セバストポリ造船所に対する13日の攻撃で大型揚陸艦のミンスクと改キロ型潜水艦のロストフ・ナ・ドヌーが損傷、ロシア人は「ヘルソン方向、ムィコラーイウ方向、蛇島方向から10発のストーム・シャドウで攻撃された」と報告している。
参考:На спутниковых снимках были зафиксированы последствия атаки на бухту Севастополя
ウクライナ軍は長距離攻撃が可能な無人機戦力を増強しているため、もはやノヴォロシスクも安全な停泊地とは言い難い
クリミア南部のセバストポリで13日に爆発が発生、ウクライナ国防省情報総局(GUR)は「セバストポリ造船所(オルジョニキーゼ船舶修理工場)の設備に被害が出ており、大型揚陸艦と潜水艦の破壊が確認された」と、ウクライナ空軍も「パイロット達の素晴らしい活躍に感謝する」と述べていたが、衛星写真によってもセバストポリ造船所の破壊が確認された。
この画像は12日と13日の比較で、造船所の施設、乾ドックに入渠していた大型揚陸艦のミンスク(左)と改キロ型潜水艦のロストフ・ナ・ドヌー(右)が損傷していることが確認でき、ロシア側情報源(Рыбарь)は「13日午前3時にスタロコスティアニティヴ空軍基地から5機のSu-24が離陸、4機はヘルソン方向とムィコラーイウ方向、1機は蛇島方向からストーム・シャドウを発射した。ロシア軍の防空部隊は7つの目標(パーンツィリ×5発、S-400×1発、MiG-31×1発)を撃ち落としたが、残念ながら3発のミサイルが造船所に到達してしまった」と報告。
このロシア人も「乾ドックに入渠していたミンスクとロストフ・ナ・ドヌーに様々な損傷をもたらした。長い中断期間を経て巡航ミサイルによるクリミア攻撃は再開されたのだ。この攻撃は高い確率で数日間続くだろう。最新の分析(ソロヴィヨフ氏が司会を務める番組の分析)によれば来週にクリミア大橋への大規模攻撃が予想されており、まるで今回の攻撃は来週のリハーサルのように見える」と述べているのが興味深い。
上記の話=セバストポリ攻撃の詳細はあくまでロシア人の主張で、本当にヘルソン方向、ムィコラーイウ方向、蛇島方向からストーム・シャドウを計10発も発射したのかは不明だが、巡航ミサイルを黒海に運搬するプラットフォームとしてセバストポリやノヴォロシスクに配備されている改キロ型潜水艦は4隻(+改修により巡航ミサイルの運用が可能になったキロ型潜水艦アルローサ)しかなく、トルコは交戦国のボスポラス海峡航行を認めないため、ロシア軍は他の地域から改キロ型潜水艦を黒海に持ち込むことは不可能だ。
ウクライナ軍は長距離攻撃が可能な無人機戦力を増強しているため、もはやノヴォロシスクも安全な停泊地とは言い難く、黒海での艦艇運用はリスクとリターンのバランスが釣り合ってないように見える。
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※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defense of Ukraine/CC BY-SA 2.0
何気に今のウクライナはイギリスのストームシャドウを装着した戦闘機と多種多様な無人機を保有しており、各国に負けないくらいの空対地攻撃力を有しています。当初は空からの攻撃はロシアの一方的なものでしたが徐々に対抗している様に感じますね。
西側戦闘機を供与しても大した事はできないという供与側意見への反論材料が手に入ったこともウクライナには利益
整備中の艦船を破壊すれば、損傷された艦船により瓦礫の撤去も困難になり、敵により復旧を遅らせる要素なるだろう
沖合で艦船を撃沈することより戦略的利益が大きい
反論材料になる?少なくともF-16が供与されるにしてもどんな物が提供されるか分かってないよね。確実に運用させて貰えそうな雰囲気があるのはAIM-120とJDAMで、エスカレーション懸念して威力ある長射程兵器は渡しませんはありえそうだが。
ウクライナに関しては効果が有るなら渡さないも有り得る話でF-16が求められるのは機体性能もそうだが運用出来る多種多様な兵器類があっての総合的な戦力で、システム上での制限と供給する兵器での制限二つのハードルクリアしないと今回みたいな話にはならない。
潜水艦の撃破が確実そうで何より
ロシアの艦隊はやくすくらっぷになねぇかな。。。
クリミアはもう大損するだけのお荷物になってしまった。
俺ならあきらめて東部に集中するけどな。
二兎を追う者は一兎をも得ず になるぞ
クリミア取り戻されると南部も兵站詰みそう。
両地域からの撤退も簡単にさせてもらえるとは思えないから兵も装備もごっそりやられ、一方ウクライナは南部の戦力をすんなり移動…東部の決戦もあかんのでは?
ヘルソン、クリミアを失えばロシアの国防はともかくプーチンの政治生命は終わりでしょう。
最悪の場合、弱いリーダーとしてロシアの極右派や古き良きロシア国民に血祭りにあげられるでしょう。
もはやプーチンにはロシアを道連れに行けるところまで行くしか手立てが無いと思われます。
このような戦果を欲するからこそF16を求める声が絶えない
とはいえアメリカはJASSMなどは提供せんでしょうな
AGM-84E SLAM「俺ならワンチャンあると思わん?」
AGM-84H SLAM-ER「もしかしたら俺もあるかも…」
現在直面している戦況に 直接関係ない目標を攻撃している
揚陸艦→南部反抗に際してロシア軍の海上補給の手段を封じる
潜水艦→冬に発生するだろうインフラ攻撃のプラットホームを削る、副次的効果で後方のSAMを前線に移せる
目先の事しか考えないロシア軍と違って一手先、二手先を読んで行動してるのがウクライナ軍ですからねぇ、先月のS-400破壊工作もこのための布石だと分かりましたし
基地攻撃自体はキメられても、何が壊れるかは、ほぼガチャだったのでは…。
入渠している艦船の情報まで提供されていたのかな。
ウクライナ軍も斥候は張っているでしょう。そして改キロ級がきたから攻撃し、それのついでに揚陸艦も居たから標的にして沈んだと言う感じかもしれません。
攻撃前後での比較画像がネットに出回ってるから衛星写真で丸見えだったみたい
改キロ級はカブリル巡航ミサイルのプラットフォームなうえ民間輸送船の主な脅威、揚陸艦もベルジャンシクなどへの補助的な輸送任務で使用中。記事で言われているクリミア橋への攻撃が実現すればその比重は更に増す。
セヴァストポリは黒海で一番の艦船整備拠点でその設備の破壊と2ドックの閉鎖。
攻撃が成功したことによる、防空部隊への更なる負担。
ものすごく戦況に関係がありますね。この一週間の、それも最前線数キロメートル部分だけが「現在直面している戦況」とお考えならそうなのでしょうが。
ミッドウェー海戦のヨークタウンの例もあるので、潰せる時に潰しておくべきかと。
それと一つ前の記事で
『本当に造船所に入渠していた大型揚陸艦と潜水艦が損傷していれば、黒海艦隊は巡航ミサイルやShahed-136を運搬するプラットフォームの一部を失うことになるため、ウクライナ軍にとって久々の大戦果と言えるだろう』
とあるので無意味ではないのでは。
ロシアの被害を過小評価していてはまともな戦況判断できませんよ。
このキロ級はウクライナの市街地や軍事拠点に巡航ミサイル打ち込んでた奴だから十分意義がある。
てか直接関係ない目標だったら、何故黒海に置いてるんだ?
何の意味もない船を危険なドックに無警戒で停泊させていたら破壊されたとか、そっちの方がマヌケじゃないか…
破壊された船がかわいそう!船はおんなのこなんですよ!
何を見て直接関係ない目標って言ったんですか?(現場猫並感)
トルコが海峡を握っている以上脱出できずウクライナに生殺与奪を握られ、的と化した黒海艦隊くんかわいそう。
一応小型艦艇なら運河通ってカスピ海通れるらしいので……
大型艦艇?末期日本軍は岸に停泊させて砲台にしてましたね……
なあに、丸太を並べて運べばいいのですよ。
世界史で見た。
乗組員は専門外の陸軍に編入されるんでしょうな・・・。
船乗りなんだから、使い捨ての備品扱いよりは
民間船を徴発運航する要員に使う方が役に立ちそうだけど。
いよいよ橋が落とされれば、海上輸送に民間船徴発くらいはやりそうだし。
ロシアはタービン用の化学合成オイル在庫があるのかなー
あと、フィルター、ベアリング、オイルシールも。
大体ロシアの中国のタービンの寿命が此処何年かで急激に伸びているのが不思議だった・・・西側の高品質の合成オイルとか
高性能なフィルターが使えるようになったのが大きいのかと。
タービンブレードの加工技術の進歩もあるが、
ロシア国内の燃料不足のが出てきているけど
ロシア国内輸送に影響が出始めている上にトラック不足・・戦前の日本を見ているようです。
トラック不足は地味にEUや日本で最近強化された中古車輸出規制が聞いてる
迂回させればいいがその分コストに跳ね返る上に業者も足元見てくるから取得費用がどんどんあがる
>パーンツィリ×5発、S-400×1発、MiG-31×1発
これが事実ならパーンツィリの優秀さが光りますね。
もちろん地形や車両の配備状況、使用ミサイルの飛翔経路等によって変化するとは思います。
しかしウクライナ側でのゲパルトの活躍と併せて、ドローンや巡航ミサイル等の中高度以下を音速以下で飛翔するミサイルに対する近距離防空兵器の有効性が、今回の戦争ではっきりと示されたように思います。
今後の紛争では巡航ミサイルだけでは敵に大きなダメージを負わせることは困難になり、極超音速ミサイル(弾道弾含む)とのハイ・ローミックスが必要になるのでしょう。
(日本が開発中の滑空弾は、まさにそのための装備だと思っています)
今のところ大型揚陸艦と潜水艦の各1隻が今回の戦果だけど
ウクライナとしたら使ったミサイルの数に対して費用対効果はどうだったんだろ。
当初の目的は達したのかそれとも物足りないのかな?
今回の攻撃はストームシャドウを10発使用したと報じられていますが確認できる損害だけではなく西側諸国に対する良いアピールにもなったと思うので費用対効果について考えることにそこまで意味はあるのかなと邪推。 少なくともキーウやオデーサにミサイル撃ち込んでるロシア軍よりは費用対効果が高そうな作戦ですね。
ストームシャドウの提供数が200~400発と言われていたのと、既に結構な数を使った上で残りから10発となると相当に奮発したのだと思います
乾ドック入りしている艦船は基本的に修理中か艤装交換中のものなので、短期的に戦力として影響があるかはおいておいて「クリミア半島内の軍事拠点を長距離巡航ミサイルで攻撃成功した」というアピールとしては、対価に見合うだけのものだったと思います
次はケルチ橋という言説がXなどでは見られますが、イギリスがそれを認めるかどうかが気になります
艦艇二隻の撃破だけでなく黒海艦隊の整備・修理拠点を(少なくとも数ヶ月)使用不能にした事は大きな成果だと思われます
仮に修理が完了したとしても安全な後方拠点と見做した利用は出来なくなるでしょうね
費用対効果は、もの凄く大きいです。
改キロ級の破壊は、旗艦モスクワが沈没した並みに衝撃があると思います。
黒海の潜水艦は、非対称兵器になっており、黒海の制海権をロシア優位にしてるからです。
タイルの交換などのためにドッグに入る必要がありますが、入渠が難しくなり着実に戦力ダウンしていきます。
3隻のローテーション(訓練・補給・整備)、戦時下の体制と言えども、ロシア海軍が黒海の潜水艦配備に空白が生まれてくる可能性がでてきます。
ノヴォロシスクにも浮きドックくらいはありますが、軍艦を整備するための専用乾ドックは今のところセヴァストポリだけなので本格的な整備はセヴァストポリに持ってこざるを得なかったのでしょう。
今回の攻撃によって黒海で使える貴重な専用乾ドックが3本中2本ダメになっており、完全復旧には少なくとも2~3カ月はかかるでしょう。艦の整備ローテを考えると悪夢なので黒海艦隊のお偉いさんは頭を抱えていると思います。残った黒海艦隊の稼働率も当面下げざるを得ないでしょうね。
海中の潜水艦を狩るのはウクには
きびしいなあと思っていたが
お見事!
クルーズミサイル返し
もしかして潮目がかわった??
S-400の破壊や石油掘削リグの奪取が今回の攻撃の為の布石だったのか、結果的に防空に穴が空いた故の攻撃だったのかは気になるところですが、どちらにせよウクライナ軍の作戦立案能力の高さが伺えますね。
ロシア側は今回の被害をタバコの不始末には出来なかったようなので、貯め込んだミサイルによる民間人への「報復」攻撃に警戒して欲しいところ。
いつも興味深く拝見させて頂いております。
細かいtypoの指摘ですみません。
ミンクス→ミンスク
確立→確率
ですね。
モスクワとミンスクが両方逝ったのか
ずっと前からなんすけどここでPGMキャリアーでF16は必要と言うと全方位から非難轟々なのなんでなん?マジ怖すぎなんすけど。
PGMキャリアはF-16でなくともできることであり、実際に今回はSu-24で行われた。
旧ソ連機でできるのにF-16が必要だという根拠が不明だから。
ついでにハンドルネームが「あああ」と言う適当な名前では真面目に対応しようという気が失せるから。