欧州関連

ノルウェー海軍のフリゲート艦調達、ネックは2029年までの1番艦引き渡し

ノルウェーは長期防衛計画に基づく国防費増額の中でフリゲート艦5隻の調達を発表、The Telegraphは15日「ノルウェー海軍にとって26型は最有力候補だが、この入札に参加できるかどうかは英海軍の決断次第」と報じている。

参考:BAE pushes to delay Royal Navy frigate to prioritise Norway deal
参考:Norway Unveils New Defence Plan, Commits To Frigate Program

誰が「ノルウェー海軍の納期に間に合う」と手を上げて契約を獲得するのか注目される

ノルウェーのストーレ首相は5日「政府は今後12年間に6,000億クローネの国防費増額を議会に提案した」「この計画が承認されれば我が国の国防予算は現在の約2倍となり、2024年~2036年までの国防支出額は1兆6,400億クローネ(約23兆円)に達するだろう」と表明、この長期計画において最大の投資先はノルウェー海軍の強化だ。

出典:The Norwegian Defence Pledge

ノルウェー海軍は長期計画の下でウーラ級潜水艦の後継艦(212CD)を5隻、フリチョフ・ナンセン級フリゲートの後継艦(対潜ヘリ搭載のフリゲート艦)を5隻取得する予定で、納入時期を2029年に設定するため「独自の要求要件に合わせたカスタマイズを行わない」と決定、Naval Newsは英国の26型、オランダのASWF、ドイツのF126、フランスのFDI、米伊のコンステレーション級、スペインのF-110が候補になると予想したが、The Telegraphは15日「ノルウェー海軍にとって26型は最有力候補だが、この入札に参加できるかどうかは英海軍の決断次第」と報じている。

“26型をNATO加盟国のノルウェーに提供することは英国の安全保障や、2030年後半以降もグラスゴー造船所の仕事量を確保するに役立ち、最も強力な競合と見られていたコンステレーション級の建造が最大3年も遅れると判明したため、ノルウェーの入札において26型はポールポジションに立つ可能性があるが、2029年の納入に間に合わせるには建造中の3番艦ベルファストか4番艦バーミンガムをノルウェーに譲る必要がある”

出典:Royal Navy 建造が進む31型フリゲート

“英国王立防衛安全保障研究所のアナリストは「英海軍の艦艇規模は過去最低水準で、26型で更新される23型の能力も限界に達しており、26型の調達数も12隻から8隻に縮小されたためノルウェーに譲る余裕はないだろう」と予想したが、国防省の担当者は「BAEと共同でノルウェーのフリゲート艦計画を支援するオプションを検討中だ。我々は同様の要求要件を考えている世界中の海軍に26型を輸出するため積極的な支援に取り組んでいる」と述べている”

カナダ(15隻)やオーストラリア(6隻)も26型を採用したものの両国は現地建造を選択したため、グラスゴー造船所にとってノルウェー海軍の物量は非常に魅力的だが、産業界や労働者の利益を優先すると自国の安全保障に問題が生じるため入札参加は容易ではなく、他の候補(ASWF、F126、FDI、コンステレーション級、F-110)も2029年の納入に間に合わせるなら建造中の艦艇をノルウェー海軍に回すしかないだろう。

出典:KRaikkonen01/CC BY-SA 4.0 DEED FDIフリゲート

果たして誰が「ノルウェー海軍の納期に間に合う」と手を上げて契約を獲得するのか注目される。

関連記事:防空は数の戦い、大量のシンプルなシステムでローエンドの脅威に対抗
関連記事:ノルウェーが長期防衛計画に基づく国防費増額を表明、12年間で約23兆円

 

※アイキャッチ画像の出典:Ian Dick/CC BY 2.0

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コメント

    •  さ
    • 2024年 4月 21日

    数年前ならともかく、今のご時世で自国向けの艦艇を輸出に回すのはかなり難しい決断になるだろうなぁ
    もし「あの時、売ってしまわなければ…」とか、「せめて後1隻あれば…」とかありそうだものねぇ

    16
      • ななし
      • 2024年 4月 21日

      こういうの韓国が好きそうな案件なんだけど入札してないのが意外だった
      オーストラリアのフリゲート調達には首突っ込んでるのに

      9
        • あばばばば
        • 2024年 4月 21日

        商品を届けるルートが長すぎるということはたぶんないから、優秀な営業がク○案件見抜いて手を挙げなかったに一票

        18
        •  さ
        • 2024年 4月 21日

        北欧仕様って内装とか寒冷地対策が必須だろうけど
        韓国の船はそういうのしてきた事はなさそうなイメージ

        4
    • 無印
    • 2024年 4月 21日

    結局どこも応えられなくて、納期を伸ばして再スタートになりそう

    17
    • 戦略眼
    • 2024年 4月 21日

    まだ、韓国がいるじゃないか。
    中国もいる。
    日本は…。
    ここまでで、世界の造船量の9割。
    何で東アジアに造船所が集中しているんだ?

    1
    • うみ
    • 2024年 4月 21日

    自前で作れるかどうかってやっぱ重要なんやなぁって、自衛艦隊見たら思うわ
    毎年護衛艦や潜水艦が進水していく心強さよ

    40
      • 匿名
      • 2024年 4月 22日

      重要なのはもちろんですが、財布のひもの固い自国分しか仕事してない防衛産業もやはり衰退していくわけで…

      5
    • フラット
    • 2024年 4月 21日

    これこそもがみ型AAWとかピッタリに見えるんですけどね、もがみ型の爆速建造速度を考えたら今から受注しても2029年にギリ間に合いそうですし。
    でも眼中にも入れられて無いし日本も売り込んで無いという…

    3
      • hiroさん
      • 2024年 4月 21日

      満載排水量が26型8,000tに対しもがみ型5,500t。
      VLSが26型72セルに対しもがみ型が16セル。
      艦隊の中核となる主力戦闘艦が欲しいノルウェーにはもがみ型は合わないでしょう。

      18
    • 成層圏
    • 2024年 4月 21日

    簡単な事さ。
    26型を日本でつくり、ノルウェーに納品。(武器の艤装はノルウェーで)
    イギリスにはライセンス料を払う。日本で作るとイギリスより多分安く作れるから、見積もりとの差額はイギリスの懐に。
    まさに三方良し。

    9
      •  さ
      • 2024年 4月 21日

      造船所に空きがあったっけ?

      8
        • kitty
        • 2024年 4月 22日

        日本船舶輸出組合によると受注残は3年分で1年前より増えているそうです。
        防衛産業向けは別勘定かもしれませんが。

        6
    • きりる
    • 2024年 4月 21日

    今年度の海自に関して言えば
    AOS音響測定艦
    3,500トン型海洋観測艦
    が進水

    そんで27年度までに進水予定
    イージス・システム搭載艦×2
    14,500トン型補給艦
    1,900トン型哨戒艦×6

    ffm×2とSSは毎年就役って考えるとようやっとる
    そういや(いずも)と(かが)の改修完了もその辺か

    5
    • 58式素人
    • 2024年 4月 22日

    ノルウェーですか。
    日本からなら、南回りで一番遠い(笑)国ですね。
    北回りなら一番近い(笑)ですが、温暖化がもう少し進まないと(笑)、ですね。
    船体の大きさに規定がなければ、次期もがみ型FFでも良いような。
    多少小さい(笑)ですが、スピードはあります。日本はだいたい30ktですから。
    でも、建造/補修/修理を考えれば、グラスゴーが一番近いのでは?。

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