ウクライナ戦況

ウクライナ軍がクピャンスクで前線を押し戻し、バフムートでも状況を改善か

ウクライナ軍はクピャンスク方面でロシア軍をヴィルシャナ方向に大きく押し戻したことが視覚的に確認され、バフムート市内でもロシア軍に奪われた工業大学の敷地内を進むウクライナ軍兵士の様子が登場、状況の改善に成功した可能性がある。

新たな視覚的証拠で直ぐにポジションがひっくり返る可能性もあるが、今は期待を込めて工業大学をグレーソンに指定している

ロシア軍はクピャンスク方面のオスキル川沿いで足場を築くため3月上旬に攻勢を開始、フリャニキフカを制圧してマシュティフカやシンキフカに向けて前進し、ヴィルシャナ方面からも南下してペトロパブリフカからオルリアンスキーに伸びる道路に迫ったが、これをウクライナ軍が押し戻したことが視覚的に確認された。

出典:GoogleMap クピャンスク周辺の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

ロシア軍の砲兵部隊がⒶⒷⒸに迫るウクライナ軍を攻撃する様子が視覚的に確認されたため、ヴィルシャナに向けて前線を約4Kmほど押し上げたことになるが、これはポジションの改善なのでウクライナ軍がヴィルシャナやタヴィルザンカに向けて攻勢を開始したという意味ではない。

ウクライナ軍はクピャンスクから伸びる線路沿いのキスリフカ地域でも2月頃にヤヒドネ、ザティシュネ、オルリアンスキーを失っている可能性(視覚的な証拠がない)が高いため、新たにポジションの改善を試みるなら、この辺りで前線の押し上げを試みる可能性がある。

出典:GoogleMap バフムート市内の戦況/管理人加工(クリックで拡大可能)

バフムート市内ではの建物で抵抗を続けていたウクライナ軍兵士がアパート密集地に向けて後退したことを示す動画、廃墟になったの一帯が燻っている動画、廃墟になったバフムート市内をから撮影した動画が登場したが、特筆すべきロシア軍が占領した工業大学の敷地内=をウクライナ軍兵士が南に向けて前進していることを示す動画だろう。

この視覚的証拠の登場で工業大学のポジションは再びグレーソンに戻った格好で、ウクライナ軍が市内で失ったポジションを再び取り戻すのは非常に稀な例だ。

まぁ上記の動画が最近撮影されたものなのかは不明(それ言い出すとキリが無くなる)なため、新たな視覚的証拠で直ぐにポジションがひっくり返る可能性もあるが、今は期待を込めてグレーソンに指定している。

関連記事:バフムート市内を巡る戦い、ウクライナ軍が保持する前線位置に変化なし
関連記事:バフムート市内の戦い、焼夷弾攻撃でウクライナ軍が保持する最後の区画が炎上
関連記事:露ワグナーのプリゴジン氏、要求が満たされたため我々はバフムートに残る

 

※アイキャッチ画像の出典:Оперативне командування “Схід”

パトリオットによるキンジャール迎撃成功、ロシア軍から確実な攻撃手段を奪う前のページ

リトアニア人、寄付金で集めた資金でウクライナに対空レーダーを16基提供次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ゼレンスキー大統領が自軍の戦死者数に言及、3.1万人の兵士が死亡

    ウクライナ政府が自軍の戦死者数に言及することは滅多にないが、ゼレンスキ…

  2. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍がアントノフスキー橋を再攻撃、戦闘機の援護下で空爆も実施

    ウクライナ軍は永遠にアントノフスキー橋を使用不可能にするためHIMAR…

  3. ウクライナ戦況

    ドイツ国防相、巨大なウクライナ支援パッケージが年内に届けられる

    ドイツのランブレヒト国防相は18日、ベルリン外交政策フォーラムで「巨大…

  4. ウクライナ戦況

    反攻作戦に向けた準備と阻止、ウクライナ軍とロシア軍がミサイルで殴り合う

    ウクライナ軍の反攻に向けたシェーピング・オペレーションが本格化した可能…

  5. ウクライナ戦況

    ドイツのウクライナ支援を批判するギリシャ、なぜ直接武器を供与しないのか?

    ドイツの要請で旧ソ連製のBMP-1をウクライナに提供することになったギ…

コメント

    • 5dkg
    • 2023年 5月 08日

    ウクライナ軍はロシア軍が一部陣地から撤退したと発表していましたが、工業大学方面のことを指していたのですかね。
    先日の攻勢でロシア軍はウクライナ軍を包囲するのに失敗したと。

    26
    • ため息
    • 2023年 5月 08日

    ウクライナの威力偵察が活発になっていますね。
    ザポリージャ突撃は私には自殺行為としか思えない
    ので、ロシアの脆弱な部分を探っているのでしょう。

    ウクライナは秋の泥濘期が始まるまでに、目に見える
    戦果を上げる必要があるわけです。ですので5月中に
    攻勢はないとしても、遅くとも6月には開始しなければ
    ならず、それはクピャンスク(しかしロシア国境が近い)
    かクレミンナ・シヴェルスク周辺かなと思います。

    本命:クレミンナ・シヴェルスク◎ 次点:ザポリージャ◯
    穴:クピャンスク・スバトボ△  大穴:ヘルソン×
    評価不能:バフムート  ですかね。

    え、プリゴジン?ああそんなインチキおじさんがいたような
    気もしますねえ。あ、今思い出しました(スッとぼけ)

    7
      • 58式素人
      • 2023年 5月 09日

      ”大穴:ヘルソン”に一票。
      理由は、ロシア軍が居なさそうだから。
      問題は渡河能力と思いますが、素人が勝手をいうと、
      旧ソ連製の装甲車は、たいてい浮航性能があるので、
      ロシア軍の虚を突いて、大兵力で一気に渡河したら(笑)、
      などと妄想(笑)します。

    • kitty
    • 2023年 5月 08日

    「もうちょっとだけ続くんじゃよ」なのか「まだまだ終わらんよ」なのか…。
    ちなみに前者は、ちょっとどころか延々と続き、後者はあっさり退場でした。

    3
      • 匿名1
      • 2023年 5月 09日

      あと5年くらい続くようです。
      ウクライナ支援を続けるなら我々も生活苦ぐらいは我慢しないといけませんね。
      なにせウクライナの人は生きるか死ぬかなわけだし。

      3
    • uralT72
    • 2023年 5月 09日

    > 期待を込めてグレーソンに指定している。
    管理人氏らしくないなあw
    いや、そういうの嫌ではないけどwww

    • 匿名
    • 2023年 5月 09日

    バフムトは破壊されつくされて拠点として限界だから、一時前線押し上げて、ウクライナ軍の生きている兵士集めて後退するための前線押し上げているようにも思える。

    2
      • nojigoo48
      • 2023年 5月 09日

      戦線押し上げはクピャンスクの話で、バフムートの拠点とか撤退とか関係ないんじゃないでしょうか?

      1
      • れんちゃ
      • 2023年 5月 09日

      バフムトにおけるウクライナの主力はバフムト都市部にあるのではなく、バフムト包囲を試みるロシア側を逆に包囲して拡大を押さえている周囲の方ですよ。まあ、それでも全体の1割にも満たない程度の兵力しか使ってないそうですが。

    • ペコペコ
    • 2023年 5月 09日

    バフムートのウクライナ側が使用してる小銃はほとんどM4とFNスカーだな

    • れんちゃ
    • 2023年 5月 10日

    プリゴジンがまた珍妙な事を言いだしてます。工業大学の方面の話かはまだ分かりませんが…臆病なロシア軍が逃げたので我々も維持出来ず困ったみたいな物言いをしてるのでどこかの場所を占領維持出来なかったのかも知れませんね。
    パレードまでに都市部から一時的にでもウクライナ兵を追い出すという目標もなんとかしたかった様ですがそれも失敗した様でして…その言い訳をロシア軍の臆病さのせいだという屁理屈に押し付けようとしてるというのもあるのかも知れませんが。弾薬についてもまた文句を言いだしていて、ロシア軍が失態を重ねるならやはり撤退するとも言い出してます。
    「もし(ロシア軍の)全ての任務が、最高司令官(プーチン氏)を欺く狙いで実行されているのならば、敗戦に怒った彼(プーチン氏)もしくはロシア国民にたたきのめされるだろう」とか言い出して、また撤退の可能性を言い出してますので、実際に撤退するかは別として、どうあっても責任は押し付けたい様ですね…

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  2. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  3. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  4. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  5. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
PAGE TOP