欧州関連

トルコ、主力戦車「アルタイ」向けに開発中だった国産エンジンの試運転に成功

トルコ国防省調達部門のイスマイル・デミール氏は今月5日、主力戦車「アルタイ」向けに開発を進めていた国産エンジン「バトゥ(BATU)」の試運転に成功したと明かして注目を集めている。

参考:Turkey ignites homegrown 1,500-horsepower tank engine

このまま国産化への努力が続けばトルコは近い将来、戦車を構成する大半の主要コンポーネントを国内で調達できるようになるかもしれない

トルコは今年3月に主力戦車「アルタイ」向けの戦車用パワーパックを韓国企業から供給を受けることで合意したが以前から開発を進めている国産ディーゼルエンジンの実用化とアルタイへの搭載を諦めておらず、トルコ国防省調達部門のイスマイル・デミール氏は「4月中に国産エンジンのプロトタイプを用いたテスト(フィールドテストではなく各種測定機器が設置された環境でのテストベンチ)を行う」と明かしていたのだが、同氏は今月5日に国産エンジン「バトゥ(BATU)」の試運転に成功したと明かした。

 

トルコが開発を進めているディーゼルエンジン「バトゥ」は完全にトルコのオリジナルで1500馬力/4600Nmの出力を発生させることが可能で、デミール氏は国産エンジンの試運転成功について「トルコの防衛産業は国産エンジンの確立に向けて着実に歩みを進めている」と評価している。

出典:Natan Flayer / CC BY-SA 3.0 M60TのベースとなったイスラエルのM60アップグレード「サブラMk.II」

ただ国産エンジンのバトゥがいつ量産に入るのかなどは未定で、独自に防御力を強化(爆発反応装甲、複合装甲、ケージ装甲、車輌内壁の飛散を防止する内張り等を追加)したレオパルト2A4とイスラエルが開発したM60アップグレードパッケージ(サブラMk.II)を導入したM60Tで凌ぐトルコ陸軍は一刻も早いアルタイの量産を希望しているためバトゥの完成を待っている余裕がなく、当面は韓国企業から供給を受ける予定の戦車用パワーパックで凌ぐしか方法がないだろう。

それでも国産エンジンのバトゥは完成に向けて着実に前進しているようなので何れ主力戦車「アルタイ」に統合されるはずだ。

因みにトルコは戦車用エンジンの他にも海外に依存している複合装甲や射撃管制システムなどの主要コンポーネントの国産化にも取り組んでおり、デミール氏は今月3日にアルサンが開発した国産射撃管制システム「VOLKAN-M」のフィールドテストの様子を収めた動画を公開して「年内の実用化を目指している」と語っているため、このまま国産化への努力が続けばトルコは近い将来戦車を構成する大半の主要コンポーネントを国内で調達できるようになるかもしれない。

関連記事:韓国、主力戦車「K-2」への国産パワーパック採用を事実上断念か
関連記事:海外調達に失敗したトルコ、主力戦車「アルタイ」に国産パワーパック搭載を決断
関連記事:トルコに戦車用パワーパックを供給する国が登場、近日中にアルタイへ統合予定
関連記事:トルコ、主力戦車「アルタイ」へのパワーパック供給で韓国と合意

告知:軍事関係や安全保障に関するニュースが急増して記事化できないものはTwitterの方で情報を発信します。興味のある方は@grandfleet_infoをフォローしてチェックしてみてください。

 

※アイキャッチ画像の出典:トルコ国防省

無人機の基本に忠実なトルコ、安価な空対地巡航ミサイルでUAVの攻撃手段を強化前のページ

米空軍、無人戦闘機「スカイボーグ」に搭載するコアシステムの初飛行に成功次のページ

関連記事

  1. 欧州関連

    英空軍、アニメやSF映画で登場するような戦場認識力の実現に近づく

    英空軍参謀総長を務めるマイク・ウィグストン大将は「独自に開発を進めてき…

  2. 欧州関連

    ロシア軍が装備を捨てて逃げた? ウクライナ軍がイジュームやリマンを奪還か

    パニックに陥ったロシア軍は装備を捨ててイジュームやリマンから逃げ出し「…

  3. 欧州関連

    スペイン、ウクライナが熱望していたレオパルド2A4の提供を準備中

    スペイン政府はウクライナへの武器支援を飛躍的に増やす準備を進めており、…

  4. 欧州関連

    プーチン大統領が提案したクリスマス停戦、ゼレンスキー大統領は否定的

    ゼレンスキー大統領は「ロシアは我が軍の前進を一時的に阻止するため停戦を…

  5. 欧州関連

    外国人部隊に参加する戦闘員がウクライナ入り、第一陣の規模は1万6,000人

    ウクライナのゼレンスキー大統領は3日、創設した外国人部隊(ウクライナ領…

コメント

    • 匿名
    • 2021年 5月 06日

    アルタイのエンジンの目処たったのか。次はTFXのエンジンか。
    難易度が違いそうだけど、オスマン帝国復活のために頑張って欲しいものですな。

    10
    • 匿名
    • 2021年 5月 06日

    エンジンより馬力に耐えうるミッション開発の方が難しいのだが

    12
    • 匿名
    • 2021年 5月 06日

    過去記事からミッションの方は、韓国から輸入だけど来年から。ただ、韓国の会社が韓国軍への納入を巡ってトラブルになってるので、来年まであるかが不確定ですね。エンジンもミッションも消滅したデウから、斗山とST&Tが引き継いだけど、その両方が存続危機。エンジンの方は韓国軍のテストを合格したけど、会社がすでに銀行団とどうにかなってるで。

    1年後じゃないとなんとも言えないけど、1年後にはミッションも国産化してしまってるかも。

    5
    • 匿名
    • 2021年 5月 06日

    なんでこんなに成功するんかな?

    3
      • 匿名
      • 2021年 5月 06日

      4年ぐらい前に、ロテムと韓国防衛事業庁が当時の韓国の戦車開発技術を移転してるし、他国の企業もそれなりに移転してるんじゃない。民生品に関しても、トルコに企業を作ってヨーロッパに売るのって魅力的なのかも。

      3
      • 匿名
      • 2021年 5月 06日

      トルコをお得意様にしているドイツが協力している可能性が

      7
      • 匿名
      • 2021年 5月 06日

      結局は金よ
      開発資金と政府の強力な後押しがあってこそ
      露国も中国も同じだろ

      8
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      まだ試運転だぞ?
      試運転で成功するなら中国のWS-15ジェットエンジンは15年前に完成してる。

      2
    • 匿名
    • 2021年 5月 06日

    ウクライナ製のパワーパックに、トルコのロゴだけつけたのかなぁ?

    • 匿名
    • 2021年 5月 06日

    バトゥとはまた気合を入れた名前をつけたな。最近はトルコの防衛産業のニュースが多くてある意味羨ましい。

      • 匿名
      • 2021年 5月 06日

      バトゥってチンギスハーンの孫で、モスクワ北東の町で大虐殺をしてロシア一帯をキプチャクハン国として統治したモンゴル人のことか。
      ま、プーチンはチンギスハーンの血が半分入ってるのを誇りに思ってるかな。エンジン名とは言え挑戦的だな。

      1
    • 匿名
    • 2021年 5月 06日

    米ソ対立

    米中対立

    ムスリム中対立へ

    と時代は移り変わって行くのだよ
    どちらにしても日本の将来はもう積んでるけれど

    • A
    • 2021年 5月 07日

    エンジンに目途は立ったようだね。
    あとはパワーパック全体の熟成を進めていけば戦車の完成となるのだろうか。
    陸戦は滅多に起こることはないようなので評価は難しいけれど作り上げたってところに意義があるように思う。
    せっかく完成してもUAVにボコボコにされたりして。
    評価については実戦経験のない本邦の戦車も他国から同じように見られているのかな。

      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      パワーパックとしての完成含め、3年以内にはトータル生産の大まかな道筋はつきそう。

      戦車の脅威に関しては現時点で携帯対戦車ロケット/ミサイルだったり攻撃ヘリだったりAPFSDSだったりHEAT-MPあるんだから、脅威が増えただけにしかならんでしょ。個人的に新たな装甲が出来るか対空含めたAPS進化,RWSのCIWS化とか新たな対策トレンドが出てくるだけにしか思わない。

      アルタイに関してはマトモに最終形で運用すらされていないがトルコの陸戦経験のフィードバックあるんだし防御面は間違いなく評価、駆動系回りの評価は低い感じ。10式は装備が整っていない格下正規軍が攻めてきた時には真価は発揮出来るだろうが、進歩著しい先進国相手だと流石に厳しい感じでは?現時点でのスマートな外観ではゲリラ相手とか厳しいと思う。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 米国関連

    本当に笑えない、米空母ジェラルド・R・フォードを苦しめるエレベーターの呪い
  2. 欧州関連

    再掲載|英海軍の闇、原潜用原子炉の欠陥と退役済み原潜の処分費用
  3. 日本関連

    リチウムイオン電池採用艦!日本のそうりゅう型潜水艦11番艦「おうりゅう」就役に世…
  4. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  5. インド太平洋関連

    日米からのオファーがない? 韓国空軍、日本のF-35整備拠点利用を否定
PAGE TOP