北米/南米関連

アルゼンチンがデンマークから中古F-16AMを24機取得、契約額は3億ドル

アルゼンチン国防省は16日「デンマークからF-16を24機購入する契約を締結した」と発表、アルゼンチン政府の報道官も「契約額は3億ドルで市場の(戦闘機)調達コストを下回る」と述べ、中古F-16AMの調達単価は1,250万ドル=約19億円になる。

参考:Argentina seals $300 million deal for 24 F-16 jets from Denmark
参考:Argentina makes its largest military aircraft acquisition in decades: F-16 fighter jets from Denmark

ルーマニアがノルウェーから取得した中古F-16AMと同レベルの金額か

バイデン政権はアルゼンチンへの中国接近(JF-17)を阻止するため米国、英国、デンマークが関与する代替案=F-16AM売却を提示、これをミレイ大統領が受け入れたため3月末「F-16売却に関する意向表明書に署名した」と発表していたが、アルゼンチン国防省は16日「デンマークからF-16を購入する契約を締結した」と、ルイス・ペトリ国防相も「1983年以降最も重要な軍用機を取得した。これは近代化され、最高のテクノロジーを搭載した24機のF-16だ」と明かした。

スペインのInfodefensaは契約の詳細について3月「F-16AM×24機の契約は3億3,800万ドル」「搭載兵器の契約は3億1,200万ドル」「2つの契約を合わせると総額6億5,000万ドルの契約になる」と報じたことがあり、アルゼンチン政府の報道官も「契約額は3億ドルで市場の(戦闘機)調達コストを下回る」と述べたが、これが「機体取得の契約」なのか「機体取得と兵器取得を合わせた契約」を指しているのかは不明だ。

仮に3億ドルが機体取得の契約なら調達単価は1機1,250万ドルで、ルーマニアがノルウェーから取得した中古F-16AMと同じレベルの金額(2021年に4億5,400万ユーロで32機取得)だが、今回の取引には米国の援助も入るためアルゼンチンの負担を正確に計算するのは難しい。

追記:Defense Newsは「3.2億ドル相当の契約には兵器システム(数量不明)も含まれる」と報じているため、機体単価は1,250万ドルよりも安価になる。

関連記事:中国の影響力拡大を阻止、アルゼンチンはJF-17からF-16に乗り換え
関連記事:ルーマニアがノルウェーから中古F-16を取得、導入コストは1機約18億円
関連記事:デンマーク保有のF-16AM、ウクライナ提供分以外はアルゼンチンに売却
関連記事:対中国対策、米議会がデンマークからアルゼンチンへのF-16売却を承認
関連記事:アルゼンチン、フォークランド諸島の領有権を外交交渉で回復したいと表明
関連記事:中古F-16を巡る争奪戦、ウクライナはアルゼンチンに譲ってくれと訴える
関連記事:ウクライナへのF-16納入開始は夏、オランダ分よりもデンマーク分が先着
関連記事:アルゼンチンの次期戦闘機調達が急展開、大統領が計画の中止・凍結を示唆
関連記事:ほくそ笑む中国、競合が脱落していくアルゼンチン空軍の次期戦闘機導入
関連記事:アルゼンチンがJF-17調達、中国は米国の裏庭に武器供給国として足場を確保か
関連記事:目先の利益は優先事項でない? 中国がアルゼンチンの軍事力強化を後押しする理由
関連記事:韓国と同じ運命? アルゼンチンへの中国製戦闘機「JF-17」輸出を英国が阻止か
関連記事:JF-17対MiG-35、中国とロシアがアルゼンチンの戦闘機需要を巡って激突か

 

※アイキャッチ画像の出典:Argentina.gob.ar

米陸軍の長距離攻撃能力、タイフォン・システムをフィリピンに一時配備前のページ

アウディーイウカ方面の戦い、ロシア軍がオケレタインに到達した可能性次のページ

関連記事

  1. 北米/南米関連

    ブラジルが空母「サン・パウロ」を約2億円で売りに出す、勿論スクラップとして

    ブラジル国防省は11日、空母「サン・パウロ」を最低入札価格127万ドル…

  2. 北米/南米関連

    豪DefendTex、AstrosIIで有名なブラジルのAvibras買収に向けて動く

    オーストラリアのDefendTexは2日「Avibras買収に向けた協…

  3. 北米/南米関連

    アルゼンチンはF-16をデンマークから取得か、 バイデン政権が売却を通知

    アルゼンチンのLa Nación紙は先月末「バイデン政権が議会にアルゼ…

  4. 北米/南米関連

    ボンバルディア、Global 6500ベースのカナダ海軍向け海上哨戒機を発表

    ボンバルディアはカナダ空軍の次期哨戒機(CMMAプログラム)に向けに「…

  5. 北米/南米関連

    カナダ、NORAD近代化に今後20年間で4.2兆円以上を投資する

    カナダのアナンド国防相は20日、NORAD(北米航空宇宙防衛司令部)を…

コメント

    • POW
    • 2024年 4月 17日

    約30年落ちの機体がまだまだ使えるんだよね機体疲労とか問題が無いのでしょうね
    米軍が実戦使用したA型で湾岸やコソボで地上攻撃に使用した機体は、結構機体疲労が増してC型の開発に繋がりましたがウクライナ向けの機体は使用方法次第では機体寿命が短くなるのかもしれません

    1
      • kitty
      • 2024年 4月 17日

      それは前オーナーの素性によるのではないでしょうか。
      米軍のお古とデンマークのお古では「走行距離」もそれこそ1桁違いかねないです。

      13
      • nachteule
      • 2024年 4月 18日

       機数敵に初期導入機体がないと達成出来ないのでどう考えても40年落ちが大半でしょ。いつ納入されるかはあるが元々、27年まで使うつもりの機体だし性能の極端なアップデートするつもりがなく現状維持なら一番お金がかかる状況は脱している。

       別に機体構造寿命延長が出来ない訳でもないし、それに掛かるお金はシステム一新よりは遙かに安い。アルゼンチンの使用頻度がそれ程高い訳でもなさそうな気はするし、それを踏まえると寿命に関しては現状問題な粋はする。

    • 名無し
    • 2024年 4月 17日

    ミレイは軍事費増やすと言ってるからその一貫なんだろうけど、どこに使うつもりなんだ?
    南米で戦争なんてアルゼンチンがフォークランドに攻め込んだくらいだろ、あとは全部内戦
    ベネズエラとガイアナもありそうだがアルゼンチンには関係ないし
    ブラジルが攻め込みはせんだろ

    8
      • Easy
      • 2024年 4月 17日

      アルゼンチンは日本と似てて。
      経済がダメ>外敵をでっち上げて煽って兵器購入>支持率が爆上がり>経済がさらにダメに
      この無限ループを繰り返してますので、まあいつもの政権浮揚ムーヴですよ。

      5
        • 名無し
        • 2024年 4月 17日

        どこら辺が似てるんです?

        47
          • れむ
          • 2024年 4月 17日

          似てないですね。
          「外敵をでっち上げて」というのを日本に当てはめようとしているのか、陰謀論に近いものを感じます。
          物事を俯瞰して見ているつもりなのかな。

          13
        • 匿名戦士
        • 2024年 4月 17日

        うーん、日本と似てるかな?
        政権浮揚の為に外敵をでっち上げて煽るってのは、日本政府が多用してるイメージはないんですが。。。

        12
          • kitty
          • 2024年 4月 17日

          一部の経済学者が「日本はアルゼンチン化する!」と言うくらい似てますよ。
          アルゼンチンは世界で唯一、先進国から脱落した国なんだそうで。

          3
            • 名無し
            • 2024年 4月 17日

            そんな戯言でドヤ顔されてもねぇ

            20
            • ルイ16世
            • 2024年 4月 17日

            全く似ていないというかアルゼンチンはそもそも先進国であった事は無いんです。
            アルゼンチンの国力は確かに高かった時期もありましたが、それは肥沃な大地により食糧が沢山作れたからであり、土地の力でお金を稼げただけでアルゼンチンの政治制度が洗練されていたからでは無いのです。
            産油国がお金持ちの大国でも先進国で無いのと同じです。
            なので食糧価格が下がれば没落し、上がれば息を吹き返す食糧版産油国というべき国で同じカテゴリーはサウジアラビアあたりです。
            アルゼンチンでは三権分立は軍政でも民主政でも機能しておらず、技術革新は既得権益層によって潰されます。
            少なくてもアルゼンチンにトヨタや任天堂は生まれる可能性はありますが育ちません。
            クズネッツは国家を先進国、発展途上国、アルゼンチン、日本に分類しましたが、今も生きて研究していれば三権分立まで行けた国、中央集権まで行けた国、どれも出来なかった国に分類し直すでしょう

            10
          • てれす
          • 2024年 4月 17日

          9回財政破綻して技術もないけど、国土が広大で食料自給率だけは高いから今まで存続してるという、日本とは真逆ですよね…

          14
        • 牛丼チーズ
        • 2024年 4月 18日

        全く似てないですね。特に外敵をでっち上げて~というところ。
        これが単なる古すぎて限界が来ている装備の更新だということもわかっていないらしい。

        5
      • 例のアレ
      • 2024年 4月 17日

      フォークランド紛争以降反軍感情が強すぎてまともに軍を整備できなかったらしいからね
      それに加えて、西側の兵器を導入することで西側諸国との融和ムードを作り出したいんでしょ
      以前まではフォークランドの領有権を主張しつつ中国製兵器を導入しようとして西側に警戒されてたからね
      一応、ミレイ政権でもフォークランドの主張は変わってなかったはずだけど

      9
      • とくめい
      • 2024年 4月 17日

      歴史を振り返ると、前世紀初頭の頃に南米でも建艦競争してたし、余力があれば軍事力の増強くらいするかも。

      前世紀のは早々に打ち止めして、しかも日露戦争直前だったので、
      あぶれた艦が、日本の春日型装甲巡洋艦や英国のスウィフトシュア級戦艦と化したけど。

      1
      • 牛丼チーズ
      • 2024年 4月 18日

      どこに使うというか、流石に古すぎる状態の装備の更新ですよ。
      とりあえず戦争がないからといって軍を解体するわけにもいかないですし。

      1
    • k.ziro
    • 2024年 4月 17日

    ウクライナに供与されるのを阻止したんじゃないんですかねえ?

      • TKT
      • 2024年 4月 17日

      バイデン政権としては、もはやウクライナへの戦闘機供与よりもアルゼンチン、対・中国の政策、対策を重視するということでしょうか?

      もっとも飛行場に対するロシア軍の攻撃が続く現状では、ウクライナ軍にF-16を供与しても、ロシア軍による飛行場への攻撃ですぐに破壊される、という意見もあります。

      もっともウクライナ政府自体にはF-16を買う金はないでしょうから、アメリカ政府が金を出さないといえばそこで終わりです。イギリスやデンマークもそれに追従すれば後はどうにもなりません。

      9
      •  さ
      • 2024年 4月 17日

      ウクライナにF-16が幾らか増えた所で、大きく情勢が動くわけでもないから優先度は低く、大して意味はない感じ
      戦局がひっくり返るわけでもなく、だからといって虎の子扱いなら、前面に押し出して活発に動かせるわけでなく

      逆に対中国なら大いに意味がある
      中国からの輸入を阻止する事は、アメリカの裏庭である南米の安定に寄与するし、
      中国の生産力増強の足を引っ張れるのだから大いに意味があるだろうなぁと

      5
    • モック
    • 2024年 4月 17日

    ま、数百億円レベルですから。

    ジェット戦闘機は軍事力の一つの象徴。
    南米主要国家の軍事と中国とを暫く接近させない、と考えればアメリカにとっては全額を補助したとしても微々たるコストでしょう。このF16がいつまで戦力になるかは分からないが。

    2
      •  さ
      • 2024年 4月 17日

      アメリカからしたら、戦力にならない方が良いくらいまである

      1
    • Natto
    • 2024年 4月 17日

    アルゼンチンは24機だけで防衛がまかなえるのかな?
    スカイホークやエタンダールは流石に寿命でミラージュ、ダガーはとっくに退役してるから、貴重な兵力。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
  2. 軍事的雑学

    サプライズ過ぎた? 仏戦闘機ラファールが民間人を空中に射出した事故の真相
  3. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  4. 米国関連

    米海軍の2023年調達コスト、MQ-25Aは1.7億ドル、アーレイ・バーク級は1…
  5. 欧州関連

    BAYKAR、TB2に搭載可能なジェットエンジン駆動の徘徊型弾薬を発表
PAGE TOP