インド太平洋関連

米海軍に追従する印海軍、UAVによる認識力拡張を水上艦や潜水艦に導入か

インド海軍は6月末、レーダーではカバーできない視覚的な認識力を艦艇に付与するため「艦艇運用に対応したUAV」に関する情報提供依頼書を発行した。

参考:Indian Navy issues RFI for Shipborne UAVs

インド海軍は既存のUAV改修ではなく「国内企業による独自モデルの開発」を考えているのだろう

無人機が搭載するEO/IRセンサーはレーダーではカバーできない視覚的な認識力をもたらすため、多くの海軍が水上艦の認識力拡張にUAVを導入しており、陸上基地から運用するヘロンMkIIとサーチャーIIを保有するインド海軍も艦艇で運用可能なUAVの導入に踏み切ったらしい。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Colbey Livingston

インド海軍が発行した情報提供依頼書(RFI)によると「100mを超える艦艇40隻」で運用する情報収集・監視・偵察任務向けUAVを調達するつもりで、基本的な構成(EO/IRセンサーとAIS)で10時間の滞空能力、高度5,000フィートを100km/hでロイター飛行できる能力を求めており、射撃管制、レーダー制御、通信や暗号化システムなどは指定の固有ソフトウェア使用を要求している。

他にも艦艇での運用能力、艦内での収容性、モジュール方式による搭載機器の変更、夜間発着能力、緊急時に着水でき再利用できる構造、使用ソフトウェアのソースコード開示なども要求しており、恐らく既存UAVの改修ではなく「国内企業による独自モデルの開発」を考えているのかもしれない。

出典:Indian Navy/GODL-India カルヴァリ級潜水艦

因みにインドのラーセン&トゥブロ(L&T)は米海軍が攻撃型原潜の戦場認識力を改善するため本格導入を始めた水中発射型UAV「Blackwing」と同種のUAV開発を6月に発表しており、インド海軍は米海軍に習って「視覚的な認識力の拡張」を艦艇や潜水艦に付与するため本格的にUAV導入を進めるつもりなのだろう。

関連記事:米海軍が導入中の潜水艦から発射可能なUAV、インドも自国軍向けに開発を発表
関連記事:UAV配備を進める米海軍、アーレイ・バーク級にエアロゾンデを展開
関連記事:潜水艦と無人機の連携、米海軍が原潜で使用する水中発射型UAVを120機導入

 

※アイキャッチ画像の出典:Textron Systems 米海軍が艦艇への導入を進めるAerosonde

ロシア軍を止めるのが難しいウクライナ軍、進路上の住民は直ぐに逃げろ前のページ

130日目を経過したウクライナ侵攻、徐々に失われていく世論の関心次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    タイ空軍はF-35Aの調達を米国に断られ、F-15EXとF-16Vを提示される

    タイ空軍はF-35Aの売却を米国に打診していたが、今月25日「米国がF…

  2. インド太平洋関連

    中国にとっては凶報、フィリピンが間もなくインドに対艦ミサイル「ブラモス」を発注

    インドメディアは30日、政府筋の話として「もう間もなくフィリピンからブ…

  3. インド太平洋関連

    費用負担が問題、韓国にロッキード・マーティンがF-35整備権限取得を提案

    日本のF-35国際整備拠点「MRO&U」運用が始まったことに関連して、…

  4. インド太平洋関連

    インドネシア、KFX開発費負担減額と潜水艦導入契約キャンセルを韓国に要求か

    韓国メディアは今月2日、インドネシア側がKF-X滞納分の支払いを実質的…

  5. インド太平洋関連

    製造が大幅に遅れているF-16V、台湾発注分も引き渡しが1年遅れ

    発注が相次ぐF-16VはCOVID‑19と半導体不足の影響で製造が大幅…

コメント

    • 無印
    • 2022年 7月 05日

    日本はHAMADORI6000で、直接海から飛ばそう
    令和の時代に水上機母艦の復活だ!(ネタ

    4
      • あばばばば
      • 2022年 7月 05日

      やるとしたらOPVとFFMが母艦となるだろう。
      すでに機雷捜索用のUUVの母艦となっているし、おそらく水上無人艇も導入するだろう。
      艦艇から飛ばす水上機なら火薬式カタパルトで飛ばすのでは?(ネタ

        • バクー油田
        • 2022年 7月 06日

        敵の制海権の奥深くに入れるのは潜水艦ですから
        潜水艦も母艦にしてドローンを山積みにして使い捨てで哨戒網を作れると革新的ですよね
        ドローンはスターリンクみたいな多すぎて潰せない大量の通信衛星経由で後方に情報を送り、
        発見した敵艦を潰すのは本土か後方の艦隊から別開発の長距離極超音速対艦ミサイルを用いれば
        潜水艦は哨戒ドローンを発射するだけで良いので浮上して通信・回収する際のリスクも無くなります
        ただ、それであれば使い捨ての哨戒ドローンが24時間は飛んで欲しいですね。
        欲を言えば1週間ぐらい飛んで欲しいですが。
        この観点からも今後の海戦というか制海権のキーの艦種は既に空母から潜水艦に移っています。
        これからは敵よりも早く発見した方、それだけが勝敗を左右する世界になりますので
        敵海域の奥深くまで入れる隠密性の性能と、どんだけ哨戒ドローンを積めるかが海戦の勝敗を左右します。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 中東アフリカ関連

    アラブ首長国連邦のEDGE、IDEX2023で無人戦闘機「Jeniah」を披露
  2. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  5. 米国関連

    F-35の設計は根本的に冷却要件を見誤り、エンジン寿命に問題を抱えている
PAGE TOP