ロシア軍は今日もウクライナに43発のミサイル(Shahed-136を含む)を撃ち込み、ポルタヴァ州にあるミルゴロド空軍基地にイスカンデルMやイスカンデルKが着弾、今回の攻撃で発射されたミサイルの約半数が防空シールドをすり抜けている。
参考:Россияне атаковали военный аэродром с техникой на Полтавщине – ОВА
5月と6月にロシア軍が発射したKh-101/Kh-555の数はウクライナ側が発表した推定生産量の6ヶ月分に相当
ロシア軍は5月に計593発ものミサイルをウクライナに撃ち込んだが、6月も5月に劣らない攻撃ペースが維持されており、ウクライナ空軍は10日「ロシア軍が8発の地上発射型ミサイルと、35機のShahed-136を発射し、2発の巡航ミサイルと20機のShahed-136を撃ち落とした」と発表したが、ポルタヴァ州のミルゴロド空軍基地がイスカンデルM、イスカンデルK、Shahed-136の攻撃を受けて「被害が出ている」と付け加えた。
ロシア軍によるウクライナへのミサイル攻撃(無人機を含む) | ||
2022.09 | Shahed-136×26機(24機) 各種ミサイル×5発(4発) | 09月の総発射数×31 09月の総撃墜数×28 |
2022.10 | Shahed-136×244機(236機) 各種ミサイル×230発(149発) | 10月の総発射数×474 10月の総撃墜数×385 |
2022.11 | Shahed-136×63機(62機) 各種ミサイル×184発(134発) | 11月の総発射数×247 11月の総撃墜数×196 |
2022.12 | Shahed-136×99機(94機) 各種ミサイル×261発(186発) | 12月の総発射数×360 12月の総撃墜数×280 |
2023.01 | Shahed-136×108機(108機) 各種ミサイル×96発(75発) | 01月の総発射数×204 01月の総撃墜数×183 |
2023.02 | Shahed-136×45機(40機) 各種ミサイル×142発(79発) | 02月の総発射数×187 02月の総撃墜数×119 |
2023.03 | Shahed-136×89機(71機) 各種ミサイル×79発(38発) | 03月の総発射数×168 03月の総撃墜数×109 |
2023.04 | Shahed-136×71機(60機) 各種ミサイル×23発(21発) | 04月の総発射数×94 04月の総撃墜数×81 |
2023.05 | Shahed-136×408機(369機) 各種ミサイル×185発(154発) | 05月の総発射数×593 05月の総撃墜数×523 |
2023.06 | ||
01 | イスカンデルM×7(7)、イスカンデルK×3(3) | 発射数×10 撃墜数×10 |
02 | Shahed-136×21(21)、Kh-101/Kh-555×15(15) | 発射数×36 撃墜数×36 |
03 | 地元当局も現地メディアも「ドニプロ郊外に弾道ミサイルが着弾して20人が負傷とした」と発表しているが、ウクライナ空軍は攻撃の詳細を発表していない。 | 発射数×不明 撃墜数×0 |
04 | Shahed-136×8(6)、Kh-101/Kh-555×6(4)、クロピヴニツキー近くの飛行場に巡航ミサイルが2発着弾 | 発射数×14 撃墜数×10 |
06 | Kh-101/Kh-555×35(35) | 発射数×35 撃墜数×35 |
08 | Kalibr×2(0)、現地メディアはチェルカッスイ州に2発の巡航ミサイルが着弾して工場に被害が出たと報じている。 | 発射数×2 撃墜数×0 |
09 | Shahed-136×16(10)、Kh-101/Kh-555×6(4) | 発射数×22 撃墜数×14 |
10 | Shahed-136×35(20)、地上発射型ミサイル×8(2)、イスカンデルM、イスカンデルK、Shahed-136がポルタヴァ州のミルゴロド空軍基地に着弾した。 | 発射数×43 撃墜数×22 |
ロシア軍の総発射数:2,520発、ウクライナ軍の総迎撃数:2,026発 |
ミルゴロド空軍基地(49.93040922064011, 33.64134608465444)はSu-27を装備する第831戦術航空旅団が駐屯しており、ポルタヴァ州当局は「基地のインフラに被害があるものの死者は出ておらず、機材は安全な場所に移された」と明かしているため、Su-27は幸運にも攻撃の被害を免れたようだ。
これでロシア軍が6月に発射したミサイル(Shahed-136を含む)の数は162発になり、パトリオットシステムが配備されている首都は弾道ミサイルの攻撃も完璧に防いでいるが、地方都市は弾道ミサイルだけでなく巡航ミサイルの攻撃が貫通しているため、首都と地方では敵ミサイルの迎撃率に大きな差(首都上空の迎撃率は99%/地方都市の迎撃率はおおよそ60%前後)が生じている。
あまり考えたくないが「S-300やBukで使用する迎撃弾」が本当に尽きかけているのかもしれない。
因みに5月と6月にロシア軍が発射したKh-101/Kh-555は211発で、ウクライナ側が発表した推定生産量の6ヶ月分(月35発)に相当する。
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※アイキャッチ画像の出典:Повітряні Сили ЗС України
パトリオットさん迎撃率すごいっすね
地方の迎撃率ですが反攻のために前線に防空システム引き抜かれていたりしませんかね?
パトリオット3改良型は速度マッハ5、射程25km、サイドスラスター搭載で成層圏での機動性も抜群なんだけど価格が1発4億円で年間250発しか製造できないのが辛い。
ロシア軍のミサイルは、キンジャール(弾道ミサイル)が8億円で年産30発、カリブル(亜音速巡航ミサイル)が1億円で年産300発、シャヘド(自爆ドローン)は200万円で年産2000機以上と思われる。パトリオットは核弾頭の可能性のあるキンジャールの迎撃に集中させたいところだが、西側SAMで最も安価なスティンガーは現在再生産の立上げ中で、その他の種類のSAM(IRIS、NASAMS等)も恐らく1発1億円以上で年産1000発も満たないのではあるまいか。しかも高速が求められるSAMに用いられる固体燃料は大量生産に向かない。
結局のところ、ミサイルも砲弾と同じく「安く大量」に生産できた側がこの戦争の勝者になる。新自由主義によって製造業を軽んじてきたアメリカ(及び同盟国)にとってこれは痛い問題である。
まあウクライナ側の大本営発表ですからね
逆にロシア側の大本営発表では、パトリオットの防衛虚しくリバルスキー島のウクライナ情報総局本部が撃ち抜かれた事になっとります
前線はこの前ヘルソンでIRIS-T SLMが損傷したとここの過去記事にもあるので、パトリオットでは無いのでしょう
後はゲパルトもあるとか
市街地はともかく空軍基地にも撃ち込まれてるんじゃ迎撃弾ホントに足りないんだろうなあ。かといってS-300用の弾なんて作っておくるわけにもいかんしねえ。
おかしい、ロシア軍はひたすら民間施設にミサイルを打ち込む無能だったはずなのに、真面目に軍事施設に撃ち込んで普通に戦争をしてる。
なにかあったのだろうか。
あれは民間施設を狙っていたのではなく、単に街中の防衛設備を狙っていただけでしょう?
全く無関係の施設に落ちるのはそこに何かあるとの誤情報を掴んでいたか、精度(や妨害の効果)の問題です。
直近ならバフムトのように民間人がいなくなった街ならなおのことわかりやすいでしょう。別に民間人の家を留守の間にただ壊したり燃やして恐怖に陥れたり、戦意を削ぎたいわけではないのです。そこに潜んだ敵や隠されている装備、拠点を狙ってます。
また旧ソ連の建物は建築技術の低さゆえなのか戦争に備えて意図的なのか、コンクリや鉄骨の利用量が多く頑強なので、
防衛に適してるのでウクライナもロシアもお互いわかっていることのはずです。
単純にウクライナ側の防備が固まって、歩兵突撃、攻撃してきた相手を見つけて砲撃よろしく、戦車進軍だけでは進めなくなったのが最大の原因ではないかと思います。
あれって要はプロパカンダでしょ・・・真に受けてたのか
大抵は半端な迎撃で壊れた奴、座標指定間違った奴とかが近隣に落ちてるだけやで、そもそもなんで軍事施設の近くに民間施設おいてあるのかとかはあえて突っ込まないが、ここまで来ると敵を侮るというレベルではない気がする。
もっともらしい理屈をこねれば、精密誘導飛行に必要な半導体を積んだミサイルはカウンター用に温存して、低性能な半導体に置き換えた模擬精密ミサイルを多用することで本来の意図を欺瞞してた可能性はあるかも?
なんか明るいニュースないの?
そりゃウクライナがだいぶ推されてるからなぁ
明るいといって良いか分からないですが、仮にウクライナがこの戦争に負けて領土割譲なり中立化なりになったとしても、西側は義勇兵以外人的損耗は無いわけですから
ロシアがウクライナで消耗して今後10年は戦力回復期間が必要になった事は、西側の一国としては既に明るいニュースと言えなくもないと思います
ウクライナに余り感情移入しすぎない方がいいです
本気でウクライナをロシアに勝たせたいなら、核戦争の可能性も辞さずに侵攻当初から戦闘機や戦車の支援をしておくべきでした
後はロシアの予備戦力がウクライナより早く尽きた場合、ここから大突破の可能性もまだあるので、後1週間くらいは様子見ですね
ロシアは生産基盤の破壊は殆ど無く製造能力を維持さらに拡大しているが、ウクライナはロシア軍によって生産基盤を破壊されて製造能力の一部が完全に失われたか製造能力が縮小していて、製造能力の新設または回復を行っている状況。
西側からの供給が途絶すれば、残弾カウントし使い切れば終わり。
ロシアは自国生産が継続できるので、弾切れにはならず、打つ数が減る程度。
どう考えても空中消耗戦ではロシアが有利。
だからこそ、ウクライナはGROM-2弾道ミサイルをロシアのミサイル工場破壊用にも製造しているが、構成部品の一つでも調達が途絶すれば完成せず機能しないので、ロシア軍によるウクライナへの無差別都市爆撃によってサプライチェーンが分断されておりインフラ攻撃の効果は有ったと言わざるを得ない。
ウクライナだけでS300迎撃弾の大量製造は難しいので、西側諸国から追加供与を期待するしかない。
少しまえにbukミサイルシステムにアメリカのシースパローを統合したニュースがありましたが現状どうなのでしょうか?
シースパローなら相当数の在庫がありかつbukの数もある程度は残っているはずですので充分役に立っているはずですが…
もし旧ソ連系のミサイルの提供、再生産がこれ以上叶わないのならウクライナはほぼ詰みでは???
針鼠のように大量にあったウクライナのS-300防空網ですが、力業で無力化しつつあるという事に驚きを感じます。
非合理的だと思われていた都市部へのミサイル攻撃ですが、こうなると実は合理的な戦略だった可能性が出てきました。
都市部には高価値目標も多く、飛んできたら迎撃するしかない。
雑な目標選定をしても迎撃ミサイルを消耗させられるわけです。
前線では価値のある目標は分散して配置されているし、デポ等も隠蔽されている。
雑な目標選定で撃っても、最悪スルーされて低価値な目標を焦がすだけです。
この戦略は敵防空網制圧能力に乏しいロシア軍が、戦場での航空優勢、ひいては制空権を取るのに有力な作戦だと思えます。
最近の活発な空軍の作戦行動も、効果を裏付けているように思います。
「軍事的に無駄な事をするロシア軍」という認識を改めなければいけないかもしれません。
そりゃ、ウクライナ側はロシア本土への攻撃がほぼ禁止され、ロシアは民間人も生産設備も防衛する必要がなく、一方的に生産し、撃ち続けられるのだから、防衛側のミサイルはいつかは枯渇します。
民間インフラへの攻撃が有効となったのは、ウクライナが反撃できなかった事、国際社会がロシアの戦争犯罪に対して具体的な行動をとらなかった事が原因でしょう。
本来であれば「軍事的に無駄な事」だったのに「有効な作戦」と認識されてしまったのは、国際社会にとっては大きな失策で、東アジア有事の際は、中国もこの作戦に味をしめて、同じことを繰り返す可能性が高いですね。
基地施設が傷まなければ、滑走路に落ちるのは許容範囲と思います。
実際のところはどうだろう、と心配にはなりますが。
空軍基地ですから、それなりにSAMやAAGはあると思うのですが。
供与予定の航空機ですが、旧東側機でなければ、やっぱりグリペンとか
AV-8B+のように避難が容易なものの方が良さそうな気がします。
AIM-120とストームシャドウが使えれば良いのでしょうから。
ウクライナのこの本格攻勢なんかおかしくね?
これに合わせて ロシアは部隊をどんどんザポリージャ方面に集めてる。
なんか このパターン前もあったよね。
こんな決め打ちして 集めちゃっていいのかなって思うけど。
東部がら空きになるんじゃね?
このタイミングで東部に大反攻をかければ、バフムトは取り戻せると思います。そもそもロシア軍はあの町に大して価値があると思っていないので、プーチンから死守命令が出なければ無理せず放棄して下がるでしょう。
バフムトさえ取り戻せばゼレンスキー大統領の国内向けのメンツは保てますから、そこでウクライナとロシアの間で停戦が妥協できるかもしれませんね。
東部を押さえて南下して クリミア大橋をおとせば 南部は孤立までいかなくても補給が苦しくなる。
南部を干し殺しにしてからゆっくり料理。
思い付きだけどね。
作戦期間中にボロネジ方面やロストフ方面
から側面を突かれるかもですね。特に空軍。
ロシア軍の予備兵力次第方かと思います。
リシチャンシク付近に、練度はさておき、
かなりの兵力を拘置している様子でもありますし。
でも綺麗にハマれば、すごいことです。
ロシアが東部に部隊を移動させてる兆候はないね
ウクライナはまだ第一線すら突破できずに追い返されてる状態だしロシア側が対応を要する状況ではない
ウクライナの正面攻撃が予備戦力の誘引を狙っていることには同意するけどね
ただ現状こんなに負けてると誘引すら出来ないから厳しい
ロシアは 陽動にさえ手こずってるように見えるけどね。
ほんと 戦力ないんだなって思うよ。
岸田総理はいつまで見て見ぬフリを続けるつもりなのでしょうか?
早期の防空装備供与の実現を願います
???????
もしかして、以下の状況でしょうか。
管理人さんのデータに基づくと
1)ウクライナの迎撃率は高いように見える
ただ、これは、より正確に書いてある事を読み解くと、首都キエフの迎撃率はほぼ100%、それ以外は60%ぐらいだったのが下がり始めている
2)ロシアは、年が明けてからは、インフラ系・軍事系へのミサイルを、かなり打ち込んでいたが、直近は、首都キエフに大々的にミサイルを撃ち込んでいる。100%迎撃されるとわかっているのに。
3)何故、首都キエフに打ち込み続けるのか。それもこれだけ大規模に。
明らかに、弾薬を消費させるためであり(ミサイルを撃たれたら、撃ち落とすしかない、迎撃ミサイルに比べ、ロシアが多用するドローンの方が圧倒的に安い)、前線に防空設備を回さないため。
4)弾薬を消費させることで、アメリカからの支援枠の消化スピードを速める(直近のアメリカの支援も防空用の弾薬の比率が高い)、また前線のウクライナ攻勢への支援を減らす
5)実際に、この1-2日のウクライナ攻勢の「失敗」(今後、どう展開するかはわからないけど)は、ロシアの攻撃ヘリからのミサイルを撃ち落とせない事も、大きく影響をしているようだ
ということで、もしかして、ロシアは非常に計画的にキエフに安いドローンを大量に送り出して、迎撃させることでウクライナを消耗させる、という戦い方をしているということか。
このまま、ウクライナの反攻が不発に終わった場合、西側からの支援はどうなるのだろう?
3)と4)が成立している要因として対空砲ではあまり迎撃できてないのでは?って事かなあ。
ゲパルトなど安い迎撃兵器で対抗出来てるのならドローンを投げるロシアはコスト負けするはずのなので。