インド太平洋関連

インド、総額6,810億円を投じて国産戦闘機「テジャスMK.1」を83機導入

インドのモディ首相が議長を務める内閣国防委員会(CCS)は13日、国産戦闘機「テジャスMK.1」を83機導入するため65億6,000万ドル(約6,810億円)を支出することを正式に承認した。

参考:₹45,700-cr deal: India clears purchase of 83 ‘Tejas’ jets for IAF

現在のインドにテジャスMK.2完成を気長に待つ余裕は無いため、海外製戦闘機導入プログラムを予定通り進める確立が高い

インドの国産戦闘機テジャス開発は1980年代に始まり政治的問題や技術的問題で紆余曲折を経験した影響で計画は大幅に遅延、普通なら中止に追い込まれてもおかしくはない状況を忍耐強く乗り切り開発から約40年後の昨年5月、完全作戦能力を獲得したテジャスMK.1の実戦配備が始まった。

出典:インド政府 報道局(pib) テジャスMK.1(FOC仕様)を引き渡されるインド空軍第18飛行隊

さらにMK.1と開発中のMK.2との中間に位置する「テジャスMK.1A」の実用化に目処がついたためインド空軍は旧ソ連製戦闘機MiG-21の更新用にMK.1Aを83機調達することを決定、モディ首相が議長を務める内閣国防委員会は13日、国産戦闘機「テジャスMK.1」を83機導入(MK.1Aを73機+訓練機仕様のMK.1複座型を10機)するため65億6,000万ドル(約6,810億円)を支出することを正式に承認した。

この「テジャスMK.1A」はMK.2に採用予定の国産AESAレーダー、デジタルレーダー警告受信機、電子妨害ポッドなど技術をMK.1に統合した機体なのでMK.1よりも戦闘能力が優れている機体だと言われており、65億6,000万ドルを単純の83機で割ると1機あたりの調達コストは7,000万ドル台になるのだが、これまでの情報だとMK.1Aの調達コストは3,900万ドル(当初6,500万ドル)だと言われていたので全く計算が合わない。

恐らく65億6,000万ドルという調達コストにはMK.1Aが搭載する国産の中距離空対空ミサイル「アストラ」や対艦ミサイル「ブラモスNG」などが含まれているのだろう。

出典:ロッキード・マーティン F-21

どちらにしてもテジャスMK.1A導入に不可欠だった政府承認が下りたので開発中のMK.2導入にも弾みがつくと予想されるが、インドでは海外製戦闘機調達プログラムを中止して開発中のテジャスMK.2調達に切り替えるべきだという主張が飛び出している。

インド空軍は軽戦闘機に分類されるテジャス調達とは別に海外製戦闘機を100機以上調達することを検討中で総額150億ドル(約1.6兆円)と推定される需要を米国、欧州、ロシアの企業が虎視眈々と狙っているのだが、インド軍参謀長のビピン・ラワット大将は昨年5月「海外製戦闘機導入プログラムを中止してテジャスMK.2調達に切り替えるべきだ」と主張、しかし空軍参謀長は「予定通り海外製戦闘機の導入を進める」と語り何が本命なのか良くわからない状況が続いている。

出典:INDIAN AIR FORCE / GODL-India テジャスMK.1

ただインドは装備調達のため結んだ契約の支払いが積み上がり過ぎて装備調達に割り当てられた年間予算(約2兆円)の約90%が契約済みの支払いに消えるため高価な海外製装備品の新規調達を控える傾向が顕著で、新型コロナウイルスによって打撃を受けた国内経済を立て直すため国産製品購入(メイク・イン・インディア政策)をモディ首相が強調しているため本当に海外製戦闘機導入プログラムを中止してテジャスMK.2調達に切り替えても不思議ではない。

しかし上記の内容は全て中国との軍事的対立が高まる前の話なので、現在のインドにテジャスMK.2完成(最速で2025年以降)を気長に待つ余裕は無いだろう。

つまり中国との軍事的対立が海外製戦闘機導入プログラムを中止してテジャスMK.2調達に切り替える余裕をインドから奪ってしまったため、海外製戦闘機導入プログラムを予定通り進める確立が高いと管理人は思っている。

関連記事:計画から40年後に結実!インド、国産戦闘機「テジャスMK.1」を実戦配備
関連記事:F-21はお蔵入り? インド、海外製戦闘機調達を国産戦闘機「テジャス」に変更か
関連記事:ブレるインドの戦闘機導入プログラム、空軍は国産ではなく海外製戦闘機導入を支持

 

※アイキャッチ画像の出典:Venkat Mangudi / CC BY-SA 2.0 国産戦闘機「テジャス」

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    隣接国でいちばんの課題はパキスタンのほうだから
    先を行くチャイナには通用しなくとも使い道はあるんだろ

    3
      • 匿名
      • 2021年 1月 14日

      テジャスがパキスタンが導入予定のJF-17block3に勝てそうかって言われるとだいぶ厳しいと思うぞ
      テジャスのエアフレーム強度がF414にすら耐えられないってことはペイロードも余裕がないってことだし

      12
        • 匿名
        • 2021年 1月 14日

        下にもあるように、輸入機商戦向けのメッセージなんですかね
        ミグ21の代換というのがちょっと

          • 匿名
          • 2021年 1月 14日

          国威発揚が目的でしょ
          インド製戦闘機買うくらいなら中国製の方がよほどマシ

          4
            • 匿名
            • 2021年 1月 15日

            そういう内向きの目的で動いてるならば、インドは中国と本気の戦争は 無いって考えてるわけだ

    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    平日昼間しかスクランブル任務がないオーストリア空軍なら
    このレベルの機体でも十分では。

    3
    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    インド陸・空軍「国産は使えねえっつってんだろ!」

    7
    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    と言うか、今回導入するテジャスMK.1Aが代替する予定のMiG-21って、海外製戦闘機導入プログラムの勝者も後継機の対象になっていなかったか?
    現在のインドにテジャスMK.2を待つ余裕が無いのは事実だが、海外製戦闘機導入プログラムの迷走ぶりを考えれば今回の決定は「残りのMiG-21もテジャスMK.1Aにしちゃおうかな?アビオニクスはMK.2と同じだし!」と、インド側が海外製戦闘機導入プログラムの参加企業に軽く脅しを掛けたのと同じ意味が有るから、今後どうなるか注目だよ
    少なく共、海外製戦闘機導入プログラムの参加企業は本気で売り込まないと行けなくなったと思う

    3
    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    国内経済を理由に防衛装備を選定してると、領土なんて守れないだろうな。

    3
    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    インドは第5世代をどこから仕入れるつもりなんだろう
    立ち位置的にもF-35は厳しいだろうしSu-57かな

    3
      • 匿名
      • 2021年 1月 14日

      その場合、そこでロシアがモンキーを出すのかフルスペックを販売するのか、面白そう

      1
      • 匿名
      • 2021年 1月 14日

      Fー3「チラッチラッ」

      中国と完全にカチあってくれたらイケる気がするんだけどなぁ。クアッドの最終段階として。

      2
        • 匿名
        • 2021年 1月 14日

        ない。要求仕様が違い過ぎるし機密保全とかで絶対ごたつく。

        5
        • 匿名
        • 2021年 1月 15日

        「テジャスMK.2への開発協力」として、売って大丈夫な部品や技術を提供する方が良さ気。
        リソース・スケジュール的に当面はがっつり本気で開発協力する余裕がないのが残念。

    • 新・にわかミリオタ
    • 2021年 1月 14日

    中国は一体何カ国と戦いたいんだか。

    12
      • 匿名
      • 2021年 1月 15日

      最終目標は地球支配だろw

      5
        • 匿名
        • 2021年 1月 15日

        つーか中華思想では地球は中華の持ち物なんだよ。
        今は蛮夷が不当に蔓延ってるだけ。
        中共は「蛮夷の蔓延る土地を取り戻してる」つもり。

        5
        • 新・にわかミリオタ
        • 2021年 1月 15日

        世界征服!
        子供が言えば可愛いんだけど、中共が言うと地獄だなぁ

        6
    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    国産機にはそれなりの意味があると思うが🇮🇳の場合現場に近い人間からあんまりいい反応されない時点で色々お察し

    3
    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    テジャスMK.1Aが中国のJ-20と戦うのを見てみたい気がする、どちらもステルスではないから先に見つけて有意な位置に付けた方が勝つ気がする。
    直線番長とくるくる回る機体の対決、ナットvsF-104の再現になったら面白い。

    1
      • 匿名
      • 2021年 1月 14日

      F-16VクラスですらJ-20に対抗できるかどうか怪しいのにテジャスじゃあ逆立ちしたって無理だわ
      中国だからって色眼鏡で見られてるがなんだかんだでJ-20ってRCS0.1クラスですらセンサーマシマシの15トン級エンジン乗っけてる代物だぞ

      6
        • 匿名
        • 2021年 1月 14日

        対台湾で無茶苦茶恥ずかしい墜ち方してんのに、それはねーわ。グリペン相手にぼろ負けしたのって別機体だっけ?

        1
          • 匿名
          • 2021年 1月 14日

          その中国空軍機だが、去年の夏に台湾海峡上空で台湾空軍のF-16Aに追われて墜落したとされる(但し確報無し)のも、2015年にタイ空軍のJAS39グリペンと模擬戦やってボロ負けしたのもJ-20じゃなくてJ-11(又はその原型となったSu-27SK)だぞ

          4
          • 匿名
          • 2021年 1月 14日

          台湾海峡上空で中国戦闘機(J-11)が墜落云々はデマですな。
          J-11が墜落したのに、中国軍も台湾軍も米軍も一切声明を出していないのはあり得ない。
          ただし、台湾の戦闘機がJ-11に対して警告を出したのは事実。
          タイ空軍のグリペン相手にボロ負け(視界外戦闘のみ)したのもJ-11。
          しかし、タイ空軍のグリペンはC/D型で、アビオニクスの性能はJ-11よりも格段に上。
          ボロ負けしても不思議ではないし、しかもボロ負けしたのは2015年の話なので、
          中国空軍はもう対策を考えているだろうし、何よりJ-11より高性能な戦闘機は中国に多数ある。

          9
        • 匿名
        • 2021年 1月 14日

        「J-20のRCSは0.025㎡」と前の米空軍参謀総長(デービッド・ゴールドファイン氏)は伝えているね。
        F-117と同程度のRCSだけど、アジアではF-35を除いて一番ステルス性が高い戦闘機。

        The U.S. F-35 versus the PRC J-20
        リンク

        6
        • にわかミリオタ
        • 2021年 1月 15日

        RCS0.1クラスですらセンサーマシマシの15トン級エンジン乗っけてる代物だぞ

        すみません。どういう意味ですか?もうすこし分かりやすく教えてください。

        1
          • 新・にわかミリオタ
          • 2021年 1月 16日

          私で良ければお教えします。

          まず電波に対し、どれだけのステルス性を持っているかを表す値としてRCSが使われています。この値は、低ければ低いほど戦闘機としての価値が増加していくと考えていいです。
          この値がJ-20は、0.1ということです。
          比較対象として、F-15クラスの戦闘機でおおよそ10、F-117は0.001~0.01といわれています。ちなみにF35は0.0015~0.005らしいです。
          簡単に言うと、空自のF15、F2より低くてF35よりは高い値ですね。これはそのまま強さに置き換えても大丈夫です。

          もう一つの15トン級エンジンというのは、簡単に言うとF15やF2のエンジンよりも強力ということです。

          結論 全く侮れない。というより、かなり強いです

          5
          • 匿名
          • 2021年 1月 16日

          レーダー方程式を見ると、RCSと平均送信電力は同じ次数で効きます。
          なのでRCS1/10だと、相手のレーダー出力を1/10にしたのと等価な効果が見込めます。
          探知距離には、4乗根で効いてくるので、額面程の割には影響小さいですが、
          RCSや出力10倍だと探知距離約1.8倍なので、戦場での優劣には十分影響があると思います。

          レーダーを補完するセンサーが多数配備されてる場合は、ものにもよりますが、
          死角を減らしたり、より多用途に向いたりする事が考えられます。
          情報統合が不十分だと、宝の持ち腐れとなることもあるので、ただ積むだけではダメでしょうが。

          高出力なエンジンは、機体の出来にも由りますが、戦場での機動に有利に働く事が期待出来ます。
          ミサイルの発展により昔程では無いにしろ、有視界戦は勿論、視界外戦闘でも優位なポジションを取った方が良いようで、低機動よりは高機動の方が望ましいのだと思います。

          3
    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    インドって産業的な底力はあるけど、なぜか外国から高級品を買いたがる癖がある。
    それが手に入らなくなって国産を使ってみると案外良くてそのまま国産調達になったりする。自分の商売でも経験がある。

    おまけにいろいろ混じってても気にしないという国民性。
    なので、今回も「結局両方調達」になっても全然驚かんねぇ。

    2
      • 匿名
      • 2021年 1月 14日

      むしろ重工業を始めとする産業基盤がまだまだ見劣りするから外国製品を輸入してる。
      そこを背伸びして無理やり第3世代戦車や第4世代戦闘機の開発を進めたから30年とかかかってる。
      前線で戦う実働部隊からしたらそんな何年も待ってられない。

      2
        • 匿名
        • 2021年 1月 14日

        そりゃ米帝や日本みたいなフルラインの産業基盤持ってるわけじゃあないからねぇ。

        そうは言ってもソフトウェアで見れば世界一流だし、冶金やセラミックみたいな基礎資材も十分なものを持ってる。兵装の国産なんか特許がらみの面倒さを考えれば十分なスピードでしょう。
        植民地がたった70年でここまで来たわけで、他国に対する伸びを考えるべきと思うけどね。

        核はあるは、30年前には空母も運用してたわけで、輸入国産取り交ぜて、うちらよりよっぽど実践に向いた部隊構成だよ。

        1
    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    テジャスの前方やや上からの画像、あまり馴染み無いのだけど、結構カッコいいね。
    この角度、戦闘機などを魅せる方向なのかな?

    2
      • A
      • 2021年 1月 15日

      同意見です。
      意外にもかっこ良く見えます。
      F16XLもこんな感じでしたね。

    • 匿名
    • 2021年 1月 14日

    そりゃどこの国も国産兵器で自国企業に金を流したいし技術者を育成したいわな
    余所から買えば金が出ていくだけだもん

    3
    • 匿名
    • 2021年 1月 15日

    最近ステルス機かどうかって気にしない風潮があるように思えるが、そういった技術的ブレークスルーは見つかったんだろうか。

      • 匿名
      • 2021年 1月 15日

      なんだかんだ言って第5世代ステルス機は高価過ぎるんでしょう。

      オマケに売り手も現状ではアメリカまたはロシアのみ。

      仮に買えても高価なステルス機でどこと戦うの?って話に…。

      米中露がひしめきあう場所にいる我々がおかしいんです。たぶん。

      4
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