ドイツ陸軍のアルフォンス・マイス中将はプーマ歩兵戦闘車が演習で故障した原因について、旅団のエンジニアが複雑化したVJTF仕様に不慣れな上「労働時間の規則を守る必要性からメンテナンスを省略していた」と明かした。
参考:Darum sind unsere Puma-Panzer wirklich kaputt
残酷なまでに規則を守った結果が「メンテナンスの省略」なら本当に笑えない
ラインメタルは演習に参加したプーマ歩兵戦闘車が全て故障した件について「ケーブル火災を起こした車輌を除く17輌の故障は些細なものばかりで修理が終わっている」と明かし、国防委員会も「故障の大半は部隊のエンジニアが30分以内に復旧させた」と発表したが、委員会の会議に出席した陸軍のアルフォンス・マイス中将は「演習は事前の事前準備が不十分で最初から最後まで上手くいなかった」とプーマ歩兵戦闘車の抱える問題を明かしている。
プーマ歩兵戦闘車には幾つもの重大な欠陥(電子機器やソフトウェアが頻繁にクラッシュする問題や暗号化された音声やデーターを高速で通信する機器の欠如など)が存在し、2023年にVJTF(NATOの高高度即応統合任務部隊:Very High Readiness Joint Task Force)へ派遣される中核部隊=第37装甲擲弾兵旅団のプーマだけも何とかする必要があり、ひとまず40輌のプーマを上記の問題を改善したVJTF仕様に改修することになったのだが、この改修には約6.5億ユーロ=1輛あたり1,600万ユーロという馬鹿げたコストが要求され注目を集めていた。
国防省はプーマを350輛調達するのに約30億ユーロ(1輛あたり約800万ユーロ/単価ではなく関連費用込みの平均取得コスト)と見積もっていたが、2019年に議会へ報告した時点でプーマの調達コストは2倍(約60億ユーロ)に増加していたことが発覚、さらに調達したバージョンのままでは重大な欠陥を抱えているため最終的に全てのプーマをVJTF仕様に改修する必要があり、これに50億ユーロ以上の費用が必要になるため「馬鹿げたコストだ」と批判されているのだが、今回故障したのは全てプーマVJTFだ。
中将の説明よると旅団のエンジニアは先代バージョンの扱いに慣れていたものの「複雑化したVJTF仕様」には不慣れな上、労働時間の規則を守る必要性からプーマVJTFのメンテナンスが省略され、事前に修理が必要だと認識されていた問題も積み残したまま演習に参加してしまい「18輛中18輛が故障するという惨劇」が発生したらしい。
さらに産業界と緊密な協力も不十分もしくは全く実施されておらず、一般的に産業界は問題が発生するとスペアパーツの提供で協力を行うのだが「これを軍が断っていた」と報じられており、恐らく1,000ユーロ以上の費用がかかる調達に絶対な権限をもつドイツ連邦軍調達局(BAAINBw)の精査が必要なため、産業界の素早い対応を阻害しているのだろう。
この問題について連立政権を構成する自由民主党の議員は「整備の行き届いた装備と能力のある人材の供給という点で準備と実施に重大な欠陥があると思う。戦えるように鍛えろという旧時代のアプローチは複雑化した兵器体系に対応しておらず、別に方法でアプローチを行う必要がある」と、野党のキリスト教民主同盟も「失敗を産業界のせいするのは都合のいい言い訳に過ぎない。これは軍の不適切な整備と不十分な訓練レベルに原因がある」と批判している。
ドイツ軍は行き過ぎた官僚主義のため組織自体が柔軟性や余裕を失ってしまい、残酷なまでに規則を守った結果が「メンテナンスの省略」なら本当に笑えない。
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※アイキャッチ画像の出典:Dirk Vorderstraße/CC BY 2.0
よく槍玉に挙げられるプーマだが欠陥を除いた性能部分は素晴らしいとの評価がドイツ軍からされてたが、そんなに高性能なのかな?
自衛隊で「62式いう事機関銃」「ない方がマシンガン」ってボロクソに言われてた某機関銃も調子が良い個体はそれはそれは優秀だったそうで
定められたメンテナンスが終わっていなければ、旅客機は飛ばすことが出来ない
歩兵戦闘車はメンテナンスが終わっていなかったのなら、演習に参加させてはならない
演習参加を決定したドイツ軍の組織に問題があるのでは?
地上車は故障しても墜落しないし、当たり前すぎて
>メンテナンスが終わっていなかったのなら、演習に参加させてはならない
なんて規則はドイツ連邦陸軍に限らず無いんですよ。
一方でドイツ連邦軍には労働時間の規則があった。
恐らく規則違反で罰せられる対象者はいないんじゃないでしょうか。
管理人さんのコメント通り、柔軟性のない行き過ぎた官僚主義体質こそが原因かと。
上層部は、演習参加する形式だけ整えて、あとは現場丸投げ。現場は就業規則遵守の形式だけ整えて、残作業山積み。
いざ実戦になっても、定時の就業時間が終了したので、反撃・砲撃・出撃は24時間後に実行します…とか、真顔で言い出しそう…
そういえば土日はスクランブルしないって国ありましたね。
警察も張り込みの刑事が時間になると帰っちゃうのもあったみたい。
犯罪者も勤務時間を守りそうなのがドイツ。
・凝りまくった作りで故障し易い兵器
・良好なワークライフバランスを実現する意識高めな労働時間規則
・規則を守るために仕事の方をブン投げてしまう倒錯ぶり
・やたらと細かい金勘定
これは凄い。全てがことごとくドイツのステラタイプに当てはまってしまう(笑)
そのうちエスニックジョークのネタにされそう。
日本も年金事務所が書類作成の1日の文字数定めてそれ以上書類作らなかったり財務省が判子もらうために上司の部屋のドア前で一週間朝から晩までまち上司が暇になるのを待つのを自慢気に話す元財務官僚がいたりと官僚が変な規則つくるのはは各国共通ですね。
そして、役人を振り回せば仕事したと思う政治家や議員もね。
議会で質問するなら、ちゃんとツメの為の時間空けとけよ、と。
質問にならない質問を質問たらしめてるのは訂正する役人だぞ、と。
何を見てヨシ!って言ったんですか?
そんなもんタイムカードだけ切ってメンテ続ければ良かったのに
仕事への責任感が足りてないんじゃないか?
違法労働を行えとは日本人らしいコメントですね
釣り or 冗談で言ってるのかマジで言ってるのか区別がつかなかったw
マジなら犯罪者やが。。。果たして
エンジニアなら大手でも結構やってるよ。
このサイトの内容と違うからコレ最後にするけど
誰かの指示でやってるなら労基に直行してね
自発的にやってるなら会社にとっては良い迷惑だから
(社員が犯罪に手を染めていて、発覚した場合会社側が処罰を受ける)今直ぐ止めようね
ホントに大手なら社員教育でNGだって言われてると思うよ
???「冗談を冗談と理解出来ない人間に(ネットを使う事は)難しい」
出たよ。サビ残平気でさせるやつ。
こういう奴がいるから世の中おかしくなる。
もちろん責任感は重要だが、本当に重要なのは就業時間に終わらない仕事量を山ほど持ってくる会社や軍隊の方。
ドイツ軍ホワイトすぎだろ
ちょっと自衛隊に見習わせたいわ
ドイツも含めヨーロッパ諸国ではジョブ型雇用の影響もあり基本的に定時になれば仕事を終えて帰ります。日本の様に上司が仕事をしているから定時で帰れないということもありませんし、サービス残業は労働法や就業規則で禁止されているので欧米人から見ると日本人は何で定時なのに帰らないの?と不思議に感じる様です。
ジョブ型雇用の場合、その職種(ジョブ)ごとに仕事の範囲があり、仕事のスケジュールもメンバーシップ型(日本型雇用)に比べると緩いことも少なくないので欧米ではワークライフバランスを取りながら働くことが一般的になっています。
>ドイツ軍ホワイトすぎだろ
ちょっと日本の教員、保育士、医師、看護師にも見せたいわ。
整備したけどダメでした。よりはマシだと思って発表したのかね。
つまり充分なメンテナンスを規則で定めれば解決やな。
「定時になったから私は帰るので、メンテが足りないなら、深夜割増給付けた夜番の整備兵を新たに雇用してください。予算?それ考えるのがあなたの仕事でしょ。」
改修費が1両あたり1600万ユーロ
→現在の円相場で22億6821万円(+端数)
…戦闘機の改修費用ならまぁ…そんなもんかなぁ。高いけど。
って感想だけど装甲戦闘車両(しかも製造額ではなく改修費用)で22億?!地対空車両ならいざしらず、こんな超高額兵器を消耗前提の地上戦に投入できるのか…高過ぎて戦争できないでしょこれ。
幾ら国産と言えども同じ費用でブラッドレーの中古買うかスェーデンからCV9040買った方が余程建設的では…。
この金額はいささか度を過ぎてる。
各国の将軍が整備兵に稼働率が低い原因を問いただした
ロシア「兵隊どもがウォトカの飲み過ぎで使い物になりません」
日本「財務省が予算つけてくれないから部品が足りません」
ドイツ「労働時間を厳守いたしました」
みたいな小噺がつくれそうですね。
座布団3枚!
日本は「財務省が予算つけてくれないからトイレから出れないんです!」でどうでしょう
ドイツ住んでたときですが、Wi-Fiの調子が悪くて業者にメールしたら、二週間は他の顧客の予定で埋まってて次の二週間は俺の休暇だから無理で、一ヶ月後に行けるかもしれませんって言われて結局一ヶ月半後に業者が来たことを思い出しました。現場の仕事は迅速丁寧で完璧でした。
1600万ユーロって今のレートで22億円らしいので かなりの高価格に見えるね
VJTF仕様にアップグレードすると倍の44億円。。。
その高価な兵器の整備を怠って開発元に文句を言ってるんか
うぅ〜ん。。。(失神
プーマはこのままだと死産に終わりそうね
西欧の軍隊ってすげーよな
作戦中でにも関わらず、砲撃を止めてティータイムに入る軍隊もあれば、営業時間外でスクランブル発進しない軍隊もあるし
就労時間に終わらないからメンテナンスができないのであれば、メンテナンスをメーカーに委託すればよいのでは?
結局のところ、民主主義でも専制主義でも一番の敵は官僚主義ってことか。
現場のせいにしていますが、真の問題は規則破りの残業前提の人員配置をした上層部です。
日本はリソースが不足していようが現場がムリしろ!がまかり通っていますが、これは誤りです。
今回のドイツの場合もムリしなかったからこそ上層部の問題が浮き彫りになりました。
これにより体制の見直しが進むでしょう。
直接原因はそこだけど、改修費用を見るにそもそもメンテナンス性を考慮出来ているのか大きく疑問。
米はメンテナンス性・拡張性を重視する(そもそものコンセプトだったり、そのために何か捨てられる)けれど、独は出来てないんだなと。
日本も産業界見渡すと。。。
平時くらいホワイトにやらせてやろうよ、いざとなると時間外だの人権を語る以前になってしまうんだから
まだドイツが戦争をしているわけではない
>>事前に修理が必要だと認識されていた問題も積み残したまま演習に参加
事前に問題が出てるなら、他所から人員引っ張ってくるとか何かしら対応するはず。
してないってことは上に報告が上がってなかった?
上がってても対応不能で諦めた?
まさかもっと上を動かす為に、手続きを守って事故らせた?
たしか、以前に既定の人員ポストが満たされていないとか見た記憶が……
現場の人員がどこも足らないのならば、引っ張って来れる人員そのものが居なかったのかもしれず
上の人員が足らなかったのであれば、報告書は書類の山に埋もれて届いていなかったのかもね
IFV一両が25億円。MCT30クラスを乗せるリンクスIFVの最安タイプとか5億円位では?それを外装そこそこでアンチタンクは反応装甲頼りで軽量化して30t級ラバーバンドに適応で燃費と静粛性を高めて現場が望む代物を提供できる。
これが実際に東欧が導入してる装備です。ボクサーIFVより安いソリューションでも本格野戦に最適化できる。それの5倍近い単価に至るプーマはあまりに異常です。何がこうさせるのかドイツ人にしか分かりませんが諦めも肝心ですね。
しかし、それをしないし出来ないのが今日のレオ2供与問題にも繋がってるような気がしないでもない。今後もプーマの存在は独陸軍の足を引っ張り続けるでしょうがそれはNATOにとっても足かせです。自国だけの話ではありません。その辺の認識がどうも足りないのは選民思想っぽい印象さえ感じますね。
組織をダメにする方法(サボタージュマニュアル)を昔聞いたけど(詳しくは検索を御願いします…)、ドイツ連邦軍調達局(BAAINBw)ほどこれが当てはまる組織はないだろうな…
少なくとも昔は非効率で有名だった旧ソ連や中国、その企業の現在の姿より酷いと言える
でも俺はこの三十年給料が上がらない日本より復活を遂げたドイツで働きたいけどね
安い原油を失って沈没確定、そうじゃなくても関連国の金融危機が燻るドイツに行くとか正気か?w
最近の例のアレは韓国相手に嘲笑できなくなったからドイツを相手にするようになったのかね
ドイツは賃金にしろ1人あたりGDPにしろ断然上
グロスのGDPも日本は抜かれかねんのだが
労働組合が強い国の軍隊って、はたして兵士の命は守られるのでしょうか?
労働組合が国家運営したのがソ連なので。。。
彼らは、資本家に向けては労働法規遵守を求めるが、組合活動には無限の奉仕を求めるぞ。
>暗号化された音声やデーターを高速で通信する機器の欠如
この時点で唖然とするような欠陥兵器なのに、コレ以外にも多数の問題点があり
組織にも致命的問題点多数
ドイツって真面目に戦争する気ないだろ、ロシア以下だぞ