米国務省は4月29日、オーストラリア向けに16億8、500万ドルの重装甲パッケージ売却の可能性を承認して議会に通知したと発表した。
参考:AUSTRALIA – HEAVY ARMORED COMBAT SYSTEMS
無人航空機やカミカゼドローンと呼ばれる徘徊型UAVの台頭で主力戦車の削減話が多い中、主力戦車の数を倍以上に増やすオーストラリア陸軍
この重装甲パッケージには米軍の在庫からM1A1エイブラムス×160輌分の構造体やAGT1500ガスタービンエンジン×122基の売却が含まれおり、これを入手したオーストラリアはM1A2/SEPv3×75輌、M1150ABV(突撃啓開車)×29輌、M1074JAB(統合突撃橋)×18輌、M88A2ヘラクレス(装甲回収車)×6輌を製造すると報じられている。
オーストラリア陸軍はM1A1エイブラムスの豪州向けバージョン「M1A1AIM」を59輌運用中だが、今回の売却が米議会の承認を得られれば米陸軍が導入を進めているM1A1の最新バージョン「M1A2C/SEPv3」に準じたM1A1を新しく75輌を手に入れることになるため旧バージョンと合わせるとオーストラリア陸軍の主力戦車は134輌まで増加することになるのだろう。

出典:public domain オーストラリア陸軍はM1A1エイブラムス
旧バージョンのM1A1AIMをM1A2/SEPv3にアップグレードするのかは今のところ不明だがオーストラリア陸軍の近代化はかなりのスピードで進めてられておりボクサー装輪装甲車、自走砲AK-9(K-9派生型)、AH-64Eの導入決定しており、新型歩兵戦闘車の機種選定(リンクスとレッドバックによる最終選考)も進められている最中で多連装ロケットシステム(MLRS)導入の噂が挙がっているほどだ。
さらに独自の極超音速兵器開発と同時並行で日本も導入を検討している米国製長距離対艦ミサイル「AGM-158C LRASM」の陸上発射バージョン開発と豪州国内での製造を行うと先週発表したばかりなので、傍から見るとオーストラリア陸軍の近代化は非常に早いスピードで進行していると感じる。

出典:U.S. Air Force photo by Tech. Sgt. Cory D. Payne オーストラリア陸軍が導入した4足歩行タイプの無人ロボットと同型
地味なところまで取り上げるとオーストラリア陸軍は無人車輌(UGV)の活用が始まっていて前線部隊と後方兵站を繋ぐ手段として輸送用の6輪UGV導入と検証が始まっている。さらに装甲戦闘車輌の無人化にも独自に取り組んでいて複数のM113装甲兵員輸送車をUGVに改造してチーミング運用のフィールドテストを繰り返しており、兵士に随伴可能な4足歩行(犬型)タイプの無人ロボットによる偵察・監視も実際に導入して検証が行われているので、近い内にオーストラリア陸軍は独自のUGV運用ノウハウと戦闘教義を確立するかもしれない。
少々話が逸れたが無人航空機やカミカゼドローンと呼ばれる徘徊型UAVの台頭で主力戦車の削減話が多い中、主力戦車の数を倍以上に増やすというのは中々珍しい話だがオーストラリア陸軍が運用するM1A1は59輌しかないので「少なすぎた数を是正しただけ」とも言える。
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追記:オーストラリア陸軍は主力戦車の戦力を構造を変更しないと言っている=つまり新たに取得するM1A2/SEPv3×75輌のパーツは既存のM1A1AIMを59輌をアップグレードするため使用(差分はスペアパーツ?)されるため主力戦車の数が134輌まで増加することはないらしい。
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※アイキャッチ画像の出典:US Army Photo by Mark Schauer ユマ性能試験場でテスト中のM1A2C
戦車はオワコン
戦車を大幅に増やすって記事でそれを言うのか・・・(困惑)
しかも、かなり無人機とかの計画が進んでるオーストラリアの記事で・・・
全然オワコンじゃないよ
ナゴルノ・カラバフだってドローンの活躍ばっかり注目されてるけど、あれアゼルバイジャン軍の戦車部隊の進軍もあってこそでしょ
トルコは新型戦車作ってるしイスラエルは戦車めっちゃ重要視してるし、世界中見ても戦車を重視してない国の方が少ないと思うけど
戦車兵上がりの著名人が、戦車とは動く砲台であるって語ってたのを思い出す。第一世界大戦で出現した最初の戦車もそういう性質の兵器だったし。
今日における戦車の役割って何だろうね、
動く砲台な面と、敵の火力を引き付ける囮的な要素と、戦場での踏破力を活かした﹙過去の﹚騎兵的な役割かな?
今日限定ではないけど。
火力と機動力を合わせ持つ兵器は今のところ戦車しかないからねぇ
(機動力には機動を可能にする防御力も要素として含まれる)
実体弾相手も含めて装甲以外の防御手段が確立、かつ、軽量なシステムで纏める事が出来るようになったら、
戦車もその役割を終え退場するかも。
グーがパーに勝てないからとグーを否定してるならアホ。
戦車なしで航空戦力と他の装甲車両と歩兵で相手をどうにかするよりも戦車がいたほうが圧倒的に楽だよね
航空戦力で擬装した戦車を見落とす可能性、天候不良による航空戦力のカバーが出来ない日、航空戦力の展開していない場所、時間が限られていて航空戦力が十分に展開するのを悠長に待っていられない場合、そんな時に相手が戦車を投入して来たら戦車のいない地上部隊はどうなる事やら・・・
端的で秀逸な表現に座布団二枚
オーストラリアの陸軍って敵どこを想定して金かけてるんだ……?
戦車大量に持ち出すシチュエーションがわからん。
アメリカに追随した戦地派遣では
確かにw
上の人の言う通り外地かな
対中戦が勃発した時に参戦するんじゃない?
台湾に派兵するとか
オーストラリアSASの台湾派遣は想定されてるかも知れませんね。
インドネシアが仮想敵のはずだから、国内に戦車がないとまずいとおもう。
現在、豪州は太平洋島嶼連隊(PIR)の創設を検討しているそうだ。
リンク
豪州は、中国軍の太平洋進出を想定し、太平洋島嶼国への派遣軍を構想している模様。
因みに、米国とPNGのマヌス島に共同海軍基地を建設中。
謎の部隊が本土に侵入するかもしれないのだろうか。
オーストラリアが攻撃受けたのって旧日本軍の艦砲射撃ぐらいじゃないの?
どっかで戦争が起きたとき連合軍として参加するために装備ととのえてんのかね?
オーストラリアさんは、朝鮮、ベトナム、湾岸、イラク戦争全部コンプリートしてる。
>オーストラリアが攻撃受けたのって旧日本軍の艦砲射撃ぐらいじゃないの?
空襲もね。
零戦相手に迎撃に上がって、迎撃に上がった側が何故か燃費切れで墜ちたりしてる。
戦車におけるガスタービンエンジンの必然性ってどうなんかね、
第二列島線に入ってるし、中国に屈しない意思を首相がはっきり示した。
「私達の戦士を送り出す覚悟を決めて下さい」とね。
日本よどうする?
日本はむしろ直接の当事国でなけれはアメリカからストップかかると思うが
日本が絡むと中韓あたりが拗らせてめんどくさい事になりそうだし
後方支援くらいはやらされそうだが
>中韓あたりが拗らせて
????
南朝鮮はともかく、対中紛争なのに中国の反応を気にする訳もなく。
あれ?
たしかM1って新規製造しようにもラインが廃止されて出来ないんじゃなかった?
アメリカのお下がりを整備して買う話なんかな
台湾のといい普通に中古品だよ
使用済みかいまいちわからないけど、修理用のパーツから外殻、構造体、エンジンを持ってってオーストラリアで組み立てるって書いてある。
当然のごとくモスボール品or米軍現用のお古だけど、機械・電子部品がしっかり整備されて仕様も最新になっていれば何が問題なんだい?
ナショナル ジオグラフィックの「M1 エイブラムス」で、スクラップのような代物を整備して戦列復帰させる様子が描かれてるけど、
似たような感じで整備したのを最新バージョンに上げるのだろうね。
M1も型番増えすぎて何がなんだかよくわかんなくなってきたな
なんだよ、SEPv3ってw
米軍もめんどくさいと思ったのか「M1A2C」に改名させたよ
そろそろA3とか出てこないのかな?
M1も40年を越してるし、バージョンアップでなく新戦車って話にならないとこが、米軍の迷走にも見えるけど
戦車は無くなるだの自走砲でとって代わるだの、ぜんぶ話倒れしてるし
一応新型戦車の話は出てるから
お金はないけど
「M1A3」は現状の性能を維持したままダイエット(今のM1は重すぎるから)する予定だったんだけど、
そんな都合の良い改修は難しいのか結局ずっと先延ばし…
そこらのゲリラでもタンデムHEATのRPG持ってる時代に歩兵戦闘車くらいしかない状況だと相当辛い戦いを強いられるな
今更M1か?って思ったけど、西側戦車の選択肢M1とレオ2とルクレールしかないんだった
40年も前の戦車まだ使ってんのか…
みんなライン閉じてるから新車で買えるのは今やK-2のみという有様
いちおう新品の10式もありますがな、売りまっせ、なんならおまけに潜水艦もつけまひょうか?
潜水艦よりは売りやすいわな10式戦車
あくまで売りやすいであって売りに出せる、買ってくれるとは言わんが
10式は日本が日本で使う分には最高の戦車だとは思うけど他所ではどうかな?
中が超狭いようだね>10式
長期の哨戒用途とか、中東で非対称戦に対応するには不向きかも。
10式のうりはデータリンクによる高い攻撃力&機動性らしい
そのデータリンクを(仮想)導入国が準備できるか・日本が統合する気があるかだな
戦車だけだとちょっと軽い市場に出た事のないよくわからん珍品戦車だろう
戦車同士のデータリンクなんて何処の国も導入してるから10式だけの専売特許じゃない。
逆に最近の戦車は無人機と統合して認識力を強化するのが主流で全く能力のアップグレードをやってない10式はたしかに珍品だろうね。
データリンクについてはFCSと連接している・していないは大きな違いですよ。後からつけた奴って基本連接していないから、別途入力必要になるわけで。
射撃管制装置と連接していると言うよりも、戦車同士だけじゃなくて随伴する装甲車両や歩兵はもちろん航空戦力や後方の自走砲やMLRSとリアルタイムで情報を共有して射撃管制装置なり照準システムに課長できる戦闘管理システムの採用が進んでるよ。
日本は10式は情報活用が10式だけで止まってるから、ここ何とかしないとどうにもならない。
フランスやイスラエルなんて無人機で取得した情報を戦車や装甲戦闘車輌の射撃管制装置に直接転送して活用してるらしいよ。
10式は外販してないからなあ。
いきなり主力戦車の定数倍とか景気のいい話やな
機動戦闘車あるから戦車の定数とか削減でいいよねとか言ってる国に聞かしてやりてえ
豪陸軍現役3万で130両ってことは
陸自15万なんで650両必要じゃん現大綱の倍じゃん
台湾と言い、戦車見直しな流れがあるのかな?
どこでどういう風に使うかって感じだよな。国外で使うにしたって輸送を考えなければいけないしC-17持っているにしても機数が少ない。いざとなると米軍とかの輸送機とか借りる事になる感じになるのか。国内攻められるにしても、そもそも輸送艦守って展開する能力持っている国が周辺にあるのか。戦車の有効性云々、語っている人って陸続きの国なら納得出来る内容しか語ってない気がするんだよね。
>ゲリラでもタンデムHEATのRPG持ってる時代に歩兵戦闘車くらいしかない状況だと相当辛い戦いを強いられるな
戦車がタンデムHEAT完全に防げる訳でもないし、その理屈っておかしいと思う。歩兵戦闘車がタンデムHEAT対策できないわけでも無いでしょ。
>10式の外販
防御に重きを置かない機動性と攻撃力だけ考えるなら有りだけど、まともな装甲施してかつデチューンした装甲板での輸出考えるなら更なる重量増になるし、輸出モデルの仕様考えたら実績ある戦車使う方がマシって気がする。