中国関連

中国空軍の対空ミサイルPL-17が登場、400km先のAWACSや空中給油機を攻撃可能

中国空軍が超長射程の空対空ミサイル「PL-17」の実物を搭載したJ-16を公開、価値の高い敵航空機(AWACSや空中給油機など)を400km先から狙うことが可能らしい。

F-35Aの航続距離を改善するAETPの必要性は米空軍にとって必要不可欠なものになるだろう

中国空軍が実戦配備を開始したPL-15(200km+)はAIM-120D(160km+)を射程距離で圧倒しているため米空軍は視界外戦闘で不利な立場に追いやられており、このギャップを埋めるため米空軍は現在大急ぎでAIM-260を開発している最中だ。

出典:彩云香江

ただ中国空軍は2種類のPL-XXを開発中で1つラムジェットエンジンを搭載したPL-21で、もう一つはPL-15とPL-21の中間に射程300km+と推定されるPL-17(もしくはPL-18)なのだが、超長射程の空対空ミサイル「PL-17」の実物を搭載したJ-16が公開されて注目を集めている。

しかもPL-17の射程は400kmだと言われており、これが事実ならAWACSや空中給油機といった機体は更に後方へ下がることを余儀なくなされる=米空軍の作戦効率は更に悪化することが予想され、F-35Aの航続距離を改善するAETPの必要性は米空軍にとって必要不可欠(台湾海峡で戦うことを想定していない日本を含む同盟国のF-35Aにそこまでの航続距離が必要か別問題=恐らく必要ない)なものになるだろう。

出典:艺伟影像

このタイミングでPL-17を搭載したJ-16が公開されたということは、今月8日に開幕する珠海航空ショーでPL-17を正式に発表する可能性もあるが、既に会場には昨年発表された無人戦闘機「FH-97」の新しいモックアップ(初期設計から大きな変更が加えられたFH-97AはFH-97とは完全に別ものになっている)が運び込まれており、中国版アイアンドームではないかと推定される防空システムなどの展示が確定している。

今回の珠海航空ショーには見たこともない兵器が相当量展示される可能性があり、日本にとっては良くないニュースが届くかもしれない。

関連記事:中国で間もなく開幕する珠海航空ショー、無人機がショーのハイライトに
関連記事:中国、珠海航空ショーで有人機とチーミングが可能なステルス無人機「FH-97」を発表
関連記事:PL-15との交戦範囲ギャップを埋める米国のAIM-260、実用化に向け順調にテストを消化中
関連記事:F135EEPではダメ、F-35A Block4にAETPが必要な9つの理由

 

アイキャッチ画像の出典:彩云香江

ポーランド、ロシア領カリーニングラードを封鎖するための壁建設を発表前のページ

高まる無人機需要、インド陸軍が2,200機以上のUAV緊急調達計画を発表次のページ

関連記事

  1. 中国関連

    中国メディア、米軍の事故や火災は中国周辺での軍事作戦増加が原因

    中国メディアは21日、火災や事故が頻発する米軍について「中国周辺での軍…

  2. 中国関連

    中国の台湾侵攻を米軍と自衛隊は辛うじて阻止可能、問題は戦力の再建スピード

    英国のTimes紙は11日、戦略国際問題研究所の分析に基づき「台湾を巡…

  3. 中国関連

    J-20誕生10周年を祝う中国、噂されていた複座型の公式CGを初公開

    中国が噂されていた第5世代戦闘機「J-20」の複座型を示すコンピュータ…

  4. 中国関連

    中国の電子戦機J-16Dが間もなく実戦投入可能に、J-20との相乗効果をアピール

    中国中央テレビ(CCTV)は6日、珠海航空ショーでデビューした電子戦機…

  5. 中国関連

    中国、移動目標を攻撃可能な極超音速兵器開発でブレークスルーを実現か

    香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙(SCMP)は31日、中国は…

  6. 中国関連

    中国が極超音速滑空体のテストで米国を驚かせた理由、HGVが別のペイロードを発射したため

    中国が実施した極超音速滑空体(HGV)のテストに米諜報機関や統合参謀本…

コメント

    • ミリゲーマー
    • 2022年 11月 04日

    エスコンに出てきそうな機体のモックアップには驚いた

    2
    • 名無し
    • 2022年 11月 04日

    中国軍からもアメリカ軍からも議会からも撃たれるKC-46ちゃんかわいそう。

    23
    • 航空太郎
    • 2022年 11月 04日

    双方がAWACSを後方に配して、視界外射程ミサイル(BVRAAM)を撃ち合うような空中戦はこれまで行われた事がありませんが、AAMの小さな直径内に収まるレーダーだと認識範囲が狭く、中間誘導をしっかりやってあげないと、敵機を見つけられないなんて話もあるようです。
    射程の方はミーティアミサイルの300kmとかもあるので、PL-17も超長距離を飛びはするとしても、確実に目標を捉える為の中間誘導の方をできる算段があるのか気になるところですね。

    24
      • 戦略眼
      • 2022年 11月 04日

      素直にAWACSから直接空対空ミサイルを発射すれば良いのでは。
      400km先って、東京駅から米原駅くらいの距離があるよ。
      ドックファイトが出来る距離じゃない。
      接近されたら、護衛戦闘機(有人無人を問わず)が迎撃すれば良い。
      というか、 F-35がセンサーノードとしてAEWに近い存在になっているのでは?

      1
        • G
        • 2022年 11月 05日

        AWACSの役割を考えると、重い長距離ミサイルを搭載する余裕があるならその分燃料を搭載して滞空時間を伸ばしたほうが良いのではないでしょうか

        13
      • 名無し
      • 2022年 11月 05日

      AWACS攻撃モードについては、中間誘導はHARMみたいな「レーダー発信源追尾」なんじゃないの。
      妙に細長くてノッペリしてるのは、RCS減らして、撃たれたことに気付くのを遅らせるため(本来業務を放棄してレーダー切る判断を下すまでの時間を減らすため)だと思う。

      1
      • 名無し
      • 2022年 11月 05日

      台湾海峡で米中か戦う事を想定する場合、中国は沿岸部に大量のレーダーを配備してるのでそれを使えばAWACSを無理に飛ばす必要がないです
      逆に米軍はAWACS飛ばさないと戦場認識力が著しく低下する
      米国のシュミレーションで台湾海峡での戦いで米軍の損害が大きいとされているのはそれが原因
      まあ太平洋で戦う事を想定すれば全く話は変わってくるが

      5
    • ゆう
    • 2022年 11月 04日

    このような兵器の西側部品依存性はどのくらいかと思う。
    ロシアも西側の部品が手に入らず、苦労していると聞く。
    アメリカと直接もめごとを起こすと、西側でなく全世界から部品が入手できなくなりそう。

    12
    • djug
    • 2022年 11月 04日

    ステルス巡航ミサイルや無人水陸両用戦闘車等の存在も航空ショー前に判明していますね。
    また、J-16の生産は第11バッヂに入っていることが製造番号で分かっており、
    J-16は1バッヂ24~28機生産されているので、現在300機近く生産されている可能性大。

    • Natto
    • 2022年 11月 04日

    奇跡の新兵器なんて物は無い。
    侮るのは駄目だけど、旧海軍の酸素魚雷的な感じがする。

    16
      • けい2020
      • 2022年 11月 05日

      外見から寸法はある程度分かってるわけで、
      あの寸法で理論的に実現可能な性能なのか?というのがずっと有るんだよな

      11
    • 無印
    • 2022年 11月 04日

    ミサイルなのにロケット弾みたいな形をしてるけど、どうやって姿勢制御をやるんだろ
    後ろの羽も異様に小さい

    6
      • 名無し
      • 2022年 11月 05日

      そりゃ一部の燃料を最後まで燃やし続けてのジンバル制御じゃないの。SM3の宇宙ステージ機動みたいに側面からガスがブシュブシュ出る可能性も無くはないけど。ターゲットが旅客機ベースなので、機動力悪化については実影響少ないと踏んだんでしょう。
      低RCS化により、AWACSが撃たれた事自体に気付かれる前に高速に目標に到達する目的だと思われ。

      2
    • ホテルラウンジ
    • 2022年 11月 04日

    独裁国のこの手のハイテク兵器の性能の信ぴょう性はどんなもんなんでしょうね?
    民主主義国であればチェックが入りますから少なくともカタログスペックで謳ってる性能に嘘はつけませんが

    10
      • djug
      • 2022年 11月 05日

      海外にも輸出しているので性能に嘘は付けないと思いますよ(PL-17は輸出していませんが)。
      ただし、カタログ通りのスペックを引き出せるかどうかは使い手次第ですね。

      2
    • りんりん
    • 2022年 11月 05日

    ロシアはソ連時代から対AWACS用の超長距離空対空ミサイルの開発を進めていて、対艦ミサイル型と対レーダー型が作られたKh-31や、Mig-31M用のR-37等が開発された。
    他にも存在すると思われるが、とりあえずこの2つのミサイルは中国にも製造ノウハウが伝わっており、このPL-17の生産にも生かされているのでは無いかと思う。

    一方、米軍はAWACSが自軍の弱点になることを悟っており、老齢のAWACSを更新しないと聞く。
    代わりにさまざまなプラットフォームから得られた敵情報を集約する、インターネット的な戦場情報網を構築しようとしているらしい。
    しかし米軍でそのようなシステムが成功したとしても、同盟国である日本やNATO各国が追随するにはかなりの時間が必要。
    PL-17の命中率がどの程度であるかは実際に使用されるまでわからないが、日本も対抗策については考えておくべきだと思う。

    4
    • ブルーピーコック
    • 2022年 11月 05日

    400kmは厦門や泉州などの中国本土上空からでも台湾上空を狙い撃てる射程距離だな。台湾にアメリカの航空機を接近させないという意志を感じる。ジャミングや探知方法次第では防御手段はあるんだろうが。
    S-400の40N6シリーズみたいな長射程対空ミサイル(最大射程400km)が無いのが西側の防空兵器の泣き所よな。台湾には天弓3型という紛らわしい名前の対空ミサイルはあるが、最大射程は200kmらしいから、足りなくなってしまった。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  4. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  5. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
PAGE TOP