英海軍は伝統的な技術で構築された海上戦力の優位性が今後十数年で失われると認識しており、センサー(認識手段)とシューター(攻撃手段)が分離され必要に応じて対応任務を変更できる柔軟性を備えた艦隊が必要だとロンドンで開幕した「DSEI 2021」で発表した。
参考:UK Royal Navy wants a disaggregated fleet that de-couples combat punch from ship platforms
米海軍が実現を目指して開発を進めている戦力分散化の概念を英海軍も追求、有人艦と無人艦のシー・チーミングに本腰か
DSEI 2021のオープニング講演に登場した英海軍のジェームズ・パーキン少将は「中国やロシアようなハイエンドの国家が海軍に多額の投資を行っているため、英国が伝統的な技術で構築された海上戦力で対抗するのは資金的に難しくアプローチを変更する必要がある」と主張した。
簡潔かつ具体的にパーキン少将の主張を要約すると敵が武力を行使して結果を手に入れようとする行動に武力を行使して打ち負かすというアプローチから、武力を行使して結果を手に入れようとする行動に容認できない代償(コスト)がかかることを課すアプローチに変更することを提唱しており、そのためには伝統的な技術で構築された海上戦力への投資競争ではなく新しい概念に基づくFuture Fleet=センサー(認識手段)とシューター(攻撃手段)が分離され必要に応じて対応任務を変更できる柔軟性を備えた艦隊が必要だと言っている。
つまり米海軍が実現を目指して開発を進めている戦力分散化の概念を英海軍も追求するという意味だが、今のところ米海軍のゴースト・フリートのように専用の無人艦を用意するとは明言していない。
しかし同じ講演に登場したジョン・リード准将は「将来の有人艦隊はネットワークに接続されたセンサーや武器を利用して最も最適な手段で交戦するため戦闘効率は高まり、有人艦艇の集中運用や前方展開の必要がなくなるため生存性も向上する」と説明しているので、ゴースト・フリートのように無人艦もしくは無人航空機とのシー・チーミングを想定していることが伺える。
因みに分散化された英海軍の艦艇が柔軟性を得るために「米海軍のミッションパッケージと同じコンセプトの持続的な運用展開システム(Persistent Operational Deployment Systems/PODS)を年内に調達してテストを行う」とリード准将は明かしており、この交換可能なPODSは輸送コンテナに似たデザインであらゆるサイズの艦艇に搭載することができ、PODSは無人航空機や無人水上艇を通じて供給・交換されるため海上展開を維持したまま必要に応じて艦艇は対応任務を切り替えることができるらしい。
要するに任務の切り替えを行うために寄港する必要がないため柔軟性が優れているという意味だが、PODSによって提供される任務の種類については詳しく触れられていないので謎だ。
まだざっくりとした構想なので何となくしか頭に入って来ないものの、恐らく米海軍に続いて英海軍も「有人艦と無人艦(もしくは無人機)のシー・チーミングに本腰を入れて開発を進める」と言いたいのだろうと管理人は解釈したが、実用化は当分先の話だと思っていた有人戦闘機と無人機のエア・チーミング(ロシアは2024年に実戦配備予定)のように有人艦と無人艦のシー・チーミングも2020年代中に実用化され実戦配備されるのではないだろうか?
正直ところ日本は無人機の開発や運用で各国よりも遅れをとっており、有人戦闘機と無人機によるエア・チーミングの実用化時期も先進国の中では遅い方に属するが、無人艦艇の開発や有人艦と無人艦によるシー・チーミングに関しては海洋国家の日本にとって潜水艦戦力に次ぐ抑止力になる可能性を秘めているので「モノになるか様子見を決め込む」のではなく、この分野を主導する技術やノウハウを各国よりも先に取得して一定のリードを確保するぐらいの積極性を見せた方が良いのかもしれない。
関連記事:英海軍、無人化技術を取り入れた次世代の艦艇や兵器のコンセプトフリートを公開
関連記事:米海軍が戦力分散化の概念「ゴースト・フリート」を実演、無人艦から艦対空ミサイルSM-6を試射
※アイキャッチ画像の出典:Royal Navy / OGL v1.0
管理人の言う事は至極尤もだし日本の新しいモノに対する腰の重さは問題だけど予算がなぁ
研究が主体の無人機関連予算総額は今年度約60億円、来年度概算要求約76億円。
一桁違うんじゃね?ということなんだが、運用者である統幕の構想する将来ビジョンが見えてこないんでこんなものか。
先ず自国の政治体制をだな…
>無人艦艇の開発や有人艦と無人艦によるシー・チーミングに関しては海洋国家の日本にとって潜水艦戦力に次ぐ抑止力になる可能性を秘めているので「モノになるか様子見を決め込む」のではなく、この分野を主導する技術やノウハウを各国よりも先に取得して一定のリードを確保するぐらいの積極性を見せた方が良いのかもしれない。
まぁ無理でしょうな。
今までそんな事例があっただろうかね。
管理人の主張に賛成で理解できるけど今の予算の優先度は敵地攻撃能力の獲得だから予算的には厳しいよね
正直言ってBMD何かに金つぎ込むよりもその予算を無人機とか敵地攻撃能力の増強に使った方がいいと個人的には思う
まぁ‥今回のオリンピックの件でわかったけど権限のある政府や与党の政治家達にビジョンがなくて利権や政局しか頭にないから無理だけど
早すぎたアーセナルシップ構想が今こそ日の目を見るのか
チーミングや無人化は鉄板だと思うがPODSってのはよくわからんな
レーダーや火器管制は艦固定じゃなきゃ厳しいような
洋上積替え可能な範囲ってミサイルの種類変えるとかUAVガン積みとかくらい?
そんなら全部積みのアーセナルを随伴すりゃいいじゃんと思ってしまう
そこは自由に妄想を膨らませてかまわない段階では
10を試して1つ当たれば商売になるというではありませんか
正解以外は研究できないとか言ってる人はノーベル賞とか永遠にとれないのと同じでは
イグノーベル賞目指そうぜ(貰えるとは言っていない
目に見える形では日本の無人機、無人艦船の研究が遅れてるのは分かるんだが、そもそも海自が将来的に求める戦力、編成に無人艦が適しているのかがいまいち分からん。無人艦がゲームチェンジャーでこそあれど無人艦だって完璧じゃない。数の増加に伴う整備の負担だったり、停泊港のリソースの問題だったり。DLコンセプト的にも分散されたシューターが多い方が良いのは同感だけど…
ミッションパッケージの入れ替え、、
なにやらまた失敗作が積み上がりそうな響きだな
LCSとかの失敗をまたしたらという事だよねぇ
管理人さんは、日本は無人機の開発や運用で各国よりも遅れをとっていると見ていて、それ自体は事実だと思うのだけど……
日本の場合、想定されている「台湾有事」が2020年代中に起きると予測されている為、「無人機及び、有人機と無人機のチーミングは台湾有事に間に合わない」と政府や防衛省から見切られているんじゃないだろうか?
確かに、「将来有望な分野を主導する技術やノウハウを各国よりも先に取得して一定のリードを確保する位の積極性を見せるべき」と言うのは正論だけど、それが必要とする時期に間に合わないのでは意味が無いのも考慮すべきだと思う
実際、世界の兵器開発じゃあ技術やノウハウで相手よりも優位に立とうとした結果、肝心の技術の熟成不足やノウハウの不足に直面して必要とする時期に間に合わなかったり、開発失敗の憂き目を見た話で一杯なんだから
リソースは限られているしねぇ
チーミングの無人機作ったところで、平時の主要任務たるスクランブルにはあまり役に立たないでしょ
結局母機としての有人機もスクランブルするんだから、機体の消耗軽減にはならんし
いや、その前に憲法改正でしょう。
あと、自衛官の地位や待遇の向上も急務。
トイレットペーパー自腹の軍隊がちゃんと働けるのか?
(自衛官の皆様には災害対応やコロナ対策など感謝しています。)
憲法改正以前に自衛隊法の改正が必要で、政令、省令、通達で片づけれれることが多いし、憲法を変えてもそれがなければただ”自衛隊”が”国防軍”etcに看板を変えて、トイレットペーパーの自腹は一切変わらないで終わりになるだろうな。
トイレットペーパーなんて憲法を変えたら財務省が買ってくれるのかねぇ。
財務省が買うのは自衛隊法や政令、省令、通達がないと買ってもらえない。
それもそうだが、「左派の反対」を言い訳に世論の醸成を怠ってきたことを反省すべきでは。
左派は欧米のほうが遥かに強力だ。
反対派を説得する論理の構築こそが最も足りていない部分だと。
予算が。。というけど、日本が米中を除けばどれほど恵まれてることか。
説得力ある論理があれば、輸出も視野に入れられるし、政治的配慮からのムダも減らせられる。
右派こそ言い訳が多すぎると思うで。
日本にちゃんとした左派なんてほとんどいない
強いて言えば自民党か?
日本が左派と言っているのはいるのは反日売国奴
まともな左派と一緒にしたら世界の左派に申し訳無いわ
日本は最後発だからこそ国産開発で貧乏くじ引かずに済んできた。アメリカさんが兆円掛けて先行研究してくれた成果をユーザーとして導入できる。
このメリットを享受できない中露は非対称戦力を数で補うべ常にく軍拡に勤しんでる。表向き科学振興教育費で兵器開発だってやってる。
そうまでしないと到底パワーバランスなんて維持できない!だが日本は1%防衛費で済んじゃう!兵器開発予算もギャグレベルで済んじゃう!英軍さん!先行運用(人柱)ヨロ!
日本の環境が無人艇とも相性が悪いのがなぁ
排水量が小さいとはやぶさ型や1号ミサイル艇の二の舞になり、大きすぎると単独航行をしなければならず母港へ帰るときに過密航路を通るのが難しい
日本周辺や東シナ海で無人艦艇が使えないというなら中国に対抗するためにゴーストフリートを開発してる米軍の無人艦艇はどうなるの?
遅れてる理由を何でもかんでも環境が特殊だからというのは誤魔化してるようにしか聞こえないんだけど?
ゴーストフリートは正直2020年代は日本近海での米軍基地からの展開は無理じゃないかな
衝突事故を避ける観点からも専用の港を沖縄方面に整備する必要があると思う
なるほど、四方を海に囲まれるから無人航空機の脅威は日本に及ばないと言ってたのと同じ論法か
論法とかじゃなくて時々人力管制が行われることもある関門海峡などを無人艇がどうやって航行するのかという問題 無人艇は停船命令に従えない
ゴースト・フリートのUSVレンジャーは大西洋からパナマ運河経由でハワイまでの自律運行に成功してるけど無理なの?
パナマ運河は他の大型船のようにタグボートにけん引してもらったのでは?
水先案内人も乗るし完全な自立制御は不可能なはず
日本の無人艦艇は潜水しないとあかんね
事故っても基本自損で済む
爆走漁船、航路ど真ん中漁網、この海流なんやねんの来島海峡、定置網はレーダーに映らんのや
とか自動航行の運用は地獄やろうな〜
論法くんは明石海峡とかが毎日物凄い数の船が行き来してるのを知らないんだろう
欧州は民間航空機が飛ぶ混雑した空域を無人航空機が飛ぶのを拒否してたけど衝突回避装置を搭載することで容認してるんだから、無理と決めつける方がおかしい。
回避したら陸地に突っ込むか、他の船舶にまたニアミスするかだな
本当に明石海峡見たことあるのか?
横からだけど、この手の無人艦は前方配備するんだから明石海峡の通行にこだわる必要があるの?
どうしても混雑している明石海峡の通行が駄目なら海上交通の要衝を避けて東シナ海に直接面した九州あたりから運用すればいいだけの話で、明石海峡を理由に無人艦の可能性を否定するのはやりすぎだと思うけど?
これは明石海峡だけの問題じゃないのよ
舞鶴や佐世保は狭い湾内に基地があり、呉は瀬戸内海から出ないといけない 大湊には津軽海峡がある 横須賀は東京湾の過密航路を通る
安全性を確立しないと基地を新設しないといけなくなる
だからこの手の無人艦って有人艦よりも前方で使用することを前提にしているんでしょ?
当然使用が想定される戦場は東シナ海なんだから九州の西側に面した地域に基地でもなんでも新設すればいいじゃん。
あれも駄目、これも駄目だと手足を縛っておいて日本の環境では~と否定するぐらいなら、最初から無人艦なんてものを開発する余裕は日本にないから有用であっては困ると正直に言えばいいのに。
これまでに無かった新しい兵器の力を発揮させるため環境を整えるのが大きな無駄とは思えないど?
なんで貴方は可能性を殺す方向にばかり物事を持っていこうするの?
上でも言われてるように日本は先に投資すべき兵器があるし将来的な有望性はあるが現時点の技術では実用性が低く有効活用は難しい はっきりいって近々使えない装備に基地を新設するぐらいの大金をかけるほど日本は平和ではない
多少の技術開発にとどめておくべき
最悪の話だがアメリカ目線では日本海(東シナ海でも?)で使えなくても致命的な問題ではない
アメリカ軍の目的はあくまでアメリカ本土防衛であり、第一列島戦の内側に入れないことは大した問題じゃない
ちな分かりやすく極論書いてるので揚げ足取りはしなくていいぞ
二次大戦の米空軍も日本近海の環境には手を焼いたからねぇ…
はやぶさ型あたりは生身の人間が乗っているからこそ居住性、航洋性が問題視されたけど人間が乗らんならそのハードルは無いようなもんじゃないかね
無人航空機と違って無人艇でも数人が乗って操艦・メンテ(・生活)する程度の設備をつけるのは難しくないからなぁ。
母港から任務海域への往復時は人が乗れば良いだけじゃない?
任務海域に行く時はともかく、送り届けた後無人艦の乗員だった人らを送り返す船が別に要るじゃん
そんなの無人艦と呼ぶのか?
日本で無人機開発進めるなら
無人機が事故起こしたらどうするんだって言い出す連中を黙らせるのが最優先だな
無人機で敵国兵士を攻撃なんて自称日本市民達が騒ぎまくるに決まってる
こいつ等を片付ける国内法整備が先だろう
日本は先に投資すべき兵器があるし将来的な有望性はあるが現時点の技術では実用性が低く有効活用は難しい
はっきりいって近々使えない装備に基地を新設するぐらいの大金をかけるほど日本は平和ではない
多少の技術開発にとどめておくべき
もう返信ができないのでここ書いておくが、貴方の意見にも一理があるが「現時点の技術では実用性が低く有効活用は難しい はっきりいって近々使えない装備に~大金をかけるほど日本は平和ではない」という考え方で無人航空機を軽視した結果も忘れてはならないと思うよ。
貴方が「先に投資すべき兵器がある」と信じるように、無人艦の開発や有人艦と無人艦のシーチーミングで無人航空機の二の舞になることを心配している人も一定数いるということを心に留めておいて欲しい。
お互い一般人だろうし無人艦がはっきりいって近々使えない装備なのか、近い将来実用化され使える装備なのかは証明できないだろうし、このへんで議論を終了するよ。
むしろ無人航空機は逆なんだが
日本では21世紀初頭にTACOM等の研究開発が行われたが技術が追い付かず実用には至らなかった
それから10年間は正規戦でUAVが有効活用されることはなかった
自分は無人艇がTACOMの二の舞になって必要なミサイル等の開発に予算がいかないことを恐れている
イギリスが言っているのは「センサーとシューターに分離された艦隊」であり、無人艦ではないと思う。
無人艦って、あまり有効とは思えない。
無人航空機の、人が乗らないことによる小型化、これは有効である。
しかし、船は違う。
レーダーなどの観測機器は、海面、波、丸い地球等のため、ある程度の高さに設置する必要があり、どうしても船体は大きくなる。
ミサイル等も、地表面から発射し、誘導するため(ドローン搭載より)大きくなり、かさばる。
プラットフォームとしての安定性。
結果、どうしてもある程度の大きさは必要となり、無人化による小型化のメリットは少ない。
人がいなければ、その分、高価な制御機器が必要となり、コストメリットがあるか分からない。
無人艦のメリット、これは、何があるのだろうか。
ひと昔前なら機雷原掃海後の漢探知で使っていましたが、現代だと省力化の意味合い位しか無さそうですよね。
民間貨物船だと、これ以上乗組員を減らすのは無理レベルです。
軍艦での少人数化をやり過ぎるとダメコンできなくなりますし。
無人艦は被弾したら使い捨て、生き残っていれば回収の時代になるんですかね。
地上又は航空機からの通信でもなんとかかんとか運用可能な無人機と違って、見通し線距離と拠点からの距離的に衛星通信が必須だろう無人艦に戦力の一部を依存するような構成にすると、通信衛星が破壊された時点で艦隊が機能喪失する可能性があるような。
数百機の通信衛星を待機させる、あるいは破壊されたら即座に次を打ち上げるとか緩和策はあるにしても、限界はあるのではないだろうか。
あるいは、最低限の自律行動能力を確保できるだけの人員を乗せて、攻撃されたらダメコンせず即脱出するようにしてしまうのか。