今月28日に開幕した珠海航空ショーで中国は国産の視界外射程(BVR)空対空ミサイルPL-15の輸出バージョン「PL-15E」を発表して注目を集めている。
参考:New version of China’s most advanced air-to-air missile the PL-15 is destined for export market
参考:FC-31 stealth fighter gets PL-15 missile, ‘among the best in the world’
中国製戦闘機の海外輸出とセットでPL-15Eが拡散すれば米国製戦闘機を運用する国にとって無視できない脅威に
中国が人民解放軍向けに開発した国産の視界外射程(BVR)空対空ミサイル「PL-15」は米国製のAIM-120よりも30cm以上(推定)全長が長く、加速用のブーストと巡航用のサステイナーの機能を備えたデュアルスラスト・ロケットモーターを搭載することで最大到達速度マッハ4.0、最大射程200km以上(300kmという説もあるので実際の射程に関して不明)という性能を誇り、米空軍はAIM-120(最新のD型で160km前後)とPL-15との射程距離ギャップを埋めるため「AIM-260 JATM(推定射程200km)」の開発を急いでいる最中だ。
このPL-15は自国軍向けで海外輸出された実績はないのだが、今月28日に開幕した珠海航空ショーで輸出バージョン「PL-15E」が登場して公開された「射程距離」が注目を集めている。
珠海航空ショーで展示されたPL-15Eの説明文に基づき環球時報などはPL-15Eの最大射程を「145km」だと報じているが、香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト紙などは中国航空工業集団が29日にWeiboに投稿した内容を引用して「PL-15Eは145km以上離れた有人戦闘機、無人航空機、巡航ミサイルなどのターゲットを攻撃する能力がある」と紹介しており、現時点でどちらの情報が正しいのかは不明だ。
#Zhuhai2021 La version export du missile Air-Air PL-15 – INS/Beidou, liaison de données bidirectionnelle, guidage par radar actif.
Dimension sensiblement identique à celle du PL-12, portée 145km. Ils n’ont pas parlé du moteur de fusée à double impulsion. pic.twitter.com/OK6ANH1cYQ
— East Pendulum (@HenriKenhmann) September 27, 2021
輸出バージョン「PL-15E」は人民解放軍向けのPL-15をダウングレードしたため最大射程を145kmに制限しているのか、PL-15Eの最大射程を秘匿するために最大射程を145kmと控えめに発表しているのかのどちらかだと思われるが、まぁ実際の射程距離は中国とPL-15Eを導入する国にしか分からないのだろう。
※PL-15Eの射程に注目する人々はPL-15EはPL-15のダウングレード版だと判断する人が多い・・・
因みにPL-15Eは同盟国のパキスタン向けに輸出されると中国航空工業集団が語ったと報じられているので両国が共同開発したJF-17の最新バージョン「BlockIII」に統合される可能性が高く、さらに海外輸出を目的に開発が進められている第5世代戦闘機FC-31(J-31)の展示用モックアップと一緒に展示されているため同機の輸出パッケージにも含まれるはずだ。
PL-15E along with PL-10E pic.twitter.com/1MMRqZ42yo
— Umair Aslam | عمیر اسلم (@Defense785) September 27, 2021
つまり中国製戦闘機の海外輸出とセットでPL-15Eが拡散すれば米空軍がAIM-120で交戦するのを不安を覚えるP-15と対峙する国が増えるという意味で、米国製戦闘機とAIM-120を運用する国にとって無視できない脅威になるだろう。
米空軍が開発を急いでいるAIM-260今年中に試射を行い2022年中に初期作戦能力を獲得(2026年までにAIM-120とAIM-260の供給量が逆転する予定)すると言われているが、中国もPL-15より大型でラムジェット推進を採用したPL-21(推定射程400km+)の開発を進めており、いったい空対空ミサイルの長射程化はどこまで進むのだろうか?
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※アイキャッチ画像の出典:中国航空工業集団
以前このブログの別記事(中国の強襲揚陸艦関連だったかな?)でも触れられてたけど、問題は敵を検出するレーダーの射程かね?
固定目標はともかく、海上のステルス戦闘機相手だとミサイルの射程よりも駆逐艦やフリゲートに乗ってる長距離レーダーの射程が誘導の可否を握ることになる(もとい最終的なネックになる)
……と思ったけど、フリゲートに長距離レーダー搭載したusv乗っけて艦隊に先行させてれば案外どうにかなる……?
そのフリゲートが先に沈められるんじゃ?
LRASMの射程は1000km近いし
有人機とチーミングさせた無人戦闘機部隊を先行させてその情報を元に後方から発射するんじゃないかな
なんならミサイル自体が無人戦闘機と連動する仕組みがあってもおかしくなさそう
なるほど、兵器を輸出する事でアメリカに圧力を
加える事が出来る
考えたな
ダウングレード?でも、かつてのフェニックスと同等とかすごい時代になったものだ…
射程400kmの空中戦とか、中国海軍が東シナ海から空母を使えば九州上空をほぼカバーしてしまう
やばい物を開発してんなぁ
とはいえ射程300km以上級の長距離AAM自体はロシアもR-37Mを保有してますからなぁ・・・問題は戦闘機のような小型・高機動の目標に当てられるかどうかで、それに関して中国は「できない」とは言わないでしょうな。
単機では探知範囲外の射程距離なんて無駄だったけど、センサーとシューターの分離が現実化してきて使える能力になったな。
射程距離競争されるとミサイルの大きさがウエポンベイのサイズで制限されるステルス機は立ち位置が微妙になるのかな?
ステルス機がセンサー役として重要になるんだと思うよ
UAVはセンサー役にできるほどの、高性能なレーダーを積んだものは限られてくるし
登場するにしても、レーダーってとても高価だから、安価で使い捨てを前提にするようなUAVとは相反してて、
運用においては色々難しい
パキスタンのJF-17でもそんな役割分担ができるのかな?
JF-17には、宝の持ち腐れって感じがするけど(根拠なし)。
JF-17ブロック3のレーダーはAESAなので、PL-15Eを有効活用できるかもしれない。
逆に、JF-17ブロック3のレーダー性能を考慮して、PL-15Eの性能を決めたかもしれない。
センサーとシューターの役割分担が可能なのか?という話だね。
センサー機とシューター機が見通し距離以上に離れる状況で、双方の通信をJF-17はどうやってやるんだろうか。
衛星通信装置を積んでいるのかな?(そんな空間があるとは思えないけど。)
JF-17はデータリンクシステム(2つのVHF/UHFで構築)を搭載していますよ。
JF-17はSD-10A(PL-12にデータリンク機能が付与された改良型)を既に運用していますし。
前世紀のミサイル万能論は技術が追いついてなくて消えたけど、これが具現する可能性もある
分離が進むと理論上は射程、探知ともに無限大と言える、ミサイルを補完するのが戦闘機の役目という立ち位置の逆転が起こるかも知れない
やっぱりミサイルの方がパフォーマンスいいんだよ
正直、発射母機やそれにリンクしたセンサー群の外の相手にどれだけ当たるか眉唾物
より大きい水上艦相手ですら、対艦ミサイルのアクティブ誘導だけじゃ割と当たらないって話だし
けど、いくら眉唾物でも、1%でも当たる可能性があるのなら、それをなかなか無視できないのも事実だけども
背景のFC-31と輸出用とされる手前PL-15E等との関係は?
中国空軍はFC-31を装備化しないとのことでしたが、噂にあった輸出用てのが本決まりなのかな。
個人的にはPL15のミサイル直系が気になる。詳細な寸法図が公表されるのはいつになる事やら。