インド太平洋関連

インドは困窮するロシアからの石油購入量を増やす方針、中国を意識か

インドは伝統的に安全保障分野での関係が深いロシアから石油の購入量を増やす計画で、割安なロシアやベラルーシの肥料についても調達を検討しているらしい。

参考:India considers buying discounted Russian oil and commodities, officials say
参考:Amid barrage of western sanctions against Russia, India to soon finalise alternate payment system

伝統的な安全保障分野での基軸であるロシアを簡単に切れるはずもなく、インドは今後もロシアとの貿易を維持する方向で動くのだろう

ロシアと安全保障分野で非常に結びつきが強いインドは国連の非難決議も棄権、両国は二ヶ国間の貿易を維持するためルピーとルーブルによる決済システムを猛スピードで構築しており、ロシアは市場相場よりも割安な価格でインドに石油供給を提案、インド政府の関係者も高騰するエネルギー調達費用の削減に繋がるロシア産石油について「我々は喜んで受け入れるだろう。タンカーや保険など幾つか解決すべき問題があるが、それをクリアできればロシアの提案を受けいれる」と述べている。

出典:President of Russia

さらにインドは割安なロシアやベラルーシの肥料についても「安い肥料が手に入るならそれを使うだろう。これは財政的な懸念を解消するのにも役立つ」と述べており、恐らくこのような取り組みは苦しいロシア経済を支援する中国を意識したものだろう。

ロシアはインドと中国の安全保障政策に強い影響力を保持しており、西側に同調してロシアとの経済関係を断てばアジアにおけるロシアと中国の結びつきが強固になってインドの結びつきが弱体化してしまい、インドと中国の軍事対立が再び発生すればロシアは中国の肩を一方的にもつかもしれない。

出典:The White House

それを阻止するためには中国と同じように西側に同調せず、苦しいロシア経済を支えて中国とのバランスをとっておく必要があるのだ。

勿論ロシアとの関係を切って西側に乗り換えればいいという意見(西側の価値観)もあると思うが、伝統的な安全保障分野での基軸であるロシアを簡単に切れるはずもなく、インドは今後もロシアとの貿易を維持する方向で動くのだろう。

関連記事:矛盾する国益、ウクライナ問題がロシアとインドの関係に亀裂を生じさせる理由
関連記事:印露首脳会談で両国が関係強化、インドは主権国家であり米国の制裁には屈しない

 

※アイキャッチ画像の出典:Narendra Modi

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コメント

    • 無人君
    • 2022年 3月 14日

    日本はロシアのを禁輸にして
    これまでインドが輸入していたところから買う
    これでロシアと縁が切れて、輸入も困らない

    10
      • A
      • 2022年 3月 15日

      それも一つの手かと。
      値段は上がりますが入ってこなくなるってことは無くなるでしょうね。

      3
    • 無無
    • 2022年 3月 14日

    我が道を往くインド、止めてはならない
    ロシアに中国が食い込むよりも、西側にはましだろう

    15
      • くらうん
      • 2022年 3月 14日

      ただ中国の制裁抜けをアメリカが牽制している中でインドがこうも堂々と支援するとなると、インドには何も言わないのかというお馴染みのダブスタ問題が出てくるなあ。

      個人的にはインドはAUKUSやクワッドに入れても好き勝手しすぎて協調できないだろうから排除でいいと思う。
      中国の西側への進出とパキスタンとのつながりがる限り、インドは中国とはくっつかないだろうし。
      当面は日本が単独でコネクション維持しておけばいいでしょう。

      29
    • 無印
    • 2022年 3月 14日

    いつの間にかロシア、インド、中国の力関係が変わっちゃってません?
    兵器開発の技術格差が埋まってきたら、ロシアが中国とインドの尻に敷かれる立場になってしまいそうな…

    21
      • 戦略眼
      • 2022年 3月 14日

      もう、そうなっておるよ。
      何れ、中華に食われるよ。

      20
    • よこた
    • 2022年 3月 14日

    インドこんなことして大丈夫なのか?
    どう考えても西側諸国から反感買うだろう

    4
      • 無無
      • 2022年 3月 15日

      まもなく立場が逆転するよ、
      各国はインドを選ぶか中国を選ぶかを迫られて、右往左往する日が近い
      今のアメリカですらインドの扱いに苦慮してる

      6
    • 774
    • 2022年 3月 14日

    サウジも怪しいし、世界の未来は暗い

    8
      • 無名のミリオタ
      • 2022年 3月 15日

      サウジアラビア、UAE等の親米湾岸諸国冷遇はバイデン政権になってからじゃない?

      バイデンの外交政策ってトランプとあんま変わらないイメージあるけど、中東政策はだいぶ違うよね。

      11
    • 鼻毛
    • 2022年 3月 14日

    イギリスがパキスタン独立させたり嫌がらせしてなかったら今頃インドは西側同盟国だったのにって思う

    5
    • 梅スライム
    • 2022年 3月 14日

    クアッドの枠組みは緩やかな外交的な対中連合として残しつつも、日本はAUKUSの枠組みに入るのを目指した方がいいんじゃないかね。
    クアッドはどうしたってちゃんとした軍事同盟にはならんと思う。日本かインドのどちらかが中国と紛争状態になってももう片方が救援に参戦とかはこの先も無理でしょ。

    13
      • Naoki
      • 2022年 3月 15日

      無理やと思う。AUKUSはアングロ・サクソンによる、アングロサクソンの為に作られた白人様ナンバーワンの組織やから、我ら米食いイエローモンキーなんかアウト・オブ・眼中じゃろう。

      2
    • iek
    • 2022年 3月 14日

    BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)間の貿易は活発だったからねぇ。
    ブラジルもロシアのウクライナ侵攻を非難せず、ロシアとの経済関係維持に積極的だし。
    中国はロシアに肥料を輸出し、ロシアはブラジル・インドに肥料を輸出し、ブラジルは中国に大豆を輸出する、というサイクルが出来上がっているので、BRICs間の結び付きは意外と深い。

    3
      • くらうん
      • 2022年 3月 15日

      ただロシアの輸出相手国はけっこうばらけていて、一番の輸出額である中国もせいぜい10%なんだよね。
      インドやブラジルは5%未満だから、その辺が全部合わさっても20%ないくらい。
      そこが頑張って全品目を10%輸入量増やしたとして(受給バランス的に不可能に近い)、全体の2%。
      大きいか小さいかは判断分かれるけど、ロシア経済全体が被っている大打撃を考えると焼け石に水のような。

      16
    • pp
    • 2022年 3月 14日

    西側には産地偽装(建前上)されたプレミア中抜き価格の原油ガスが供給されるんじゃ?

    4
    • 灰色の猫
    • 2022年 3月 14日

    おのれインド! なんて思っちゃうけど、インドはインドの論理があるんだなぁ。

    18
    • おわふ
    • 2022年 3月 14日

    まあ、日本も他国を経由してイランから買ってるから・・・
    エネルギーと食料問題は根が深い

    18
      • AH-X
      • 2022年 3月 14日

      格安で買って日本に転売してくれんかな。
      しかし、中国ばかりロシアに影響力行使されるのも困るからアメリカも黙認でしょうな。口先だけの避難するだけで。

      5
    • STIH
    • 2022年 3月 14日

    インドは西側や東欧諸国からのイメージダウンを覚悟で、ロシアに恩を売る道をとったというわけですか。これでバイデン大統領はCAATSAをインドに適用するんじゃないんですかね。それはそれで茨の道だなと。
    一方で石油をインドが買ってもロシアの欲しい半導体等はそんなに豊富に用意できないから、その点は中国には劣るだろうし、飛行機のスペアパーツを下手に提供すると売ってもらえなくなるリスクもある。結局は中国と同じく単に資源を買い叩けるチャンスと考えているのかもしれないねえ。

    3
    • hiroさん
    • 2022年 3月 14日

    石油積出しは何処から?
    コズミノから日本海を経て延々と中国影響海域を行くのか、ウクライナを制圧して黒海·地中海·スエズを通って行くのか。
    シーレーン防衛もセットで考える必要がありそうだが。
    なにはともあれ中国とインドが石油を買い続けるのはプーチンにとっては心強いだろうし、両国に西側が制裁措置を取る可能性は低そうなので、結局ロシアのやったもん勝ちとなってしまうのか?

    9
    • 戦略眼
    • 2022年 3月 14日

    今後、中華に攻め込まれても、誰も助けてくれない。

    2
    • トブルク
    • 2022年 3月 14日

    すべての国は、ロシアからの輸入に一律25%の関税をかけ、その税収の全額をウクライナに寄付するルールにすれば、対ロシア制裁とウクライナ支援が両立できるんじゃないかと思うが、あかんかな。
    どうしても天然ガスや石油、兵器、ズワイガニ等を買わないと行けない国もあるしね。

    2
      • 無無
      • 2022年 3月 15日

      面白いアイデア、しかし先ず我が国が率先して実行しないとな。
      我が身を切らずして人助けなど出来ないことを国民に周知すべき
      それでこそ我が国は世界に輝く

      • Yanti
      • 2022年 3月 15日

      関税を支払うのはロシアでは無く、輸入国の企業だからねぇ。
      ただでさえ原油価格が高騰しているのに、それに追加で関税を支払うと、ますますガソリンの価格を始めとして、他の石油製品の価格も上がるよ。

    • せい
    • 2022年 3月 14日

    そうかぁ。
    まあインドの事情考えればしょうがない部分もあるか。
    不安はここで米国がキレて過剰な制裁に乗り出さないかだな。
    対中関係ではインドは絶対外せないんだが、そこで融通きかせれるかが不安。

    11
    • けい
    • 2022年 3月 14日

    ロシア皇帝プーチンの暴走結果を考えれば、条件を色々つけて受け入れてるんだろう
    追い詰めすぎて、核兵器使われる恐怖は核保有国こそあるだろうし

    ロシアが崩壊してプーチンが死ぬにしても、生かさず殺さずで気がついたら死んでるを狙ってるんだろうな
    アメリカ・中国・インドなんかは気分的にはチキンレースかもしれん

    2
    • ちいかわ
    • 2022年 3月 14日

    いやーーーー難しいね
    公平に見ればインドのムーブは中国同様、またはそれ以上に好ましからざるものだけど
    日本としては二国間関係が良好だからおいそれと圧力はかけられんだろうな
    アメリカも然り
    中国に加えてインドまで敵対勢力になれば、世界の1/3の市場が消えることになる。それはさすがに甘受できない
    インドが派遣を目指さないように願おう

    11
    • VOL
    • 2022年 3月 15日

    2019年、ロシアは原油輸出国として全世界シェア12.5%、$123B。(OECより)

    同年の、ロシアから各国への原油輸出先はヨーロッパ(オランダ16.5%、ドイツ6.91%等)、アジア(中国27.3%、韓国5.98%、トルコ2.99%)がほとんどで、インドへは0.9%($1.11B)のみ。

    インドへの原油輸出シェアは中東をはじめアジア、アフリカ、北南米でほとんどを占めており、ロシアからは1.2%のみ。

    なお、日本への原油輸出シェアはアジア(91.7%)がほとんどで、ロシアのシェアは5.09%。

    1
    • 折口
    • 2022年 3月 15日

    インドにはインドの法と秩序というのは毎度のことだと思いますが、今回に限っては欧米が普段どおりインドを忖度してくれるとは限らないのではという気がします。

    というのも西側の意思決定プロセスは基本的に民主政であり、外交上どんな無理筋でも世論が求めればやるというのが大前提です。今までインドが悪い遊び(核)や悪い友達(ロシア)と付き合っても欧米の政権スタッフや外交部スタッフは黙認してきました。しかし今回のロシアの侵攻は既に欧米の市民社会に強い衝撃を伴って受け入れられいて、今後の欧米世論の進展次第では冷戦構造下での敵対陣営への制裁措置にも匹敵する追加措置が出ることは必至でしょう。そういう状況において西側社会がインドに「ロシアか、国際社会か」という二択を投げかけざるを得なくなるシナリオは、僕は全然起こりうると思います。
    それだけ今回のロシアの侵攻が常識はずれかつ国際秩序を揺さぶった事例だという事を、果たしてインド政府は正しく認識しているのか。

    7
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