欧州関連

ドイツ国防相、米軍からHIMARSランチャーを購入してウクライナに送る

ドイツは先月13日「新しいパトリオットシステムをウクライナに引き渡す(6月中に納品予定)」と発表したが、今度は「ウクライナ向けにHIMARSランチャーを3基購入する」と訪米中のピストリウス国防相が表明して注目を集めている。

参考:Pistorius kündigt Kauf und Lieferung von Himars-Raketenwerfern an

ドイツの継続的な支援は防空、装甲車両、砲弾、弾薬などの各方面でウクライナの戦いを支えている

ピストリウス国防相はワシントンの記者会見で「米国と共同でウクライナ向けにHIMARSランチャーを3基購入する」「米軍がランチャーを提供してドイツが費用を負担する」と明かし、ドイツメディア(t-online)のジャーナリストも「このアイデアは米国のウクライナ支援が行き詰まっていた時期に起源をもつ」と指摘している。

要するに「下院が承認するかどうか不透明だったウクライナ支援に危機感を覚え、我々が資金を提供するので米軍備蓄からHIMARSランチャーをウクライナに送れと米国に働きかけてきた」という意味で、このアイデアの実現はタイミング的に「米支援再開後」になってしまったが、ドイツの継続的な支援は防空、装甲車両、砲弾、弾薬などの各方面でウクライナの戦いを支えている格好だ。

因みにドイツ政府は「ウクライナ支援に消極的だ」と批判を受けたため詳細な支援リスト(提供時期や一部支援は非公開)を公開し、毎週「何がどれだけウクライナに届けられ、約束した支援の何が実行中で、新たにどんな支援を約束したのか」を発表している。

出典:Diel Defence IRIS-T SLM

このリストの提供予定にはMarder×40輌(100輌提供済み)、Leopard1A5×105輌(30輌提供済み)、パトリオットシステム×1セット、SKYNEX×2基、Gepard×15輌(52輌提供済み)、IRIS-T SLM×9セット(3セット提供済み)、IRIS-T SLS×11セット(1セット提供済み)、RCH155×36輌、PzH2000×18輌(14輌提供済み)、Zuzana2×14輌(2輌提供済み)、Gepard用弾薬×24.9万発(14.6万発提供済み)、122mm砲弾×12万発以上、155mm砲弾×25万発以上(8.1万発提供済み)、Sea King Mk.41×6機などが含まれている。

関連記事:ドイツ、新たなパトリオットシステムを直ちにウクライナへ提供すると発表

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Spc. Joshua Zayas

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コメント

    • たむごん
    • 2024年 5月 10日

    ドイツの支援、どの程度の効果があるのか興味深いですね。

    ドイツの失業率は、ウクライナ戦争のインフレにより、猛烈に増える予想ですから今後を見守りたい思います。

    (2024.05.09 GDPで日本を抜いたドイツで吹き荒れるリストラの嵐、ドイツ経済で何が起きているのか? JP press)

    20
    • ドブロク
    • 2024年 5月 10日

    ノルドストリーム爆破されたりしてんのに、すごいなドイツ。ドイツはウクライナと共にある〜つって、公然の秘密で派兵してそう。だもだ、ここまで入れ込むのはなんかあるのかね

    40
      • elmoelmo
      • 2024年 5月 11日

      ヘルメット支援していた頃まではわが国と変わらなかったのに、今やすごい差ではありますね…。

      2
    • M
    • 2024年 5月 10日

    HIMARSの損失は視覚的に確認されてるのが2基(1撃破+1損傷でアメリカで修理)だけど実際はもっと多いのかもしれない。
    39基も供与されてるようだし、弾薬不足やロシアの対策だけが活動の低調の理由でもないように思う。
    倉庫ごとミサイル攻撃で消えたのもありそう。

    24
      • たむごん
      • 2024年 5月 10日

      オデッサなどの倉庫、爆発したりしてましたね。

      軍機なのでしょうが、どれくらいの被害なのか少し気になっています。

      12
        • BOB
        • 2024年 5月 10日

        発射機を失ったHIMARSオペレーターたち

        「ロシアの侵攻を止めるために早く供与してくれ(じゃないと歩兵にされちまう)」

        11
    • うくらいだ
    • 2024年 5月 10日

    なんかタウルスミサイルだったか、ロシアへ直接攻撃するような兵器は送りたくないことへの免罪符としていち早くパトリオットの提供に手を挙げたようにしか見えないが、でもエネルギー大事だし戦後見据えれば当然か。

    6
    • 名無し
    • 2024年 5月 10日

    あんなに宣伝されてたHIMARS君がすっかり音沙汰無くなって撃破されたニュースで久しぶりに名前聞いたくらいだから大分効果は薄れてるだろうね
    効果があるなら良い宣伝文句として内外に発信されてると思う

    12
      • F-117A
      • 2024年 5月 10日

      5月の頭にロシア兵100人一度に殺したってニュースになってたはず。
      弾がないと筒だけでは戦果のあげようかないのでニュースがないのは当たり前なような。

      11
      • Minerva
      • 2024年 5月 10日

      音沙汰がないのではなく日本のメディアにやる気がないだけですね
      ウクライナ軍が公開してる動画では最低でも毎週何らかの戦果をあげていました
      先月もOSINTの間ではHIMARSによるS-400のレーダー損傷とブクのランチャー破壊が話題にあがってました

      30
    • 名無し
    • 2024年 5月 10日

    流石にアメリカが直接遅れよ!

    12
      • nachteule
      • 2024年 5月 11日

       むしろなんでアメリカがそこまでしなきゃならんのか。世界の警察だから?それとも支援したらとことんしなきゃ駄目な理由でもあるのか?

      2
    • D-day
    • 2024年 5月 10日

    冷静に見ると去年より大分少ないから意味なさそうだよね。

    3
    • 理想はこの翼では届かない
    • 2024年 5月 10日

    無敵のHIMARSは極僅かな損失しか発生していないはずでは?
    なのに3基を追加支援する事に?
    ボブは訝しんだ

    6
      • jimama
      • 2024年 5月 10日

      絶大な戦果を挙げ続けている無敵のHIMARSを追加することで、さらなる戦果拡大を狙い相手の戦意をくじくためでは?
      ボブは懐かしんだ

      10
      • あるまじろ
      • 2024年 5月 10日

      そりゃ40台に届かない数しかないから
      戦線の広さを考えると予備は多い方がいい。

      射程の短さもロシアが攻勢中なら問題にならないし。

      10
    • タチコマァ
    • 2024年 5月 10日

    個人的にレオ1の目撃情報が少なすぎると思ったがまだ30両だけなのか、モスボール復帰一号車が公開されたのがだいぶ前だった気がするが……
    この数字における提供済みの意味合いが気になる、ウクライナ国内に入ったものなのか、帳簿上での手続きが終わったものなのか、訓練中のものは含まれるのか
    あるいはレオ1の状態がかなり悪いので再稼働の進捗が悪いのか?

    3
      • nachteule
      • 2024年 5月 11日

       国防省のリストは見てないがニュースでは今週の時点で90両納入完了しているはず。内30両が訓練用で残りは7月前までは渡されて追加もあるらしい。
       ただ、レオ1渡されたとしてそれが今の戦車が簡単に狩られるような戦局にどれ位寄与するのか、その為のどこまで防御力が強化されているかも分からない1両に付き4人戦車兵整備員含めワザワザ用意してまで戦争をする必要があるのかは疑問があるけどな。

    • 58式素人
    • 2024年 5月 10日

    あちこちの記事を読んでいると。
    ”NATOの兵員を出せないか?”という記事が散見されるようになって来た気がします。
    フランス/北欧はもとより、イタリア辺りでもそうかと思います。
    やはり、ロシアを勝たせるつもりはないのでしょう。
    ホントに入る時には、後方支援/整備業務になるのかな。
    F16も入るのだろうし。他にも提供済みの陸戦兵器/防空兵器もあるのだろうし。
    話は変わりますが、何処かでMig29の再生あるいはコピー生産を請け負う国はないのかな。
    F16相当の大きさだし、4.5世代機の需要はまだまだありそうだし、扱い易いと思うのだけど。
    大っぴらに渡せるだろうし。

    5
      • Easy
      • 2024年 5月 10日

      本命は東部戦線崩壊からのポーランド軍参戦ですよ。
      ポーランド軍があくまでもウクライナ支援の一環として地上軍をNATO領域外のウクライナに送る限りなら、ポーランド軍とロシア軍が交戦状態に入ってもNATOの共同防衛義務は発生しませんので。
      安心して英米はポーランドに声援を送ることが可能です。
      ロシアはウクライナを倒したと思ったら、そのままポーランドとの連戦です。これなら流石のロシアも勝ち目は薄いでしょう。

      6
        • 源泉掛け流し
        • 2024年 5月 10日

        ネオコンが始めたのに、ある意味ウクライナも被害者なのに、それでも足りず、今度はポーランドですか。それにしても、そんなに戦争がしたいのかね。
        ロシアは戦術核演習という外交シグナル送ってるよ。

        19
      • Natto
      • 2024年 5月 10日

      民間軍事会社みたいな形で入ってるんじゃ?
      整備員や訓練や兵器取り扱い指導員みたいに捕虜を出しにくい配置とか。

      5
      • nachteule
      • 2024年 5月 11日

       やはり勝たせるつもりがないと言いますが、何をしてロシアの敗北とするので?ここから2014年もしくは2022年開戦時の領土回復なんてロシアで政変起きて西側融和の政権出来るかNATO中心とした多国籍軍編成して大戦クラスの戦火を覚悟しないと出来ないでしょう?ロシアが諦めるまで根気強く長引かせるつもりなら、ウクライナの国民や戦争が関わる損害を長く許容するって話でそれは問題無いのか。

       Mig-29を何とかする位ならすっぱり諦めてF-16かFA-50なりを渡した方がマシ。扱いやすかろうがAIM-120クラスの長距離ミサイル運用能力はないし、西側の多様な兵器は制限付きでシームレスに運用出来るわけでもない。機体自体のレーダー性能とかも低いし、ウクライナのインフラを有効活用するためだけにワザワザ大金積んでMig-29を何とかすると言うのはお金の無駄でしょう。西側のSAMミサイルを何とかして使えるようにするよりリターンは少ないし、ポーランドが何とか出来るだろうがロシアとの契約の関係上あまり踏み込んだことは出来なかったはず。

        • 58式素人
        • 2024年 5月 11日

        西側とウクライナの目標は、1991年の国境の復旧でしょう。
        西側とNATOから見ても、クリミア半島は西側にあるのが望ましいでしょう。
        侵略を始めたのはロシアですから、道義上も放置はできないでしょう。
        奪還のための戦争をウクライナが望むなら、西側は援助を続けるのでは?。
        金額は大きいでしょうが、息切れはロシアが先と思います。
        最近あまり話題に上がらず、半ば放置?のクリミアですが、素人は、
        この戦役は、クリミア戦争の再来?のように感じています。
        F16は、ウクライナがいくら欲しくても、数は限られているでしょう。
        SAMもそうですが、今のところ、各国の余剰分?しか提供されていません。
        無償供与であることが一つの原因とは思いますが。
        であれば、お金がかかりすぎないことが重要でしょう。
        Mig29を探す努力も続けないといけないのでは?。
        あちこちの記事を読むと、無いわけでは無いようです。
        FA50は、詳しくないですが、例えれば、F5でF15に対するようなものでは?。

        1
          • とかの
          • 2024年 5月 27日

          ロシアが先に息切れするという根拠はあるんでしょうか?
          同じような三文記事を数年前から見せられていますがむしろ軍事・経済共に強靭になっているような気がします。

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