欧州関連

クロアチアの仇はウクライナで討つ? 中古機を改修したF-16Vで中古ラファールを迎え撃つ

ロッキード・マーティンはウクライナの次期戦闘機入札にF-16Vを提案する準備が整っていると明かして注目を集めている。

参考:Lockheed Martin to offer new and used F-16 Vipers to Ukraine

中古ラファールを想定して中古機をアップグレードしたF-16Vを用意してきたロッキード・マーティンの周到さ

ウクライナ空軍は2014年に発生したクリミア危機と東部紛争で10機以上の航空機を作戦中に失い、侵攻してきたロシアの地上軍にMiG-29を45機以上も鹵獲されてしまい返還された機体はパーツや電子機器の一部を意図的に抜かれていたため飛行可能な状態に戻すのに苦労したが、最終的にウクライナ空軍は30機程度(情報源によって21機~45機とバラツキがある)のMiG-29とSu-27を33機を運用している。

出典:Downloader2282 / CC BY-SA 4.0 ウクライナ空軍のMiG-29

さらに戦闘機は別にSu-24Mを15機程度、Su-25を25機程度を運用しているが対峙するロシア空軍と比較した場合、能力的に劣勢で老朽化した機体の運用コストも高額なため西側製戦闘機による更新が計画(空軍ビジョン2035)されており現地メディアはF-16VやグリペンE/Fを有力な候補に挙げていたが、予想通りロッキード・マーティンがF-16Vを提案すると明かした。

ロッキード・マーティンはウクライナの次期戦闘機入札が始まればF-16Vの新造機かF-16の中古機をアップグレードしたF-16Vを提案すると言っているが、この提案は武器の輸出を管理している米国務省の承認を得た計画ではないのでロッキード・マーティン独自の主張に過ぎない。

出典:Airwolfhound / CC BY-SA 2.0

今のところウクライナの空軍ビジョン2035に名乗りを挙げたのはロッキード・マーティンだけだが、フランスもウクライナにラファールの売り込みを狙ってっている。

フランス政府はマクロン大統領が夏までにウクライナを訪問して安全保障問題や幾つの新しい経済プロジェクトについて協議を行うと今年1月に発表したが、この訪問最大の目的はラファールの売り込みにあると現地メディアが報じておりフランスはウクライナが戦闘機を調達するのに必要な資金の85%に相当する15億ユーロ(約2,000億円)の融資(直接融資ではなく債務保証という形で)を用意しているらしい。

どちらにせよフランスは順調に受注を獲得してきた「中古ラファール」を今回も提案してくる可能性が高いので、ロッキード・マーティンもそれを見越して中古機をアップグレードしたF-16Vも用意してきたと見るのが順当だと思うが、現地メディアの噂に挙がっているグリペンE/Fについては提案されないだろうと管理人は思っている。

出典:Tim Felce / CC BY-SA 2.0 フランス空軍のラファールB

クロアチアが実施したMiG-21の後継機入札でフランスの提案した中古ラファールに破れたサーブはクロアチアの決定を「尊重する」としながらも「フランスやイスラエルが提案した中古戦闘機に対してグリペンで対抗するのは困難でサーブは正しい競争力を維持できない」と明かしており、単発機で性能を重視する国はF-16Vを選択して調達コストを重視する国はF-16やラファールの中古機を選択するためグリペンに残された強み=つまり「運用コスト」だけでは競争力を維持できないという意味だ。

果たして本当に中古ラファールがウクライナに提案されるかマクロン大統領の訪問結果を見てないと何とも言えないが、仮に中古ラファールが提案されるとロッキード・マーティンにとってはクロアチアのリベンジマッチになるため相当激しい売り込みが展開されることだろう。

関連記事:ギリシャで米国に勝利したフランス、今度はウクライナにラファールを提案か
関連記事:市場での競争力維持が困難なグリペン、F-16Vと中古戦闘機に挟まれ強みが色褪せる

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo/Tech. Sgt. David Salanitri

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 6月 25日

    中古と言っても、仏空軍は既に24機を供出していて代替機もすぐに納品される訳ではないので、機体のやりくりに相当苦労していると何かで読んだけど。現用機数がF-16より1桁少ないし、中古商法はそろそろ限界では?これ以上やったら空軍がキレそう。

    15
      • 匿名
      • 2021年 6月 25日

      いざとなれば各国で退役し始めてるミラージュ2000を再購入して改修すれば10年ぐらいは繋ぎになるのでは。

    • 匿名
    • 2021年 6月 25日

    グリペンの中古は無いのですか?
    さすがにビゲンでは古すぎるだろうけど

    2
      • 匿名
      • 2021年 6月 25日

      ライン維持のために作っちゃったグリペンCがダブついてて
      スウェーデン空軍としてもA/Bが余剰で引き取る余裕がない、みたいな
      話があったから、AでもCでも安く売れる機体はありそうなんだけどね。

      リンク

      4
      • 匿名
      • 2021年 6月 25日

      グリペンの中古じゃ性能的にダメじゃないの?

      2
        • 匿名
        • 2021年 6月 25日

        グリペンC/D用のAESAアンテナのコス/パがどんなもんか次第かなぁ。
        アンテナ交換込みでF-16C/Dより大幅に安くてミーティアのノーエスケープゾーンを使い切れるなら十分勝負は出来そうだけど。

        リンク

        2
    • 匿名
    • 2021年 6月 25日

    当面はAce oneの付随による防空方策開発と見られる 筆者の読みは違うのでは?

    • 匿名
    • 2021年 6月 25日

    激しい生存競争の中で最適解を見つけることは、売り手側も買い手側も同じくらい難しい。
    最近の一連の軍事ビジネスが激化して、どこでもギクシャクしているように見えるのは、
    新冷戦時代の安全保障システムの変動と絡んでいるからだろうね。

    3
      • 匿名
      • 2021年 7月 28日

      何かを言ってるように装いつつ、全く無内容なコメだな。

      何が・何と・どう絡んで・どうしたか、具体的に説明してくれる?

      1
    • 匿名
    • 2021年 6月 25日

    F-16の中古なんて桁違いに余ってそう
    F-16Aみたいな初期型からも改修できるのが凄い(機体寿命はしらんけど)

    6
    • 匿名
    • 2021年 6月 25日

    ウクライナってSu-27再生産出来ないんだ…

      • 匿名
      • 2021年 6月 25日

      アントノフを除いて
      航空機メーカーとその工場はロシアにあるからね
      リビウに修理プラントあるから近代化や大整備は可能だけど
      フランカーやフルクラムの新造は無理だと思う

      5
    • 匿名
    • 2021年 6月 25日

    中華が。インドで取られた敵を、ウクライナで返したりしないかな。

      • 匿名
      • 2021年 6月 26日

      チャイナがウクライナにJ11を売却すれば、いろんな意味でとっても楽しい展開なのに。

      1
    • 匿名
    • 2021年 6月 25日

    台湾向けにF-16V相当に改修した機体だとECM関連機材は内装できないから外装にするのに10年かかる、とか言っていたと思ったが。LMが提案するF-16V相当の中古って、その辺はどうなっているのだろう?

    1
    • 匿名
    • 2021年 6月 26日

    グリペンの強みって平和な国にしか恩恵ないな
    軍事大国とバチバチやりあって軍事衝突の可能性が高い地域には向いてない

      • 匿名
      • 2021年 6月 26日

      そこにスウェーデンらしい正義というか偽善というのか、
      必要な相手には売らないって、それ雨降りに傘を貸さないの銀行の融資論理だよな

      3
      • 匿名
      • 2021年 6月 27日

      戦闘が起きない前提で保有してれば良い機体でなく、ガチの実戦で役に立つ機体が必要と多くの国が認識し始めたのかも。
      タイフーンはDACTで醜態晒しまくり、ラファールは実戦投入されIS兵士をして「アメリカの戦闘機より怖かった」と実績を積んだのが、最近のセールスの明暗を分けたのかも。

      1
    • 匿名
    • 2021年 6月 26日

    アメリカもF-16Aは標的機にしているしF-16C Block 25/40までは使い込まれていて程度が悪いと聞きますので手小戸の良い中古をどこから調達するのかに注目ですね

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