ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは「数日前にシェフチェンカ通りを制圧したクラスノホリフカ南市内で激しい戦闘が続いている」「グレーゾーンがクラスノホリフカを貫通する線路を越えた」と主張しているが、前線位置や評価はウクライナ側ものと大きくかけ離れている。
参考:Битва за Красногоровку: бои в частном секторе обстановка к 18:00 2 марта 2024 года
参考:на фронті станом на кінець доби 3 березня 2024 року
ロシア軍の支配地域がマルタ通りに、グレーゾーンが自動車修理工場まで広がったという評価を素直に受け入れるのは難しい
ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは先月22日「ロシア軍がクラスノホリフカ南郊外にも支配地域を広げた」と、DEEP STATEも28日「ロシア軍がクラスノホリフカ方向に前進した」と報告、ロシア軍がクラスノホリフカの南市内に取り付いたことも視覚的に確認したが、これをウクライナ軍は撃退したと主張した。
ウクライナ軍の第3強襲旅団は「取り付いたロシア軍兵士を掃討する映像」を公開して「家屋に張り付いていたロシア軍兵士を100人以上排除して敵から街を取り戻した」と発表、DEEP STATEも4日「クラスノホリフカに対する敵の侵入は完璧に阻止された」と報告し、更新した戦況マップの中でも「ロシア軍支配地域」や「グレーゾーン」はクラスノホリフカに到達していない。
それでもRYBARの評価はどんどん先に進んでおり、グレーゾーンがクラスノホリフカを貫通する線路を越えたと主張している。
RYBARは「数日前にシェフチェンカ通りを制圧したクラスノホリフカ南市内で激しい戦闘が続いている」「自動車修理工場付近での戦闘は今のところ確認されていない」「恐らくロシア軍はそこに到達できなかったか押し戻された可能性が高い」「マルタ通りの交差点周辺をロシア軍が攻撃している映像が公開された(その映像が何なのかをRYBARは提示していない)」と報告し、ロシア軍の支配地域がマルタ通りに、グレーゾーンが自動車修理工場まで広がったと主張している。
クラスノホリフカ方面に関してDEEP STATEとRYBARの前線位置や評価には大きな食い違いが発生しており、最近のRYBARは過大評価(タバイフカを解放した、ロボーティネ方面の前線を平にした、ベルディチ、オルリフカ、トネネキーを占領したなど)が多いため、ロシア軍の支配地域がマルタ通りに、グレーゾーンが自動車修理工場まで広がったという評価を素直に受け入れるのは難しい。
因みにDEEP STATEは「マリンカからヘオリフカ方向にロシア軍が前進した」「ノヴォミハイリフカ南郊外からロシア軍が集落中心部に向けて前進した」と報告、この2点についてはRYBARの評価とほぼ一致し、ノヴォミハイリフカ南郊外の農場=Ⓐで国旗を掲げるロシア軍兵士の様子が確認されている。
※戦争にプロパガンダ(情報戦)はつきもので、ウクライナ側もロシア側も「自分達が有利に戦いを進めている」と国内外に印象づけるためプロパガンダを駆使しており、何処の米シンクタンクだったかは失念したが「双方のプロパガンダは益々激しくなっている」と指摘していたことがある。プロパガンダ自体は情報空間で優位性(心理的な効果)を獲得するための常套手段なので「嘘をついた」という次元の話ではない。
関連記事:アウディーイウカ西郊外、ウクライナ軍が戦線の安定化に成功した可能性
関連記事:アウディーイウカ西郊外、ロシア軍が国旗を掲げるも3集落の運命は不明
関連記事:アウディーイウカ方面の戦い、ベルディチに対するロシア軍の攻撃は失敗
関連記事:ウクライナ人、ロシア人が報告するベルディチ占領は存在しない成功
関連記事:ロシア人はオルリフカ占領を、シルスキー総司令官は敵を打ちのめしたと主張
関連記事:アウディーイウカ方面の戦い、ロシア軍がベルディチとトネネキーを占領か
※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
泥濘期をまもなく迎えますから、諸々はっきりするのでしょうね。
道路以外は通航困難、特に重車両はスタックの恐れがあるため移動が難しくなるからです。
砲撃・爆撃は、戦線膠着中も可能ですから、どの位置で膠着するのかが次に繋がるのでしょうね。
トップ画像ですが、先日は痩せこけて悲壮感漂うご老人でしたが、今日は打って変わって、若くて清潔感のあるイケメンですね。
クラスノホリフカはある程度の規模の都市なので、線路を超えるのはまだまだ先でしょうね。
これまでのところ、RYBERが主張した後で、DEEP STATEも認めたあたりが実際の前線であるケースが一番多かったですが、マリンカからヘオリフカへはじわじわと進んでいるのは確実。
一番困難な状況なのはノボミハイリフカですかね。北のボブジェダを既に制圧されている状況で南部にもロシア国旗が掲げられたとなれば、西へ退くしかなくなります。アウディーイウカの二の舞いになる前に、コスティアンティ二フカへ撤退するタイミングは早い方が良いとは思いますが。
ボブジェダもそこからロシア側が南進できていないので、マリンカのように端で粘っているウクライナ部隊が残ってそうな雰囲気ですね
プロバガンとは耳慣れない響きだがそういう言い方もあるのでしょうか?
プロパガンダとは宣伝のことで、ウクライナもロシアも宣伝をします。
今回も、ウクライナ軍は、第3突撃旅団がクラスノホリフカでロシア軍を撃退と発表し、ロシア人のブロガーは進撃したと言っています。
食い違うので、どちらかが間違ったのか、宣伝なのか、でしょうね。よくあることです。
とにかく、戦争中は意図的なプロパガンダ(宣伝)が昔からされています。また、外交でも政治でもプロパガンダはつきものです。また、間違いもあります。
具体的な内容ですが、この第3突撃旅団については、シルスキーが2月29日にオルリフカ(アウディーイウカ西)でロシア軍を撃破したと発表しています。しかし、クラスノホリフカはマリンカの北です。だから、これらも個人的には、よく分からないです。
まあ、戦争にプロパガンダ(宣伝)はつきものですが、大きな戦局の流れは誤魔化せないものです。
また、動員の実態とか捕虜の数とか、誤魔化せないところから考えると宣伝を見破っていくこともできます。
学習機能と予測変換を利用しながら文章を書いても、同様のことが起きうるなあ。
一度「プロパガン」と誤って入力すれば、その単語を文字入力ソフトが学習し、以後は予測変換により、「プ」と入力すれば「プロパガン」が候補に表示される。
その結果、「プロパガンダ」と書きたいものが全部「プロパガン」となる。
諸事情で誤字脱字があるのよ
気になるかもしれませんが基本スルーの方向でお願いします
>プロパガン自体は情報空間で優位性(心理的な効果)を獲得するための常套手段なので
管理人さんの揚げ足を取るようで申し訳ないんですが、これが戦争が忌み嫌われる最たる理由だと思いますけどね。
特に日本はこれを体験済みで、すり込みのように危険なものとして教育されてる印象がありますが
そういった教育を受けてなお実態のわからない情報を許容しようと努める大衆の現状に人間の限界を感じます。
第一次世界大戦の後半にフランスの首相となったジョルジュ・クレマンソーは、それまでフランスの陸軍省が派手な大本営発表をしていたのを止めさせて、正直に戦況を報告させるようにしたわけです。
これはジョルジュ・クレマンソーが昔、新聞記者であり、
「ドレフュス事件」
で、フランス陸軍省の報告、裁判記録の捏造や隠蔽を徹底的に追及した側であり、政府の官僚や軍の参謀、報道官による隠蔽や捏造、派手なプロパガンダ、情報工作の危険性を知り尽くしていたためです。
当時はフランス陸軍でも兵士の反乱が起きていましたが、クレマンソーが大本営発表の捏造や隠蔽を止めさせて、無謀な攻勢も中止することで軍の規律も回復しました。司令官も攻勢重視の二ヴェール将軍から、防御重視、火力と戦車重視のペタン将軍に変えたわけです。
太平洋戦争中、酒井鎬次中将という人は、東條英機の大本営発表を批判するために
「戦ふクレマンソー内閣」
という本を和訳して出しました。戦時中の日本でもプロパガンダの危険性を認識している日本人は少なくなかったのです。
大本営発表という黒歴史が刻まれた日本人にとって、ウクライナのプロパガンダ中毒は自己洗脳された精神病患者にしか見えないのよ
まあ、民主主義と、(プロパガンダも含む)安全保障って、相性が悪いですね。民主主義に「国民の知る権利」、安全保障に「国家機密」がそれぞれ必須であり、知る権利と国家機密は対立するので、民主主義と安全保障は対立するためです。
両者は対立するので、「(民主主義の)国家を維持するためには、民主主義を犠牲にしなければならない」という本末転倒的な現実もあります。
また、ウクライナが非民主的な体制だからこそ(正直に犠牲者数などを発表せず、報道の自由を認めず、野党を認めず、選挙をしないからこそ)、ゼレンスキー政権は維持され、戦争を継続できてると思います。
以上を踏まえ、おそらく管理人さんの考えは「民主主義(知る権利)をより犠牲にしてもいいから、(プロパガンダを含む)安全保障をより重視すべき」ということですね。
「民主主義(知る権利)は正義」を教え込まれた一般大衆にはウケが悪いとは思いますが、「民主主義国家は民主主義を犠牲にしてるから維持できている」という不都合な現実もあるので、悩ましいテーマです。