ウクライナ戦況

ウクライナ軍、まもなく長距離飛行を飛べる200機以上のUAVを手に入れる

ウクライナのフェドロフ副首相は「長距離を飛行できる大型UAVを200機以上発注済みで、11月初頭までに発注した全てのUAVがウクライナに到着する」と明かした。

参考:“Армия дронов”: Украина получила уже 100 больших “птиц”, скоро будет 200

大型UAVと表現されるとMQ-9やTB2クラスを想像してしまうが、Matrice300RTKよりも大型のUAVという意味かもしれない

ロシア軍と戦うウクライナ軍が管理しなければならない前線の距離は2,450kmもあり、これを監視するためには短距離偵察に使用する小型UAVが1万機、これに加えて長距離を飛行できる大型UAVも200機以上が必要になるらしいが、ウクライナのフェドロフ副首相兼デジタル化担当相は「Army of Dronesプロジェクトを通じて大型UAVを既に200機以上発注済みだ」と明かしている。

出典:Defense of Ukraine

フェドロフ副首相は「発注したUAVの内100機が到着済みで11月初頭までに残りのUAVが到着する予定だ。重要なのはUAVの数を維持することで、どれだけ敵に破壊されても速やかに補充するため新たなUAVの調達、損傷したUAVの修理、UAVをバージョンアップするための拠点開設、UAVを操縦する人間の養成を常に行っている」と述べているが、長距離を飛行して偵察・監視が行える大型UAVが何なのかについては言及していない。

Army of Dronesプロジェクトはロシア軍と戦うウクライナを支援する世界的なイニシアチブ「United24」を通じて8億5,500万ユーロ=約1,200億円を調達しており、この資金の一部でDJI製のMatrice300RTKを78機、WB製のFlyEyeを20機を既に調達しているため、フェドロフ副首相が言及した小型UAVはMatrice300RTK(通信範囲8km/滞空時間55分)クラス、大型UAVはFlyEye(通信範囲50km/通信範囲外も事前プログラムによる自立飛行が可能/滞空時間2.5時間以上)クラスを指している可能性がある。

出典:WB FlyEye

大型UAVと表現されるとMQ-9やTB2クラスを想像してしまうが、飽くまで「Matrice300RTKよりも大型のUAV」という意味ではないだろうか?

勿論、大型UAVがTB2を指している可能性も否定できないが、BAYKARは最近「22ヶ国と輸出契約を結んだTB2は1ヶ月で20機生産できるものの3年先まで予約で埋まっている」と明かしており、いきなり200機以上を発注しても引き渡しまでに時間がかかるはずだ。

 

※アイキャッチ画像の出典:WB FlyEye

20日夜もセバストポリで防空システムが作動、3日間連続で無人機が侵入か前のページ

米メディア、ウクライナ人がA-10の操縦方法を学ぶ施設を自力で構築した次のページ

関連記事

  1. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍の推定損失は戦車400輌、歩兵戦闘車1,300輌、大砲700門

    ユーロサトリ2022で取材に応じたウクライナ軍の関係者は「数学的な推定…

  2. ウクライナ戦況

    アウディーイウカの戦い、ロシア軍が線路を突破して陣地確保に成功か

    ウクライナ人が運営するDEEP STATEは8日「アウディーイウカ方面…

  3. ウクライナ戦況

    侵攻837日目、ウクライナ軍の状況が最も困難なのはハルキウではなくドネツク

    ゼレンスキー大統領も参謀本部も「最も状況が困難なのはハルキウではなくド…

  4. ウクライナ戦況

    ウ軍はドニエプル川左岸に上陸、ロ軍はアウディーイウカ南郊外の防衛ラインを突破

    ウクライナ侵攻602日目はヘルソン方面とドネツク方面で動きがあり、ウク…

  5. ウクライナ戦況

    ウクライナ軍の反攻、スームィ州のトロスティアネッツ奪回に成功

    ウクライナ北東部の都市スームィの防衛に手一杯だったウクライナ軍が反撃、…

  6. ウクライナ戦況

    クルスク方面の戦い、ウクライナ軍がスジャを含む複数の拠点を占領

    DEEP STATEはロシア領クルスク方面について14日「ウクライナ軍…

コメント

    • 無無
    • 2022年 8月 21日

    双方に供給してるDJIって

    9
      • ブルーピーコック
      • 2022年 8月 21日

      DJI「輸出も止めたし改造も許してないのにどうして・・・」

      ウクライナ「なんでやろなあ」(DJI機で爆弾投下)

      ロシア「不思議だなあ」(DJI機でミサイル誘導)

      外国のボランティア「ウクライナくん!新しいDJIのドローンよ!好きに使って!」(子供からのプレゼントとして送るのも居る始末)

      アメリカ「・・・ヨシ!」(エンティティリスト入り)

      中国「戦況を見ているだけなら・・・ええか」(よくない)

      9
        • KpfPz
        • 2022年 8月 23日

        DJI製を使って大丈夫か?中国に筒抜けにならないか?と思う。

    • 7743
    • 2022年 8月 21日

    改めて国境を見直すとベラルーシ国境の存在がウクライナにとって負担になりますね。
    まあ、ベラルーシ軍自体はウクライナ戦争に参戦する気はほぼなさそうですが
    ロシア軍が迂回してやってくる可能性はあるので、警戒は怠るわけにはいかないのでしょう。

    そういう意味ではUAVによる監視力の強化はウクライナにとって大きな支援になると思われます。

    8
      • きっど
      • 2022年 8月 21日

      最悪、ベラルーシの首を挿げ替える or 強引に「説得」して参戦させるという可能性も、否定は出来ません
      もっとも、まず間違い無くベラルーシに第二戦線が出来て、尚更ロシア軍が疲弊するだけの結果になるでしょうけども

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  3. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  4. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  5. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
PAGE TOP