英海軍は2030年までに無人戦闘機、無人早期警戒機、無人空中給油機をクイーン・エリザベス級空母に導入する計画で、ここにボーイングがMQ-28ゴーストバットを売り込んでいるらしい。
参考:Official rendering shows Ghost Bat ‘loyal wingman’ landing aboard Queen Elizabeth-class carrier
MQ-28は豪州、米国、英国が潜在的な購入国として浮上した格好
2021年に公開された将来の海上航空部隊に関するプレゼンテーション資料によれば、英海軍は損耗を吸収でき過度な人命リスクを負うことなくディープストライクを実行するため固定翼タイプの無人航空機開発「Project Vixen」を進めており、基本型となるVixenを元に無人戦闘機や無人早期警戒/空中給油機など複数の無人航空機を2030年までに導入する予定だ。
Vixenと呼ばれる無人機を独自に開発するのか、既存の計画(空軍のLancaa計画など)に便乗するのか今のところ謎だが、ボーイングがMQ-28ゴーストバットを英海軍に売り込んでいるとジェーンズが報じている。
今月21日に開催された関係者の会合で披露された「クイーン・エリザベス級空母に着艦するMQ-28のイメージ」をジェーンズが入手、これをボーイングに確認したところ「本物の画像だ」と認めたが、この画像の高解像度版の提供は拒否したらしい。
ジェーンズが掲載している低解像度版のイメージを見る限り着艦態勢のMQ-28はアレスティング・フックを装備しているため、クイーン・エリザベス級空母でMQ-28を運用するにはアレスティング・ワイヤーを追加する必要がありそうだが、2021年3月に英海軍はドローン用の電磁式カタパルトとアレスティングワイヤに関するRFI(情報提供依頼書)を正式に発行している。
英海軍が要求している電磁式カタパルトは最大25トンの射出エネルギー、アレスティングワイヤは最大21トンのエネルギー減衰と再生エネルギーの供給を要求しており、F-35BやF-35Cなどの戦闘重量には対応していないのが特徴で、MQ-28の最大離陸重量は推定30トンと見積もられているので数字がちょっと噛み合わないが、MQ-28も開発中で電磁式カタパルトやアレスティングワイヤも本格的な調達に至っていないため修正可能な範囲だろう。
兎に角、英海軍のProject VixenにMQ-28が名乗りを挙げているのは確実だが、BAEも機敏で手頃な無人戦闘機のコンセプト(恐らく無人戦闘機の技術実証機開発・製造プログラム「モスキート」の代替案として空軍に売り込んでいる可能性が高い)を発表しているため、どこに着地するのかは見えてこない。
因みにケンドール米空軍長官は「次世代戦闘機プログラム(Next Generation Air Dominance/NGAD)の構成要素にMQ-28Aを採用できないか予備的な協議が進められている」と明かしているため、MQ-28は豪州、米国、英国が潜在的な購入国として浮上しているとも言える。
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※アイキャッチ画像の出典:Boeing MQ-28
フォード級空母のEMALS開発にイギリスも関わっているから無いとは思うが
英国「電磁カタパルト作って。最大25トンね」
GD「25トン(ショートトン)ね。かしこまり」
なんてことにならないように、今こそヤード・ポンド法を滅ぼすべきである(25ショートトン=約27トン)
悪しき慣習は置いとくとして、既存の空母やアナドルのような揚陸艦からの発着でもなく、無人機専用の空母が10数年後に出てきそうだな。そうなると無人機専用空母の姿形は、今の空母からすると異形の物になっていくんだろか。
知識が無いので質問なんだけど、元記事は21,319kg (47,000lbs)と24,948kg (55,000lbs)と表記されるけど、これショートトン換算なん?
アメリカの航空機製造においては慣用単位であるヤード・ポンド法が使われることがあるため、ただ「トン」と言うと、ヤード・ポンド法のショートトンと勘違いしてしまう・・・という事例に掛けたネタです。分かりにくくてすみません
軍用じゃないけど、中国のドローン空母はもうあったわぁ。実態は不明だが。
リンク
>MQ-28の最大離陸重量は推定30トン
凄いですね
RATOは電磁式カタパルトと比較して使いにくいのでしょうか。
電磁式カタパルトは電源の問題があるので、小型艦には無理と思うのですが。
RATOを艦上で使うには問題が多いのかな。安全面とか、運用コストとか。
昔の日本海軍は、RATOを使う計画があったようですが。
駆逐艦や潜水艦など滑走路を持たない艦は、キャニスターに入ってるUAVを「発射」する、自衛隊が試験導入予定のイスラエル製の「ハロップ」のような機体を運用する流れになるのではないでしょうか。ハロップが帰還・回収できるのかは、すみませんが分かりません。
ハロップであれば、自分で帰って来る機能があるようですから、
地上なら、回収地点を指示すれば自動で着陸までするようですね。
艦船に回収する時は、着艦時にTV誘導にして、キャッチネットで回収でしょうか。
今回の記事の機体でしたら、仮にいずも型護衛艦で運用することを考えると、
電磁カタパルトを設置する予定はないだろうから、やっぱりRATOでしょうか。
F35Bが6機だけでは、常時使えるのは2機と思えるので、こうした機体は必要に思えます。
ただ、30tは重いですね。A4の最大離陸重量が11t程度になってほしいです。
RATOって機体の設計段階から想定してない場合は危険すぎるモノです。
普通のハードポイントは吊るすための設計で、RATOで引っ張るための強度計算はしていません。
胴体を加工して搭載するにも強度と重心と熱の問題が出ます。
艦上運用だと問題は増えます。
カタパルトの代用にする高出力なロケットモータなので、保管中に事故ると大火災確定、保管場所は弾薬庫並の安全対策が必須です。
コスト面から緊急停止が不可能な使い捨て固体ロケットなので、ペアの片方が不発や不完全燃焼が起きると大事故。
コストの問題は当然ありますが、それ以上に手間のほうが大変です。
多分、爆装した航空機と同程度には危険なのでしょうね。
F35Bを載せると決めた時点で対策は行うでしょう。
扱いを間違えると、故マケイン議員が現役時代に巻き込まれた
事故のようなことになるのでしょうね。
話変わって。
米国が作るとなぜにこうも大型で重いものばかりできるのでしょうね。
大型で重くなれば、それだけ運用が大変と思います。
素人は単能の機体でも良いと思えるのですが。
例えば、”2000lbの滑空誘導爆弾を1発だけ腹の中に抱えて
高高度から投下するのが任務”みたいな機体はどうかと思っています。
誘導はそれこそF35Bで行うことにして。
BAEのはV-1の現代版みたいな見た目だな
冷静に考えればAIが画期的に進化しない限り無人機の利点はパイロットが要らないというだけのような気が・・・
パイロットの確保・養成・ヒューマンエラー等、AIに置き換えられれば利点はあるだろうけどまだまだ先だと思う。
リンク
リンク先にある通り、既にアメリカではAIで戦闘機を操作して
ドックファイトを実施する試験を行っています。
もっと先と思われていたAiと人間との戦闘機戦闘は近づいているのかも
しれません。
いやドッグファイトはシミュレーターの中でだし、実機ではX-62の飛行テストを実施した段階だよ。戦闘訓練は行っていない。
そもそもF-35の段階で「ドッグファイトは時代遅れ」な風潮が出ている訳だし、有人機に成り代わる無人戦闘機が出るというよりは「有人機が活躍できなくなる時代」が到来する可能性の方が高く、その過渡期としてマン・マシンの混成部隊というコンセプトが独り歩きしている印象。
ソースを確認しました。「ドッグファイト」の記述がありますね。他のソースも確認しましたが「模擬敵」に「模擬武装能力」による攻撃も行われたとのことです。私の確認不足及び事実誤認です。上記リプライを撤回し謝罪します。
いや・・・そのパイロットって言う9Gにしか耐えられない脆弱な生体部品とか言う、下手したら死後もコストのかかる金食い虫が機械に乗せ換えられる利点がデカいから無人機なんでしょ
けれど難しいプログラミングも開発もしなくていい、いざという時は誰もがびっくりするような方法で難局を乗り切る可能性を秘めたそっくり同じものは絶対作れない生体部品。
パイロットが要らないだけで相当大きななメリットだと思います
ましてやAIが操縦するF16がドッグファイトで勝つ昨今です、
人道的、政治的な障害がなければ導入は意外と早いのではないでしょうか。
現在でもパイロット搭乗が不要なことの利点は極めて大です。
搭乗者視点で遠隔操縦可能な無人機のパイロット養成は、基本的にシミュレータのみで足りるのは納得できると思います。養成コストの面で、有人機パイロットと比べ天地の開きがあるでしょう。
今のところ有人機を完全代替する方向性が見えていないのは、遠隔回線の耐妨害性や即時性等の課題があるからかと。
AIの自律レベルは、エアチーミング下において一定範囲の自律的判断・対応行動を可能とするACL6から、人間の関与度において、より高度な戦術的自律性を実現するACL7が開発中の段階です。現在の構想上、当面必要十分なACL7はおよそ10年以内に開発可能と見積もられています。(防衛装備庁;将来無人装備に関する研究開発ビジョン)
XQ-58に較べたらMQ-28の方が形は好み
X-47Bの開発が成功したら良かったのに