スーダンの首都から約30km離れたワディ・セイドナ空軍基地にフランス、ドイツ、スペインの輸送機が到着、スーダン軍と準軍事組織の武力衝突に巻き込まれた市民の国外退避が始まっており、特殊部隊の投入が使用する空港を分けているのかもしれない。
参考:تطورات السودان.. الآلاف يحاولون الفرار من الخرطوم وطائرات عسكرية غربية تجلي رعايا ودبلوماسيين
参考:Latest status on foreign states’ Sudan evacuation efforts
ジブチに派遣された自衛隊は外務省と連絡を取りながら在留邦人の国外退避の計画を進めている
英国、フランス、ドイツ、スペインは「特殊部隊」と「輸送機」をスーダンのワディ・セイドナ空軍基地(首都から約30kmの場所)に派遣して自国民の国外退避を始めており、英国とスペインは政府職員の国外退避を完了、イタリアも23日夜に自国民をスーダンから連れ出すと発表した。
現時点の各国の退避状況は以下の通りだ。
米国 |
特殊部隊、3機のMH-47、その他の航空機を投入して政府職員や家族の国外退避(約70人)を完了、米軍による自国民(推定1.6万人)の国外退避は予定されていないが、自力でスーダンから脱出するためのサポートを行う予定 |
カナダ |
政府職員や家族を国外退避させる予定、自国民の国外退避については言及なし |
英国 |
特殊部隊、C-130J、A400Mを投入して政府職員や家族の国外退避(約30人)を完了、スーダンに残る自国民の保護について何らかの手段を講じる予定 |
フランス |
約100人の自国民を載せた輸送機がワディ・セイドナ空軍基からジブチに向けて離陸、2機目の離陸も準備中で24日も輸送機の運行を行う予定 |
ドイツ |
ワディ・セイドナ空軍基にA400Mが到着、約200人の自国民や他国民を国外に避難させる予定 |
イタリア |
23日夜に約140人の自国民、約60人の外国人(スイス、バチカン市国、欧州諸国の国民)を国外に連れ出す予定 |
スペイン |
特殊部隊、空挺部隊、3機のA400M、A-330を投入して政府職員や家族の国外退避(約100人)を完了、投入したA400Mはワディ・セイドナ空軍基からジブチに到着 |
オランダ |
約150人の自国民を国外退避させる予定で、一部の国民がフランス機に搭乗予定 |
スウェーデン |
自国民を国外退避させる予定、議会は最大400人の兵士をスーダンに派遣することに同意 |
ノルウェー |
自国民を国外退避させる予定 |
アイルランド |
自国民(150人以上)を国外退避させる予定、軍を派遣中 |
ギリシャ |
自国民を国外退避させるため輸送機をエジプトに派遣 |
トルコ |
第三国を経由する陸路で自国民の国外退避を行うと発表 |
サウジアラビア |
22日に帰国を希望する91人の自国民、66人のクウェート人、カタール人、国際機関の関係者をポート・スーダンから海軍の艦艇でジェッダに移送 |
ヨルダン |
約260人の自国民を国外退避するため軍用機を4機派遣、ポート・スーダン空港から343人(パレスチナ人、イラク人、シリア人、ドイツ人を含む)を国外退避させる予定 |
レバノン |
約500人の自国民をスーダンから連れ出すため動いており、現地大使館はポート・スーダン経由で60人の自国民をレバノンに退避させたと発表 |
エジプト |
ポート・スーダンやワジ・ハルファ(エジプト国境に近いスダーンの都市)を活用して自国民(約1万人)の国外退避を開始したと発表、23日時点で436人の退避が完了 |
チェニジア |
24日にハルツームから自国民の退避を開始すると発表 |
ガーナ |
自国民を国外退避させる予定 |
ナイジェリア |
自国民を国外退避させる予定 |
ケニア |
自国民を国外退避させる予定 |
ロシア |
スーダンに滞在する約300人の自国民の内140人が国外退避を希望しているが、まだ実行に移せていない |
インド |
自国民の国外退避に備えて海軍の艦艇をポート・スーダンに派遣、2機の軍用機をジェッダに派遣 |
中国 |
自国民(約1,500人)の国外退避を検討中 |
日本 |
自国民の国外退避に備えて3機の輸送機をジブチに派遣 |
韓国 |
自国民の国外退避に備えて輸送機をジブチに派遣 |
オーストラリア |
スーダンに大使館がないものの自国民の国外退避を行う予定 |
特殊部隊を投入できる国はワディ・セイドナ空軍基地を利用し、それ以外の国は陸路でポート・スーダンを目指すのかもしれない。因みにNHKは「外務省と連絡を取りながらジブチに派遣された自衛隊が在留邦人の国外退避の計画を進めている」と報じており、まだ自衛隊機はスーダンに入れていない=国外退避の調整がついていない模様だ。
追記:米国がアフガニスタン撤退の二の舞いを避けるため、米軍による自国民や同盟国の市民の国外退避を行わない方針で、自国民がスーダンから脱出するための情報提供や、同盟国の国外退避作戦に対する協力は行うらしい。
つまり米軍頼みは通用しない=自国民のことは自国でという意味だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Bundeswehr/Jane Schmidt
>米軍による自国民(推定1.6万人)
他国と比べると数字の圧力たるや…アフガンの時も問題だったけど
今回は自力でどうにかしろってこれも問題になりそうな
近い規模のエジプトと対応がわかれるんかな?
アメリカだけじゃなくてヨーロッパも特殊部隊などを使たスピーディな対応をしている一方、日本だけでなく中国や韓国、オーストラリアが遅いのは何か意外。まだ公表してないだけかも知れないけど、中国はアフリカに海軍基地持ってるし、オーストラリアも国外派遣は積極的なイメージだけど・・・。経験の差かな。
韓国は輸送機に対テロ部隊乗っけて行ってます
単純に距離の差が原因だと思います。
アメリカは例外として…ヨーロッパ諸国はスーダンから遠くても4000~5000km以内ですが、日韓中豪は8000~11000kmと倍近くの距離があります。軍用機を中継するための交渉に時間がかかるのでしょう。中国はアフリカに海軍基地がありますが、現地に使える部隊があるとは限りませんしね。
自国民の安全が第一ですが。
G7での答え合わせも心配です。
考えすぎでなければ良いけど。。
自衛隊も噂によるとブッシュマスター君を持ち込んでるらしい(航路的に辻褄が合うらしい)から
今から基地に行っても間に合うんじゃないかな
C-130で先遣隊など自衛隊部隊を運び、C-2でブッシュマスターなど車両や機材を空輸、KC-767に邦人を載せて国外待避させるという見方があるようです。
個別的自衛権の発動要件も複雑ですし、発動すること自体も避けなければいけない以上は(仮に人員と機材を送っても)列国と同じように立ち回るのは難しかもしれませんね。まだ避難は完了していませんが、停戦期限中になんとか退避が完了してくれるといいですね。
今回の一連のオペレーションからも色んな教訓が出てくるんでしょうけど、国際協働をアテにした結果輸送機一機おくる事無く邦人が孤立させられてしまったイラン革命の頃に比べれば格段にマシな対応だと思います。このまま1人の死傷者も出さずに終わってくれるといいのですけどね。