インド太平洋関連

2件目となるインドの国産兵器輸出、インドネシアへのブラモス輸出が成立か

インドのFinancial Express紙は「インドネシアへのブラモス輸出が間もなく成立する」と報じており、これが事実ならインドは2件目となる国産兵器の海外輸出に成功する。

参考: Indonesia to buy BrahMos Missile from India? Talks in advance stage

競争が熾烈な東南アジアの対艦ミサイル需要、残るマレーシアとベトナムの需要を誰が制するのだろうか?

インドとロシアが共同開発したブラモスは強力なシースキミング能力を備えた超音速対艦ミサイルで、インド政府は独自の安全保障政策の一貫としてフィリピンにブラモス導入を提案、両国の交渉は紆余曲折を経て今年1月に成立(提案額は3億7,490万ドル相当)、ボーイングなどのサプライヤー(AH-64Eの胴体製造やC-130Jの尾翼製造など)としての輸出実績しかない印防衛産業界にとって国産兵器の初輸出となったが、Financial Express紙は「インドネシアへのブラモス輸出も間もなく成立する」と報じている。

出典:Kongsberg

インドネシアは対艦ミサイルを搭載するミサイル艇を最大120隻調達する計画があり、ノルウェーのNSM、インドのブラモス、ロシアのK-300P、ウクライナのネプチューンなどが提案され、適合テストを実施したNSM採用が有力視されていたが、Financial Express紙は交渉当局者からの情報に基づき「両国間の協議は順調に進行中で、年末から来年初めまでにインドネシアがブラモス導入契約に署名する」と報じ、契約が成立すればインドネシアはフィリピンに続いてブラモス運用国になると期待感を示した。

既にブラモスの開発関係者がインドネシアの造船所を訪れて「艦艇搭載に必要な事前調査」も終えており、Financial Express紙の報道が真実ならインドの2件目となる国産兵器の海外輸出に成功するという意味だ。

出典:Адміністрація Президента України / CC BY 4.0 ネプチューン

因みに東南アジアの対艦ミサイル需要(台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ベトナムなど)には米国のハープーン、ノルウェーのNSM、インドのブラモス、ロシアのK-300P、ウクライナのネプチューン(ロシア軍による侵攻前)、シンガポールのBLUE SPEAR/5G SSM、韓国の海星などが提案されており、まだ導入する対艦ミサイルが決まっていない「マレーシアとベトナムの需要を誰が制するのか?」に注目が集まっている。

関連記事:イスラエルとシンガポールが狙う東南アジアの対艦ミサイル需要
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※アイキャッチ画像の出典:Public Domain

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コメント

    • 匿名
    • 2022年 7月 21日

    東南アジアってなにげに海洋国家多いよね

    2
    • だいだーら
    • 2022年 7月 21日

    日本もなんとか頑張って需要に食い込んで欲しい
    (こういうこと言うと日本にそんなことできるわけないって強く否定されるけどそれでも防衛産業維持やその他諸々のためになんとか頑張ってほしい)

    15
      • G
      • 2022年 7月 21日

      韓国のK-9みたいに自国用に大量生産・配備する計画と予算を通すことができたのなら、量産効果でコスパを良くし、輸出に有利にすることができますが、前提となる対艦ミサイルを量産効果が出るほど生産できるか(予算を確保できるか)というのがまだ厳しいところですね

      4
      • けい2020
      • 2022年 7月 22日

      今後のことを考えて備蓄を増やして、新型も最初から大量生産の必要があるので
      それだけでも大幅な製造ライン拡充が必要だから、対艦ミサイルに関しては輸出してる余裕は全く無いかと

      対中国抑止力を考えたら、今の10倍は備蓄が必要になるんじゃないかな
      それですら中国海軍の大増強を考えたら足りない気がしてくる

      必要な抑止力って、中国海軍の50%が一気に来ても、確実に全滅させる事が可能ってラインだろうし
      それぐらいしないと中国に対しての抑止力にならない可能性が出てきてる

      4
    • tarota
    • 2022年 7月 21日

    >ミサイル艇を最大120隻調達する
    とんでもねえ数だな
    日本だとはやぶさ型の退役後の予定はないけど、無人化とか対艦ミサイルの射程向上で復活することもあるんかな

    8
      • samo
      • 2022年 7月 21日

      ミサイル艇の枠は護衛艦に転用
      艦艇数の純増は財務省が認めてくれないから、
      ミサイル艇といった小型艇を護衛艦に転用して、正面戦力である護衛艦を増やすという
      涙ぐましい努力をしている

      7
    • 黒丸
    • 2022年 7月 21日

    中華イージスによる艦隊防空の性能が不明だが
    対艦弾道ミサイルの配備は、さすがに東南アジアのどの国も困難か

    • samo
    • 2022年 7月 21日

    今の世情を考えると、
    ロシア系が参画するコンソーシアムの武器が東南アジアを席巻するのは、
    あまり歓迎できる状況でもない

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