中国関連

中国空軍はJ-20を200機以上保有が確定、大量生産への移行が濃厚

米ディフェンスメディアは第14回珠海航空ショーに展示されたJ-20やJ-16の製造ロットを示す数字から「中国空軍はJ-20を200機以上、J-16を240機以上を保有している」と指摘しており、J-20の大量生産が始まっていることを裏付けている。

参考:Zhuhai Airshow display reveals info on China’s J-20, J-16 inventory

米空軍が中国空軍にステルス戦闘機の数的優位を失うという事態が現実のものになるかもしれない

成都飛機工業公司は昨年「多くの部隊が引き渡しを待っていた機体は困難な問題に直面していたが、幾つかの重要なテストをクリアしたため同社の航空機は過去最高の納入数を記録した」と発表、これを受けて中国メディアも「パズルの最終ピースだった国産エンジンの問題が解決したJ-20は大量生産の段階に突入した」と報じており、米上院軍事委員会も「中国は2025年までに第5世代戦闘機を米国より多く戦場に配備することが出来るようになる」との認識を示していた。

出典:flickr経由 L.G. Images/Public domain

さらにSCMP紙も中国空軍が調達するJ-20の具体的な数について「200機(最終的な取得数ではない)」だと報じて注目を集めていたが、米空軍は現段階で中国が保有するJ-20に数について「49~70機(実戦部隊に配備されている数は33機~55機)前後だろう」と見ており、中国空軍がJ-20をどれだけ保有しているのか、同機を200機調達するのにどれだけ時間が掛かるのかなどは謎のままだった。

しかし中国は第14回珠海航空ショー(中国国際航空宇宙博覧会)でJ-20の地上展示を一般に公開したため製造ロットを示す数字が確認でき、中国の防衛産業や中国空軍の事情に精通したアンドレアス・ルプレヒト氏は「確認された数字から展示機のJ-20は第4バッチの69番目(CB0369)と70番目(CB0370)の機体だ」と指摘したため、J-20の総生産数は最低でも208機に達している。

J-20の機体(キャノピーの後部)に記載された「CB00××」という数字は製造バッチ(CB00)と生産数(××)を示しており、これまでJ-20は低率初期生産として18機、第1バッチ(CB00)として18機、第2バッチ(CB01)として46機、第3バッチ(CB02)として56機が生産されているらしい。

つまり中国は珠海航空ショーにCB0369とCB0370の機体を展示することで「第4バッチ(恐らく2022年生産分)は70機以上だ」と西側諸国に示唆していることになり、低率初期生産機を加えれば「中国空軍は既に200機以上のJ-20を保有している」という意味になる。

出典:U.S. Air National Guard photo by Staff Sgt. Mercedee Wilds

米空軍大学の中国航空宇宙研究所は「最終的に中国空軍が保有するJ-20は1,000機程度になる」と見ており、第4バッチの生産数が今後も維持もしくは更に引き上げられると2030年までに560機以上のJ-20が追加されることになるため、インド太平洋に手持ちの第5世代機を全て投入できない米軍と中国軍の第5世代戦力は均衡もしくは逆転するかもしれない。

依然としてF-35の年間生産数(125機~150機前後)はJ-20を圧倒しているものの米軍調達数は85機(2022年実績/A型48機/B型17機/C型20機)で、F-35を最も多く調達する米空軍はBlock4が完成するまでF-35Aの調達数を削減する方針(2023年の要求数は33機/2024年は33機を下回る可能性がある)を打ち出しているため、中国軍は第5世代機の調達数で米軍にほぼ追いついた可能性が高く、欧州や中東にも展開する米軍は台湾有事に全戦力を投入できないのは明白だ。

出典:鼎盛风清

中国軍が海軍向けの第5世代機(J-35)を実用化して配備してくることを加味すれば、米空軍が中国空軍にステルス戦闘機の数的優位を失うという事態が現実のものになるかもしれない。

因みに中国空軍が保有する第4.5世代機のJ-16について国際戦略研究所(IISS)は2022年の報告書で「172機以上」と推定していたが、珠海航空ショーに展示された第172航空旅団所属のJ-16は245機目の機体だと判明しており、中国空軍は第5世代機だけなく第4.5世代機の調達も同時並行で進めていることを物語っている。

関連記事:米上院の予想が的中か、中国のJ-20がエンジン問題を解決して大量生産の段階に突入
関連記事:J-20が新たな実戦部隊へ配備されたのを米空軍が確認、最終的に1,000機保有の可能性も
関連記事:香港メディア、中国はJ-20を約200機配備する計画で推力変更ノズルを追加
関連記事:米国防総省とLMが3年375機のF-35購入で合意、発注減で調達コストは増加

 

※アイキャッチ画像の出典:中国中央電視台のスクリーンショット

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コメント

    • スポンサー・ドリンク
    • 2022年 11月 09日

    ステルス塗料は中国生産なんですかね

    1
      • 7kgj
      • 2022年 11月 09日

      中国生産ですね。

      「第7回 中国が独自開発するステルス材料──J-20の性能検証(2)」
      リンク

      23
    • 伝説のハムスター☆☆☆
    • 2022年 11月 09日

    悪夢で草

    まぁでも…米国には日本という同盟国(ポチ)がいるし、潜水艦含めて総合力ではまだまだアドバンテージあるっしょ

    23
    • 7kgj
    • 2022年 11月 09日

    J-20は今回の航空ショーで初めて地上展示を行いましたね。
    今回のデモ飛行も4機編隊は初でしたし、飛行自体もかなり高機動でした。
    中国軍としてはもう隠す必要がなく、堂々と見せれる機体になったということですね(次期戦闘機の開発も順調なんでしょうなぁ)。

    15
    • 猫ちゃん
    • 2022年 11月 09日

    いやー、マジでやばいですね。
    豊富な軍事力で内戦でも起こしてくれないもんかなぁ

    21
      • 7kgj
      • 2022年 11月 09日

      中国人民解放軍は前から中央軍事委員会に凄い忠実ですからねぇ。
      中国式シビリアン・コントロールが働いています。

      15
      • もり
      • 2022年 11月 09日

      キンペーの功績として軍閥間の統合運用や軍閥出身外による利害関係無視(当初は反発もデカかったが)で手懐けたと言うのがあるんで00年代初頭みたいな戦国時代化願望は潰えた感じなので厳しいっすね

      26
    • 航空太郎
    • 2022年 11月 09日

    敵味方、双方がステルス機を出してくるなんて、エースコンバットの世界が目の前まできちゃいましたね。

    エネルギー、食糧を自給できない中国を干上がらせるだけなら、港を機雷封鎖するだけだから簡単なのと、国営の巨大企業とかですらどんどん倒産し、住居として機能しない鬼城問題とかも酷いので、その実力もかなり虚飾付きなのは確かですが。

    衛星から各国の夜間照明を観察して実体経済を推測すると、民主主義陣営では公表GNPと夜間照明からの推測値にほぼズレがないのに対して、非民主主義陣営のソレは乖離がかなり酷い、なんて研究も発表されてたりしてます。
    ソ連は崩壊後に張りぼて国家だとバレましたが、中国は案外、虚飾が剝がされて実体が露わになるのもそう遠くはないかも。

    でも、当面は耐える時代が続きますね。

    7
      • 7kgj
      • 2022年 11月 09日

      中国の食料自給率は約95%でエネルギー自給率は80%以上ですね。
      あと、夜間照明だけで実体経済は推測できないと思いますが(日中の経済活動を推測しないのは何故?)。
      中国は都市化・電化地域が先進国より少ないので、夜間は電気消費量が少なくなると思います。

      14
        • くらうん
        • 2022年 11月 09日

        その食料自給率とエネルギー自給率こそGDPと並び検証されていない指標の一つなんですがね。
        中国の経済指標の建前と実態が違いすぎるんです。
        割と最近までは「そうはいっても」と思っていましたが、仕事関連でえらい目に遭ったのであの国の外面は全く信用していません。

        3
          • 7kgj
          • 2022年 11月 09日

          日本や欧米が加盟している国際エネルギー機関(IEA)は、中国のエネルギー自給率を80%以上と発表していますし、農林水産省の「食料需給表」は中国の穀物自給率を90%以上と発表しています。
          それでも全く信用できないのなら貴方自身で検証して数値を出すしかありません。
          また、貴方が仕事関連でえらい目に遭ったことは御気の毒様ですが、貴方個人の経験談で中国全体を論ずるのは如何なものかと思います。

          5
            • STIH
            • 2022年 11月 10日

            国際エネルギー機関の元データが、なんか登録しないと見れんので確認できないのですが、確かに日本語の記事では2020年時点で80%となっているようです。
            その一方で、現実問題として2021年時点で世界一位の石油輸入国でもあるので、そのあたりいまいち食い違っているようには思います。対外依存度も50%-60%はあったはずで、天然ガスも対外依存度が50%近くはあるんで、それでなんでエネルギー自給率80%なのかって。無論砂漠に太陽パネルを大量に並べて電力を作っているのが馬鹿にならない可能性はありますが。

              • 7kgj
              • 2022年 11月 10日

              中国のエネルギー構造は石炭が約50%ですね(中国の石炭自給率は90%以上)。
              中国は再生可能エネルギーの割合も高いですし、石油と天然ガスの割合はそこまで大きくありません。

                • STIH
                • 2022年 11月 13日

                ああなるほど。肝心のエネルギー割合を見るのを忘れてました。石炭がいまだに圧倒的なんですね。最近中央がもう使うなっていう話を聞いていたので、もうちょい少ないと思ってました。そりゃあエネルギー自給率を計算したら高くなりますわ。
                一方で自然エネルギー量の割合を、少ないながらも増やしている所は、インフレラを一から作れるメリットと、工業力を生かした大量生産能力をしっかりと活用しているのは流石というべきか。
                コメントありがとうございます。

    • 南極1号
    • 2022年 11月 09日

    これではF-35の新エンジン開発待ったなし、ですね。
    最近このブログで一番衝撃的だったのが

    >M0.8→M1.2に加速するのにF-35Aは8秒、F-35Bは16秒、F-35Cは43秒かかる

    でした。

    6
      • バーナーキング
      • 2022年 11月 09日

      レガホが34.6s、スパホが50.3s(20000ft。AAM中短各2、増槽なし)とかなんで驚く様な数字じゃないと思います。

      11
    • 名無し2
    • 2022年 11月 09日

    エンジン寿命1500時間ではF-135どころか40年前のF-119の性能にも遠く及ばないが、あと10年で伸びて追いつくことも十分考えられるため全く油断ならない。

    7
    • k
    • 2022年 11月 09日

    油断は絶対に禁物…とくぎを刺しつつも、正直なんちゃって第5世代感拭えない
    急激な軍拡に空軍も海軍も人材の育成全然追い付いてないんじゃないか疑惑もあるし(米軍でさえ四苦八苦してるのに)

    1
      • 名無し2
      • 2022年 11月 09日

      国産1400℃級エンジンの寿命が当初30時間だったのがロシア製を追い越して1500時間に達したのを驚くべき進歩で問題解決みたいに宣伝してますが、F-119の時点で1600℃12000時間という。しかしエンジンを使い捨てと割り切って交換前提とすれば解決したと見做せるのでしょうか?素人には分からない世界です><;

    • 匿名
    • 2022年 11月 09日

    10年前ぐらいはおぼろげだった中国脅威論がどんどん実体化してるやん
    10億人巨大市場と労働力という果実を得るために今後も中国を育ててしまうんだろうな

    6
    • emp
    • 2022年 11月 10日

    中国の工業力なら十分あり得るけど、本当にこんなにあるのかな?
    製造ロットなんてただの数字、好きなように付けれるぞ
    200機より多い可能性も少ない可能性もどちらも十分ある

    1
    • 1.44スキー
    • 2022年 11月 10日

    全くもって油断できませんな。
    なんちゃってステルスでも、数を以て来られれば面倒臭さは一級品ですからねぇ。

    機体の整備とか後方補給がお粗末でなければ次々と上がって来るでしょう。(パイロットの規模はどうなんだろう?練度も)

    それはそうと…やっぱJ-20は私の好きなMig-1.44にまあまあ似てて、ちょっと気に入ってるのは内緒。

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