フィリピン国防省は14日、インドとロシアの合弁企業「ブラモス・エアロスペース」が提案していた対艦ミサイル調達プロジェクト(提案額は3億7,490万ドル相当)を承認した。
参考:Philippines awards USD 375 million contract for BrahMos anti-ship cruise missiles
フィリピンがインドからブラモスを導入すれば、中国海軍は今までのようにフィリピン近海を我が物顔で跳梁跋扈できなくなる
インドとロシアが共同開発したブラモスは最高速度マッハ3.0+に加え強力なシースキミング(海面から約3m~4m)能力を備えた超音速対艦ミサイル(航空機搭載型/水上艦搭載型/潜水艦搭載型/陸上発射型)で、インド政府は独自の安全保障政策の一貫としてフィリピンに「約1億ドル/約110億円の調達資金を融資するので陸上発射型のブラモスを購入しないか?」と提案、数年に渡り両国間で交渉が進められていたが特に進展がなく新型コロナウイルスの影響や対中関係悪化を危惧してフィリピン側がブラモス導入を見送ったのではないかと噂された。

出典:Hemantphoto79 / CC BY-SA 3.0 地上発射バージョンのブラモス
しかしインドとフィリピンはブラモス調達に不可欠な「防衛装備品調達に関する法的枠組みを定めた協定」に署名(今年3月)を行い、この協定の調印式に立ち会い人として出席していたフィリピンのデルフィン・ロレンザーナ国防相が「私達はブラモス購入を進めている」と述べて輸出に向けた交渉が進んでいることをアピール、インドメディアは昨年末「ここ数ヶ月の交渉で両国の話し合いは『かなり進んだ段階』に達しており、もう間もなくフィリピンからブラモス輸出に関する発注が行われるだろう」と報じて注目を集めていたが、フィリピン国防省は正式にブラモス購入をインド側に通知したと報じられている。
フィリピン国防省はインドとロシアの合弁企業「ブラモス・エアロスペース」が提案していた対艦ミサイル調達プロジェクト(提案額は3億7,490万ドル相当)を承認することを通知したと報じられているが、インドメディアはフィリピンが購入するブラモスについて「海軍向け対艦ミサイルシステム」と表現しているため陸上発射型ではなく艦艇搭載型の可能性があり中々興味深い。
Philippines accepts BrahMos Aerospace Pvt Ltd’s proposal worth USD 374.9 million to supply Shore-Based Anti-Ship Missile System Acquisition Project for Philippine Navy pic.twitter.com/p167tenWwV
— ANI (@ANI) January 14, 2022
勿論、フィリピン海軍が陸上発射型ブラモスを導入しても「海軍向け対艦ミサイルシステム」に該当するので必ずしも艦艇搭載型(艦艇への統合などを考慮すると可能性は低い)とは限らないが、移動可能なプラットフォームに搭載するほうがカバーエリアが広いので南沙諸島の領有権で対立する中国にとっては後者の方がより好ましくないだろう。
どちらしてもフィリピンがインドからブラモスを導入すれば、中国海軍は今までのようにフィリピン近海を我が物顔で跳梁跋扈できなくなるはずだ。
関連記事:中国にとっては凶報、フィリピンが間もなくインドに対艦ミサイル「ブラモス」を発注
※アイキャッチ画像の出典:Public Domain 超音速対艦ミサイル「ブラモス」
この武器購入は敵対者に対する制裁措置法の対象にならないの?
ロシア製じゃないから、良いんじゃない。
むしろなんでそう思うのだ?
インドはロシアから完全な製造権と販売権を得ていて
ロシア側には1ドルも流れないから問題無し
まあ広い意味で印露の軍事関係が強まるから
米国としては面白くないだろうけど
フィリピン北部に配備してくれればバシー海峡周辺海域の大部分が射程圏内に入る。台湾東部に出ようとしてる中国海軍にとってはうざったい存在になってくれそう
東南アジア諸国も経済力を付けてきて、先進国にも通用する兵器を揃えてきたな。圧力かけるにしろ懐柔するにしろ、中国の手を煩わせてくれればありがたい。
てか南シナ海の周辺国で、積極的でなくとも有事に中国に味方してくれそうな国ってあるのか。今は友好ムードのタイも、メコン川の水利で揉めだしたら分からんぞ
海洋権益で譲歩する気がない以上、中国も味方になってくれることまでは期待していないのでは。
少なくとも南シナ海周辺国内で防衛義務を含んだ同盟を結ばない、最悪米軍駐屯をさせなければいいくらいに思ってそう。
タイはね、いま国王から軍政まで腐りきってるから、アメリカよりもさらに腐敗と独裁政治に優しい中国に頼ってしまうよ、日本に対してどうこうは無いだろうが、今後は西側と呼べるのか怪しい。
フィリピンだってアメリカに対しては複雑な感情を抱えるから、もし中国に懐柔されたらミサイルが日本のエネルギールートへの驚異に化ける可能性なきにしもあらず
要するに、他人を当てにすると痛いことになる
フィリピンは誰が大統領になるかでも対中国政策変わるからそこも注意が必要だね
ドゥテルテ大統領はこれまでの発現では中国寄りが目立つ人で、この人の場合は
外交でも内政でも強硬発言が目立つんだけど、政治的なポーズも多くて二枚舌も
多い、かなりしたたかな政治家
日本みたいに盲目的に反中親米で対中国同盟に加わる人物じゃなかった
2022年はフィリピン総選挙の年でそこで任期終えるから、彼の後継者がどうなる
かも要注意だね
日本への脅威に化ける?そりゃあ、まずないな。
中国には「従属国」はあっても「同盟国」の概念はない。
懐柔では、一時的にミサイルの向きを中国からそらさせることはできても、日本に向けさせることはできないよ。
理解が浅いとしか。
中国も国際関係の研究は相当に進展し、かつ多くの人材を海外に送って国際感覚を国家レベルで養っている。
他国を取り込むための新たな概念として、今後は同盟関係を成り立たせる可能性は高いよ
実質はどうでも良い、相手がそう思い込めば済む話
よくある話
「従属国」というレベルまで相手国を落とさないと関係を結べない、という2000年変わらぬ体質が、「これからは変わります」と相手国を騙くらかすには、中国という国は大きくなり過ぎたのですよ。
国際関係の研究が「本当に」進展していて、海外に多数の人材を送っていたとしても、そのことが今後の中国に反映されるというストーリーは全くリアリティに欠けてしまうわけで。
甘い(笑)
なあに、他国の主観的願望を鵜呑みにしておらんだけです。
でなくて、あなたの中国観こそ願望に過ぎない
そもそも中国や同盟国が従属関係と言ってるのは我々西側だけで、彼等はそんなことを言ってないんだが
逆に、中国が日韓をアメリカの属国と見なしてるのが現実ではないか
いい流れだ。
東南アジア諸国に強力な対艦ミサイルが出回れば、明確に南シナ海での中共海軍もさぞやりにくくなるだろうな。
日本もASM-3の配備を急いでほしいものだ。
日本も負けじと、南西の壁を強化しよう。
12式改はよこい!
インドには地域大国として太平洋に影響力を拡大したい野心があります。ベトナムにつづきフィリピンも友好国としたいとこでしょう。しかしバングラディシュやミャンマーといった周辺国はインドの拡張に不安になりますます中国を頼りそうです。日本はクアッドを推進したいならそうした反インド感情に注意してフォローしてあげないといけないと思います。インドがクアッドに協力的なのは別に善意によるものではないことに注意しましょう(まあ当然ですが)。