米海軍はバージニア級原潜やロサンゼルス級原潜で運用する水中発射型UAVを5年前に導入、インド、イスラエル、中国でも同様の動きが観測され、ギリシャ海軍は新型潜水艦に水中発射型UAVの運用能力を要求していたが、ドイツのTKMSも「潜水艦に水中発射型UAVを統合する」と発表した。
参考:TKMS und SpearUAV planen Zusammenarbeit bei Sub-to-Air Loitering Systemen
そろそろ潜水艦の進化に対する認識を改めないとドローンショックの二の舞になるかもしれない
ウクライナとロシアが繰り広げるドローン戦争の本質は「FPVドローンや自爆型無人機による攻撃」ではなく、ドローンや無人機に搭載されたカメラ映像が「視覚的な戦場認識力を拡張して作戦効率を大幅に向上させたこと」で、これはウクライナとロシアの戦争で発見された新しい教訓ではなく、リビア内戦、シリア内戦、ナゴルノ・カラバフ戦争で有効性が認められ、米海軍は2017年に攻撃型原潜の戦場認識力を拡張するためSwitchblade300ベースの水中発射型UAV=Blackwing開発に乗り出していた。
Blackwingはチューブ状のキャニスターに収められた状態で潜望鏡深度からデコイ発射装置を通じて発射、海面に到達したキャニスターからBlackwingが空中に向けて射出され、自律的に哨戒飛行を実施してEO/IRセンサーで収集した情報を送信してくるだけなので原潜の位置がバレることはなく、米海軍も潜望鏡とソナーに限定された潜水艦の戦場認識力を拡張させるのに有用だと確認し、これをバージニア級やロサンゼルス級に配備するため2021年3月にBlackwingを120機発注している。
印企業のラーセン&トゥブロも2022年6月「印海軍向けに水中発射型UAVを開発する」と発表し、イスラエル企業のSPEARも潜航中の潜水艦から発射可能なNinox103UWを披露、中国の環球時報も2023年6月「チューブ発射型の限界を打ち破る画期的な徘徊型弾薬のテストに成功した」「中国初となる水中発射のテストを行った」と報じて潜水艦からのUAV運用を示唆し、ギリシャ海軍は2025年3月「老朽化が進む209型潜水艦の後継として4隻の新型潜水艦を国内建造する」「必須要件に対空ミサイルと水中発射式無人航空機の運用能力が含まれる」と明かしていた。
ギリシャ海軍は新型潜水艦の検討候補にNaval Groupのスコルペヌ型とバラクーダ級、TKMSの218型と209NG型、SaabのA26などを挙げていたが、独ディフェンスメディア=hartpunktは5日「TKMSとSPEARは水中プラットフォーム向けのSub-to-Air Loitering UAS(水中発射型UAV)に関する能力向上を目的にした枠組みで合意を締結した」「TKMSの発表によれば本契約は技術、商業、運用の各分野における協力の基盤を築くもので、水中防衛製品に新たな領域横断的な運用次元を導入することが共通の目標だ」「水中プラットフォームを無人機のキャリアとして機能させることはTKMSの技術戦略における実装プロセスの一環だ」と指摘。
SPEARのイタマール・ベン・トヴィム最高事業開発責任者も「かつての水中戦分野は緩やかに発展していたが、今では有人・無人プラットフォームの双方で新技術がかつてないスピードで取り入れられている。我々の協力の中核を成すのは秘匿された水中プラットフォームからAI駆動のカプセル封入型飛行システムを展開するという戦略的能力であり、これが将来の水中戦に深い影響を与えると確信している」と述べている。
SPEAR製のViper750はTKMS製潜水艦の標準的な発射装置(魚雷発射管ではなくデコイ発射装置)から射出可能なカプセル型ドローンシステムだと説明し「カプセルが水面に到達するとドローンが自動的に発進して自律飛行を行い、無線を通じてリアルタイムの偵察データを潜水艦に送信するだけなので、このプロセスにおいて潜水艦がその存在を露呈させることはない」と述べており、タイミング的にはギリシャ海軍向けの需要を見越した戦略的提携といったところかもしれない。
これまで何度か潜水艦向けの水中発射型UAVに関する話題を取り上げたが、もう米海軍のBlackwing導入から5年が経過し、ドイツ海軍はIRIS-Tの潜水艦発射バージョン=IDASを2025年1月に正式発注しているため212CDで運用される可能性が高く、水中発射型UAVと同じように潜水艦発射バージョンの対空ミサイルが普及し始めると「海上哨戒機や対潜ヘリが海面付近を低空飛行する対潜戦」も見直しを迫られるだろう。

出典:IDAS Consortium
日本人にとって「静粛性や秘匿性が最重要の潜水艦に余計なことをさせるな」という認識が強いが、この辺りの認識(どれほど静粛性や秘匿性が高くても認識力=情報を持ってないと効果的ではない)を改める時期が来ているのかもしれない。そうしないとドローンショックの二の舞になるかもしれない。
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※アイキャッチ画像の出典:SPEAR





















潜水空母再び…なのか?
動画みた感じでは、視界を拡張する為とはいえ虎の子の潜水艦を危険に晒すのは割に合わない感が。偵察ドローン運搬したいだけならウクライナ無人ボートみたいのに積んで戦域で放ち、それを潜水艦で受信するとか、無人潜水艇(魚雷のでかい奴的な)から放つとか。シュノーケルを探知出来るとされている現在の哨戒機に動画のような派手な打ち上げバレバレな気がします、徘徊弾薬ならまだ分かるのですが。
射出物が小さいからと高をくくっているのか仮想敵が専用設計の対潜哨戒機を70機揃えようなんて国じゃなければ大丈夫って考えかも。
こういうシステムの肝って使うUAVの性能よりも如何にステルス性の高い通信システムが構築できるかだと思うので
受信側の工夫が見てみたい。
そりゃ、対潜ヘリはディッピングソナーの真上に必ず居るのでしようが、パッシブソノブイに探知された潜水艦が固定翼機の接近を知る方法なんて有るんでしょうか?
UAVの射出も原潜は大丈夫でしょうけど、可潜艦はソレが湧いた地点の一定範囲内で必ずディーゼル回してシュノーケル使うんですから水中航続距離次第ですかね。
被害が確認された地点にしつこく張り付くって昔からある対潜戦術ですから。
どうなのでしょうね。
WW2時にドイツ海軍は、一時期、Uボートに対空砲を増設して対潜機対策としましたね。
結果は、最初は上手くいったのですが、すぐに対策されました。
対空砲の射程外で接触され続け、増援を呼ばれ、最後はめった撃ちされたそうです。
それで、ドイツはスノーケルの開発と潜水艦の水中高速化を目指したのだと思います。
今の潜水艦は、その延長上にあるでしょう。水中高速も頑張って40ktくらいでしょうし。
戦場認識能力拡大は大変良いことなのですが、他に方法はないのかな、などと思います。
あと、UAVで得た情報の伝達はどうするのかな。
音波は使えないだろうから、光ファイバーケーブルで潜水艦と海上とを結ぶのかな。
であれば、水の抵抗を考えると、光ファイバーケーブルだけとはいかないでしょうし。
妄想は要りません
>無線を通じてリアルタイムの偵察データを潜水艦に送信するだけなので、このプロセスにおいて潜水艦がその存在を露呈させることはない
無線って事は潜水艦側が潜望鏡深度まで浮上しないといけないって事ですよね?これってかなり危険なことと思いますが。
潜水艦発射型対空ミサイルについてもまず潜水艦側が航空機に狙われてる状況をどうやって把握するんでしょうか?最後の切り札的な物かもしれませんが限られた魚雷搭載数を割いてまで搭載すべき物なんですかね。
対空ミサイルを持ってる事を示す事で哨戒機や哨戒ヘリの行動を制限させる抑止効果はあると思いますが。
水中、水上型ドローンの有効性は充分理解出来ますが潜水艦にあれこれってのはやらせるのはどうなんだろうって思ってしまいます。日本人なんで(笑)
たぶん攻撃のための手段ではなく、浮上する直前に哨戒ドローン打ち上げて安全を確認したうえで浮上するという用途なのでは
潜水艦発射型対空ミサイルは、昔、中国の潜水艦が日本の対潜ヘリに追い回されたという話があるので、そういうとき回りながら対空ミサイルを打ち出す感じな気がする
日本の場合は、潜水艦からの攻撃手段と言うより、P-1が得意の低空飛行でのASWが封じられる可能性の方が問題なのでは。
また「P-1は時代の趨勢を読み違った駄作機だ」とか騒ぐ「軍事評論家」が出てきそう。
水中からのドローン展開というのは今後増えてきそうではありますが、有人潜水艦でやるにはリスクが高すぎるように思える。
それこそUUVから発進させれば探知・撃沈されてもある程度割り切れるでしょう。
まあ日本みたいに潜水艦を自国海域内での待ち伏せに特化させてる場合、近くの陸上部隊から偵察無人機発進させればいいじゃんとなりそうですが…
逆の発想も可能で、
近い将来、潜水艦の認識能力の拡大と、陸上部隊から発射させる対空対艦の極超音速ミサイルが結びつけば、非核推進の本邦有人潜水艦といえど自国海域内の待ち伏せに特化させる必要がなくなるのでは。
そもそも衛星通信でUAV操作できるんなら、その辺にばらまいてバッテリー続く限り巡回させて、バッテリーが切れそうになったら自動的に港に戻るルンバみたいなことさせておけばいいんじゃないんですかね
いや、深海棲艦だこれ!!
どうせアンテナを水上に上げないと通信出来ないので、アンテナかシュノーケルの先に取り付けておいてもいいかも。
これは、さすがに使い捨てでしょう。