欧州関連

エアバス、A330からA330neoに空中給油機のベース移行を検討中

米空軍の空中給油機(KC-135後継機)調達でロッキード・マーティンと提携を解消したエアバスは21日「A330neoベースの空中給油機開発を検討している」と表明、空中給油機のベースをA330からA330neoに移行することで燃料消費量の削減と航続距離の増加が見込めるらしい。

参考:Airbus exploring development of future tanker based on A330neo

エアバスがKC-135後継機にA330neo-MRTTを提案する可能性は低いだろう

米国の上院と下院は独自の国防権限法(NDAA)を可決済みで、すり合わせ作業後に1本化された最終案が大統領のデスクに届けられる予定だが、下院にはKC-135退役に関連した条項が複数含まれており、これがNDAA最終案に生き残ると「KC-46Aの追加発注」が禁止され、次世代空中給油機(NGAS=以前はKC-Zと呼ばれていた)よりもKC-135の後継機(ブリッジタンカーもしくはKC-Yと呼ばれている)を優先することが法的に義務付けられる。

出典:U.S. Air Force photo by Joshua J. Seybert

空軍はKC-135の後継機入札をパスしてKC-46Aの継続調達を行いたいのだが、議会は不具合や製造過程の品質問題でボーイングやKC-46Aを信用しておらず、下院バージョンのNDAAには「KC-46Aを予定されている179機を越えて調達することを禁止する条項」が含まれており、空軍がKC-46Aを継続調達するためには「ブリッジタンカーの入札を実施しなければならない」という意味だ。

この入札に参加すると表明していたロッキード・マーティンは「空軍が計画しているNGASは目標に掲げている2035年より遅くなる可能性が高い=A330MRTTベースのLMXT採算割れ(最小100機)を狙ったブリッジタンカー削減(150機→75機)方針は無意味になる」と予想していたものの、ロッキード・マーティンは最終的にKC-135後継機調達から撤退して「LMXTに取り組むチームとリソースをNGASや他のプログラムに移管させる」と発表。

出典:Lockheed Martin LMXT

エアバスも「同社はKC-135の後継機調達に関する情報提供依頼書(RFI)に回答する予定で、A330US-MRTTは米空軍にとって信頼できる選択肢であり、手頃な価格、実証済みの性能、比類ない能力を提供するものだ」と述べたため、ロイターも米ディフェンス・メディアも「エアバスは単独で入札に応じる」「ボーイングがKC-46Aの追加契約を獲得する可能性が高まった」「ロッキード・マーティン撤退でボーイングの株価が1.7%上昇した」と報じていたが、エアバスは「A330neoベースの空中給油機開発を検討している」と発表した。

空中給油機のベースをA330からA330neoに移行することで「飛行状態での抵抗が減少し揚力が増加する」「その結果として燃料消費量が削減され航続距離が増加する」と主張し、成熟した給油関係の各コンポートをA330neoに移植する技術的リスクも低いと述べている。

ロッキード・マーティンとの提携解消から1ヶ月もたたないうちに「A330neoベースの空中給油機開発を検討している」と発表したため、KC-135後継機調達との関連性に注目が集まっているが、各コンポートの完成度が高くてもA330neoに統合して「正常に機能する」と証明するには何年もかかると予想されており、エアバスがKC-135後継機にA330neo-MRTTを提案する可能性は低いだろう。

関連記事:KC-135後継機入札からロッキードが撤退、エアバスは単独で応じる構え
関連記事:KC-46AとLMXTの戦い、米空軍がKC-135後継機調達にRFIを発行予定
関連記事:米空軍のブリッジタンカー受注に自信満々のロッキード、不安要素しかないボーイング
関連記事:米下院はKC-46Aの追加調達を禁止、空軍にKC-46AとLMXTの入札実施を強制

 

※アイキャッチ画像の出典:Alex Cheban/CC BY-SA 4.0

F-16V向けの次世代EWシステム、2025年頃にVIPER SHIELDが登場予定前のページ

国防総省が海軍に警告、テストをスキップしてMQ-25Aの生産を行なうな次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    ラインメタルがF-35製造に参入、最低でも400機分の中央胴体を製造

    ドイツはF-35A導入の見返りとしてF-35プログラムへの独企業参加を…

  2. 欧州関連

    エルドアン大統領、プーチン大統領がトルコ製UAVの共同生産を提案

    イランで会談したプーチン大統領と会談したトルコのエルドアン大統領は25…

  3. 欧州関連

    ナゴルノ・カラバフ地域で住民脱出が、アルメニアで政府への抗議活動が本格化

    独立維持が絶望的になったアルツァフ共和国ではアルメニア系住民の脱出が本…

  4. 欧州関連

    レーダー開発が進む第6世代戦闘機「テンペスト」、2020年代テストベッド機試験開始

    イタリア防衛産業企業のレオナルド S.p.Aは、英国防省と「テンペスト…

  5. 欧州関連

    戦闘機を廃止したアイルランド、ロシアの脅威に対抗するため戦闘機導入を検討

    戦闘機を廃止して65年が経過するアイルランドは最近、ロシアの脅威に直面…

  6. 欧州関連

    グリペン好きなブルガリア大統領、署名したF-16V導入契約を拒否

    ブルガリア政府が承認した総額12.5億ドル(約1,354億円)のF-1…

コメント

    • 関節痛
    • 2023年 11月 27日

    neoってことはトレントエンジンの最新型、7000か
    ceoや767のエンジンに比べるとバイパス比が大きいことで燃費が向上して、さらに騒音が圧倒的に小さい
    空中給油機って任務を考えると、エンジンの燃費向上はそのまま性能の向上と言えるかな
    環境性能に優れてるってのも導入のハードルを下げる意味で大きいだろうね

    日本では運航してる会社もエンジン整備できるとこもないから導入は厳しいか
    A350なら飛んでるんだけどねぇ

    2
      • 匿名希望係
      • 2023年 11月 28日

      エアバス系は国内運用が少ないからね。
      330系にした方が楽そうなのに

      1
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  2. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  3. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  4. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
  5. 米国関連

    米空軍の2023年調達コスト、F-35Aは1.06億ドル、F-15EXは1.01…
PAGE TOP