ウクライナ大統領府顧問のオレクシー・アレストビッチ氏は24日、現地メディアの番組に出演して「敵はセベロドネツクを制圧するために全軍を投入した。ロシアはマリウポリに次ぐ成功を収めるかもしれない」と明かして注目を集めている。
現実味を帯びてきたロシア軍のルハーンシク州制圧を支援国がどのように受け止めるだろうか?
ゼレンスキー大統領も国民に向けた24日の演説の中で「今後数週間の戦いは厳しいものになる。敵はアルチェモフスク、ポパスナ、セベロドネツク方面に戦力を集中させて、ありとあらゆる建造物を破壊、ありとあらゆる生物を虐殺している。このような破壊は誰もやったことがない」と述べていたが、大統領府顧問のオレクシー・アレストビッチ氏もセベロドネツクを巡る戦いが「ウクライナ軍にとって厳しいものである」と認めた。
現地メディアの番組に出演ししたアレストビッチ氏は「我々の防衛ラインを打ち破りルハーンシク州の行政区域を完全に支配する試みを敵は諦めておらず、敵はセベロドネツクを制圧するために全軍を投入した。既にセベロドネツク周辺はロシア軍に包囲されつつあり、第二のマリウポリになるかもしれない」と述べている。
さらに司会者がセベロドネツク陥落の意味について尋ねると「ルハーンシク州における最後の拠点なので、ロシアがココの制圧に成功すれば『ルハーンシク州を完全に解放した』と宣言することできる。これは敵にとってマリウポリに次ぐ成功で、クレムリンは戦争の正当性を主張するに利用するはずだ。さらに敵兵士は作戦目標を達成したで士気が高まり、我々はルハーンシク州を失うことで国民と兵士の士気が下がるだろう」と述べたが、仮にベロドネツクを失っても戦争全体の情勢が大きくは変わらないとアレストビッチ氏は主張している。
ルハーンシク州を制圧する戦いで既にロシア軍は数千人の兵士を失っており、仮にセベロドネツクを手に入れても「もう一つの作戦目標=ドネツィク州の制圧」を達成するためには60km~80km西にあるスラビャンスク、クラマトルスク、コンスタンチノフカ、アルチェモフスクを占領しなければならず「ルハーンシク州の制圧に1ヶ月半もかかっているようでは『もう一つの作戦目標』を達成できる見込みはない」と主張しているのが興味深い。
つまり大きな被害を被りながらルハーンシク州の制圧に成功しても「ロシア軍にドネツィク州を制圧するだけの余力は残ってない」という意味で、ウクライナはセベロドネツクを一時的に失っても戦いを継続して巻き返すつもりなのだろう。
問題はウクライナ軍の戦いが完全に西側諸国の支援で成り立っている=ウクライナが戦うと主張しても支援が止まれば戦いを継続できない点で、現実味を帯びてきたロシア軍のルハーンシク州制圧を支援国がどのように受け止めるかだ。
米国、英国、ポーランドは今のところウクライナの最終的な勝利を信じているが、フランス、ドイツ、イタリアは早期停戦の模索を主張し始めており、ルハーンシク州を失うと後者の支持が拡大する恐れがある。
ウクライナが支援を頼りにロシアと戦っている以上、この問題(ぶっちゃけ米国が早期停戦に傾かない限りウクライナへの支援は止まらないと思うが)を避けて通れないだろう。
関連記事:米メディア、戦争の現実的な結末はウクライナの領土的譲歩を伴うだろう
関連記事:ポーランド首相が停戦案を一蹴、プーチンが止まるという幻想を捨てるべき
関連記事:ゼレンスキー大統領が示す危機感、今後数週間の戦いは厳しいものになる
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
お知らせ:記事化に追いつかない話題のTwitter(@grandfleet_info)発信を再開しました。 |
ウクライナ軍が撃破されると、この戦争はアメリカが煽っている論が盛り上がるわけだから、アメリカも支援継続が難しくなるかもしれないですね。
〉 米国、英国、ポーランドは今のところウクライナの最終的な勝利を信じている
チェコ、スロバキア、バルト三国、あとNATOではないけどフィンランドとスウェーデンもウクライナに全ベットですね。
北部戦線の推移を思い出すと、ウクライナ軍は見ている方がハラハラする位ギリギリまでロシア軍を引き付け、相手が「あと少しでいける」と思う状況にしてから反撃していますから、今回も粘り腰を見せてくれると信じたいです。
「米国、英国、ポーランドは今のところウクライナの最終的な勝利を信じているが、フランス、ドイツ、イタリアは早期停戦の模索を主張し始めており」
反露国とそうでない国の温度差感じるんでしたよね?
(EU3ヶ国の手厚い軍事支援は)駄目みたいですね…
唯一の救いはロシアの作戦目標は第一にルガンスクの占領、最後にドンバス全域の占領と明確に分かっていることですかね?
相手の主力が何処に集中するか分かるのは結構戦う上では大事なことですし
大出血しながら勝ち続けるのがロシアのお家芸だから、当分はロシア軍がジワジワと占領地域を増やしていくでしょうね、ええ
問題は西側がこの数週間に絶えず軍事支援を連携して続けられるかにかかってるでしょうね
そうすれば貧血になったロシア軍は徐々に不利になる。なるはず….
この戦争の勝敗に関わらずロシアは今後疲弊していくでしょうね
兵士は畑からとれてた時代と違って、20代人口が極端に少ない今のロシア社会は、本当の死者数が広まったら耐えられるはずがないんですけどねえ。
戦死者以外にも、若年層の海外流出も有りますし
数字としては、そちらの方がケタ違いに多いのではとも
ウクライナの一部を刈り取れても、でかい北朝鮮化するのは間違えないでしょう。ただでさえ少ない若年層の人口にトドメ刺してるだから。西側の制裁が続こうが続かまいが、戦争が終われば中国とインドが争って支援や移民を送り込むでしょうけど、いずれにしてもスラブ人国家としてのロシアが、本当の意味で消滅するのではないでしょうか。
ルースキー・ミールとは「ロシア語を介する人達の世界」を指すから、大幅に人種構成が変わろうがへーきへーき
>フランス、ドイツ、イタリアは早期停戦の模索を主張し始めており
ロシアを助ける三国同盟かな 戦後色々と密約が発掘されそう
新時代の提携関係が見えてきた感がある。
G7でどこまですり合わせ出来るのだろうか。
コロナ禍で経済がボロボロの時に戦争を続けられてもNATO加盟国も支援しきれないだろう。
ウクライナには領土を奪還して欲しいが、長期戦は避けたいところだろうね。
共和党政権なら米国も停戦へ傾く可能性は僅かにはあったとは思いますが
民主党政権ですから継戦を望んでるんじゃないでしょうか。
軍需産業との繋がりが強いと言われてますしね。
議会もレンドリース法をほぼ全会一致で通してますし
何よりインフレ問題で下がった支持率を上げる材料としてはウクライナ問題しか無いですしね
独仏伊の願望が前面に出始めたなぁ、そもそもプーチンがドネツク諦めて停戦する保証なんか無いのに。
しかし、地理的にリスクが比較的低いしインフレ圧力も受けてるのにイギリスの徹底抗戦姿勢はどこから来てるんだろか?
昔っからイギリスはそういう立ち位置というのはあるでしょうけど、北海油田があるからエネルギーに関するインフレが多少抑えられているのではないでしょうか。
元々、川の対岸の陣地を防衛することが難しいのだと思います。
ロシアであれば焦土作戦を取って、さっさと放棄したかもしれませんが
地方の勢力の強いウクライナでは簡単には見放せないということもありそうです。
ハッキリ言って仏独伊は「ロシアとビジネスを再開したいから、早期停戦を言い出している連中」と解釈した方が良いと思います。
まず、ドイツは天然ガス等のエネルギー分野でロシアに依存している為、自国経済が傾く前に停戦して経済の勢いを取り戻したい。
そして、フランスとイタリアに至っては過去にロシアへ武器輸出を画策した事が有ります。
フランスは以前、ミストラル級強襲揚陸艦2隻をロシアへ輸出しようとしたところロシアのクリミア侵攻の余波で輸出が中止となった前科が有り(その後、この2隻はエジプトが引き取った)、イタリアはイヴェコ LMV軽装輪装甲車をロシアへ実際に輸出した上、かつてはアエルマッキ社がヤコブレフ設計局と共同でジェット練習機を開発した前科まで有りますから、両国に取ってロシアとのビジネスは余程美味しいのでしょう。
因みに、伊アエルマッキ社と露ヤコブレフ設計局が共同開発したジェット練習機は、その後諸事情で双方がほぼ同じ基本設計の機体を別々に実用化したのですが、その内アエルマッキが実用化したのが、現在航空自衛隊のT-4練習機の後継機候補と目されているM-346です(ヤコブレフはYak-130)。
どうだろう?
最近のドイツにおける世論は、ほぼ完全に反露感情が高まっているため、そこまで憂がった見方はしなくてもいいんじゃないかなと。
そうおいそれと対ロ融和政策に打って出られる空気はない。
フランスも対露製作の姿勢の違いが決めてになった選挙終わったばかりで、マクロン自身がその姿勢を変えることにリスクがありすぎる。
イタリアが一番あぶなっかしいかなぁ
ロシア寄りの5つ星運動が連立与党として存在してる以上、ここが一番ネックになってくる
ポーランド、チェコ、バルト三国など反露強硬派と、彼らに同情的な北欧および伝統的に北欧と関係の深いイギリスはロシアに戦争した事で何か得するような停戦には断固反対だと思います。そして最悪なのはNATOの分裂ですからそうならない様にするのがアメリカの基本的スタンスでしょう。したがってポーランドらを無視して独仏伊主導で停戦が実現するとは思えないです。結局の所ウクライナ次第じゃないでしょうか。
セベロドネツク攻略は国道による補給線を断ってからと思っていましたが、やや早く始たように思います。
瓦礫になっても市街戦は遮蔽物のため、多大な被害を出すので歩兵の個人装備に勝る宇軍により
露軍の機械化戦力がかなり消耗するのではないでしょうか?
アメリカ的には、ロシアの体力は削りたいでしょうが、やりすぎると
(ウクライナではなく)「中国の領地が広がる」ので、それは望むところではないでしょう。
なんで、アメリカ的には、中国とギリギリ対立出来るだけの体力をロシアに残した状態で終わらせたいんじゃないかなあ。(なお、ウクライナの事情は考慮しないものとする。)
万が一にも分裂しようものなら、シベリア側は中国の衛星国になっちゃうことは見えてるし。
今の中国なら、来年あたりシベリアのスラブ系ロシア人を抹消してツングース系人種を送り込む民族浄化で
シベリア一帯を支配をして、それをスラブ人からの民族自決権行使として正当化するぐらいはやりそうな気がする。
それが無理でも地域不安定化工作ぐらいはするかも。
リンク
ロシア軍最高のスナイパー”セルゲイ・ツァルコフ”が戦死
ウクライナに送られている兵士の人種構成ってどうなっているんでしょうね。
引用記事のスナイパーはツングース系のようです。
調整が難しいですよね
ロシアに出血を強いるのは大前提として、だからといってロシアが崩壊して北ユーラシア全域が不安定化するような事態は1文の得になりませんから
中国もそうですし、核の流出も頭が痛い、資源もこのまま止まり続けると経済的に困る
最高なのは戦後弱体化しつつもロシアは残り、資源、冶金・核・航空宇宙の分野の優れた技術、領土などを安く買いたたけるようになることでしょうが、そのためにどこまでやるべきか…
現実問題としてウクライナの去就はその勘定の中に入りませんよ
22日時点でルハンスク州知事ハイダイ氏のテレグラム(リンク)ではロシア軍がPavlohrads’kiy橋を破壊し、ドネツ川に掛かる橋は後一つと言明していました。
記事の地図の×マークからすると最後の一つも落ちたのか気になります。
セベロドネツクの孤立を図るロシア軍による橋の破壊は別地点でのドネツ川渡河の試みと相反し、その先リシチャンスクには川を越えねばならないことからも不思議に感じています。
おそらく二重包囲を企図した渡河の失敗の上、セベロドネツク-リシチャンスクを挟んでポパスナ方面とルビジネ方面の交通を敢えて寸断することもないように思うためです。
舟橋で渡河を試みて撃退されたのはOマーキング、橋を砲撃した2S4はZマーキング、ポパスナに投入されたBMPTはVマーキングでしたが、軍管区間の連絡に問題でもあるのでしょうか。
なんで中国がロシアと敵対して領土奪うなんてありもしないようなこと語る人がこんなにいるんだろう?
敵対しなくても、影響力は行使できるんじゃないですかね。
それも込めて、領土ではなく、領地、衛星国と表現してみた。
国力の衰退で中国に頭が上がらなくなる可能性は高いですが、領土を削り取ることはまずないですよね。
ありもしない?その根拠こそ聞きたいくらい
野蛮のロシア相手に直接攻撃かけたりはしないだろうが、ウクライナ後に国力の衰えたロシアに労働力として大量の移民を押しつけて、順次中国化していく、乗っ取り手法をとるだろうね
奴らは外モンゴルやウイグルでその手口を実行済み
セヴェロドネツク抜いた勢いでドネツィク州占領して、ロシアはドネツィクとルハーンシク州をウクライナと切り離す感じで手仕舞いにしたいとかあったりするのかな。ロシアの戦力や目標考えればそこまでが限界のような気もする。
戦争長期化の影響に関してはフランス、ドイツ、イタリアの利益だけに留まる訳じゃないと思うがなぁ。少なくともウクライナからの食料無い時点でアフリカ辺りの食糧危機もあるし、ロシアとウクライナ関係で世界中の食材価格にもモロに影響与えている。エネルギー分野、木材や半導体への影響もどこかの時点でより顕著になるんじゃ無いかな。
物の値段が上がってるのに失業者増と流入する難民増とかあるなら当然国家への影響大で、それは利益と言うよりは国家運営そのものの危機だと思うんだが。
ルハンシクの包囲陣に取り込まれつつあるウクライナ軍総兵力はOSINT団体の発表によればおおよそ5個旅団相当らしいですね。しかも悪いことに、その中には2つの正規軍機甲旅団が含まれるとか。
数時間以内の情勢だと西部への退き口はほぼ閉じていて、ルハンシク州に展開中のウクライナ軍部隊も全力でドネツィク州方面への脱出を試みているらしいですが、既に南北から包囲網を狭めようとしているロシア軍と交戦しているようです。また既に西側から供与されている榴弾砲を含む重装備はセベロドネツク方面に展開されている様子なので、仮にウクライナ兵がいくらか包囲を脱出できても重装備は放棄せざるをえない可能性もあるとか。郊外の塹壕線(既にロシア軍に突破されている)から市街地に後退して籠城する動きもあるそうですが、マリウポリの製鉄所のような要塞化された区画がある訳では無いので、外から包囲網に穴を開ける兵力が投入できなければこのまま殲滅という可能性すらありそうですね…。
ゼレンスキー大統領の言う大攻勢と兵力補充が間に合うかに彼らの運命がそのまま乗っかっていきそうですね。