台湾空軍はF-16Vをスクランブルに使用すると1時間あたり15万台湾ドル(約58万円)、国産戦闘機F-CK-1は22万台湾ドル(約85万円)かかると明かした。
参考:Taiwan Air Force requests increased budget to counter incursions by Chinese warplanes
参考:Taiwan Air Force completes upgrade of 42 F-16A/B fighter jets to F-16Vs
F-16Vをスクランブルに使用すると1時間あたり15万台湾ドル(約58万円)
台湾は中国軍機による防空識別圏への侵入や領空侵犯に対応するためほぼ毎日スクランブル(緊急発進)を実施しており、昨年10月に当時の国防部長官だった厳徳発氏が「今年だけで2,972回のスクランブルを実施して8億8,649万ドル(約920億円)の費用がかかった」と明かしたが、台湾空軍は追加のスクランブル(緊急発進)費用として7,400万ドル(約81億円)を追加支出する予定だと17日に明かした。
この追加支出で2021年に予想される中国軍機へのスクランブルは十分対応可能だと台湾空軍は主張しており、立法院(日本の国会に相当)の質問に答えた国防部は「追加費用は中国軍機の侵入を考慮したもので、比較的速度の遅い中国軍機に対しては戦闘機ではなく無人飛行機で対応する」とスクランブル費用節約の方法について説明している。

出典:台湾空軍
さらに台湾空軍は141機のF-16A/Bブロック20のアップグレード状況についても報告しており、今月17日までに42機がF-16Vブロック20へのアップグレードが完了して空軍の第4戦術戦闘航空団がF-16Vへの改編を完了したと説明、これを祝うため今月末に蔡英文総統を招いて正式な引き渡し式を執り行うらしい。
ただ既存機をアップグレードしたF-16Vブロック20は新造機のF-16Vブロック70とは異なり、機体に内蔵するタイプのデジタル電子妨害装置「AN/ALQ-254」を使用できないため機外に携行するポッド式の電子妨害装置を引き続き使用する必要があるのだが、F-16V仕様に対応した最新の電子妨害ポッドが完成していないためF-16A/Bで使用していたアナログ式の電子戦ポッド「ALQ-184」を引き続き使用しなければならないため問題になっている。

出典:Airwolfhound / CC BY-SA 2.0
現在の電子妨害装置は敵のレーダーが照射した脅威を検出すると直ぐに解析して使用された無線周波数を割り出し、その情報を元に機上で再プログラムが可能なデジタル無線周波数メモリ(DRFM)やデジタル周波数技術ジェネレーターを同時に駆使して広範囲に自機の位置や速度を偽装した誤信号を発信して機体を敵の攻撃から保護するメカニズムを採用しているため「デジタルステルス」とも呼ばれているのだが、アナログ式の電子戦ポッド「ALQ-184」は予め設定された無線周波数に対してのみ有効なので変調タイプのレーダーや電子妨害に対応できない。
要するにステルス性能が欠けた第4.5世代戦闘機にとって電子妨害装置は戦場で生き残るための命綱に等しいのに既存機からアップグレードしたF-16Vには最新のデジタル電子妨害装置が用意されていないという意味(AN/ALQ-254をポッド式に変更して量産体制が整うまで5年から10年ほどかかる見込み)だ。
詳しくは「台湾が米国の武器販売に不満、ボーイング救済を押し付けられた?」で触れているので興味がある方は読んでみて欲しい。

出典:Chang-Song Wang / CC BY-SA 2.5 F-CK-1
少々話が脱線したが立法院の議員は中国軍機へのスクランブル(緊急発進)費用の根拠について尋ねており、台湾空軍はF-16Vをスクランブルに使用すると1時間あたり15万台湾ドル(約58万円)、国産戦闘機F-CK-1は22万台湾ドル(約85万円)、対潜哨戒機P-3Cを飛ばした場合は20万台湾ドル(約76万円)の費用がかかると説明しており非常に興味深い数値だ。
よくF-35Aの運用コスト(CPFH)との比較に登場するF-16C/Dの1時間あたりの運用コストは7,000ドル台~9,000ドル台(76万円~98万円)と言われてるが、この数字は米空軍が保有するF-16C/Dの運用やサポートに掛かった全ての費用を「総飛行時間」で割った平均値なので米国以外の国にそのまま適用できるのか怪しいと思っていた。
要するに米空軍のF-16C/Dは運用コストの条件が異なる国内運用と国外運用のコストをまぜて計算しているので、コストのかかる国外運用を行っていないF-16運用国に7,000ドル台~9,000ドル台のCPFHは適応されるのか疑問に思っていたのだが、台湾空軍が運用するF-16Vの飛行コストは米空軍のCPFHよりも安価だという数字が出てきたので国防総省のCPFHを安易に自国の数値と比較しても意味がないのだろう。
勿論、ある程度の目安にはなるので全くの無価値ではないが米空軍のF-35Aの運用コスト(CPFH)が3万5,000ドル(約380万円)だからといっても空自のF-35Aも3万5,000ドルだとは限らないという話だ。
※アイキャッチ画像の出典:玄史生 / CC BY-SA 3.0 台湾空軍のF-16A/B
1時間当たり58万円って事はだいたい1分間に1万円札燃やしながら飛んでるような物か
これが高いのか安いのかよくわからんが、払わないともっと高くつく事になるから辛いなぁ
戦争は金があれば勝てるというものではないが、金がなければ絶対に勝てないからなぁ
F−16Vより経国の方がスクランブルに使用したらコストがかかるのは興味深い
アメリカの対中政策の都合で誕生した経国だけど費用対効果が余り良くない戦闘機かな
まあ経国は双発ですから
エンジン整備の手間が倍になる
視程外対空戦闘、格闘戦、SEAD、近接航空支援、インターセプト
全てこなせる機体にしては安いとおもう
空自はいくらなんだ、
少ないけどいちおう納税者としては関心ある
空自のスクランブルは年700回という話だから、2,972回の台湾に比べたら1/4?
まあスクランブル機材や運用コストの違いでそこまで安くはならんだろうけど
やっぱり単発機の方が基本安上がりなんですね>運用経費
うーん将来的にはF-3までのつなぎにF-15JSuperKaiじゃなくて
F-16Vのリースが最適解なのかな(費用対効果でいえば)
まぁアメリカがうんと言ってくれればですがw
F-2の改修に予算が割ければなぁ。改修よりもF-3開発が優先されそうだけど
曳行式デコイは導入されてるのか?
邀撃側(敵機を発見して上がる方)がデコイ使うの?
邀撃=防衛側、だからね。
自衛隊に限らず受け身に回る場合が多い。
先制攻撃できない分、初手の被害軽減手段は重要でしょ。
迎撃は仕事としてだが装備自体はされてるのかって話じゃね?
P3Cめっちゃ安いな
四発機で整備費用が嵩みそうなもんだけど
エンジンの信頼性が高いとか?
燃料代でしょ
時間当たりだからね。
距離当たり、や飛行回数当たり、にするとまた変わってくると思う。
哨戒するときはエンジン2発止めるから実質双発機みたいなものだし
ターボプロップの燃費の良さ、というよりも、ジェット戦闘機なんて油ばらまきながら飛んでるようなもんだろ
比較しないほうがいい
戦闘機はどうしても超音速飛行前提のエンジンと機体になるからね
普段使いの亜音速での効率は悪いし、アフターバーナーを吹かす超音速飛行ともなれば尚更
双発機でさらに倍率ドン!
無人機で邀撃出来るならいいよね。
先手の打てない自衛隊にとって、被害を抑えられる。
中国側が何で来ているかにも依るけど、台湾ってどんな無人機を持っているんだ?
主流の低速長時間滞空型の無人機だと、同様に自身以下の飛行能力の機体にしか要撃不可能だろうが
ふと思った経国はF-16が購入出来ないから開発した物だから経国の後継機は作らないのだろうか、練習機はいくつか作ってるけど
話は聞かないけど、第五第六世代の機体を売ってもらえないならば開発しなければまずいよね・・・
F35売ってもらえん以上中国軍の最新鋭機に対抗する何かは必須なんだけど可能なんかねえ
10年20年で差はますます広がるだろうし。台湾侵攻されても驚かんね
中国人民解放軍の健軍100周年が2027年でしたっけ?
「それまでに大きな成果を!」とか考えてると笑ってられないですね。
スクランブルというと定時以降はやらないとか土日休みっていう国がありましたっけ。
台湾からするとうらやましいだろうな。
おはスイス。
トロいちうごく機には無人機で対応するとしている所が興味深いね。具体的にどんな機種をあてるのだろうか?
日本の基準だと、比較的最高速度が遅い機体でもTu-95とかの爆撃機や哨戒機の類だから、戦闘機で要撃しないと間に合わないよね
距離の無い台湾海峡とかだと、ホビーユースに毛の生えたような無人機とかがよく来ているのだろうか? そういう機体がが相手で有れば、比較的低速の無人機でも間に合うのかもしれない
台湾国防部のツイッター発表だと、ほぼ毎日Y-8シリーズ(偵察機や対潜哨戒機など)が、台湾海峡の中間線を越えて侵入している。
んで、隔週間隔で戦闘機(J-16やJ-10など)が護衛に付いている。
Y-8の速度は約650kmだけど無人機では厳しいような…。
ならば、せめて亜音速練習機程度の飛行能力がないと厳しいのでは
プレデターとかリーパーの類いじゃ、追い付くことも出来ない
F16Vのイラストめちゃくちゃかっこいいですね。さすが中華系絵師
相変わらす管理人さんの切り込み口が面白い。装備品の運用コストって国防予算にひびくし、スクランブル急増で追加予算とか出すことできるんですかね。
財務省の報告によれば、Cー2のCPFHが約274万円で、Fー35はこれより安いとのことですので、米軍の380万円より安く、現在の低減目標値に近いようです。
やっぱり高いよなぁ
中露には燃料代請求したいわ
もし台湾がF−20を正式採用していたら経国は開発されず、イスラエル辺りがAESAレーダーに換装して対地精密攻撃能力を持たせる近代化改修を行ってF−16Vと併せて今より強力な航空戦力を保有していたかも知れない
イスラエルは中国側だからなかろうて
F-CK-1のエンジン世界中探してもこいつだけしか搭載してないし、アップグレードもしていない。燃料消費率もF110よりも悪いのにこれだけの費用になっているのってすごくないか。
でもこのスクランブル料に関してはCPFHとか小難しいものじゃなくて単純に燃料代だけがメインのような感じがしてならない。スクランブルで目に見えて消費する物だけ算出している気がする。スクランブルが増えてパーツ交換頻度やメンテ回数が増えた上での費用とかなのか詳細はは不明だよね?
日本も中国のせいでうんざりするほどスクランブルやらされてるのにさらにその数倍のスクランブルだって!?
気が遠くなるわ
そら一つの中国に従っている超大国が近くにありゃ結果は明白。どこの基地から来たかの割合出れば面白い結果になるだろうけど、訓練ついでにちょっかいかけられるほど距離が近いからしょうが無い。
中国ロシアのおかげで空自は精強さを保てる、やはり具体的な脅威が側にないと緊張感は保てない
スイスみたくだらけたら悲しいし
機体の損耗が早まるのは痛いけどな
スイスがだらけてる?御冗談をw
スクランブルだけで国防予算の7%くらい?使ってるのか…
潜水艦や戦闘機も買わないといけない中で大きな負担だな。解放軍が示威活動を少し増やすだけで台湾一国では予算的に崩壊してしまいそうだ…