PatriaはDSEI JAPANにNEMO砲塔を出展しており、陸自導入のAMVXP 8×8についても「日本での生産が9月に始まる」「日本国内でのサプライチェーン構築にも取り掛かる」「NEMO迫撃砲システムやAMVXPベースの特殊車輌を含む協力拡大も協議中」と明かした。
参考:Patria’s vehicle production will soon start in Japan
参考:Japan Steel Works to begin local production of Patria AMV in September
Patriaの言及は「ここに日本もAMVXPとNEMO砲塔の組み合わせで加わる可能性がある」と示唆しているため非常に興味深い
96式装輪装甲車の後継車輌として小松製作所が開発を進めていた装輪装甲車(改)は耐弾性能が要求要件を満たせず、開発期間を延長して問題の解決を図ったものの耐弾性、重量、量産コストに関する目標を満たせる見込みが立たなかったため計画を中止、仕切り直された次期装輪装甲車は三菱重工の機動装甲車、PatriaのAMVXP 8×8、GDLSのLAV6.0(入札期限内の納品が間に合わなかったため失格)で争われ、基本性能と経費で機動装甲車を上回る評価を獲得したAMVXPが後継車輌に選ばれた。
Patria’s vehicle production will soon start in Japan! 🛞🇯🇵
Patria’s partner Japan Steel Works is preparing to begin production of Patria AMV XP 8×8 vehicles in autumn. Stay tuned and read more about Patria’s technology transfer in Japan! 🤝
🔗 : https://t.co/rKFRjzBc08 pic.twitter.com/9S5XbyCyAE— Patria Group (@group_patria) May 21, 2025
AMVXPをライセンス生産する企業も日本製鋼所に決まり、フィンランドのハメーンリンナに派遣された日本製鋼所チームは研修中にAMVXPの組み立て技術を学び、今年9月に日本での生産が始まる予定だ。
Patriaも「最初の生産はフィンランドから輸入した部品とサブアセンブリを使用した組み立てから始まる」「パートナーの能力向上に伴い日本での生産を拡大していく」「日本製鋼所は車輌の組み立てに加え、日本国内のサプライチェーン構築にも取り掛かる予定だ」「我々のグローバルサプライチェーンにも製品を供給できる日本のサプライヤーを見つけることが目標だ」「日本製鋼所との間でNEMO迫撃砲システムやAMVXPベースの特殊車輌を含む協力拡大についても協議が行われた」「日本との協議では将来的に遠隔操作車輌としての役割も検討されている」と述べている。
120mm迫撃砲を車体後部に搭載した装甲車や高機動車は「手軽で安価な火力支援車両」として広く普及しているが、スウェーデンとポーランドは砲塔式の火力支援システムを採用した自走式迫撃砲を配備、スウェーデン陸軍は120mm迫撃砲を2門搭載したCV90Mjölnerを、ポーランド陸軍は自動装填装置が組み込まれたM120Rakを採用し、M120Rakはウクライナとロシアの戦いにも投入されている。
砲塔式の火力支援システムは120mm迫撃砲を車体後部に搭載する方式に比べ、停車から初弾発射、最後の射撃から撤収までの時間が短く、台湾もM120Rakに関心を示し、オランダ陸軍も歩兵大隊向けにCV90MkIIIをMjölnerに改造することを決定、米陸軍もNEMO砲塔を搭載したAMPVをテスト中で、このNEMO砲塔は高度に自動化された射撃管制システムによって「移動しながらの攻撃」に対応しているのが特徴だ。
ドイツもM113PzMrsの後継にPatria6×6とNEMO砲塔の組み合わせを、ハンガリー陸軍もLynxとNEMO砲塔の組み合わせを選択し、Patriaの言及は「ここに日本もAMVXPとNEMO砲塔の組み合わせで加わる可能性がある」と示唆しているため非常に興味深い。
因みにPatriaはDSEI JAPANにNEMO砲塔を出展しており、Breaking Defenseも22日「9月に日本でAMVXPの現地生産が開始される」「DSEI JAPANでPatriaの関係者は『日本での生産準備や生産開始時の技術サポートにも密接に関与する』と述べた」「日本製鋼所とNEMO砲塔やAMVXPベースの特殊車輌についても協議を行っている」と報じている。
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※アイキャッチ画像の出典:CC BY-SA 3.0/Jorchr
NEMOが採用されたら「やったぁ!」ですが、これから配備する24式機動迫撃砲とはどう使い分けるんだろう?と言う疑問が…あと24式より高そう
特殊車両はNBC偵察車の後継でしょうか、これでやっと50輌揃えられるのだろうか
元々パトリアと24式シリーズは別で調達する予定だったので問題ないと思いますね。24式は16式を流用しているので部品の使い勝手等で即応機動連隊にのみ配備するとされています。即応機動連隊は24式自走迫撃砲を使い普通科連隊はNEMOを使うって感じで棲み分けるかと。
24式とパトリアを併用しているのが問題。
一層、パトリアに16式の砲塔を載せたら良い。
「NEMO迫撃砲システムやAMVXPベースの特殊車輌を含む協力拡大も協議中」
NEMO迫撃砲システムには施条砲は使えるのかな?。
今の日本の重迫は施条砲だと思うのだけれど。
有事に後詰になる米軍は、陸軍は滑降砲、海兵は施条砲です。
最初に来るのは海兵と思います。
当然、承知の上で日本は施条砲を選んだと思うのだけど。
嘘か誠か某SNSでテストドライバーの方が24式(当時は共通装輪)酷評してましたね
ベストセラーの製品と試作段階の兵器を比べるのはフェアでは無いとは言われつつも、機材も技術者も本国から引っ張ってきて要望があればすぐ対応してくれるパトリアと、(噂を信じるなら)現場の事を全然聞いてくれない重工とじゃ、そりゃ現場は前者激推しするよなとは思う
24式が搭載する2R2Mはガワが無いだけで砲塔に勝るとも劣らない豪華絢爛なシステムなので一般のイメージほど価格差は開かないでしょう
若干の連射速度の差以外はNEMOが上位互換と言っていい
露出時間低減を徹底せねばならん現代の砲システムとして、MRSIが出来るかどうかは非常に大きい
砲塔型迫撃砲はメリットが多いのは事実ですが、デメリットも相応に有ります。
重量・コストは言うまでもなく、連射性能が低く連装型のNEMOですら手動装填の半分程度。
MRSIが可能と言っても、120mmRTなら最短3秒間隔で連射できるので15瑠ほどの効果はない。
射撃準備が早いのは明確な利点ですが、射撃後の離脱が早いわけではない。
直射も可能ですが、低初速なので短射程(多分1km前後)で精度もイマイチ、30mm前後の機関砲と違って対人性能は低く、対装甲性能は論外なのでお守り以上にはなりません。
また陸自の場合、手動装填の2R2Mなら、24式機動迫撃砲と弾薬・運用が共通になります。
2R2Mは既存120mmRTの車載向け派生型なので弾薬は完全互換、訓練もほぼ共通のはずなので車両損耗時の対応も余裕が出ます。
陸自向けという前提で見る限り、NEMOより2R2Mのほうが相性がいいのではないでしょうか。
コマツ撤退が分かりやすいですが、本業の売上高と比較すれば、防衛事業はボランティア規模でしたからね。
1990年代から、大手企業は選択と集中を進めていて、防衛事業から撤退する企業が相次ぎました。
下請け企業も、(無駄な設備投資をやめますから)部品生産などを取りやめていくわけで、再度調達・再生産は困難になります。
武器輸出三原則の建前は、美辞麗句として理念を崇める風潮はありましたが、平和ボケの結末として力の空白を生みかねないというのが何とも皮肉な話しだなと感じています。