね?あとBMPTが話題にならなくなりましたが、あれの使い勝手は結局どうだったんでしょうか
BMPT
ドローンが活動できない霧の濃い日や雪の降る日の薄暮に、対戦車地雷も無くジャベリンも無い戦場にこっそり忍び寄って30ミリ機関砲を嫌がらせで撃ち込むには最適の兵器、だそうです。
要は「使い所がほとんど無い」ってことですね。
ぶっちゃけ,BMPTに期待された仕事は暗視サーモカメラ付きのドローンとアリゲーター攻撃ヘリが全部上位互換で代替してしまっている気がします。
ガザに持っていけば本来の仕事してくれるだろうけどな。
射程が倍になった後継車両TOS-2が配備され始めましたね。
ウクライナ軍が、負傷者と装備を残しているという部分が気になっています。
事実であれば、ロシア軍、SNSなどから何らかの発表が出るのではないでしょうか。
ロシア軍の工兵能力、特に前線に近い場所でのの能力は、コメント欄でも注目されてきたと思います。
ウクライナ軍の逆襲に、すぐに備えており、取り返すならば、かなりの出血を覚悟する必要がありますね。
>このような攻撃を敵は予想していなかったため負傷者と装備を残して退却した。ロシア軍は確保した陣地を固めて次の攻撃を準備している
二枚目の地図の、ウクライナ軍が固めているという両矢印の部分ですが、厳しいですね。
ノボミハイリフカの防衛とロシア軍に要塞線を引かせないという意味で、ここに配置するしかないのでしょうが、時間稼ぎのように見えます。
思うのですが。
両軍の車両(装甲/非装甲)のロードクリアランスはどのくらいなのでしょう。
泥濘でスタックしている動画をよく見かけますが。やっぱり40cmくらいなのかな。
昔のRSOは60cmで、他の装軌車や半装軌車がスタックする場所でも、
遅く(17km/h)ても、確実に働いていたと書かれているけれど。
ロシアもウクライナもいわば地元なのだから、何かしら対策品はあるのでしょうか。