欧州関連

英軍によるスーダンから脱出劇、精鋭部隊を投入して救出者と共に市内を突っ切る

英軍の精鋭部隊は米軍と共に22日深夜に首都ハルツームに到着、ここから単独で英国大使館に向かい約30人の救出者と合流、市内を突っ切りC-130とA400Mが待つワディ・セイドナ空軍基地に移動してスーダンからの脱出に成功したらしい。

参考:Sudan: How elite team of British troops evacuated UK diplomats from warzone capital

英軍が実施した救助作戦は非常に大胆で、ハルツームから約30km離れたワディ・セイドナ空軍基地にC-130とA400Mを派遣

英国のスナク首相は23日「英軍が外交官やその家族をスーダンから国外退避させる複雑な作戦(大使館の位置がスーダン軍と準軍事組織=RSFの交戦地域近い)を完了させた」と明かし、ウォレス国防相も「この作戦に第16空中強襲旅団戦闘団、海兵隊、空軍が参加した」と述べていたため「首都ハルツームに航空機を直接飛ばした可能性が高い」と管理人は予想していたが、実際の作戦は予想を上回る複雑なものだった。

出典:GoogleMap ハルツーム市内の状況/管理人加工(クリックで拡大可能)

英軍の精鋭部隊は22日深夜、米軍が実施した救助作戦の航空機に便乗して首都ハルツームに到着、ここで米軍と別れて英国大使館に向かい23日の脱出に向けて集合していた約30人(大使館の職員や家族、救出を依頼されていた他国の関係者など)と合流、同時に精鋭部隊は現地の状況評価を行い「外部からの追加支援なしに大使館からの脱出が可能か」を検討、この頃にはキプロスで準備していたC-130とA400Mがスーダンに向けて離陸(米英仏の3ヶ国はハルツーム近郊に航空機を飛ばす許可をスーダン軍から得ているらしい)。

2機の輸送機はハルツームから北西に約30km離れたワディ・セイドナ空軍基地に無事到着したが、精鋭部隊は約30人の救出者を連れてピックアップ地点に向う必要があり、もし市内を突っ切って移動する過程でスーダン軍やRSFと戦闘になれば「戦闘部隊や航空機の追加投入」を準備していたものの、当日の戦闘は比較的落ち着いていたため問題なく空軍基地に辿り着き、23日午前8時頃に2機はキプロスに向けて離陸した。

つまりC-130とA400Mを派遣したのは「追加の戦闘部隊が含まれていた」という意味で、もし戦闘に巻き込まれて市内で身動きが取れなくなった場合、ワディ・セイドナ空軍基地から追加の部隊がハルツーム市内に向けて投入されたのだろう。

追記:アルジャジーラは「フランスやドイツの航空機もハルツームに到着している」と述べているので、欧州諸国はポート・スーダンではなくワディ・セイドナ空軍基地からの脱出を試みている可能性が高い。

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※アイキャッチ画像の出典:Andrew Linnett/MOD/OGL v1.0

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コメント

    • せい
    • 2023年 4月 24日

    やっぱりこういう救出作戦で戦闘を前提に出来るかどうかは大きいよなぁ。

    32
      • 名無し三等兵
      • 2023年 4月 24日

      自衛隊法84条の「在外邦人等の輸送」では武器使用は認められているとは言え
      制約が多く、そもそもの前提として、
      ・相手国の同意が必要(この場合は国軍?、RSFどっち?って問題も)
      ・秩序が維持され、戦闘が行われていないこと(そもそもそんな地域なら自衛隊はいらない)
      な条件があり、国軍もRSFも、まともな連中は外国を無闇に敵に回したくは
      ないだろうから逃げ出す外国人の搬送には手を出さないかもしれないけど
      問題はクーデターの混乱に乗じて武器を手に入れたにわか武装グループが
      暴れている地域を通ったり、両軍の偶発的な戦闘に巻き込まれてしまった
      時などで、
      ・相手国の同意は不要
      ・秩序が維持されず、戦闘が行われている地域での活動を認める
      ・武器使用は現地判断に委ねる
      これぐらいの条件にしないと、今のスーダンの様な情勢では自衛隊を送り込んでも
      邦人救出活動は無理だろうと思う。

      19
        • 在外邦人
        • 2023年 4月 24日

        海外駐在日本人の政府不信の一端に紛争に巻き込まれた際に救助を望めないというのがあります。
        外国に赴任して一番に行うことは、緊急脱出経路の確保と避難手段と避難経路の多様化。
        手にパスポートを持って『Help』と叫びながらアメリカ大使館に助けを求める。日本大使館に逃げても武力が無いから期待できない。というのが残念ながら常識になっています。
        日本大使館の情報収集能力は米国に劣りますし、米国は海兵隊が大使館を武装警護しているので、ヘリ救助の際に軍との連携が円滑ですが、日本は現地警備員が主で警察庁から出向の警察官が大使館の警護をしているので、空からの救出を前提にしていません。防衛駐在官がいても航空部隊出身者であると限らず、全てが想定外。いつも想定外。
        国民が自衛隊の存在定義について結論を先送りし続けた結果です。
        公用車すら防弾仕様ではない状況ですから、銃撃されれば死傷者が出るかもしれませんね。

        21
          • ボリス
          • 2023年 4月 24日

          日頃、日本の為に有難う御座います。

          悲痛な思いですよね…平和ボケした日本国民のせいでもありますが、のらりくらりの日本政府の「想定外」も聞き飽きたし…結局、海外旅行や駐在員が一番影響受けるのですから、もう本気で考えるべきです。

          機材や訓練された人員(中央即応部隊)までは準備出来た訳ですから…あとは「強い意思」だけです!

          15
          • 2023年 4月 24日

          >全てが想定外。いつも想定外。
          >国民が自衛隊の存在定義について結論を先送りし続けた結果です。

          申し訳ありません。
          国家とは何かを多くの人が忘れてしまったことが根底にあるんだと考えてます。

          2
      • nachteule
      • 2023年 4月 24日

       そもそも戦闘前提にしない救出作戦なんて机上の空論も良い所、そんなお花畑な考え方するならばブッシュマスターなんて捨ててしまえばいいのに。
       何も絶大な攻撃力を持たせて制圧しろっていってるんじゃないんだよ、BHDレベルの戦闘前提で人的被害を極力避けられる煙幕とかノンリーサル兵器搭載したドーザー付きの防御に極フリした車両ぐらい装備し、て何が何でも障害を耐えて輸送してやるって気概を見せて欲しい。

      2
    • 58式素人
    • 2023年 4月 24日

    今度のG7で、答え合わせ(?)をするのかな。
    今後の日本の立ち位置が決まるような。
    是非、救出を成功させてほしいです。

    6
    • チェンバレン
    • 2023年 4月 24日

    おいおいCall of Dutyの新作か?
    やっぱ戦争強い国は違うな

    19
      • TA
      • 2023年 4月 24日

      映画化しそうだよねw

      1
    • 名無し
    • 2023年 4月 24日

    SAS!SAS!

    4
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