ウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将はWar Zoneの取材に「北朝鮮のKN-23はロシアの技術支援によって劇的に性能が改良された」「ロシアは支援の見返りとして北朝鮮領内でのGarpiyaやGeranの生産立ち上げに合意した」「東アジアの軍事バランスに確実な変化をもたらす」と述べた。
参考:Russia Giving North Korea Shahed-136 Attack Drone Production Capability: Budanov
諜報機関としての情報戦要素が含まれていたとしても中々興味深い言及内容
ウクライナや韓国の諜報機関は再三「北朝鮮軍兵士がロシアに送られている」「クルスクでの戦闘に北朝鮮軍兵士が参加している」「そこでの戦いで北朝鮮軍兵士は大損害を被っている」と報告し、米国のオースティン国防長官も2024年10月「北朝鮮軍がロシアに駐留している証拠を確認した」と、ホワイトハウスのカービー報道官も「北朝鮮は最低でも3,000人の兵士をロシア東部に派遣し訓練を受けている最中だ」と述べていたが、この件は情報戦によって「情報空間にあいまいな状況を作り出すことができる」と浮き彫りにした事例でもある。
Exclusive – Newly obtained footage from Russia’s Sergievsky Training Ground showing North Korean troops being outfitted in Russian gear in preparation for deployment to Ukraine. pic.twitter.com/01Z4jZIiOe
— SPRAVDI — Stratcom Centre (@StratcomCentre) October 18, 2024
プーチン大統領も10月24日「(ロシア国内に北朝鮮兵士が到着したことを示す衛星写真について)画像は非常に重要なものだ」「それがあるということは何かを反映しているこということだ」と述べたが、政府も軍も公には「北朝鮮軍兵士の存在」「クルスクの戦闘関与」を一切認めず、RYBARを含むロシア人ミルブロガーも公式の見解に従って「北朝鮮軍兵士は存在しない」「ウクライナ軍はクルスクで架空の北朝鮮軍兵士と交戦している」「北朝鮮軍兵士の参戦は西側諸国のプロパガンダだ」と主張し、これに熱心なロシア支持者らも加わって情報空間に「北朝鮮軍兵士が参戦しているかどうか良くわからない状況」を作り出すことに成功した。
最終的にプーチン大統領が2025年4月末「クルスクを完全に解放した」と宣言した際、ゲラシモフ参謀総長が「クルスク解放作戦に北朝鮮軍が参加していた」と発表し、これまで公式の見解に従ってきたRYBARを含むロシア人ミルブロガーらも「公式に認められて良かった」「北朝鮮は戦場でロシアと肩を並べて戦う意思のある唯一の同盟国であると示した」「戦いが終わってから北朝鮮軍の関与を認めるのは残念だ」「誰にとっても北朝鮮軍の参戦は公然の秘密だったが、最後の最後で公式に確認されたこと良かったと言える」と手のひらを返している。

出典:Президент России
情報空間における情報戦においては「事実かどうか」ではなく「事実と嘘の区別がつかなくなる状況」が重要で、こうなると北朝鮮軍兵士がロシア軍から個人装備一式を受け取っている映像が登場しても、FPVドローンで北朝鮮軍兵士を攻撃する瞬間が登場しても、戦場で北朝鮮軍兵士が捕虜になっても「ウクライナや西側メディアによる嘘」という一言で片付けられてしまい、状況認識の不一致=認識が分断されてしまうのだ。
この状況はロシアが「北朝鮮軍の関与」を認めることで終息したものの、この件は「どれだけ簡単に世論の認識を分断できるか」を浮き彫りにしており、特に情報戦を仕掛ける側にとってソーシャルメディアのユーザーは「操りやすい加担者」でしかなく、Washington Postの取材に応じたRYBARを運営するロシア人ミルブロガー=ミハイル・ズヴィンチュク氏も「客観的な情報という単純な原則は存在しない」「客観的なメディアやブログを持っていると主張する人は嘘つきだ」と述べている。

出典:RYBAR
“私は愛国者だが問題も認識している。何か悪いことが起ったら声を上げるし、都合の悪いときでも問題について話し合うが、口に出してはいけない事柄もある。政権交代や内部分裂など国に有害な事柄には言及しないし、国家の情報領域を守るのであれば「口に出していいこと」と「そうではないこと」を理解できるはずだ。私には常識があるので特定の事柄には口は挟まない。これはRYBARを運営する資金源維持にも必要なことだ”
“ジョージ・オーウェルの「1984年」で情報にアクセス出来なかった登場人物らは無知だったが、今は低質な情報が氾濫しているため人々はより馬鹿になっている。原理的に人々を操るのは可能で、陰謀論が大衆を操作することを可能にした。どんなナンセンスな話でも大きなストレスに晒されると信じてしまう”
🇺🇦🐷🏳 ×🇷🇺
ウクライナ軍はクルスク地方全域で進撃するロシア軍に一斉に降伏している。 pic.twitter.com/HMCoFEUnI3— 🐻ウラジミールZ🇷🇺 (@Z58633894) March 10, 2025
勿論、情報戦は西側諸国もやっていることなので「ロシアが悪い」という意味ではないが、ロシアは本戦争に関する一般メディアの報道内容を厳しく統制し、法律によってロシア軍の信頼を傷つけるような情報発信を禁止しているため、多角的な立場や視点からの情報が著しく欠けており、その点を十分に踏まえてロシア人ミルブロガーの主張を受け取らないと「操りやすい加担者」になってしまうだけだ。
そしてここからが本題なのだが、ウクライナ国防省情報総局のブダノフ中将はWar Zoneの取材に応じた中で「北朝鮮からロシアに提供したKN-23は欠陥だらけで実用に耐えうるレベルではなかったが、実戦での結果やロシアの技術支援によって劇的に性能が改良された」「ロシアは支援の見返りとして北朝鮮領内でのGarpiyaやGeranの生産立ち上げに合意した」と述べており、この発言に諜報機関としての情報戦要素が含まれていたとしても中々興味深いものがある。

出典:Telegram経由
“ロシアは支援の見返りとして北朝鮮領内でのGarpiyaやGeranの生産立ち上げ合意した。これは東アジアにおける北朝鮮と韓国の軍事バランスに確実な変化をもたらすだろう。まだ生産合意に同意しただけなので北朝鮮領内で何機の無人機が製造されるかは分からないが、ロシアは北朝鮮が提供する兵士や武器の変わりに無人機や弾道ミサイルに関する技術を提供している。ロシアに提供されたKN-23の平均誤差半径は当初数kmだったが、現在では正確に目標へ命中するようになった。これはロシアと北朝鮮の専門家による共同作業の成果だ”
“我々の報告によれば発射されたKN-23の約半数は軌道を外れるだけでなく空中で爆発していたが、現在のKN-23は技術的特性において全く異なるミサイルに進化し、目標への命中精度も数倍向上している。北朝鮮が提供した武器には旧ソ連製のD-74、107mmや240mmの多連装ロケットシステム、170mmカノン砲を搭載したM1989などもあり、これらの兵器は残念ながら非常に優れた性能を戦場で発揮している。非常に遠距離からの射撃が可能で、命中精度も非常に優れている。北朝鮮はロシアにM1989を120基提供したというデータもあるが、この兵器は本当に優れているため120基を超える量が継続供給されていると考えている”

出典:public domain
“クルスク州には約1.1万人の北朝鮮軍兵士が現在も駐留している。ロシアは中央アジアからの労働移民がウクライナや西側諸国の諜報機関による勧誘に脆弱だと懸念しており、この一部を置き換える目的で北朝鮮と労働力の提供について合意した。この一部はロシア国防省と直接契約を結ぶ可能性があり、これは北朝鮮軍の兵士ではなく「北朝鮮国籍をもつロシア軍の兵士」になる。北朝鮮が何人の労働者をロシアに送るのかは精査している最中で正確な数を言及することはできない”
Garpiyaは中国製エンジンや部品で構成されたShahedの代替品、Geranはロシア軍の要求を取り入れたバージョンのShahedで、自爆型無人機としての価値も去ることながら「防空システムを掻い潜るための戦術」「長距離飛行する無人機の制御技術」「実戦を通じて獲得した運用ノウハウ」なども北朝鮮に提供される可能性が高く、この影響は韓国だけでなく日本も含まれるだろう。

出典:Генеральний штаб ЗСУ
北朝鮮が日本海側からGarpiyaやShahedを発射すれば日本の大半が射程圏に収まり、少数の運用なら大した問題ではないが、日本(というよりもウクライナとロシアを除く全ての国)には低空域をカバーする低コストの迎撃手段、センサー、電子戦システムが圧倒的に少ないため、他の長距離攻撃兵器と大量の自爆型無人機を同時使用されると「ウクライナで起こっている以上の損害」をもたらす可能性が高く、日本に新たな課題と負担を強いるかもしれない。
さらに北朝鮮はKN-23の改良を通じて弾道ミサイル技術を向上させているため、保有する他の弾道ミサイルも実用性が向上すると考えるのが妥当で、ブダノフ中将の言及が事実なら東アジア地域の軍事バランスに大きな影響を及ぼすだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Telegram経由





















此の戦争、一番得しているのは北朝鮮だな。
だから早く見切りをつける必要があったのにな
欧米の些細なプライドのために日本が危機に陥ってる
完全に大局を見誤っている
典型的なロシアナラティブであり、無意味な仮定ですね、居酒屋の呑んだくれの愚痴でしかない
ロシアがウクライナだけで満足する保証は何もなく、どの道その拡大の過程でウクライナの事例に近いどん詰まりになり北の支援を求める事になっていたでしょう、寧ろ最初のウクライナでつまづいたのは幸いかもしれません
そもそも私達が生きているのはロシアがウクライナに勝てずに北に支援を求めた世界線であり、何時までもIFに未練を持っても欠片の生産性もありませんし、ならばこの状況を最大限利用するべきでしょう
それこそウクライナのドローン技術・対ドローン技術を支援し、学び、発展させ、加えればウクライナ諜報機関が北本土を標的にするように促す事こそが国益となりえるのでは?
まぁ、そもそも1990年代にでも北を潰しておけば何の後腐れもなかった話ではありますが
>居酒屋の呑んだくれの愚痴
自分の意見を言っただけなのに、こんなこと言われたらショックだよな。
そもそも人としてどうなの?
国家予算の半分の軍事支援もらったんでしたっけ
わーくにだったら60兆円分ですね
ロシアを削るために戦争継続を叫ぶ皆様のおかげをもちまして北朝鮮は無事強大化いたしました。これも戦争継続を叫ぶ皆様のおかげです。
ウクライナの特殊工作部隊がウラジオストクまで活動範囲を広げてますしこの際羅先とハサンを結ぶ鉄道橋も爆破してほしいものですね
それは、他人頼りではなく、むしろ我が国の特殊部隊に求められている要求なのでは?
そういう他国における爆破や暗殺などの工作も、今後はわが国もしていかなきゃならないでしょう。
北に対する破壊工作なんて何のために????
その前にだれか横田めぐみさんのこと思い出してくださいよ。
破壊工作なんかでなんとかなるんでしょうか?
お母さん可哀そうでしょ。
ウクライナの特殊工作部隊がウラジオストクまで活動範囲を広げてますしこの際羅先とハサンを結ぶ鉄道橋も爆破してほしいものですね
これ韓国は気が気じゃねいでしょうね。今までは船か砲撃で挑発がメインで地域も限られてましたが無弾頭の囮期がちらほら飛んできただけで国中大パニックですよ
ドローンでの挑発に関しては韓国側が先に仕掛けているというのが皮肉ですね
報道を見る限りですとドローンを使った越境作戦は北朝鮮によるソウル上空侵入が最初だったと記憶していますが、貴殿の認識ですといつの話なのでしょうか?
北朝鮮は今回のロシア派兵で東アジアで最も優れたドローン戦術を身に着けたと言っても過言ではなく、また北朝鮮兵器の性能や信頼性も劇的に向上し、ドローン量産も目前と。
実際問題、北朝鮮となにか武力衝突があった場合は今のウクライナのように大量の無人機と弾道ミサイルが撃ち込まれるのは確定ですが、本邦国民にはウクライナ人ほどの覚悟などあるはずもなく順当にすぐ停戦しそうです。
北朝鮮も本邦を軍事的に征服するには不可能ですから、停戦条件としては毎年の北朝鮮への上納金義務付けと北朝鮮への民生分野での技術供与を義務付けるあたりでしょうか。
この条件なら我が国はすぐ乗りそうです。
煽りにしてはレベルが低すぎる
その程度でヤれると北が思っているならとっくの昔に弾道ミサイル日本国土に落としているので?どちらかと言うと定期便ミサイル同様またドローン飛ばしてるよで領空入り次第撃ち落としてる日々になるだけでしょう
北朝鮮に従属する必要ないでしょ
向こうができるならこっちだって出来るわけですから巡航ミサイルと無人機束にしてぶち込めばいいわけですから。
学習曲線効果があるだけでなく、ロシアにとっても戦時中に安全地帯から物資支援を受けられるわけですから、技術支援するインセンティブもあるんですよね。
北朝鮮は、ロシア軍事支援の経済効果が3兆円以上と見積もられていて(韓国国防研究院5月17日まで)北朝鮮GDPの1年分を獲得したうえに技術支援が加わるわけです。
ウクライナ戦争はロシア=ウクライナが、世界最強レベルのドローン・無人機対策をして対処しているため、被害が抑えられてると考えるべきだと。
日本に、これらの兵器を大量に飽和攻撃として向けられれば、(対処できる能力・武器がないため)初動はどうしようもないことを覚悟すべきだと感じています。
正直予算面の問題ならいっそウクライナの対ドローン装備をそのまま購入するのが一番安い気がします
ウクライナ自身、各種軍需生産能力は余裕があるものの資金面でフル稼働していないって面がありますし
仰る点も、現実的な案ですよね。
2兆円の支援額を考えれば、日本国内に技術移転するような見返りを得ても当然かなと。
日本政府が、何の見返りを得てきているのかは、少し気になっています…何もないなんてことはないですよね。
欧州「ウクライナで武器作れば人件費的に安く出来るやん」
ロシア「北朝鮮で武器作れば人件費的に安く出来るやん」
北朝鮮にロシアの武器工場を作ればウクライナが手出しできないメリットもある。
北朝鮮は指導者はアレだが国民は勤勉で、ロシアでも派遣労働者として人気がある。
ウクライナは停戦しない限りロシアが爆撃し放題という致命的弱点が…
偽情報・ナラティブ拡散は両軍(とその信仰者)がやってるから仕方ないね
つい先日もSpider Web 2.0と題して「ロシア領内の線路上で大爆発」「大戦果再び」とか流れてきたけど、FIRMSで示された熱源の座標上に線路そのものが存在しなかったとかもうメチャクチャですよ
インターネット・SNSの情報拡散力の凄さと情報訂正能力の低さをまざまざと見せつけられる日々
我々が今やるべきことはアメリカとの関係強化でも北朝鮮への従属でも中国への譲歩でも無い。我々がすべき事は、ロシアや中国との関係強化そしてアメリカとの関係維持更には、中東やアジアでの勢力拡大である。我々は、多極化世界への対応をしなければならない。もう日本は、中国やロシアに強硬的な態度を取れる時期ではなくなった。
いくら西側諸国や日本が北朝鮮に経済制裁を課しても、今の北朝鮮はロシアからいくらでも支援してもらえるし、北朝鮮自体が地下資源豊富な国ですからね。あらゆる資源を輸入に頼る日本とは違う。
北朝鮮には核兵器製造に使える純度のウラン鉱山もあるから核開発ができてることを知らない日本人多すぎる。
資源については需要と供給、選択と集中の問題では……
民需優先で日本レベルの生活水準維持するなら到底北の埋蔵資源では持続不可能でしょうし、戦前から中露に定期的に重油支援とかしてもらってますし
北朝鮮の地下資源は話1/4くらいに聞いておいた方が良いです。
たとえ埋まっていたとしても、掘り出せたり、精錬できなかったり。
しかし、弾道ミサイルの命中率が数倍って、もとの命中率が酷すぎだったということですよwww。
情報戦といえば最近「F-16かSAAB 340の支援を受けてSu-35を撃墜した」という話がまことしやかに流れてますが、あれどうなんですかね。
まあこれは当事国ではなく外野が勝手に騒いでいるだけのようですが。
なお個人的にはよくある与太話の類だと思っていますが噂が一人歩きしている感があり、TWZなども記事を出す事態となってなかなか興味深い現象です。
まぁ一例なら…これから毎日撃墜(100キロ先から投弾したのに)捕虜にした!とか言い出したらもうダメッス
アウディーイカ末期のパトリオットみたいです。
北朝鮮の意図するところが最近よく分からない。
当面武力統一の目標を放棄して国体の維持に撤することにしたのか、あくまで武力統一を視野に入れた軍の近代化なのか。
最近の行動は前者のようにも見えるが・・・。
対北朝鮮で勇ましいこと仰る方がいますが、まさかいざことを構える時に「懲役対象外だから」と後方で胡座かいて煽り散らしませんよね?最前線でキチンと銃剣突撃しますよね?
何故ロシアと北朝鮮の話題で中国の名前を出す人がいるんだろう