ジェーンズで陸上戦闘部門の責任者を務めるジョン・ホークス氏は2日、英国防省傘下の国防科学技術研究所(Dstl)が発行した105mm榴弾砲(L118)の後継プラットフォームに関する資料をSNSにアップして注目を集めている。
参考:The British Army’s New Light Howitzer Could Be Unmanned
軽量の野戦砲にまで押し寄せる自律性と無人化、英国はL118榴弾砲の後継プラットフォームに自律的な走行が可能な無人自走砲を検討中
英国が1960年代に開発したL118榴弾砲は軽量ながら射程距離の長い105mm榴弾砲を採用、車輌による牽引だけでなくヘリコプターによる吊り下げ輸送も可能で多くの西側諸国(米陸軍も派生型L119を導入)が導入して現在も活躍しているのだが、ホークス氏が公開した資料は英国防省が研究を進めている105mm榴弾砲(L118)の後継プラットフォーム(Lightweight Fires Platform)に関するもので米メディアのTheDriveは「英国はL118の後継に自律的な走行が可能な無人自走砲を検討している」と報じており非常に興味深い。
A spot of info on the UK dstl pre-concept phase analysis of a Lightweight Fire Platform (LFP) in the Close Support Artillery workstream, considering unmanned successors to the 105 mm L118 Light Gun. #artillerytwitter pic.twitter.com/d9KW9UX1Nb
— Jon Hawkes (@JonHawkes275) July 2, 2021
さらにTheDriveは「L118の最大射程は17,200m(標準弾)だが14,400m以上離れた目標を攻撃すると命中精度が大幅に低下するため、交戦距離の拡張が求められる後継プラットフォームはオプションで精密誘導砲弾が採用される可能性が高い」と主張してのだが、この斬新な軽量野戦砲が実用化に向けて動いているのかは謎だ。
そもそも今年3月に発表した軍の再編計画の中で自走砲AS90の更新には言及しても「L118榴弾砲の更新」については一言も触れられておらず、国防科学技術研究所(Dstl)が研究を進めている後継プラットフォームも飽くまで検討段階のものなので実用化されるとしても当分先の話だろう。
関連記事:韓国、英陸軍の新型自走砲調達プログラムにK-9A2を提案すると発表
ただ英国は再編計画の中で「遠距離の脅威と交戦するため長距離砲への投資は必要不可欠」と指摘、さらに人工知能(AI)についても「AIを活用した自律能力は国防力の近代化に不可欠なもであり、この能力は軍の意思決定と作戦遂行のテンポを加速させるのに有効で『危険で汚く退屈な任務』から兵士を解放して戦闘効率の大幅な向上と手頃な価格を実現する」と述べているため、少なくとも自律的な無人システムがこの分野にもたらすメリットを認めているのは間違いない。
特に英国はトレードオフの関係にあった戦力の量と質は「無人化技術の発展によって転換期にある」と主張して正面装備だけでなく基地の警備や運営、兵器の整備といった後方分野への高度な無人化システム導入を積極導入している最中だ。
関連記事:英空軍参謀総長が語る将来の戦力構造、無人化技術が量と質のトレードオフを終焉させる
米陸軍も高機動ロケット砲システム「HIMARS」をベースにした半自律型マルチドメインランチャー(要するにHIMARSの無人化)を開発中で、少数の有人HIMARSが半自律化された無人化HIMARSを制御することで兵士1人あたりの火力や戦闘効率を向上させることを狙っており、米海兵隊も新たに導入する地対艦ミサイルのプラットフォームとして無人化車輌(JLTVベース)を開発、運転席部分を省略することで地対艦ミサイル搭載車輌としては非常に小型なため輸送効率が向上している。
米空軍は航空機を腐食をから守るため人力で行っている機体の洗浄作業を完全に自動化するシステムを検証中で、これが上手く機能すれば兵士は面倒で厄介な機体洗浄から解放されることになり、空軍の基地運営はもっと少ない人員で維持できるようになるかもしれない。
このように各種無人化技術の採用は目前に迫っているため英国がL118榴弾砲の後継プラットフォームに「自律的な走行が可能な無人自走砲」を検討していても全く不思議ではないのだが、逆にここまで無人化されるとある種の抵抗感を感じてしまうのは歳のせいだろうか?
余談だが英国の防衛メディア「UK Defense Journal」が日英のエンジン共同開発について取り上げているのだが、日本の朝日新聞が報じた内容を元に「日本は戦闘機F-Xのエンジンを英国の協力を得て開発することを決定した」と報じているので英国人は共同開発ではなく「英国が日本のエンジン開発を支援する」という受け止め方をしているのだろう。
参考:UK to help Japan develop engine for F-X fighter
関連記事:日本、次期戦闘機F-Xのエンジンを英国と共同開発する方向で最終調整か
あと4chanにもUK Defense Journalの記事を受けて「Japan looks to UK for 6th gen engine(日本は第6世代エンジンを英国に期待している)」というスレッドが立てられており、英語圏の人々が日本のエンジン技術やXF9についてどのように認識しているかを垣間見ることができるので興味がある方は覗いてみると面白いかもしれない。
まぁ直ぐに話が脱線して別の言い争いになっているが、、、
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※アイキャッチ画像の出典:Allied Joint Force Command Brunssum / CC BY-SA 2.0 写真は英陸軍のL118榴弾砲ではなく米陸軍が採用しているL119榴弾砲
>英国がL118榴弾砲の後継プラットフォームに「自律的な走行が可能な無人自走砲」を検討していても全く不思議ではない
なんでやねん。もう一度言うけどなんでやねん。
81mmや120mmの間は要らんからどっちかに統廃合するってなら理解出来るんだけど、
無人自走砲とか155mmですらやってないのを105mmの後継でって・・・英国面が炸裂し過ぎ。
調達コスト度外視しても、輸送も整備もめんどくさそう。
155mmは無人化された韓国のやつを導入するんじゃないの?
あとL118の後継に無人自走砲を「検討」するくらいは別に不思議じゃないけど、これを実用化すると言い出したらびっくりする。
不勉強だが81と120mm榴弾砲なんかあるのか?無人化に関しては昨今の自動装填とかを見るに移動と砲の展開地の状態把握に関しては人が介在する必要あると思うが、そこをAIとセンサーでクリアできるなら、自動運転みたいに先に進むことは出来ると思う。
迫撃砲だろ
81mmはL16 81mm迫撃砲、120mmは車両に牽引させる迫撃砲だ。(そもそもイギリス軍は120mm迫を持ってないようだが)
L118榴弾砲は砲弾と薬莢を装填し発砲する軽量な砲だ。(元込め式以外は120迫に近い運用法)
そもそも役割が違うので、どちらかを廃止というのは箸にも引っかからないだろう
砲の輸送には人員を割くかもしれないが、展開と使用は現場監督がいれば大丈夫だろうから、砲兵の頭数の削減は容易だろう
小型の方が無人化のメリットは大きいだろ。
記事中にもあるヘリでの吊り下げ輸送とか
何なら空挺降下させようとかした場合も、
軽いのはそれだけで大きなメリットだし。
有人では中途半端な大きさでしかない兵器が
無人機でならジャストサイズになり得るのは
トルコのMAMシリーズが実証してるだろ。
無人機ゆえに純粋に、過去の戦訓から割り出した費用対効果で見るからでは?
ヘルファイアが有名だけど、命がけで往復する米軍兵士の命が高いから偶然破壊できないことを恐れてて必要量の5割マシの炸薬を積んで、タンデムHEATなのに、原型を留めないほど破壊するとか。ヨーロッパのHOT等は炸薬2割マシとか。トルコのUAVは、必要量の炸薬しか積まないから安いとか。
破壊されてもコストでしか見ないから、長期離のデメリットより短距離のメリットが大きい。
まあ完全に放ったらかしではなく兵員も随伴するだろうからいいんじゃないですか?
スタックしても困るし整備も必要
しかし流石英国面言われるだけある
失敗だけでなく成功も多いしな
流石に砲兵部隊無人化とかは無理だろうけど自走砲そのものだけでも無人化できたら凄いな
今は誘導砲弾で長射程&ピンポイント砲撃も可能だから小口径でも十分になったりする…のかね?
少なくとも西側は155ミリで統一する方向で砲種を整理していたのだが、
ヘリコプター空輸という要求で軽量砲の更新があるなら、へーという感じ
120ミリ迫撃砲でも誘導ロケット推進弾にすれば充分な精度と射程はとれそうなもんだが
BAEシステムズが開発した米軍のM777牽引式155㎜榴弾砲の重量は3,175kgでUH-60やUH-1、V-22オスプレイでの吊り下げ空輸が可能ですから同榴弾砲を採用していない英軍も採用して155㎜榴弾砲に統一する可能性があるのでは…と思います。
原開発国でもありますから…。
「自律的な走行が可能な無人自走砲」であって自動装填や自動操砲ができるとは明言されていないが、撤収作業が自動化されるなら砲側員が先逃げできるというメリットがあるのかな。
完全な無人化には至らなくとも、砲は部隊運用が基本だから必要最小限の人員で済ませられるならば、敵の反撃に対して人命被害を減らせる
いかにも兵員削減を要求されてる英国的な事情に応えてるね
兵器の無人化って本当に人員削減に繋がるの?
歩兵の代わりに技術者や整備士の随伴が必要にならない?
基地運用が普通の空軍、搭載艦艇が整備基地を兼ねる海軍と違って、陸軍の場合作戦中は野営が基本だから元から車付兵等運用者が所要の整備技能を持つ必要がありますね。若しくは装備がメンテフリーに近いか。
手に負えない場合は回収して整備デポに頼ることになります。
無人兵器を纏まって運用する部隊には、必要な整備技能を持つ技術兵と整備兵(操作技能兵を兼ねる)が所要数配属されることになるのかな。
歩兵が小銃を分解整備できるよう訓練されるのと同じようなことかと。
結果的に人員削減や人命の損耗抑制に繋がらないなら何をやっているか分かりません。
イメージ図に弾薬庫っぽい箱と装填装置っぽいものが描かれてるから、自動装填・操砲を想定していると思われ。
ただ、そうなると確実にコストは確実に上がるから、少人数化とのトレードオフやね。
あと気になるのは、砲システムを無人化したとして自前の弾薬を撃ち尽くした後の給弾システムをどうするのかってとこだな。
この辺は今後の研究しだいってことなんだろうけど。
イメージ図だとインホイールモータの電動車両と思われますね。
いろいろ興味深いです。
見るからに不安定で貧弱そうなあの足回りで、本当に安定して発砲できるのだろうかと不安になる見た目
発砲する際は、車高を下げて底面を接地させて安定させるとかするのであれば別だろうけども……
車輪の付くアームが根本で回転しサスペンションとして機能するぽい。
おっしゃる通り射撃姿勢ではこれを回転させ車高を下げるんじゃないですかね。
ただし水平を保持するよう底面接地はしないんじゃないかと思いますが。
砲は低反動化されてると思えなくもない。
今回のこれは自動装填するっぽいけど、
単発やマルチバレルやリボルバーみたいな
少弾数だけど信頼性の高い方法で、
数発撃ったら補給兼ねて撤退、ってのも
無人・軽量機なら使い道はありそう。
無人兵器という事でパンジャンドラム型無人兵器の開発をやらかしたりするんだろうか?
それが自爆ドローンじゃない
50kim位の距離をゴロゴロ転がってくる無人兵器が見たいんだ。
英国ならやってくれるはずだ。
近距離で火砲を撃ち合うよりも対空システムを圧迫させるロケット砲でいいのでは。レーザーで防衛されて対空網が突破できない状況が生まれない限り火砲の出番なんてありえない。
砲兵の支援があるなら基本的に航空支援はいらないってのが軍のドクトリンね
航空戦力で全ての地上軍を支援するなんて不可能なんだよ
砲兵は戦場の神って言葉を知らないか?
敵に最大のダメージを与えて来たのは砲兵、死傷させる割合は常にトップだった兵種だよ
ロケット砲は瞬間的な投射量は多いが、長時間で見れば砲が上回る
空爆なんぞよりも時間当たり投射量は多い
コストもクソ安い
砲兵は24時間戦場にあってドカドカ砲弾を撃ち込めるが航空機だとそうはいかない
長時間ロイタリングが可能なA10でさえ三時間しか張り付いていられない
航空機は補給に帰投して再出撃まで2、3時間かかる、ヘリなら往復時間も長い、常に戦場に張り付いていられない
しかし砲兵は機動力が低いので、攻勢時などは航空支援が担う
航空機は侵攻爆撃など他の任務もあるので全部近接支援に回すわけにもいかない
>あと4chanにも・・・
面白いですね。こういうのもチェックしてるんですか。
>まぁ直ぐに話が脱線して別の言い争いになっているが、、、
火事と喧嘩は匿名掲示板の華でしょう。(笑)
どこも同じような荒れ方するのに笑ってしまった。
49856417は誰だろう?身近な人かな?
自動洗浄機の話。
目張りや細かい所の洗浄は人の手になるのであまりマンパワーの節約にはならないだろうね。
成田にあった747用の自動洗浄機はそんな感じだったよ。
あれからかなり時間は立っているし今後はこの方向になるのだろうけれどね。
>目張りや細かい所の洗浄は人の手になるのであまりマンパワーの節約にはならないだろうね。
何で?
「人間は目張りや細かい所の洗浄だけすれば良い」なら
劇的な省力化になると思うけど。
そこんところが手間なんだよ。
昔、食洗器で洗い終わった後、縁に洗い残しがあったようなそんな感じ。
もちろん今ではかなり進歩しているだろうけれど精密部品の塊である航空機ではいろいろとデリケートな出っ張り部分があるのでそう簡単にはいかないんじゃないかな。
車の自動洗車並みだったら何とかなるだろうけど。
あると便利だからうまくいくといいけれどね。
苦手な部分まで機械に期待するから二度手間感あるだけでは?
最初からフチは人が洗うつもりでいればいいだけじゃん。
食器くらいなら「なら全部自分でやるよ」になるだろうけど
航空機の場合、高所や面積の広い部分だけでも
人がやらなくて良くなれば効果は大きい。
つまりはそういうこと。
あまり期待はできないかなってくらいで。
やっぱり分からん。
高所や面積広い所、なんて危険・単純な作業を無人化して、
人間を高度な作業に集中させられるなら理想的じゃん。
どこら辺が「マンパワーの節約にはならない」のか
全く分からないよ。
トラック搭載型自走砲の無人化というのもありかもね。
運転席を省略して弾薬搭載スペースを拡大したり、砲身を延長することで射程距離を延長するのもね。
アメリカの無人ロケット・ミサイル車両は、C-130での輸送に対応するべく涙ぐましい空間・重量効率向上の為に運転席のを排除した無人化という後ろ向きな選択だから、C-2やA400Mクラスの戦術輸送機を導入していれば必要無さそうなところがね……
要はC-130じゃ貨物室高さが低すぎると。C-17も貨物室高さが低めなせいで、UH-60系のキャビンの天井の低さへと影響しているし
結局朝日のリークの精度はかなり高かったわけか…
英軍さんはスパキャットのジャッカルに低反動化軽迫を搭載したの装備してたと思うが6輪型なら120mmもいけると思うからこの際ライトガンやめて自動化に向いてる重迫に転換したら?
105mmの低反動化で自動型ってめぼしいのが市場にはなくて米軍も整備に難儀してるよ。
スパキャットも古いからMRV-Pの派生でストレッチ車で火砲タイプ追加するとか何れにしてもまずは車載化(低反動化)してから自動化して次に無人化だよね常識的に。
軍隊の無人化については、”カネのない”英国で先鋭的に進むと観ていただけに、
今回の記事は「英国はどこまでやるか」の一点で注視している
間違えてはいけないことは、占領地に無人化兵器が入っても、
占領したことにはならないことだ (無人では施政できないから)
やがて無人兵器にひととおりの戦闘をやらせた後に兵員が入るパターンに変わると思うよ、いわば人間の役割は仕事の確認と仕上げ
機械的な音しかしない砲身の付いた無人車輌がスピーカーで占領!とか言っても占領にはなりませんもんね
FCSみたいなもんも付いてんのかね?
移動中も撃てたりして
~そして誰もいなくなった~
>今は誘導砲弾で長射程&ピンポイント砲撃も可能だから小口径でも十分になったりする
そもそも小型化すれば運べる量が減る訳だし、重量が少なければ射程は短いのが普通だから近距離狙いじゃないと無理じゃないかな。RAPとかだと推進剤のせいで炸薬6割とかに減るし重心とかも変化する。後、全てがピンポイントで済む話じゃない時もある。散らばった兵士を攻撃したいなら105mm榴弾なら立っている兵士が50%死傷する?面積がテニスコート2面分ほど、155mmだと3倍のテニスコート6面分にもなるからある程度大きいサイズは必要だと思う。もっと言えば榴弾砲使って巡航ミサイル撃墜までしたんなら、アンチドローンで位置情報確定しているなら榴弾砲の破片で撃墜するコンセプトがあっても良いと思う。
>近距離で火砲を撃ち合うよりも対空システムを圧迫させるロケット砲でいいのでは~
何かすごく飛躍した話してるなと思う。全ての軍やゲリラがアイアンドームみたいな迎撃手段持っている訳でもないし、レーザーで実用的な迎撃が出来るまでにならないと迎撃側のコストが高く付くし保有弾薬の問題もあるだろう。そもそも対空システムを圧迫させるロケットの話はハマス戦術?からだろうがCEPも微妙、射程だって榴弾砲レベルのコストが安い嫌がらせ兵器と軍隊が求める物とは違うだろう。持論の相手の防空システムを飽和させるだけの長射程ロケットって、運ぶ重量に対して効率が悪いロケットだと大型化は避けられないし、それを発射する為の車両が何両必要か考えてないんじゃないかな。
割りと面白い内容
読み易いよう改行して!