今月8日に開幕する第14回珠海航空ショー(中国国際航空宇宙博覧会)には前回を上回る43の国から740社以上の防衛産業企業が参加、航空ショーには米国、フランス、ドイツ、イタリア、サウジアラビアなど国から100機以上の機体が出展され、ボーイング、エアバス、GEといった大手の防衛産業企業も参加を表明している。
人民解放軍の報道官は「来場した観客はこれまで見たことのない飛行展示や装備を目にすることになる。新型の無人航空機やカウンタードローンシステムが多数披露される」と予告しており、特にウクライナでの戦いで注目を浴びる「低空の戦い」に不可欠な小型無人機やカウンタードローンシステムは今回のハイライトになると予想されているが、会場に運び込まれる様々な兵器が目撃されているので開幕前にざっと情報をまとめておく。
無人戦闘機 FH-97A
昨年の珠海航空ショーで公開されたFH-97から変更が加えられたFH-97Aは完全に別設計の機体で、機体上部にあったエアインテークはJ-20と同じDSIに設計が改められ機体の側面に移動、機体下部には引き出し式のランチャー(何を搭載しているのかは不明)が見ている。
さらに機首の上部と左右にはハウジング部分が設けられており、ここに何らかの電子・光学センサーが搭載される可能性が高い。
UCAV Wing Loong III(翼竜3)
珠海航空ショーの会場で展示されているWing Loong III(WL-III)はMQ-9Bに相当するMALEタイプのUCAVで、中国のネット上に流出している資料によると本機の最大滞空時間は40時間(飛行距離に換算すると約10,000km)、最大離陸重量は6,200kg、ペイロードは2,300kg(ハードポイントは9ヶ所)らしい。
さらに展示機には短距離空対空ミサイルのPL-10Eや子機として機能すると思われる小型無人機(徘徊型弾薬?)などを搭載しており、Baykarの「バイラクタルAkinci」に匹敵する重UCAVだと指摘する声もある。
因みにPL-10の性能について英シンクタンクのRUSIは「ASRAAMやIRIS-Tに匹敵する性能とAIM-9Xに匹敵する優れた運動性を備えている」と評価しており、PL-10EはPL-10の輸出バージョンなので「WL-IIIは海外輸出が可能である」と示唆しているのだろう。
UCAV Wing Loong X(翼竜10)
珠海航空ショーに展示されたWing Loong X(WL-X)は推力約1トンのターボファンエンジンZF850を搭載した大型UCAVで、高度1万2,500mを650km/hで飛行することができ、空対空ミサイルや空対地ミサイルを搭載した状態で4,000km以上を飛ぶことができると言われているが、特に注目すべきは小型の空対艦ミサイル「YJ-9E」が統合されている点だ。
つまりWL-Xは有人機並の対艦攻撃が可能で、2020年にプロトタイプが公開された本機を人民解放軍空軍が採用するかに注目が集まっていたが、どうやらEW-UAV(無人電子戦機)としてWL-Xを正式採用(中国空軍名はWZ-10)したらしい。
現時点でWZ-10をUCAVとして運用するかは未知数だが、今回の珠海航空ショーには信じられないほど多くのUAVが公開される予定(もう確認が追いつかないほど)で、WZ-10をUCAVとして運用しなくても替わり幾らでもある。
UAV Skyhawk
2018年の珠海航空ショーで公開されたSkyhawk(約3トン)は同じ全翼機タイプのCH-7(13,000kg)に比べると小型だが、高度1万2,000mを740km/hで飛行することができ、小型機の割に最大滞空時間も15時間と長くチーミングにも対応しているらしい。
既に初飛行に成功したことが視覚的に確認(CCTVがSkyhawkの初飛行を放送している)されているが、その後の話が途切れていたためSkyhawkが現在も生きているのか謎だった。
しかし今回の珠海航空ショーに実機が持ち込まれているため、Skyhawkに関する何らかの発表(人民解放軍空軍の採用や量産化など)が行われるのかもしれない。
正体不明のステルス無人機
珠海航空ショーの会場に持ち込まれた謎のステルス無人機。
未だに情報がないので、珠海航空ショーが開幕してみないと正体が判明しないミステリアスな機体だ。
Twin-Tailed Scorpion-D
Twin-Tailed Scorpion-Dは双発のUCAV「TB-001」を拡張して開発されたが、エンジンの数は倍の4基に増加しており、最大1.5トンの貨物(貨物スペースは推定31平方フィート)を輸送することができるらしい。
本機は初飛行に成功したばかりの新型UAVで、今回の珠海航空ショーに出展され初めて一般公開されるらしい。
空中発射型巡航ミサイル AKF98A
珠海航空ショーで野外展示されるJH-7AとJ-16に搭載されているのがAKF98Aと名付けられた謎のミサイルで、人民解放軍の装備品命名規則によれば「A」はミサイルを「K」は空中発射を意味し、AKF98Aは発射後に展開する主翼を備えているため「空中発射型巡航ミサイル」でほぼ間違いないだろう。
今のところAKF98Aに関する情報は無いが、西側のAGM-158JASSMもしくはStorm Shadowに相当する兵器ではないかと推測されている。
その他
珠海航空ショーの会場に持ち込まれた謎の航空機。
FC-31/J-35向けのエンジン「WS-19」に推力偏向パドルを取り付けたタイプ
予告通り珠海航空ショーには多くのUAVが出展されていて「全て網羅するのは不可能だ」と諦めているが、興味深いUGVが幾つも確認されているため時間はかかっても記録に残しておきたいところだ。
追記:J-20→FC-31/J-35に変更
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※アイキャッチ画像の出典:CCTV-7
収斂進化だから仕方がないというか、記事内の機体はどれもどこかで見たことある機体形状だな。
現代や将来の航空戦で目視戦闘をすることは少なくなるとは思うけど、説明や敵味方識別装置が無いとパッと見て判断できなそう。
つまりそれだけchip類の重要性が高まった、ということですね。
ロシア軍の状況を見るまでも無く、バイデンが焦るわけだ。
日本も採算的に困難でも、chip類の国内生産は続けないと厳しい事態になるかも知れませんね。
もっとも半導体の種類は多岐にわたるので、もはや1国でまかなうのはアメリカしか不可能という話もありますが・・・。
半導体製造装置は日本はかなりのシェアを持っていて、特にコータデベロッパや熱処理系の装置は日本独占で米国には存在しません。
一方で米国が独占している製造装置もあり、露光装置は欧州が。
何より重要なのはこれらすべてを中国は製造できず(無い事は無いが2世代は古い)、中国が誇るSMICが作る先端半導体は全て海外からの技術に依存しています。しかも先端といっても10年近く古く、台湾TSMCからの技術が存分にいただけた頃からあまり進化していません(その後台湾は規制強化)。
中国もこの事は十分承知で中国製造2025の下に半導体の内製化を進めてきましたが、目標値に質も量も到底及んでいない。
無論敵をなめてはいけないし、写真に出てきたUCAVやミサイルはいかにも先進的で強そうですが、その頭脳には果たしてどこの国旗が描かれているのかなと。
中共のものだから、ですが。
これらが近い将来、日本を脅かすのでしょうね。
ステルス形状のものが多いようですが、自衛隊での、
ステルス機を捉えるレーダーの開発は
そろそろ実用段階なのでしょうか?心配です。
地上のみならず、機上/海上のものも必要かと。
見えてしまえば、次は撃破の方法の開発ですね。
時間があるとも思えないので、半ば並行作業で。
台頭する自律型の無人機と有人機による連携、クラウドシューティング、さらにレーザー搭載の話も進んでる。
ガキの頃に見た戦闘妖精雪風の世界が本当になりつつあるんだなぁ。もっともそれを中国のエアショーで強く実感させられらとは思わなかったが。
果たして今後もそう言ってられますかね。
リンク
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あっ、そうだぁ(唐突)そういえばレバノンでも特殊部隊部隊見本市(Sofex2022)が開催中だゾ
主催国のレバノンのルクレールやmanpad、中国パビリオンの重ifvや背中に機銃のせた四脚ロボットと 中東諸国の兵器が見どころ満載でいいゾ〜これ
ドローン関係も今アツいしな(ヌッ)
ヨルダンだったゾ…あぁやだこんな間違い恥ずかしい…
Jordanが過ぎるぜ
ヨルダンですが、日本の武器見本市DSEI Japanは来年の3月に開催されるみたいですね
中国は航空兵器だけでなく陸上兵器も無人化を進めていますね。
武装ロボット犬、無人水陸両用戦闘車、車載用のドローン等も珠海航空ショーで披露されます。
J-20の本命はWS-15シリーズですね
WS-19はJ-35に搭載予定です、WS15はJ-35には大きすぎます
うーん…勝てん!w
日本だと10年後に登場予定くらいの大型無人機がゴロゴロ出てる。
渡洋可能な大型無人機に対する何か画期的なカウンターシステムを開発しないと、このままだと数で押し潰されますねこれ。
1万キロ飛べる無人機が発表された、と聞いたのですが、これですか。
衛星通信で操作するんですかね?
人的損耗を恐れず東京空襲出来る様だと怖いですね。
まぁ想定目標は米国でしょうけども。
?!!
こりゃあたまげた。その他の欄の謎の機体と言う所に映っている写真に、AC7に出てくるADFX-10(11)のフロント部分が似てる機体があるとは。(パッと見似てる気がする)
機首部分は中国のこっちの方が流線型ですね。(元ネタのADFX-10、11は結構カクカク)
主翼も流石に前進翼でなさそう。
白帝と書かれてる機体の絵があるが、それの事なのか?
中国のこれは無人機ではありそうだ。
ちょっと興奮してしまったぜ。
開発費が潤沢そうなのがウラヤマシイ
これだけステルス性の高い無人機の発展が進むと、画像や目視といった受動的手段での発見が主流になり
敵味方の識別の為にステルス性の範囲内でデザインを他国と変えながらも
アドミラル・ヒッパー級重巡の設計で行ったように、目視や画像での距離判別や機種識別を困難にするため、
機体の大小を問わず同じようなデザインにし
後世では、NATO標準デザインシリーズ・中華標準デザインシリーズと呼ばれるような
類似デザインで統一された無人機群が出来上がってくるかもしれない
中国の厄介な所は、
スマホ等で分かるように、進歩を重ね性能に遜色ない製品を作れる事ですな。
ロシアの苦戦も分析してフィードバックしているのは確実と思います。
通信関係でアメリカが数年前ファーウェイなどを叩いたのは、
製品の情報収集や漏洩というより、
5Gの基幹を中国に握られると有事に非常に不利に成る、という背景が有る様です。
余談ですが、
海運主要地のギリシャのピレウス港は中国の支配下に入っていますし、
アフリカのジブチには軍事基地が有りピリピリしています。
負けたなこりゃ。今のうちに中国語勉強しとこ。
台湾侵略にゴーサインを出すための最重要兵器は間違いなく第五世代機用エンジンWS-19である。エンジンをろくに作れない状態で対米戦争を始めた時点で大日本帝国と同じ轍を踏んだことになるため、万が一敗北した場合中国史上一の大馬鹿者として歴史に記されるのが避けられないからだ。
日本と台湾で大量発注したら受けてくれるのかな?
コロナでなければ現地に行って色々見たかったですね。
J20も地上展示されるし展示飛行は2018年の時に見ましたけど、もっと色々な飛び方も披露してくれるのかな?
ドローンは2018年の時点でもUAV,UGV,UMVと軍用、民間用と合わせると数え切れないくらいありましたし、
コンセプトの模型に至ってはもう山のように。なんせ特設ですがドローンの専用展示館もありましたからね。
そういえばB2のような無尾翼爆撃機の話もありましたけど、模型とか展示されているのかな?
まあここは入場料が高いのが玉に瑕ですが。あと昔は一般見学者は日本人含め外国人(香港、マカオ人含む)ばかりで
中国人は少ししかいませんでしたが、2016年では金曜日は前売りで完売、2018年ではより高額なトレードデーでも
金持ちの家族連れが多数押しかけてて驚きましたからね。中国人も金持ちが増えたものだと。
コロナ禍でロックダウンが~とかやっている国が2年連続で大規模な展示会をやっているのも勢いのある現れでしょう。