South China Morning Postは28日「中国人科学者が射程2,000km以上の地対空ミサイルを設計した」「米軍の早期警戒管制機や爆撃機を遠距離で阻止することで地域紛争への介入を阻止するのに役立つ」と報じている。
参考:Chinese scientists plan surface-to-air missile with 2,000km kill range
空中目標に遠距離からアプローチできるという能力は西側の航空作戦に破綻をもたらす可能性がある
人民解放軍空軍が実戦配備をPL-15(200km+)は射程距離で米軍のAIM-120D(160km+)を上回っており、視界外戦闘で不利な立場に追いやられた米空軍は大急ぎでAIM-260の実用化に取り組んでいる最中だが、中国は全長6mのPL-17(推定射程300km+)やラムジェットエンジンを搭載したPL-21(推定射程400km+)を開発中で、中国国営メディアは2022年10月「PL-17が人民解放軍空軍の運用兵器に加わった」と報じた。
中国が空対空ミサイルの長射程化に拘るのは「西側の航空作戦を支える早期警戒管制機や空中給油機を後方に下げさせるため」で、早期警戒管制機が後方に下がれば戦場空域の認識力が低下し、空中給油機が後方に下がれば戦術機の作戦範囲が縮小するしかなく、中国が採用する接近阻止・領域拒否(A2/AD)に合致した戦術なのだが、South China Morning Postは28日「中国人科学者が射程2,000km以上の地対空ミサイルを設計した」と報じている。
西北工業大学の研究チームは中国科学技術協会が発行する图学学报(Journal of Graphics)に掲載された論文の中で「競合相手を大きく引き離す地対空ミサイルを設計した。このミサイルの射程は2,000km以上で米軍の早期警戒管制機や爆撃機を遠距離で阻止することで地域紛争への介入を阻止するのに役立つ」「人民解放軍は移動式ランチャーで運用するため全長10m以下、重量4トン以下、製造コストの安価なミサイルを求めていたが、全長8m、重量2.5トンで地対空ミサイルを設計することが出来た。固体ロケットモーターで垂直に発射され、ラムジェットエンジンによって大気圏上層を飛行する」と言及。
South China Morning Postも西北工業大学の研究チームが設計した地対空ミサイルについて以下のように報じている。
“この地対空ミサイルは同大学が2年前にテストした極超音速機『Feitian-1』をベースにしたものだ。Feitian-1は安価な灯油を燃料に使用する世界初の極超音速機で、ブレンデッドウィングボディの採用で大気圏内での航続距離が大幅に伸びた。このミサイルは偵察衛星のリアルタイムデータによって誘導され、標的への最終アプローチは搭載センサーによって行われる”
“中国はリモートセンシング衛星システム(吉林-1/2023年6月時点で130基/打ち上げ目標は130基から300基に拡張が決まっている)によって強力な監視網を確立している。このシステムは飛行中のF-22を追跡することができ、特に早期警戒管制機、空中給油機、爆撃機などの大型機は滑走路に姿を現した時点でAIが視覚的に識別し追尾を行う。これは中国が開発してきたA2/AD能力の一端に過ぎない”
要するに「2,000km以上離れた空中目標への誘導はリモートセンシング衛星システムの識別能力と追尾能力によって実現可能」という意味だが、この技術が実用レベルの域に達しているのか、西北工業大学の研究チームが設計した地対空ミサイルがいつ実用化されるのかなど不明な点も多い。
それでも「空中目標に遠距離からアプローチできる」という能力は西側の航空作戦に破綻をもたらす可能性があり、早期警戒管制機に集中する認識力や管制能力の分散、空中給油機の小型・無人化による分散は急務といえるだろう。
関連記事:中国空軍の対空ミサイルPL-17が登場、400km先のAWACSや空中給油機を攻撃可能
関連記事:PL-15との交戦範囲ギャップを埋める米国のAIM-260、実用化に向け順調にテストを消化中
※アイキャッチ画像の出典:DARPA
こりゃ興味深いですね。
やっぱり早期警戒機の脆弱性は今後深刻な問題になるんでしょう。早期警戒機はまだ代替手段がありそうですが空中給油機はそう簡単にいかないので悩ましいところです。
こちらもパトリオット2発繋げたような長距離ミサイル作って対応したらどうかなと思います。あと数年前にF-15かF-18からSM-6ぶっ放すって話あったけどどうなったんでしょうか。
AEWやタンカーだけでなく、P1やP8のような対潜哨戒機も対象でしょう。
海自の対艦ミサイル投射能力量で考えると哨戒機のASMが主力でしょうから、日本としても対潜索敵および対艦ミサイル攻撃の両方で戦略の見直しが必要という大事。
((((;゚Д゚))))
胡散臭いと思ったけど米軍のスクラムジェットエンジンのX-51も一応ケロシンだったしラムジェットなら十分いけるか
しかしF-22を衛星で探知するのはかなり眉唾もの
レーダーは当然使えないだろうし、残るは赤外線、可視光だけど必要なメートルオーダーの解像度、監視範囲を持つ衛星を常時待機させるとなるといったいどれだけ巨大膨大になることやら…
駐機中に潰したほうがいいと思うけどなあ
吉林1号のカメラは飛行中のF-22らしき航空機や旅客機の追尾に成功していますね。
今後の戦争はまず人工衛星の無力化から始めないといけないような。
“吉林1号”曝光实力!成功跟踪F22空中飞行,还搞了场直播
リンク
1億画素、1画素あたり1mとして10km四方
地球の表面積は510,100,000km2あるので全天リアルタイムで撮影し続けるには500万の衛星が必要
でも超水平線レーダーで大まかなあたりをつけて衛星の撮影範囲に入るタイミングを合わせて誘導すればワンチャン?
中国はOHTレーダー網や無人偵察機等と連携して、常時探知・追尾できるシステムを構築していますな。
ただし地球の表面を全て常時監視する必要はなく、南シナ海や米軍基地がある場所を常時監視できれば中国としては十分かと。
静止衛星は遠すぎ、低軌道衛星ではぐるぐる地球を回って一点に留まれないから全天を覆うしかない
南シナ海や極東の米軍基地を常時監視する場合は全天を覆う必要がないと思います。
また、中国は分解能が数mの静止衛星(遥感41号)を運用しておりますので、中国近海は中国が常時追尾できる状態かと。
2035年までに138個の衛星を打ち上げて世界中何処でも10分毎に監視できるようにするって書いてあった
コレを回避するには潜水艦しか無いかな
それも出航時は補足されるんやろうけど。。。
もしくは衛星破壊をやるか
ケスラー・シンドロームが現実味を帯びてくるからやめて欲しい話ですが、衛星による目標監視が実用的になったらやらざるを得ないんでしょうねぇ
早期警戒機・空中給油機は、速度が遅く・断面積が大きく・機動性も低いため、ミサイルに狙われると回避は難しいでしょう。
ロシア早期警戒機が、S200と思われる長距離対空ミサイルが撃墜、代替が難しい事から衝撃が走りました。
米軍も、早期警戒機を撃墜されれば大体も難しく、再生産も簡単にできません。
米軍の早期警戒機は、ステルス機の索敵補助・データリンクシステムによる誘導の中継など、あらゆる作戦の核を担っています。
早期警戒機が、撃墜される事も戦訓になりましたが、いざ対応するとなると作戦の制約が物凄く大きく苦しいですね…
攻撃するのは良いとして、量産中のKJ-500や開発中の艦載AEWのKJ-600を中国自身はどう守るかも気になるところ。
ロケットモータ除いたラムジェット部分の大きさと飛翔距離はどんなもんなんだろ?
モノによっては空対空もでき、ないかさすがに
ブースター込みでもキンジャール(≒イスカンデル)よりは大分軽いしできない事はないんじゃないですかね。
厄介だなぁ…
そうなると実用化出来たらグアムも射程に入れれそうだし
うかつにグアムに大型機を回してしまうと雪隠詰めになってしまうから
米空軍の戦略爆撃部隊も大改編が起きそうですね
B-52では狙われると間違いなく生き延びれないから一気に退役の波が起きるかも
極超音速巡航ミサイルがベースですね。
であれば、普通に迎撃ミサイルを配置でしょうか。
PAC-3で墜とせるのはキーウで実証済でしょうし。
他に、味方の大型機を守るためにも、護衛戦闘機に
載せられる迎撃ミサイルも必要でしょうか。
味方の大型機には輸送機も居るでしょうし。
迎撃ミサイルの(極超音速相手だとかなり狭い射程範囲の)庇護エリア内じゃないと、AWACSが飛ばせないことに。。。
今でしたら、F15にPAC-3ミサイルを装備でしょうか。
315kgで全長5.2mだそうですから、
AIM-120よりひと回り大きいですが、
AIM-54 フェニックスよりは軽いでしょうし、
技術的には出来そうな気がしますが。
PAC-3ミサイルの価格は1発5~6億円しますので数を揃えられるかどうかですね。
中国の新型地対空ミサイルは安価らしいので大量に発射しそう。
また、既存の対空ミサイル(PL-15、PL-17、PL-21)も一緒に発射されると思うので、射程が短いPAC-3を搭載するF-15で対処ができるかどうか。
護衛対象となる大型機の前方に展開でしょう。
かつ、護衛機の機数にもよりますが、前衛と直衛に分かれるでしょう。
仮に、14と同じように6発/機の携行ができれば、
2ロッテ(4機)で24発の携行ができることになり、
これだけあれば、相当な数が来ても問題ないでしょう。
安価なSAMと言ってもお値段は一体いくらでしょうね。
長射程であることと、誘導を考えれば、
お安いというわけにはいかないでしょう。きっと。
1機6発の携行だとパトリオットは30億~36億円し、4機24発の携行だとパトリオットは120億~144億円します。
参考にAIM-120Dの価格は1発約1億円ですので、既存の対空ミサイルも混ぜれば24発以上発射することは可能だと思います。
さらにPAC-3は射程が短いので、PAC-3搭載のF-15は空対空戦闘で不利です。
先に既存の対空ミサイルでPAC-3搭載のF-15が無力化される可能性もあります。
地上発射型の地対空ミサイルと戦闘機に搭載された空対空ミサイルでは投射量が違いますからね
仮に戦闘機に搭載されたPAC-3で迎撃するにしても打ち切ったら迎撃不可能になり撤退する羽目になりますし、迎撃率も100%では無い上に自機も狙われたら回避行動を取らざるおえず迎撃のチャンスが減ることにもなりますので中々上手くいかないのでは無いか?と思います。
仮にF14と同様に6発/機のPAC-3を傾向すると、
2ロッテ(4機)で24発を傾向することになり、
1目標に2発を発射したとしても12発のミサイルを
相手にできることとなり、まずは大丈夫では。
PAC-3で落とせるのは実証済みって、キンジャールは空中発射弾道ミサイルですよ
弾道ミサイルを極超音速ミサイルと混同するのはよくないっす
ツィルコンも撃墜しているようですね。
他所の記事よると、ツィルコンはキンジャールと
比べて、大分進歩しているようですし。
射程2000キロの対空ミサイル・・・
こんな物が実用化されて実戦配備されたら既存の航空戦は根底から覆るでしょうね。
恐ろしい・・・KC46なんて欠陥機導入してる場合じゃない!
無防備な空中給油機を襲うと、敵の攻撃範囲が狭まる戦術、半世紀前の「レッド・ストーム作戦発動」からまったく変わってなくて、トム・クランシーの先見の明、大好き。(ただしジャック・ライアンが出演する作品を除く。)
B21をベースにしたような空中給油機を開発するしかないだろうなあ。早期警戒機は小型のセンサーだけばらまいて済ませるようにして。
AWACSの能力の要点は早期警戒よりもむしろ戦術管制にあるんですがね
まあこんなに狙われると規模の必要になる管制は諦めるしかありませんが
では管制をどうするのかというと、これは厳しい
どうしても人数が必要になりますからね
ノードを大量にばらまいて後方のAWACSなり指揮所なり艦艇なりと中継するしかなさそうですね
そうなると電磁スペクトラムでの妨害とかがネックになる訳ですが・・
空中給油も空飛ぶバディポッドみたいな感じで、小型の無人機タンカーを多数飛ばす形になるのかな?早期警戒もレーダー発信無人機と受信専用の無人機で分散センシング?
なるほど弾道飛翔する極超音速滑空SAMですか。射程2000kmといえば、福建省から撃っても岐阜基地上空の航空機を落とせる、あるいは内モンゴルから撃っても日本海全域が射程に入るくらいですかね。この手の長長射程SAMは冷戦時代によく構想・配備されましたが、本体の大きさ故に発射母機を選んだり誘導性能(機動性)が犠牲になるような代物でした。しかし見立通りなら極超音速で突入できるはずで、命中精度は旧世代品とは比較にならないでしょう。ターゲッティングは長射程ゆえにやや煩雑そうですが、中国の打ち上げ能力を考えるとこれも(その気になれば)機能させられるのではないでしょうか。
いざ配備してもレゲンダのように無用の長物になりそうな気もしますが、そうなると言われたとDF17は結局量産化されて米海軍の接近拒否に役立っています。あの国がやると決めればこのコンセプトの効能や効率はともかく実装されるかもしれませんね。
ところで、極超音速滑空体のブーストフェイズの軌道は弾道ミサイルとどの程度区別できるんでしょうね。つまり弾道ミサイル、特に核ミサイルと誤認させうるような兵器は(この場合米国の核報復を誘発する可能性があるため)安易に使えません。中国は弾道ミサイルの運用に関しても先制不使用ドクトリンを前提に自由闊達な通常兵器体系の構築をやってきましたが、核軍拡の方針が公然の秘密になっている昨今で米国のような冷戦式の核戦略を持つ国に対してこれらがどこまで許容されるのか。
香港のメディアなんで御用メディアのニュースでしょうけど
射程2000kmって上海から測定しても函館辺りまで届きますからね
中国東北部から狙えば日本全土逃げ場無いですし、中国各地に配置すれば台湾、日本、韓国、フィリピン全部射程に収まりますわ
リモートセンシング衛星は精度はF22も把握できるとかこの記事の発表は盛り過ぎと思いますが
長期的には”そういう時代”になる事は確定してますよね。つまりセンシングもAWACSのような大艦巨砲主義というか1点豪華主義のものはそれが撃墜されたら終わりなのをウクライナ戦で実証されてしまいましたからね。
豪華なリモートセンシング機能を盛った航空機という選択肢はリスクしか無くなりましたので、戦艦から空母に決戦兵器が変わったようにエントロピー増大の法則でセンシング技術、ネットワーク技術、無人機技術を組み合わせた大量生産可能な安価なドローンや衛星のネットワーク型で信頼できる敵情把握に脱皮できなければならないでしょう
日本はこの決まっている次の時代についていけるのか?という事ですよね。
因みにセンシング関連で、時価総額が世界最大の企業はキーエンスです。7位にオムロンも居ます。
その他にもセンシング関連は結構良い企業が日本にはあります。
H3成功で宇宙への衛星投射コストは大きく下がりましたし、和歌山でなんか大手出資の民間企業が頑張ってますし(失敗しましたが)。
次の時代も的確な姿を想像できる人間が次世代の防衛網をデザイン構築していけば日本の防衛は次の時代では何なら今よりももっとイケてる防衛能力を獲得できるかもしれません。
出たな、よくサムネに使われるけどそれが何のミサイルかは誰もよく知らない例のミサイル
(レイセオンの)HAWCコンセプト図で、山に沈む夕日をバックにしたバージョンや緑色のものもありますね。
口を開けたサメのようなタイプも…
高空を飛んで空気抵抗を減らして距離を稼ぐやり方っすな
速すぎて制御できんのかなと思ったけどよく考えたら途中で減速すりゃいいから対地目標より制御が簡単そうだ
中国版スターウォーズ計画ってところか。本家アメリカ同様に「野心的な計画に過ぎない」のか、やり遂げてしまうのかは分からんが。技術的・経済的にほぼ中国一国でやる事になるが、どこまでやれるんだろうな。
いっそ巨大なレーザー砲を積んだ機体を飛ばして護衛にするとか…
というか、この手のミサイルって撃たれる側からは捕捉できるものなんでしょうか?
普通にAWACSに自衛用AAMを積めばいいのでは? AAM4を8発くらい積んで、中間誘導は自機のレーダー+指令誘導で、最終誘導はミサイル搭載のシーカーが勝手にやる、飛んでくるのはほぼ直線番長だろうから余裕で墜とせるのではなかろうか。大型機なんだから、必要なAAM、誘導アビオを追加で積むのは十分可能だと思うけどな。
なんか段々とドローン時代の考え方が分かってきた気がする
ある程度の被害リスクを許容すれば精密誘導ミサイルの対策なんて実は簡単で
結局ミサイルよりも低コストなダミードローンを大量に飛ばしてコスト競争に勝てば良いだけという結論になる
そしてもしかしたらこれは米欧中の航空軍事企業よりも低コストな汎用自動車部品の大量生産基盤とノウハウを持ってる日本の強みを活かせる分野かもしれない
だって汎用航空部品よりも汎用自動車部品の方が遥かに安いんだもの
ならその辺に売ってる中古のバイクや自動車のエンジンや部品やその生産ラインで飛ぶ中~大型無人機でも開発すればいい
例えば滑走路から自力で離陸するエンジン能力は必要なく、通常の飛行場の滑走路から牽引式のカタパルトで打ち出し数百時間程度で使い捨てるレシプロ機、中身のシステムも非航空グレードの民生部品と規格という条件なら
長距離ミサイルよりも低コストな長距離無人機を中古の汎用自動車部品や生産ラインの使い回しで量産できるでしょ。出来ないとは言わせない
だってロシアや北朝鮮の兵器の中身の民生部品を見てみれば、彼らが日本レベルの自動車産業持ってたら
彼らなら絶対それを基盤とした低コスト兵器を大量生産してくるってもう絶対確信できるから
これをベースに対艦ミサイルを開発して、補給艦や輸送船を狙い撃ちし続けられるようにしてきそう
実際、古い地対空ミサイルを対地攻撃用に改造した例も出てきましたし
いろいろ転用できそうな技術ではありますね。