アラブ首長国連邦は技術的要件や運用制限を理由にあげてF-35A導入協議の中断を通告、これに対して国防総省のカービー報道官は「エンドユーザーの運用制限に交渉の余地はない」と主張し注目を集めている。
参考:UAE Freezes F-35 Purchase Talks, Washington Says End-user Requirements Nonnegotiable
参考:Advantage ‘Checkmate’ as UAE Seen Walking Away from F-35 Deal
クリアしていたはずのイスラエルの質的軍事優位性を持ち出してきたバイデン政権
トランプ政権はイスラエルとの国交樹立に応じたアラブ首長国連邦(UAE)に見返りとしてF-35AやMQ-9の供給を約束、退任の1時間前に総額233.7億ドル(約2兆4,600億円)もの対外有償軍事援助をUAEと締結したにも関わらず中東政策の見直しを掲げて大統領選挙に勝利したバイデン氏は武器輸出プロセスを停止、バイデン政権はF-35A輸出プロセス再開の条件に「ファーウェイとの関係断絶」を提示して圧力をかけている。

出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Peter Thompson
これに対してUAEは14日、バイデン政権が変更したF-35A取得に関する技術的要件や米国による運用制限が費用対効果の分析結果に影響を与えたため「米国との協議を中断する」と米国に通知、米メディアはUAE側が挙げた米国による運用制限について「米国製戦闘機を導入する際に多くの国と争点になっているエンドユーザーが運用できる性能を厳しく制限する条件のことだ」と説明していた。
国防総省のカービー報道官はUAEが挙げた協議中断の理由について「我々は法的要件や自国の政策に基づき様々な要求をエンドユーザーに対して行うには日常的なことで、米国製装備品の保護やエンドユーザーに対する制限に交渉の余地はない」と主張、さらにブリンケン国務長官は訪問先のマレーシアで「何を差し置いても我々はイスラエルの質的軍事優位性(Qualitative Military Edge:QME)を保証しなければならない」と語り、この問題がトランプ政権時代にクリアしていたはずのQMEに先祖返りしていることが判明している。

出典:public domain
安全保障上の問題でイスラエルは周辺国より優れた軍事力を確保しておく必要があり、米国に「イスラエルが保有する装備品より優れた兵器を中東諸国に売らないでほしい」と働きかけてきた結果、米国はイスラエルの「質的軍事優位性(Qualitative Military Edge:QME)」を公の場で何度も約束してきた。
このような経緯を十分理解していたトランプ大統領は事前にイスラエルを説得、この努力が実り2020年10月にイスラエルは「UAEが要求する特定の兵器システム(F-35Aのこと)販売に反対しない」と公に声明を発表していたが、バイデン政権は「イエメン内戦への関与」を理由に武器輸出プロセスを停止→プロセス再開の条件に「ファーウェイとの関係断絶」を要求→その中には「イスラエルの質的軍事優位性を保証する何かしらの運用制限が含まれていた」と解釈することができ、UAE側からすれば「話が違う」と言いたいのかもしれない。
参考:Israel will not oppose U.S. sale of F-35 to UAE
まぁF-35Aを販売するかどうかを決めるのは米国の権利であり政治的指導者が変わると方針も大きく変更されるのはよくある話だが、UAEにもF-35Aを取得しない代わりにロシア製戦闘機(チェックメイトやSu-35など)を調達するという選択の権利があるので、これに対ロシア制裁(敵対者に対する制裁措置法/CAATSA)を発動すれば完全に米国は信頼を失うことになる。
果たしてバイデン政権はイスラエルが容認した争点を蒸し返して何がしたいのだろうか?
関連記事:運用制限にうんざり? アラブ首長国連邦がF-35A取得に向けた協議中断を米国側に通告
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by J.M. Eddins Jr.
>何がしたいのだろうか
トランプの全否定でしょう
クアッドですら、トランプの遺産だってことでバイデンは否定しようとしてたところを、日本の説得でどうにかもとの席に戻したって経緯があるし
バイデンはトランプ以上にイデオロギーが先行しすぎてるきらいがある
トランプ氏は逆にイデオロギー(政治思想)が無さ過ぎただけでは。
良くも悪くも目先の損得勘定で物事を決める大統領でしたし。
トランプより酷い政権なんて無いと思ってたけど、下には下がいるもんだなぁ
交易戦争で対中姿勢強めたけど、あくまで交易戦争であって中国と交易分野で折り合いが付けば手のひら返しの太平洋東西2分割やったと思うで>トランプ
結局、中国が折れなかったから対決状態のままバイデンにバトンタッチしたけど、それ(交易戦争)をイデオロギーの争いに転出させたのはバイデンの功績と言える
トランプ時代にファーウェイ排除決定したこと、覚えてる?
中共のサイレントインベージョンに対するカウンターの一環として、ファーウェイ排除に動いた。
トランプのやり方は強引であったが、国内のパンダハガーを排除するには、その強引さは必要だったよ。
トランプ個人とトランプ政権を分けて見れてないように感じる。
トランプ政権は、一貫して対中対決姿勢だった。ウイグル族への中共のジェノサイドも認定している。
中国との争いを、イデオロギーの争いに発展させたのは、トランプ政権の功績。
バイデン政権は、それを継承してるだけ。
*一つ上のツリーの交易戦争云々を書いた人
ファーウェイ排除にしろウイグル族へのジェノサイド認定にしろ、トランプ個人と政権の違いにしろ、そんなのは中国を責めるための口実にすぎない。中国との交易さえ上手くまとまれば全部ひっくり返すだけの危険性はかなり高かったよ、あの人は
それにトランプが強いアメリカ軍を目指したのは事実だけど、それはモンロー主義とも表裏一体で既存同盟関係を壊しまくってたのも事実だで中国が折れなかったことで救われてる面は相当ある
トランプ、言うてもそこまで酷いとは思わんが。
結局、アメリカは景気と職が戻った訳だし。
コロナ対策を誤った点が痛かった。
オバマとバイデンがイデオロギーで国際関係空転させて国益損ねてるのよりはましだと思うけどね
この問題の背景についてずっと考え続けていたんだが、バイデン政権がこの件で頑なな態度を取り続けているのは対中国シフトの影響だけで無く「脱石油」政策が裏にあるのかも知れない。
現在米欧で進んでいるEV車シフトに代表される様な脱石油政策が実現の方向に向かえば、特に中東の産油国に対して米国がトランプ政権の頃の様に配慮する必要性が無くなるので、バイデンは既に政治の分野で「産油国離れ」を実行しているのかも知れない。
只、そうなると一つ気になる事が有る。
中東の産油国から日本へ向かう石油ルートはインド洋を通るのだが、もしもバイデン政権が中東産油国への配慮を止めるのならインド洋やインドへの関心もその分低下するのでは無いか?
インドに対するバイデン政権の態度次第では、日米豪印等によるクアッド同盟やAUKUSに悪影響が出るのでは無いだろうか?
>特に中東の産油国に対して米国がトランプ政権の頃の様に配慮する必要性が無くなるので、バイデンは既に政治の分野で「産油国離れ」を実行しているのかも知れない。
アメリカは中東で核ドミノが起こることを容認できないから、政治の分野で産油国離れは起こらないでしょうよ。
下の方でも書かれているんだが、このまま行くとUAEがイランと仲が良い中露寄りになって行く点についてはどう思う?
これ、下手をしたらホルムズ海峡を挟んでイランと隣り合っているUAEが反米化する=イランと組んでホルムズ海峡封鎖と言う政治的オプションを行使した場合の効果が大きくなると言う問題が有るのよ?
中東の問題は核ドミノだけじゃないのよ。
イランとUAEは宗派対立という闇の深い問題を抱えてるので組むことはない。
UAEが憎きイスラエルと握手したのも、それ以上に悪いイランを○すため。
まあ、ホルムズ海峡で中露製の兵器がぶつかり合って結果的に海峡封鎖という事態にはなりかねないけど。
UAEとイランが手を組んだとして、その場合サウジやイスラエルは
どう動くのか全部読みきれるのかしら?そもそもそのオプションは
使えるの?
>イランと隣り合っているUAEが反米化する=イランと組んでホルムズ海峡封鎖と言う政治的オプションを行使した場合の効果が大きくなると言う問題が有るのよ?
ホルムズ海峡封鎖した場合に、イランとUAEにどんなメリットがあるんですか?
もしそれを実行した場合、西側諸国だけでなく、中国含め世界中を敵に回す恐れがあると思いますが。
追記
まず、イスラム圏の宗派対立を頭に入れないと、何も見えてこないと思いますよ。
もし、イランがホルムズ海峡封鎖するなら、組む相手はカタールやイエメンになると思う。
バイデンはアメリカ本土の以外の安全保障に全く興味がない気がする。オーガスにしてもクアッド全否定するためにたまたまやっただけだと思う
クアッドの定期会合に1番積極的だったのは、バイデンだったのでは?
退任間近の菅首相を呼び止めてやったんだから。
むしろ、菅前首相や岸田現首相のほうが、クアッドに興味ないでしょ。
正直、現在の国際情勢において、バイデンでは非力なのは否めないよ。スピード感がまるでない。
でも、中継ぎみたいなもんだと思うから、あまり期待もしないけどね。
バイデンは最初、特にFOIPにめちゃくちゃ否定的だったぞ
トランプの功績だってことで。
それを日本が必死に説得して今がある
そりゃ、米民主党の根っこは親中・反日なんだから、仕方ないでしょ。
むしろ、岸田政権のほうがよっぽどヤバそうだけど。
ちがうぞ
民主党は党是故に国論を二分するような政策、主張が多いから、対外的に敵を作ることでの政権維持に走りやすい
あと、国論を二分するが故に内政にかまけやすいから、外交は楽観的な思考になりやすい
親中とか反日とかじゃないんだよ
楽観的だし、敵をつくりやすいだけ
なにが違うのかよくわからんな。
少なくとも、近現代の米民主党の反日は違わないだろ。
パンダハガーも多い民主党政権が増えている段階で日本は付き合いを見直すべきだったねクリントンの時代には
なんでわからないのよ
80年代の反日的だったのは米国に敵が必要だった
反日だったのはここまで
90年代はソ連崩壊によってユーラシアからの急速な社会主義勢力減退に乗じて中国に肩入れを強め、ユーラシアを一気に自由主義化しようという画策があったから
90年代は、近隣国に注力したが故に相対的に反日に見えるだけで、決して反日じゃないだろ
ただただ、日本よりも他の国を優先してただけ
君は明らかに見誤ってるぞ
脱線しすぎてるから止めよう。
そうかなあ。あのクリントンが反日というわけでは無かったと言われても信じがたいな。
クリントンは反日なんじゃなくて親中だっただけ
反日は結果であって、目的でも動機でもない
親中した結果、相対として反日のようになったにすぎない
インドは思うほど積極的ではない
積極的ではない、というより
積極的な派閥と積極的ではない派閥がはっきり分かれて二分してる感じだね
インドの立場的に西側に傾倒しきれないからこそ、大きく派閥がわかれてしまう
インドと他クアッドの面々とは「中国が嫌い」という価値観は共有してるけど「中国を太平洋を出さない」っていう価値観は共有してないのが大きい
どちらかというとシェールオイルを掘りまくってたトランプ政権時代のほうが中東へ配慮せず自由にやってた。
(イスラエルを守るために異様に関与はしてたけど)
バイデン政権になってから脱炭素で米国内の石油採掘に規制を強化してて、
国内の石油採掘量は減少してる、ので中期的には中東への依存が高まってる。
#長期的にはともかく、グリーンニューディールを実現するのに短期的には大量の石油が必要なので今はまだ時期が悪い
・・・と国際報道でやってた。
まあ今の状況は、単に米民主党の人権や多様性というイデオロギー的な問題が根本にあるんじゃないかね。
バイデン大統領がうまいこと党をコントロールできればいいけど、今の米民主は過激になりすぎたのてコントロールしきれてないのかもね。
表向きの眼目がなんであれ、本質はファーウェイを排除するかどうか
アメリカの先端兵器を輸出する先がファーウェイに汚染されてるかにくらべたら
中東の国の信頼を失うかどうかなんて些細な話
信頼を守って負けました、なんて本末転倒は間抜けなだけだもの
というか、そもそも中東に信用されてないだろうし
アメリカにしたって相手が西側先進国でもなければ殊更信用されようとも思ってないだろうさ
国際情勢くらいちっとは調べて書き込んだらどうかね
アメリカはこれでUAEがロシア製兵器の大規模導入に踏み切ったらどうするんだろう?
どうもこうも今のアメリカの外交力じゃ早かれ遅かれそうなるっしょ
UAEどころか中東全体で中露の影響力が拡大しかねん
バイデン大統領は「民主主義」を最重要に考えているみたいなので、中東におけるアメリカの影響力は低下しそうですね。
民主主義サミットに招待された中東の国はイラクとイスラエルだけでしたし。
「民主主義国家」も曖昧だし国務省にツテあるか否かで決められてたんじゃないのあの茶番サミット
せめて「自由主義」でくくればよかったのにね
「民主主義」を旗頭にしては、なかなかまとまり難い
民主主義国家ってそんなに多いわけじゃないし、
民主主義じゃなくても、自由主義な国はたくさんあるわけで
もう、BMP-3を本国より大量に買っているよ。
武器市場のシェアというミクロな視点でみたらわけがわからないが、
アメリカの国防、国益という視点でみたらこれで正解なんだろうと思う
知らんけど
これ安全保障の視点での話だよ?
わざわざ潜在的な東側陣営を作り出すのが米国の利益になるとは思えないけどなぁ
バイデンは中東情勢はトランプ全否定する事しか考えてないと思うよ。アフガニスタン以外でも拠点失陥がありそうだ今後も
昔のように圧倒的な米国兵器群では無くなってきてるのに今まで通りの高圧的な交渉は出来なくなるだろう
中露の兵器、ドンドン高性能になって来てるぜ?
東側はダメでも西側に良い兵器が続々と登場しているしね。
韓国がK9しかりフリゲートしかり、ジェネリック西側兵器的なポジションを確立したのが、その象徴だな。
しかも直近ではトルコがUAVを皮切りに参戦してるし、イギリスやらフランスやらドイツが気前よく技術移転するから、これからどんどんジェネリック西側兵器のラインナップは増えるでしょう。
いずれ欧米製の兵器を凌駕する物が生まれてくるのではないのでしょうか。
UAEとイスラエルはアメリカ(旧トランプ政権)との約束を守って、
首脳会談までして友好関係の構築に動いてるのに(イランという共通の敵もいるのがプラスに働いてる面もあるがけど)、
バイデンおじいちゃんが梯子外しに行ってて笑えない
トランプの反対で賛成なのだ
大統領がバカ○ンのパパですかw
・・・うん、マジで笑えない
等のイスラエルは数日前にUAEを首相が訪問して、ムハンマド皇太子が空港まで直接出迎えるという終始ニッコニコで熱い握手してましたけどね。
与太話ですけど、ベネット首相は諜報畑出身、ムハンマド皇太子は空軍畑出身で個人レベルではソリも合いそうですしね。
20年前だったらアラブ陣営の本丸のサウジとUAEと、イスラエルが握手するなんて想像つきませんでしたが、アメリカの中東における影響力低下を見越して、強かに駒を進めるイスラエルムーブというか、なんというか。
反イランでまとめかかってた所を散らかしちゃってまぁ…
バイデンの頭の中ではF-15>F-35になっていそう。