米国関連

2日連続で艦内火災、今度は建造中の強襲揚陸艦ブーゲンビルで火災が発生

米海軍の空母リンカーンで6月28日に艦内火災が発生して注目を集めていたが、6月29日夜にも建造中のアメリカ級強襲揚陸艦3番艦「ブーゲンビル」で火災が発生していたと報じられており、米メディアは可燃物への引火の可能性もあったと指摘している。

参考:In-construction amphibious ship catches fire at Ingalls Shipbuilding

米ディフェンス・メディアは「ブーゲンビルの火災は可燃物への引火の可能性があった」と指摘している

西太平洋での展開を終えた米空母エイブラハム・リンカーンは昨年12月、カルフォルニア沖を航行中に艦内火災(安全上の理由で詳細は非公開)が発生、さらに6月28日には「メンテナンスを実施していたノースアイランド基地で非常用ディーゼル発電機が設置された区画で火災が発生した」と報じられ注目を集めていたが、今度は建造中のアメリカ級強襲揚陸艦で火災が発生したらしい。

出典:U.S. Marine Corps photo by 1stLt. Charles Allen/Released

ミシシッピ州パスカグーラにあるインガルス造船所で6月29日夜、建造中のアメリカ級強襲揚陸艦3番艦「ブーゲンビル」で火災が発生、造船所の担当者は「ブーゲンビルの上部構造物(飛行甲板よりも高い部分)で火災が発生し、直ぐに対応して消し止めた。煙を吸った作業員2名が病院に搬送され4名が現場で手当を受けた。原因は現在調査中だが火災の影響を受けた区画は限られており、船体や造船所への被害は発生していない」と述べている。

米海軍は2020年にワスプ級強襲揚陸艦6番艦「ボノム・リシャール」を近代改修工事中の火災で失ったため、造船所や基地での作業手順や火災対策を大幅に改善したと報告していたが、立て続けにリンカーンやブーゲンビルで火災が発生しているため何らかの問題が起きているのかもしれない。

出典:U.S. Navy Photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Austin Haist/Released

因みにリンカーンやブーゲンビルで発生した火災の規模は小さいため艦への影響は非常に限定的だが、米ディフェンス・メディアは「ブーゲンビルの火災は可燃物への引火の可能性もあった」と指摘しており、この程度の被害で済んだのは運が良かっただけという見方も出来る。

関連記事:昨年末の艦内火災で負傷者を出した空母リンカーン、再び火災が発生
関連記事:米海軍はワスプ級強襲揚陸艦の火災を放火と判断、容疑者を取調べ中
関連記事:またワスプ級強襲揚陸艦で火災、溶接が原因で3番艦「キアサージ」が燃える
関連記事:1週間で3隻目、今度は艤装工事中の空母「ジョン・F・ケネディ」で火災発生

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo illustration courtesy of Huntington Ingalls Industries USS Bougainville

ゼレンスキー大統領、NATO首脳会議までに結果を出すより人命を優先前のページ

米シンクタンク、大規模な投資がなければ老朽化した戦闘機戦力は破綻する次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    米海軍長官、半年に及ぶ紅海の作戦で1,500億円近い損耗を被ったと明かす

    デル・トロ米海軍長官は上院の公聴会で「紅海での作戦やイスラエルをイラン…

  2. 米国関連

    中露のステルス爆撃機から米本土を守るには「迎撃専用機」が必要か?

    米国本土の防衛を担当する米北方軍司令部(USNORTHCOM)は5月2…

  3. 米国関連

    無事就役できる? 米海軍、フォード級空母2番艦「ジョン・F・ケネディ」が進水

    空母「ジョン・F・ケネディ」は、ジェラルド・R・フォード級空母2番艦と…

  4. 米国関連

    米海兵隊が戦車を廃止したい理由は? 世界中に無人機と精密誘導兵器が氾濫したため

    米海兵隊は23日、全ての戦車大隊(主力戦車M1A1エイブラムス)廃止を…

  5. 米国関連

    ランド研究所が沖縄配備を主張していたXQ-58、米空軍が打ち上げシーンを公開

    ランド研究所が沖縄に配備すべきだと主張していたXQ-58の打ち上げシー…

  6. 米国関連

    フランスが裏切りだと叫んだ豪原潜導入の舞台裏、残酷な計算結果に基づきオーストラリア優先

    NYタイムズ紙は豪原潜導入の舞台裏について「ある同盟関係と他の同盟関係…

コメント

    • 幽霊
    • 2023年 7月 01日

    また中国の仕業と主張する陰謀論が流行りそう

    37
      • まつ
      • 2023年 7月 01日

      あたりー。陰謀論ではなく現実 バイデンは陸軍派なので監視カメラ削減。

      10
      • 朴秀
      • 2023年 7月 01日

      むしろ中国の仕業だった方がマシなレベルで酷い

      63
      • 匿名
      • 2023年 7月 01日

      偶然でここまで火災が連発することはあり得ない
      陰謀である確率80%

      14
    • ななしのシロウト
    • 2023年 7月 01日

    アメリカも人手不足なので、建造中の船の火災は不慣れな作業員の影響があるのかも?

    14
    • emp
    • 2023年 7月 01日

    山火事流行ってるからって船まで燃やさなくても良いんだぞ

    10
    • 折口
    • 2023年 7月 01日

    日本の海自向け造船所でも2月に爆発事故で死亡者を出してますし、ロシアでも昨年か一昨年に入渠中の空母クズネツォフで大きめの火災がありましたよね。造船業に限っても労災情報を確認するともっとたくさん、それこそ毎月のように何かしら起こっているので、人手不足だと労災が起きやすくなるという話とその中で防衛事業向けの案件はピックアップされやすいという認知の歪みじゃないかなあという気がします。歴史上、艤装中の事故で全焼して艦籍登録前に抹消されてしまった軍艦も結構ありますからね。

    44
    • RAAF
    • 2023年 7月 01日

    大型艦艇が建造できる造船所が減っている中、修理点検の為に以降の造船スケジュールに影響が出ないと良いのですが。

    8
    • チェンバレン
    • 2023年 7月 01日

    >> ボノム・リシャール」を近代改修工事中の火災で失った
    改装しようと思ったら艦そのものを失ったでござる
    ボノムリシャールカワイソス(´・ω・)

    こんだけ燃えるとなると戦闘中だけでなく、日常的に大ダメージを受けるリスクがかなりあるのでは

    1
      • shkk
      • 2023年 7月 01日

      たしか改装工事中の資材(可燃物)が船内にたくさんあってそれに燃え広がったって話だったから通常時はそこまでリスクは無いんじゃない?

      …でも可燃物があるとはいえ消火システムがあるのに燃え広がった要因として
      ・消防設備の点検をしていなかったり故障してる箇所が多かった
      ・使い方の教育を受けているものがいなかった
      らしい…
      ダメージコントロールなら米海軍みたいなイメージあるんですけど…

      9
      • アイス
      • 2023年 7月 01日

      陸奥鉄ならぬボノム鉄よろしく再利用できる部材はあったんですかね?

      2
    •  
    • 2023年 7月 01日

    まぁ陰謀とまでは言わないけど、空母や強襲揚陸艦が多いよね。
    2020年の時も空母と強襲揚陸艦で連続3件だったし。

    16
    • Natto
    • 2023年 7月 01日

    造船って元々、労災が多い職場だったような。
    ただ、自分のイメージだと転落か落下物の下敷が多いと思ってた。
    工程が進むとブリンセスダイヤモンドみたいに火事が起きやすくなるのかな?現代のフネは電気設備が多いだろうし。

    5
    • 58式素人
    • 2023年 7月 01日

    他所の国のことだけれども。
    時間や予算に余裕のない時期なのですから、
    不祥事の予防のために手間を掛けた方が良いのでは。
    火事の写真の船は”ブーゲンビル”ではないのでしょうが、
    当該船の工事進捗状況によっては、
    機密に関わる備品が設置されていることもあるでしょうし。
    米海軍には、艤装員の制度がないはずは無いと思うのだけど。
    全て造船所(それも民間)まかせで良いはずはないでしょう。

    3
      • hiroさん
      • 2023年 7月 01日

      艤装員がいたら防げた火災なのですか?

      3
        • 58式素人
        • 2023年 7月 01日

        可能性は大きいと思います。
        艤装員は、工員と一緒に艤装工事を行い、確認作業も行いますが、
        彼等は軍人で、乗組員でもあるので、艦の保守/維持は彼等の職務です。
        説明のつかない或いは規則に反した事態は見逃さないと思います。
        記事の内容ならば彼等の職務の想定内と思います。

        4
        • k.ziro
        • 2023年 7月 03日

        他の乗組員は陸で休暇なのに工事に付き合って休めない人可哀想

        1
    • ネコ歩き
    • 2023年 7月 01日

    造船所の造修能力が追いつかず米艦艇はドック入りの順番待ちという状況なわけで、現在は状況改善に注力中かと。
    当然工員数も足りない所を募集増員していて、質的低下はあるんじゃないでしょうか。
    アーク溶接だと、不適切なケーブル接続が原因で迷走電流により思わぬ場所で火災が発生する場合があります。造船の現場に不慣れな工員だとそのようなミスもあり得ます。

    2
    • うぃるびぃ
    • 2023年 7月 02日

    ・某国の陰謀
    ・タバコの火の不始末
    ・現場猫案件
    さてはて・・・
    調査結果と再発防止が待たれますな。

    2
    • おのあつ
    • 2023年 7月 04日

    中華の火付け工作員、かなり優秀ですな。

    1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  2. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  3. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
  4. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  5. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
PAGE TOP