韓国のハンファディフェンスはDefence24に「輸出制限のないRedbackのライセンスをポーランドに提供する用意がある」と明かして注目を集めている。
参考:A Polish-Korean IFV for Export?
顧客のニーズに合わせてプラットホームを調整する準備が出来ていなければ激しい競争を勝ち抜けない
ポーランドは軍の規模を14万人→30万人以上に拡張中で、ウルフ・プログラムに現代ロテムが提案したK2のポーランド陸軍バージョン「K2PL」開発・製造、K2PL調達までのギャップを埋めるため韓国陸軍向けの「K2」調達、ウクライナ提供分を穴埋めするためKRABと共通性のある「K9」調達、韓国軍向け歩兵戦闘車「K21(Redbackにも関心あり)」調達について交渉を進めており、ポーランド国防省と現代ロテムはユーロサトリ2022で「K2PLの開発・製造に関する覚書を締結した」と報じられている。

出典:Norsk hær K2NO
ポーランドのDefence24はK9、K21、Redbackを製造するハンファディフェンスに取材を行い「興味深い発言」を引き出しており、要約すると以下の通りになる。
韓国がポーランドに提案したK9、K21、Redbackの協力内容について
両国の当局者が協議している内容については詳細を明かせないが、ハンファディフェンスはポーランドのニーズに最適なソリューションを提供するため全力を尽くし、両国にWin-Winの結果をもたらすことを期待している。
K21とRedbackについて
K21は韓国陸軍向けに開発された浮航能力を備える軽装甲の歩兵戦闘車で、高い火力を要求されたため40mm機関砲や対戦車ミサイルが統合されているが、Redbackは防御力、機動力、致死性の全てが強化された次世代歩兵戦闘車だ。
RedbackはSTANAG4569(防弾・耐地雷能力に関するNATO規格)の最高規格「レベル6」を上回る防御力を備えており、豪陸軍向けにはアクティブ防護システム「IronFist」やシースルー装甲の概念を実現して状況認識を拡張させる「IronVision」を統合、完全にデジタル化された戦闘管理システムはSTANAG4754(車輌向けアーキテクチャに関するNATO規格)と完全な互換性を備えている。
KRAB、K9、Redbackで採用されているエンジンやAPSの国産化は?
KRAB、K9、Redbackが使用しているエンジンはMTU製でトランスミッションはAllison製だが、STXエンジンがMT881KA-500の代替エンジンを2023年中に完成させる予定で、ポーランドにも同じエンジンが提供されるだろう。Redback向けのAPSについても開発を進めている最中だ。

出典:Hanwha Defense
歩兵戦闘車に関する産業協力についての展望は?
Redbackは非常に柔軟でオープンなプラットフォームを採用しているので、スタロヴァ・ヴォラ製鉄所とWBElectronicsが開発したポーランド製RWS「ZSSW-30(30mm機関砲、7.62mm機関銃、SpikeLRを装填したダブルランチャー、スモーク・ディスチャージャー、各種光学センサーを搭載)」をRedbackに統合することも、必要に応じて40mm機関砲や50mm機関砲を装備した砲塔を統合することも出来る。
我々は輸出する装備のローカリゼーションに力を入れており、現在進められているポーランドとの防衛協力でも現地製造や技術移転を積極的に推し進めていくつもりで、ポーランドは国内にRedbackの製造ラインを設置することが出来るだろう。
ポーランドでのRedback製造はポーランド市場向けなのか?輸出市場向けなのか?
KRABプロジェクトと同じ様にポーランドに輸出制限のないライセンスを提供する用意がある。ポーランドで製造されたRedbackにポーランド製の部品や砲塔を組み込んで海外輸出するなら我々も協力を惜しまないし、我々がRedbackを潜在的な顧客に提案する時もZSSW-30をオプションの一つとして提案するだろう。
厳しい条件下の戦場で主力戦車をサポートでき、十分な保護力を備えた最新の歩兵戦闘車に対する世界需要は非常に高いが、顧客のニーズに合わせてプラットホームを調整する準備が出来ていなければ激しい競争を勝ち抜けない。
ZSSW-30を統合したRedbackは両国の産業界が共同で世界市場へ提供できる貴重な存在になり、KRABプロジェクトで築いた信頼関係を更に発展させる機会にもなるはずだ。

出典:MariuszBłaszczak ZSSW-30を統合したRosomak
ハンファディフェンスのK9や歩兵戦闘車の推定製造能力は?
K9の製造能力は年間200輌以上なのでポーランドの要求に応えるだけのキャパシティーを備えており、歩兵戦闘車も毎月20輌製造することが出来るが、我々は製造ラインをポーランドに設置するなど両国の産業協力を拡張する方向で考えている。
ウクライナ提供分を穴埋めするためのKRAB増産やK9供給ついて
KRABのギャップを埋める選択肢はKRAB緊急増産のためのK9の車体供給、オリジナルのK9提供、K9+K10(装甲弾薬運搬車)提供など複数のオプションが検討中で、相互信頼に基づく最良の選択を行うはずだ。
ハンファディフェンスは無人地上車輌や防空システムも製造しているが、これも技術移転と共に提供可能か?
KRABで築いた協力関係の拡張が現在の歩兵戦闘車に関する議論であり、次のステップとして無人地上車輌や防空システムなど他の分野での協力も視野に入れている。
ポーランドと韓国の協力関係についてどのような評価を下すのか?
防衛産業の関係は信頼が非常に重要で、2014年に始まったKRABプロジェクトで両国は互いに相互信頼を高めることができた。この実績に基いて我々は協力関係を拡張するつもりで、ポーランドには能力の高い防衛産業が整っているため自走砲、歩兵戦闘車、防空システムなどに関する相互協力が益々広がっていくことを期待している。
ハンファディフェンスとしてはポーランドを欧州市場における拠点として考えており、新しいプラットホームの開発や第三国への輸出でポーランド企業との関係を強化し、欧州でのビジネス拡大に務めるつもりだ。
欧州市場にハンファディフェンスが食い込めるどうかは何とも言えないが、取材の中で語られたビジョンには「新規プレーヤーが海外市場で装備を売り込むのに必要なヒント」が垣間見え中々興味深いものがある。
もう大型の装備調達案件は両国間の産業協力案件になっているので、良い装備を開発していれば「何れ声がかかる」という姿勢では激しい競争を勝ち抜くのは不可能なのだろう。
関連記事:英リカルド、自走砲K9向けの新型エンジン開発支援に関する契約を韓国と締結
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※アイキャッチ画像の出典:Australian Army
これ相手が一定レベルの技術習得して自力で開発できるようになったら縁を切られるパターンなのでは…
ぶっちゃけ競争相手を育ててるようなものだし
それは織り込み済みでは?
日本だってアメリカから買ってた兵器を国産化していますし、販売する側からすれば売らなくてライバルメーカーに資金が流れ込んで最新兵器の開発を進められるより自分達が資金を得て最新兵器の開発をする方がいいでしょう。
韓国のメーカーはポーランドが一定の技術力を得る前により優れた兵器を開発すれば良いわけですし。
トルコの例を見てもそんなに簡単なことではないだろう
韓国は陸に関しては、先進的な技術開発を自国て行っているし、これは先進国の中でも進んでいる方である
なにより、韓国を出し抜くには、韓国以上に不利な条件を飲み続けなければならないだろう
ポーランドとはビジネスパートナーとして権利を主張できる協定を結んでいるでしょう。
現実を見れば、それ無しに指導的技術協力や販売の自由裁量権を与えるほど韓国人が商売下手なはずがない。
相手が英仏独等なら従属的にならざるを得ないが、ポーランドは適当なレベルの基盤工業力を持ちながら対等以上で付き合える。
将来的にポーランドが韓国の関与を排除する可能性はゼロではないがそのリスクは低く、組むメリットが非常に高いと判断したということでしょう。
ポーランドが、韓国の市場を乗っ取るかな?
国際市場で出回ってる技術とパーツだけで組み上げた兵器だからこそ出来る業かな
何故ポーランド他の国は独自に国際市場で出回っている技術とパーツを組み上げないで、韓国製品のライセンス生産を行うんですかね?
さすがに韓国企業が開発設計した部分のライセンス生産と、輸出権利でしょ
韓国企業が輸入・ライセンス生産してる外国企業の部品について、ライセンス生産の許可を勝手に出すなんて
さすがにないだろう
なので、韓国企業が輸入してる部品に付いては、同じく輸入する必要がでてくる
朝鮮特需ならぬウクライナ特需に韓国が預かっていますな
ウクライナ特需は凄いですね
ウクライナに提供する装備だけではなく旧東側諸国がウクライナに東側装備を提供した後の西側装備への切り替えも有りますから。
軍オタ国士様がいくら喚こうが、これが現実
韓国製兵器は顧客のニーズに柔軟に答え販路を広げている
それに対し日本製兵器は、自己評価だけ高くどこにも売れていない
これがファクト
産業基盤維持の為に相手に沢山特典をつけますでは既に直接補助金突っ込むのと同じだし
バトルプルーフが欲しいとか言ってもそんな説明で政治的に通るとは思えない
輸出条件については韓国内でもツッコミが入るレベルだから日本ではなおさら無理だろう
というか売上ありきの考え方には本当に合理性があるのかかなり疑問なところで
武器輸出大国の地位を獲得した韓国、まぁ挫けることなく果敢に挑戦し続ければいつかはこうなるとは思ってはいたが予想より早かったな、それはそれとして武器輸出三原則が改正されるであろう年末が待ち遠しい、無論改正されたからといって全ての問題が解決される訳では無いが変な縛りが無くなるのは良い事だ。
P.S.
なんか最近匿名が増えたなって思うのと、韓国が日本より武器輸出が上手くいってる現実は認識してるし理由も理解してるし納得もしてる…がそれはそれとして国士だの軍オタだのとわざわざ煽るようなコメ観て「んなこたぁわかってんだよいちいち煽るな、後ハンドルネーム書けよ」と不愉快になるのは恐らく私の器が小さいからなのだろう
ただ、幾ら輸出がOKとなっても
「顧客のニーズに合わせてプラットホームを調整する準備が出来ていなければ激しい競争を勝ち抜けない」
この様な販売戦略をメーカーが独自に考えて顧客に提示出来てライバルに
対して商談を有利に進める事が出来ないとダメなんですよ
日本では兵器輸出に対して政府の干渉やお伺いを立てる事なく、その様な
メーカーの自由裁量で商談が出来る様な改善がされるのだろうか
煽ってるのは例のアイツだよ
使う単語がワンパターン過ぎてもはや匿名でも浮いてるw
>煽ってるのは例のアイツだよ
例のアイツとは、誰だ?
そんな書き方じゃ、さっぱりわからん。
★このサイトでは、他人を騙ることだってできるんだから、名前なんて意味をなさない。
次期哨戒艦は値段(90億円)と装備(30㎜機関砲とヘリ格納庫)を考えると輸出も視野に入れてそうですね。
年末以降が楽しみですね。
あと、匿名の人はこのブログのルールを守れないようですね。
(どっかの国の人なのかな?そういえば韓国ネタの時に多い気がしますね。)
親方日の丸、ODA付き案件じゃなきゃ見向きもされなくなった日本企業に勝算があるとは思えないね。
流石に武器輸出にODAも世界銀行の融資も付けられないだろうし。
ふいに日本で防衛省の関与がなく、自衛隊への働きかけもない純粋な海外向け装備の開発は可能なのだろうか?
国内開発で開発を行うには日本の法律に従わなくてはならないが、国内企業が海外のユーザーに働きかけるには、自衛隊がキックされた環境での開発もできなくてはならないのでは?
(もちろん経産省が間に入るだろうけど)
今まで輸出実績のない日本が自衛隊が採用していない武器・兵器を販売しても購入してくれるところはあるでしょうか?
それができないとコンペにすら出展できない。
AS-21だって、K-21の技術を使って製作されているが、ほぼ新しい車両と言って過言ではないし
K2PLだって、韓国軍K2のコンポーメントを作り、ポーランドが開く予定だったコンペに出す予定だった。
日本国内の防衛産業のメインカスタマーが自衛隊なのはわかるが、国外の需要者に働きかけるには、相手側に合わせた製作ができないのでは、日本製は目向きもされないだろう。
F-3共同開発とか米駆逐艦向けレーダやミサイルの共同開発とかは二国間の産業協力案件で武器輸出で日本の強みを生かしているはずですが、戦車や輸送機やドローンが好きな人には面白くないのも事実ではあると思うので頑張ってほしいです
完成品の輸出とか、分かり易い成果を日本が上げるにはまだまだ時間を要するでしょうね。
構成部品の採用とかグローバル・サプライチェーンに食い込むことも益あることなんですけどね。今年のユーロサトリでは多摩川精機が10NBT砲塔用高精度旋回装置をアピールしましたが、防衛装備庁もそういった方向性の検討を行っているようです。