ウクライナ戦況

ロシア軍がバフムート方面、アウディーイウカ方面、ザポリージャ方面で前進

ウクライナ人が運営するDEEP STATEは「ロシア軍がチャシブ・ヤール東地区のダーチャに侵入した」「ロシア軍がネタラブ周辺で支配地域を広げた」「ロシア軍がノヴォポクロフスケ方向に前進した」「ロシア軍がロボーティネ集落の中心部まで支配地域を広げた」と報告した。

参考:Мапу оновлено!
参考:Хроника специальной военной операции за 30 мая 2024 года

バフムート方面

ウクライナ人が運営するDEEP STATEは31日「ボダニフカの北西でグレーゾーンが運河方向に伸びた」「ロシア軍がチャシブ・ヤール東地区のダーチャに侵入した」と報告、シア人ミルブロガーが運営するRYBARも「ロシア軍がカリーニン集落内に侵入した」「ロシア軍がクレシチェエフカ周辺で支配地域を広げた」と報告。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

視覚的にもウクライナ軍がクレシチェエフカの西にある線路沿い=付近でロシア軍陣地を攻撃する様子が登場、これだけでRYBARの主張を裏付けているとまでは言えないが、クレシチェエフカ郊外やアンドリーウカ郊外でロシア軍が支配地域を拡大させているのは間違いない。

チャシブ・ヤール付近の状況は何とも言えないが、ウクライナ人が運営するDEEP STATEが「チャシブ・ヤール東地区のダーチャにロシア軍が侵入した」と報告しているため、この方向の状況悪化は事実なのだろう。

アウディーイウカ方面

DEEP STATEは30日「ロシア軍がネタラブ北西の森林地帯に支配地域を広げた」「ロシア軍がネタラブ北の道路沿いで支配地域を広げた」と、31日「ロシア軍がノヴォポクロフスケ方向に前進した」と報告。

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視覚的にもウクライナ軍がノヴォポクロフスケの東=でロシア軍部隊を砲撃する様子、ウクライナ軍がネタラブ北の道路沿い=でロシア軍部隊を攻撃する様子、ウクライナ軍がネタラブの南=でロシア軍陣地を攻撃する様子が登場、DEEP STATEと視覚的証拠を総合すると「ロシア軍はノヴォポクロフスケの北方向と東方向から集落に迫っている」「ロシア軍はネタラブ周辺で支配地域を広げている」と言える。

ロシア軍がネタラブ北西の森林地帯から西に前進するとヤスノヴロディフカへのアクセスがほぼ遮断されるため、この集落の運命はもはや時間の問題で、その次に危ないのはソキルやノヴォポクロフスケだろう。

ザポリージャ方面

RYBARは17日「ロシア軍がロボーティネの大半を支配している」と報告したが、DEEP STATEは「ロボーティネの大部分はグレーゾーンだ」「ロボーティネ周辺でロシア軍の支配地域が拡大した」と報告し、ロシア軍の支配地域は集落内に存在しないと主張してきたが、31日「ロシア軍が集落中心部まで支配地域を広げた」と報告。

出典:管理人作成(クリックで拡大可能)

恐らくウクライナ軍は集落内ではなく郊外から前進してくるロシア軍を攻撃している可能性が高く、集落内も身を隠せるような建造物が全て破壊されたため、ここでの戦闘はクリンキーの戦いに近いはずだ。

ウクライナ軍はロボーティネを失っても軍事的には問題ないが、ここは昨年夏の反攻作戦で解放した「数少ない拠点」の1つなので、ロボーティネ喪失は政治的によろしくない。

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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ

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米国はGMLRSによるロシア領内の攻撃を許可、ATACMSの使用は不許可次のページ

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コメント

    • 空飛ぶバタフライ
    • 2024年 5月 31日

    先週ほどの勢いはありませんが、どんどん通されている状況。1ヵ月ほど前だが、チャシブ ヤールでの攻防戦でウクライナ側の補給線がドローンによって空爆される様子を確認した。映像では車両のドアが運転中でも開いていて、ドローンから攻撃を受けた直後に、すぐ脱出できるような工夫をしているのかな。

    16
      • 通りがかりさん
      • 2024年 5月 31日

      圧力をしっかり受け止めれる地点まで行くか、補給もしくは疲労で足が止まるまで進みそうですね。
      今のところは後方に下がりつつ防御地点の転換でやりくりしているんでしょうか。
      これだけの距離を後方に移動しつつも壊走していないならば、かなりうまくやってるのでは。

      11
    • 2024年 5月 31日

    「ボダニフカの北西でグレーゾーンが運河方向に伸びた」

    50大隊の精鋭は遊んでいるのか砲爆撃にビビッて脱兎のごとく逃げたかのどちらかだろう。

    23
    • fusa
    • 2024年 5月 31日

    私の生え際は踏みとどまっております

    16
      • F-117A
      • 2024年 5月 31日

      「西側は禿を拡大しないと約束していたが、実際にはそうなっておらず、それは西側が禿を軽視している」

      22
      • もちもちさんちの
      • 2024年 5月 31日

      残存兵力が底をつきかけているので、近い将来前線が崩壊して一気に突破されることでしょう。

      22
        •  
        • 2024年 5月 31日

        >残存兵力が底をつきかけているので、近い将来前線が崩壊して一気に突破されることでしょう。

        ここの住民ってもう1年近くウクライナ軍は崩壊間近だって言い続けてるよな
        なので今から1年後も膠着状態だと予想するわ

        9
          •     
          • 2024年 5月 31日

          一年前は、親ウクライナ派が、ここでも多数派だぞ。
          空気が変わり始めたのが、6月の反抗作戦から1か月から3か月経ってから。
          世間的には23年12月あたりから、ウクライナまずいが出たけど。ここはウクライナに関するネガティブな情報が数カ月早かった。

          29
            • NHG
            • 2024年 5月 31日

            世間的には今年の2月ぐらいじゃないかな。アウディーイウカが落ちたのと東部の全域で露軍の浸食が鮮明になりだしたころ。それまでは戦線に動きがないってことで緊迫感や悲観はなかった記憶。
            このサイトではアウディーイウカでの苦境がクローズアップされだした12月ごろからかな。
            露軍の戦法が洗練されだしたって情報が流れてきだした(ドローンの多用やトンネル掘りすすめて宇軍拠点を爆破したり、地下水道通っての奇襲など戦術的な柔軟性が飛躍的に高まった)のと、ウクライナ側の援軍や増援といった動きがほぼなくヤバくねって流れになったのは。

            たぶん去年の9月頃はロボティネ落として次はトマトクって色めきだってた頃のはず
            しかしなかなか次がないから後方で再編中? → 来月には? → ロボティネの横を広げてるみたい → 欧州が息切れと米の支援ストップが報道されだしてうやむやになったまま年越し

            こんな感じの時系列のはず
            *「ロボティネ 奪還」で調べると8月の末発表だから大きな違いはないはず

            11
          • 理想はこの翼では届かない
          • 2024年 5月 31日

          >ここの住民ってもう1年近くウクライナ軍は崩壊間近だって言い続けてる
          ウクライナ軍が劣勢に転換したのは2023年の反攻作戦の失敗が転機だと考えられるからでは?
          実際問題、反攻作戦の失敗以後は延々と前線を突破され続けて遂にハルキウ方面に新しい戦線を開かれるまでに至りアメリカが限定的にロシア領への攻撃許可を出すハメになってるわけですから

          来年の今頃も膠着状態かもしれませんが、大規模動員・訓練・適切な配置転換をできなければ今日この日より状況が悪化しててもおかしくないのですよ

          17
          • とある帝國臣民
          • 2024年 5月 31日

          もちもちさんちのさんの言つてる残存兵力つて生え際戦線の毛の事じやね。

          11
        • paxai
        • 2024年 5月 31日

        ウクライナの足りなくなったら動員するだけだしなあ。動員データが無いから分からんけど続いてる事だけは間違いないし。

        3
      • たむごん
      • 2024年 5月 31日

      ドローンが、1本ずつ確実に刈り取っています

      9
    • 名無し
    • 2024年 5月 31日

    最近音沙汰が無いハリコフ方面ですが、予備や各地域から無理矢理引き抜いた部隊を片っ端から投入することでボルチャンスクとリプシに関しては何とか食い止める事が出来ているものの、ロシア軍はボルチャンスクを増援部隊ごと完全に破壊することに決めたようで野砲やMLRS、滑空爆弾による情け容赦無い攻撃が連日行われているとのことでしたね

    加えてPoulet volantによるとボルチャンスクの近くにあるスタリツァは大半を占領されたと報告するなど、増援によって兵力差では上回っているとはいえ依然として中々厳しい感じですし

    正直バフムートと似たような感じでハリコフ方面で大規模な反撃を行って貴重な戦力を擦り潰すという去年の再現が再び起こりそうだと思ってしまいますな…

    27
      • 2024年 5月 31日

      ハンバーグ師匠ことシルスキー閣下の采配だとやはりね…

      17
        • 名無し
        • 2024年 5月 31日

        何故ハンバーグ師匠なんですか?

        2
          • T.T
          • 2024年 5月 31日

          ウクライナ兵によるシルスキーの渾名が肉屋。兵力をすり潰すような運用をするから嫌われてる。

          29
            • 名無し
            • 2024年 5月 31日

            チャーチル『呼ばれた気がした』

            10
              • T.T
              • 2024年 5月 31日

              そう言えば閣下も肉屋でしたな。ガリポリ支店長。

              16
    • たむごん
    • 2024年 5月 31日

    オチェレティネ突出部も、いつの間にか両翼が前進して、厚みを増していますね。

    ハリコフの反撃、ウクライナ軍が各戦線から引き抜いたと言われていますが、相応の活躍ができたのか気になっています。

    8
    • 名無し
    • 2024年 5月 31日

    まさに先の反攻作戦でウクライナがやろうとしたことをやり返されてる形だな
    あの時はザポリージャ、ヘルソン、バフムート、ベルゴロド州で反撃して戦線が崩壊した誰か一つを中心に攻撃すれば良いってはなしだったかな

    14
    • 名無し
    • 2024年 5月 31日

    このまま持久戦が続けば、ハリコフ以外はそろそろ限界が近いかもな

    13
    • つぐみ
    • 2024年 5月 31日

    欧米製兵器によるロシア領攻撃の許可がニュースになってるけど、米大統領選挙が近い中でそんなに戦争をエスカレートさせるようなことして大丈夫なのか…

    むしろ戦線を落ち着かせるために和平交渉するように圧力かける方がバイデンにとっては得になるように思うのだがね

    16
      • ak
      • 2024年 5月 31日

      ギャンブルに置いてなぜだか信者が多いのがとても不思議である、現実的には「必負法」として有名な「負けたらその時の倍の金額を勝つまで倍倍でずっと賭け続ける」マーチンゲール法というのが有りますが。
      それと同じ事をしているんだと思います。

      いったん賭け始めたら負けが大きくなりすぎて、もはや一発逆転を狙って賭け続ける事しか許されなくなり、破滅するまで手を引くことが出来なくなってしまっている気がします。

      20
        • TKT
        • 2024年 6月 01日

        今の日本でいえば、大谷翔平の通訳、水原一平がわかりやすい例でしょうが、太平洋戦争当時の連合艦隊司令長官、山本五十六提督もギャンブル狂で有名であり、しかもアメリカに留学していました。

        アメリカの原子爆弾開発を描いた映画、
        「オッペンハイマー」
        でも、核実験直前に、核分裂の連鎖反応で全世界が吹っ飛ぶか、吹っ飛ばないかでギャンブルをしていました。

        アメリカではスポーツも、政治も、経済も、軍事も、科学も全部ギャンブルなのでしょうか?まさに
        「賭博黙示録カイジ」
        のような感じに思えます。

      • 通りがかりさん
      • 2024年 5月 31日

      アフガン撤退の烙印がある以上、勝利での和平以外だと少なくとも今年中は継続してる方が民主主義の守護者アピール出来るんですよ。
      あと落ち着くと黒い関係の調査が再開したりするんじゃないですかね。表に全然出ないので進捗不明ですが。
      ぶっちゃけ、負けかけな事を除いて民衆受けは良い話題なので(メディア総出で育てましたし)味がしなくなるまで噛むつもりなんじゃないですかね

      17
    • nk
    • 2024年 5月 31日

    当然のようにロシアが着々と進軍している様子。
    ハリコフではウクライナの奪還作戦が始まっているとは思うが高い確率で失敗するではないだろか、ロシアは撤退しても特に問題無いがウクライナは早急に奪還しないと他の戦線がさらに厳しいという相当難しい状況かなと。
    ハリコフ州の奪還作戦は難易度的にナチスドイツの春の目覚め作戦を彷彿とさせる。
    暫定大統領のゼレンスキー氏肝いりの作戦かはわからないが、ロボティネは陥落しそうだし何としてもという具合何だろうか。

    20
    • FAB
    • 2024年 5月 31日

    捕虜交換と遺体交換が行われたようだが、捕虜は75対75、遺体は45(ロシア兵)対212(ウクライナ兵)。
    遺体の比率からするとキルレシオが1対5くらいになっているのかもしれない
    この戦況だと不思議ではないかな。砲火力差も2千発対1万発位だし。

    35
      • jimama
      • 2024年 5月 31日

      このままだとゼレンスキーの主張とは真逆の形で1対8というキルレが達成されるのも近い
      本当に無駄な犠牲

      21
      • paxai
      • 2024年 5月 31日

      ロシアから交換された捕虜にスネーク島の19人って書いてて驚いた。2年以上捕虜やってたんかい。捕虜交換の優先順位ってどんな感じになってるか謎やなあ。

      22
        • 774
        • 2024年 6月 01日

        ある意味幸運だったねその19人

        16
      • とある帝國臣民
      • 2024年 5月 31日

      遺体数の比率が大きいのはロシア側が占領地を広げているので遺体の残されている地域が必然的にロシア側に成るつて云うのもあるかもしれない。

      16
      •    
      • 2024年 6月 01日

      捕虜交換は知っていたけど。遺体交換があるのは、この戦争で初めて知った。

      5
      • 伊怜
      • 2024年 6月 01日

      ウクライナは遺体でも見捨てない(ロシア軍は遺体を回収しない)と主張していることを考慮に入れるともっと格差があるかも

      3
    • jimama
    • 2024年 5月 31日

    イワニフスキー南部は嫌な地形だな。アンドリーウカあたりまでで橋が細い橋が1本と200mぐらい?の暗渠地帯、あとは運河で囲まれて島みたいになってるのがすごく嫌
    いくつか部隊が取り残された感じだしこれはかなりまずそう。逃げれるかな

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