米国関連

トランプ政権は来年度の国防予算に約239兆円を要求、F-35調達数もほぼ2倍に

トランプ政権は2027会計年度の国防予算として1兆5,000億ドル(約239兆円)を議会に要求する予定で、これまで調達削減が続いてきたF-35も前年度と比較して「ほぼ2倍」となる計85機の調達を要求しており、増額された資金の大部分は「産業基盤の再建」と「弾薬不足解消」に投資される。

参考:White House’s historic FY-27 defense budget fueled by $350B reconciliation request

要求通りの金額が通ればFY2027に解放される資金の総額は1兆7,000億ドルとなり、この巨額な支出が議会を通過するのかどうかに注目が集まる

トランプ政権は2026会計年度=FY2026の国防予算を「通常の歳出プロセスによる裁量予算=8,387億ドル」と「再調整法案による義務的支出=1,562億ドル」の二段構えで構成し、エネルギー省が管理する核関連プログラムへの資金配分まで含めると安全保障分野の支出額が1兆ドルを突破して注目を集めた。

出典:The White House

この国防分野の義務的支出は大幅な減税、国境警備の強化、不法移民対策、社会保障・福祉の歳出削減などを含めたOne Big Beautiful Bill Act=OBBBA/OBBA(一つの大きな美しい法案)の一部で、国防予算を裁量予算と再調整法案の二段構えにするのは「民主党の議論引き伸ばし=フィリバスターによる抵抗を封じ込める政治的手段」であり、トランプ政権はOBBBAの成功体験に基づきFY2027の国防予算を「裁量予算=1兆1,500億ドル」と「義務的支出=3,500億ドル」の二段構えで議会に提出する見込みだ。

まだ正式なFY2027の国防予算案は発表されていないものの、Inside Defenseが米行政管理予算局(OMB)から入手した情報によれば「裁量予算から兵器、装備、艦艇、航空機等の調達に約2,600億ドル」「裁量予算から研究、開発、試験、評価(RDT&E)に約2,200億ドル」「再調整法案から調達とRDT&Eに2,800億ドル」「裁量予算と義務的支出を合わせた調達とRDT&Eへの総投資額は約7,600億ドル」で、そのうち65.8億ドルで戦闘艦18隻と非戦闘艦16隻を調達する。

出典:RNLASF photo by Master Sgt. Cristian Schrik

これまで調達削減が続いてきたF-35も計85機(裁量予算で32機+義務的支出で53機/F-35Aが38機、F-35Bが10機、F-35Cが37機)の調達を要求し、FY2026の要求が計47機(F-35Aが24機、F-35Bが11機、F-35Cが12機)だったことを考えると調達数はほぼ2倍で、Inside Defenseは調達増加の理由について「FY2026後半にBlock4対応機体が製造されるため」と指摘しているが、これはLot18以降にAN/APG-85対応のバルクヘッド構造体を備えた機体製造のことを指しているものの、AN/APG-85の開発・製造が間に合っていないためBlock4対応機体はレーダー未搭載での納入がほぼ確実されている。

ただし、FY2027で要求した計85機の資金は「Lot19後半~Lot20前半で製造される機体」をカバーする資金だと思われ、少なくともLot20で製造される機体はAN/APG-81とAN/APG-85の両方に対応したバルクヘッド構造体を備えているため、FY2027の国防予算案は「Lot20以降にF-35の調達量は増加に転じると示唆している」と解釈するのが妥当だろう。

出典:Lockheed Martin

FY2027の国防予算案はゴールデンドームやF-47への資金供給も明記されているが、1兆5,000億ドルまで増額された資金の大部分は「産業基盤の再建」と「弾薬不足解消」に投資され、OMB関係者も「FY2027の国防予算案は国防総省が過去数カ月に発表した弾薬増産の枠組み契約を賄うもので、備蓄の積み増しだけでなく弾薬産業基盤そのものを拡大する投資だ」と指摘した。

まだ情報は限られているものの「FY2027の国防予算案(1兆5,000億ドル=約239兆円)はFY2026と比べて44%増」「対イラン作戦=エピック・フューリー作戦の戦費を賄うため提出された2、000億ドル(約32兆円)の補正予算はFY2027の国防予算案と別」「要求通りの金額が通ればFY2027に解放される資金の総額は1兆7,000億ドル=約271兆円」となり、この巨額な支出が議会を通過するのかどうかに注目が集まる。

出典:防衛省・自衛隊

追記:AN/APG-85は輸出許可が下りていないため、F-35プログラム参加国やFMS経由でF-35を購入するパートナー国向けの機体はAN/APG-81対応のバルクヘッド構造体のまま、つまりAN/APG-85対応のバルクヘッド構造体問題やAN/APG-85供給問題とは無縁だ。

米空軍はBlock3対応機体をBlock4にアップグレードするコストが高価で「Block4対応機体が出てくるまで調達を削減する」と説明していたが、AN/APG-81をAN/APG-85に換装するには機体構造と一体化したバルクヘッドを交換する必要があり、AN/APG-85の輸出許可が下りない場合「F-35プログラム参加国やFMS経由でF-35を購入するパートナー国の機体はAN/APG-81のまま=Block4の機能は制限されたまま」になるのだろうか?

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Nicholas Rupiper

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コメント

  • コメント (10)

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    • Kaeru
    • 2026年 4月 03日

    世界征服でもするつもりなのかな

    5
    • 匿名
    • 2026年 4月 03日

    わーくにのT氏もそうだけど、変なのがトップになると大変だね。

    11
      • 名無し
      • 2026年 4月 03日

      そういうコメントはやめましょうよ

      38
        • 他人事では無い
        • 2026年 4月 03日

        良くやっているよ。

        5
      • Ard
      • 2026年 4月 03日

      金増やすのは必要だからこれは構わんよ

      3
    • たむごん
    • 2026年 4月 03日

    中間選挙後(厳しい情勢)ですから、国防予算このままでは通過しないのでは?

    共和党民主党、どちらにも国防費増加を歓迎する議員もいますが、どちらにも財政規律を重視する議員もいるわけで。
    議会上層部の求心力次第とも言えますが、党議を優先するとすれば、順当に考えればここまでの予算認められない気もしますが…どうなりますかね?

    日本の予算年度内成立でも、高市政権が衆議院選挙に圧勝したわけですが、高市政権=自民党(参議院)に隙間風があるとも言われているようですし。

    6
    • 全てF-35B
    • 2026年 4月 03日

    F-35の数を増やさないと、F-16の寿命もある。
    レーダーの件は後回しでも良いから、数を増やしてもらいたいね。
    AN/APG-85は、現行の機体に載せられるのかな?

    2
    • 白髪鬼
    • 2026年 4月 03日

    日本の2026年度予算案のほぼ倍ですね。文字通り桁違いで、世界が束になってかかっても勝てないのも道理です。

    8
    • かず
    • 2026年 4月 03日

    自衛隊の全固定翼機数を足しても米軍の給油機数に届かないって頭がクラクラしそうですが
    米軍にとってはそれでも足りないようですね

    1
    • マミー
    • 2026年 4月 03日

    予算が通ったとして、その生産を何処で行うのか。
    その為の施設、人員、資材等が不足してるのがアメリカの現状なのに。
    トランプの公約たるアメリカ製造業の復活は、まだ全く達成されてないのだが。

    てか今回のイラン攻撃で確実に全ての資材価格が上がるから、資金不足も確定してる。

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