ウクライナ軍が計画している反攻作戦は塹壕、防御陣地、龍の歯と呼ばれる障害物を何重にも張り巡らせているザポリージャ州で実施される可能性が高く、ノルウェー陸軍はウクライナ人に塹壕の突破方法と構築方法を教えている様子を公開した。
参考:Ukraina: Donasjoner er på plass – når starter våroffensiven?
ウクライナ軍の反攻作戦とロシア軍の防衛体勢に関する不安要素を上げればキリがないので、やってみないと結果は分からない
ウクライナ軍が計画している反攻作戦の目標は「ヘルソン州やザポリージャ州に展開するロシア軍とクリミアの分断=ヘルソン州とクリミアが陸続きで接続される陸橋の遮断」と言われており、これを実行するにはオレボボ方面からトクマクを経由してメリトポリを目指す必要がある。
ロシア軍もウクライナ軍の狙いを十分理解しているため、ザポリージャ州方面には塹壕、防御陣地、龍の歯と呼ばれる障害物を何重にも張り巡らせているのが確認されており、これを何度も突破しなければメリトポリやその先にある陸橋部分には到達できない仕組みで、もはやザポリージャ州のどこから攻めても重厚な防御ラインにぶち当たるのでハルキウ反撃の再現(電撃的な前進)は現実的ではなく、流出した機密文書も「さやかな領土の奪還しかもたらさない可能性がある」と警告しているのだ。
英国防省も12日「ロシア軍はメリトポリに向けた反攻を確信しており、ザポリージャ州に全長120kmの防御ゾーンを完成させた。これは最前線から連続した精巧な防御ゾーンで、ウクライナ軍の反攻作戦にとって大きな障害になる可能性がある」と警告しているが、この防御ゾーンが機能するかどうかは「十分な兵士と砲兵戦力の支援に依存している」とも指摘しており、この地区を管轄するロシア軍部隊がそれだけの戦力や物資を集積できているのかは不明らしい。
一方で反攻作戦を進めるウクライナ軍はノルウェー陸軍から訓練を受けており、その様子が12日に公開されて注目を集めている。
ノルウェーはウクライナにレオパルト2A4だけでなくレオパルト1ベースの回収車輌(Bergepanzer2)と工兵車輌(NM189 Ingeniørpanservogn)を提供、この車輌を使用してノルウェー陸軍はウクライナ人に塹壕の突破方法と構築方法を教えており、あからさまに「ザポリージャ州で反攻作戦を実施する」と示唆しているようなものだ。
仮にザポリージャ州で反攻作戦が実施された場合、塹壕、防御陣地、龍の歯と呼ばれる障害物の他にも「入念に準備された地雷原をどうやって突破するのか」という課題があり、ウクライナ軍には地雷原を処理する車輌が装備が不足しているという指摘もある。
この辺りの問題をどのように解決してくるのかが見どころだが、ロシア軍もザポリージャ州を守るための戦力や物資の集積が進んでいるか謎で、ここまで準備して「ハルキウの二の舞い」になれば流石にプーチン大統領も怒るかもしれない。
結局、ウクライナ軍の反攻作戦とロシア軍の防衛体勢に関する不安要素を上げればキリがないので、やってみないと結果は分からない、、、のだろう。
追記:日本の鈴木財務相とウクライナのマルチェンコ財務相が米国で会談、この席で鈴木財務相は「2023年中に35億ドルの金融支援を行う意向」を表明したらしい。
日本政府は2月21日「ウクライナへ55億ドル(約7370億円)の追加財政支援を行う」と発表したが、これはウクライナに資金を直接提供するのではなく「世界銀行を通じたウクライナへの融資(インフラの復旧など復興支援事業への融資)が返済不可能になった場合、日本が最大50億ドル分まで現金で債務を負担する(朝日新聞)」というものなので「実質的な直接支援は5億ドル」だったが、今回の35億ドルは全額が直接支援なので非常にインパクトのある数字と言える。
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※アイキャッチ画像の出典:Forsvaret
あまりにも露骨すぎることが気になりますね。
とはいってもここの皆さんがご存じのように軍隊は訓練されたことしかできないので・・・
でもサボリージャ以外のどこを攻めても塹壕はあるから当たり前すぎて情報戦にならないんじゃないかな
ドネツクのあたりから迂回して南下できないのかな。
これ
マリウポリに辿り着けたらこの戦争は終わりだ
なんか裏があるような気がしますよね。
例によって何らかのサプライズがあると思うんですけど
ますます怪しい。
ドニエプル川にトンネルを掘って防衛ラインの薄いへルソン方面からクリミアに向けて急襲
地雷処理装備なら自衛隊から供与出来ませんかね?
直接戦闘するものではなく支援装備ですし、『地雷から民間人を守るため』や『戦後復興には地雷処理が不可欠』って名目も立ちますし。
意味のある程度の数を供与出来るほど、自衛隊が持っているかはわかりませんが…
スタンドオフ戦闘に振ってる現在の自衛隊からすると、地雷処理装備は優先度は低いかもしれませんので、手持ちの装備が減っても影響は少ないかもしれません。
或いは、工兵装備とか。
一般的な土木装備なら、災害派遣の多い自衛隊ならそれなりの数持っているかもしれません。
ただこちらは、装備を渡すといざ災害が起きた時に、装備不足になりかねないか…
コマツとかのメーカーから買い上げて直接供与ならどうだろう?…
どうにせよ、今から決定してもウクライナ軍の攻勢には間に合わないでしょうけど…
地雷処理車両は支援にありましたけど、対人地雷で使ってる民生車両でしたね。
現状の運用規則だと移転可能なのは救難、輸送、警戒、監視及び掃海に係わる装備になってますから
地雷処理や工兵装備は含まれないと解釈されそうです
ただこの規則は比較的改定がしやすいため非殺傷兵器ならばハードルは低いと思われます
既に支援されていたのですね(汗)
私が薄学でした。
おわふ様、教えていただきありがとうございます。
対人地雷用であっても、前線ではなく後方での地雷処理用であっても、ウクライナの方々にとって有用であれば幸いかなと。
もちろん外交・安全保障の分野では、日本政府の行動はあまり評価が高くないのは理解してますが、現状の国内政治状況的には致し方ないのも理解してます。
また、掃海装備が移転可能なのも初めて知りました。
panda様もありがとうございます。
この分野は日本は比較的充実した装備を保有してたのでは?、であるならば供与は可能では?と。
以前ロシア海軍による海上封鎖の一環として、機雷がクローズアップされたことがありましたが、現在はどのような状況なのでしょうね…
掃海艇や機雷処分装備の供与ならなんとか…
地雷処理装備や工兵装備含めて、税金を払ってる身からすればそういう意見も言いたいものです。
大分前に海で使うドローン開発の話があったけど、
塹壕正面突破が見せ玉で巡航ミサイルの大型魚雷版
みたいなのが数十発橋脚にぶっ込まれるとか・・・。
「え゛・・・?」てなったところで
自家製の長距離版ロケットでアゾフ海沿いの鉄道網に
毎日連発でどこかが壊れてる状況を作れるならベスト?
黒海は海流の影響を心配しなくて良さそうなんで、
目標近くまで捕捉され難い超鈍足で接近とか
無人機ならではのやり方で上手くやれんかな?
水陸起動団のAAV7に搭載している「謎の装備」を提供しては?
確か対地雷用のなにかだったと思うけど。防御用の装備だからね。
NHKBSの朝海外ニュースではスペインからのレオパルド2は、まだ届いていないようですね。夏攻勢とするとレオパルド2には冷房ついているかどうかも気になります。また、夏の泥濘終了時期なら塹壕が少ない東部に行くかもしれません。
バフムトは、ロシア軍は当面は駅と鉄道路線制圧を目指していますね。制圧すれば鉄道輸送インフラを確保できます。
塹壕といえばこの動画が頭に浮かぶ
1:12 あたり BUSHMASTER30mm
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