欧州関連

ドイツはA400Mによるスーダンからの自国民救出に失敗、軍事的な救出作戦を準備中

ドイツ空軍はA400Mによるスーダンからの自国民救出を19日に予定していたが、一時的な停戦が不発に終わりハルツーム国際空港周辺で戦闘が激化したため作戦を中止、自国民を救出するピックアップポイントを武力で確保する計画を準備している。

参考:Bundeswehr muss Rettungsmission für deutsche Staatsbürger abbrechen

ドイツはスーダンから自国民を救出するピックアップポイントを武力で確保する計画を準備中

スーダンでは正規軍と準軍事組織(RSF)による武力衝突が15日に発生、首都ハルツームを含む広範囲の地域で電気や水道といったインフラが機能しておらず「スーダンに滞在する外国人は海外に退避する必要がある」という声が増えてきており、独Spiegel紙は「ドイツは19日に自国民を救出するためA400Mを飛ばしたが戦闘が激化したため作戦を中止した」と報じている。

出典:GoogleMap ハルツーム市内の状況/管理人加工(クリックで拡大可能)

現地のドイツ大使館や自国民に被害は発生していないものの食料や飲料水の確保が難しくなっており、ドイツ政府も約150人の自国民を速やかにスーダンから救出することを強く希望、これを受けて政府の危機管理チームは救出作戦を検討、首都のハルツーム国際空港では戦闘が続いているものの滑走路などの主要設備は無傷だったため、3機のA400Mをギリシャ経由でスーダンに飛ばし、一時的な停戦(24時間)が予定されていた19日午後にハルツーム国際空港から自国民を救出する予定だったが、停戦が不発に終わり空港周辺で戦闘が激化したため作戦を中止したらしい。

独Spiegel紙は具体的な国名を上げなかったものの「一時的な停戦期間を利用した救出作戦を予定した国々も作戦を中止した」と報じているので、恐らく複数の国がスーダンからの自国民救出を予定したのだろう。

出典:Department of Defense アフガニスタンからの撤退作戦

さらに独Spiegel紙は「この結果を受けてドイツ国防省はアフガニスタンと同様に空軍や空挺部隊を投入して軍事的な救出作戦を支援、スーダンから自国民を救出するピックアップポイントを武力で確保する計画を準備している」と報じており、政府や議会が許可すれば直ぐにでも軍事的な救出作戦を実行に移すと報じている。

日本政府も19日「正規軍と準軍事組織の武力衝突が続くスーダンから在留邦人(推定60人)を輸送するため自衛隊機の派遣準備を始めた」と発表、防衛省も「現地の日本人救出が必要になった場合に備えるため外務省の要請で準備を進めている」と明かしているが、日本には「自国民を救出するピックアップポイントを武力で確保する」といった芸当は出来ないため、どのように自国民を救出するのだろうか?

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※アイキャッチ画像の出典:Bundeswehr/Jane Schmidt

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コメント

    • 幽霊
    • 2023年 4月 19日

    ドイツが予定している軍事的な救出は
    スーダン政府の許可の元するのか
    スーダン政府が不甲斐ないから勝手に行うのか
    どれなんだろう?

    9
      • くらうん
      • 2023年 4月 19日

      一応は当外国政府が健在(クーデターを起こした軍事政権が正統かはさておき)な中で、たとえ自国民を救助するという名目とはいえ許可なく軍を展開することは国際法上問題があると思いますけどねえ。
      それがまかり通るのなら、極論ロシアがのたまっている他国領の自国民保護の為の軍派遣との線引きもできなくなるので。
      最低限、政府軍とのコンセンサスは得るんじゃないでしょうか?

      39
        • パチパチ艦隊
        • 2023年 4月 20日

        許可なく軍を展開することは確かに国際法上重大な問題があるかと思います。普通に激ヤバです。
        しかしその違法行為について、違法性がなくなる可能性もあります。
        具体的な違法性阻却事由としては、国家責任条文の第24条「遭難」が適用されうるかと。
        「問題行為の行為者が、遭難の事情のもと、その者の生命やその者の世話をゆだねられた他の個人を守るために、他の妥当な手段をとりえない場合、国際義務に違反する国家行為の違法性は阻却される。」というものですね。
        人の命を守るためにどうしてもって時は違法行為はしゃーないっていう話ですね。
        ただし国家責任条文はあくまでも「条文」であり、慣習法であると考えることはできるものの条約としての拘束力はないこと、遭難における適用外を定めた同条文2(b)「問題行為が、同等又は更なる危険を作り出すような場合」という部分に抵触する可能性が懸念として残りますね。
        長文失礼しました

        26
          • くらうん
          • 2023年 4月 20日

          国家責任条文の違法性阻却事由の存在は初耳でした。
          ありがとうございます。
          条文を見る限り、2bで想定される事案はA国がB国の政情不安を作り出しておきながら、その混乱を理由にB国に違法行為を行うことを阻止するための内容に見えるので、今回のケースには係らないようには思いました。
          ただ仰っているように条文である以上は拘束力が無く、その違法行為が阻却されるかどうかはケースバイケースの比重が大きくなりそうですね。

          9
        • nachteule
        • 2023年 4月 20日

         貴方の考えも極端だと思うけどね。

         国際的に他国での救出で許容されているのは相手国国民の生命や財産に酷い損害を与えないならば可能と言う物(威嚇とか非殺傷でやむを得ずに自衛で短期間)でロシアがやっているのは対象地域に留まらないウクライナ全国土すら対象のドンパチと自国併合で期間も何もあったもんじゃないし全くの別物。
         簡単に言えば「目的が限定的(救出のみ)」「期間は救出活動実施の短い期間に限る」「措置も救出目的から逸脱しない」の3点が重要だと思うが今のロシアにどれがあてはまるだろうか。

         適切かは分からないが米国のイーグルクロウ作戦だと国益侵害による国連憲章第51条を根拠にしたり大使館員の外交保護権とかはも言っていた。
         国際憲章などの国際法原則に反しないとする考え方もあってグレーな面があるけど、映画みたいに航空機による爆撃とかヘリによる機銃乱射やロケット発射、大口径砲による攻撃とかで一方的な虐殺レベルじゃないなら国家の主権が認められる感じじゃないだろうか。
         救出作戦をしたのは米国だけではないし相手国の許可を得ない救出作戦も過去にあったし、事後承認もあったから特に何かがあるから実行は不可であると言う話にはならない。

        1
    • パセリ
    • 2023年 4月 19日

    我が国はまた他国の武力にタダ乗りしての救出作戦するのかな?
    外務省も防衛省じゃなくてアメリカやらの他国に依頼したほうが二度手間にならず済むぞ

    10
      • A-11
      • 2023年 4月 20日

      くだんのドイツだって、単独ではやらないでしょう。
      > 「一時的な停戦期間を利用した救出作戦を予定した国々も作戦を中止した」
      でいうところの国々と共に、名前を言っては冗長になるあの唯一の超大国(「唯一の超大国」なら6文字で済むが、「アメリカ合衆国」だと7文字かかる)による作戦に相乗りでは?
      なら日本も、イラクで既にやった、米兵の空輸くらいはするでしょう。
      その空輸が「目的地の上空までで、地面への着陸までは面倒を見ない。乗客側で何とかしろ。つまり空中へ放り出す。」というものであれば、空挺降下作戦への立派な参加では?

      5
    • 黒丸
    • 2023年 4月 19日

    中国もスーダンの軍部に食い込んでいたかと思います。
    中国はこの事態でどう出るのか、欧州各国と協調するのか気になります。

    6
    • 2023年 4月 19日

    日本政府「お願いトルコ助けて!」

    5
    • 折口
    • 2023年 4月 20日

    海外で人員救助しようと思ったら郊外に安全なLZを抑えて武装コンボイでタクシーしに行くしかないんですかね…。その場合LZの確保と往路の護衛が必要になりますが、自衛隊法はこの際の武力行使は認めていないので現地の治安部隊の協力が不可欠です。つまりスーダン政府軍側と連携できたとしても、政府軍にその能力や余裕が無ければ成立しないんですよね。海外展開能力を考えるとこの点はドイツも大差ないんじゃないかなあ。特殊部隊を送って救助させるって言っても戦車が撃ち合ってるところに行ったら安全のあの字もないですし、BHDみたいな状況で二次被害三次被害が出たら元も子もないですからね…。

    しかしこれ難しい問題ですよね。「在外邦人保護を名目に外国に派兵しない」は日本にとっては平和憲法体制の一丁目一番地みたいなもので、ここを変えられるかどうかは政府有識者だけでは決まらない問題です(実際には決めちゃうかもしれませんが観念的には民意に諮るべきだと思います)。それとは別に、法的制約が無いなら空中機動旅団や機械化師団で乗り込んでいって内戦に干渉して良いのかといえばそんな訳ないですからね。21世紀の自国民救出作戦にベターはあってもベストは無いんですね。

    15
      • ダッカ
      • 2023年 4月 20日

      伝家の宝刀
      超法規的措置・・・

      11
        • HY
        • 2023年 4月 20日

         超法規の一言で何でもできると思うな。たとえ憲法問題がなかったとしても一筋縄でいかない状況だ。

        11
    • 2023年 4月 20日

    裏で動いて失敗した国と違って、政府の発表が良い方向に行けば良いですね。

    1
    • 58式素人
    • 2023年 4月 20日

    米英が何も言っていないのですよね。
    既に自国民の救出(?)は終えたのかな。
    独と同時期に救出(?)を行おうとした国々は何処だろう。
    日本は、米英にも独グループ(?)にも入らなかったのかな。
    もしそうならば、政府は責められるべきかな。
    後から格好だけつけても、褒められはしないと思います。
    オバマ大統領がが”米国は世界の警察官でいることを辞める”
    と言ってからかなり時間が経っているので、
    日本もそれに対応しないと行けないのでしょうね。きっと。

    1
    • 通りすがり
    • 2023年 4月 20日

    うちの国が陸軍(陸自)送ってのピックアップは100%やらないとは思うけど、出来ないではなくやらない、だろうさ
    するしないの判断の是非はともかく、やらないという判断をしたという責任から政治が逃げるのは卑怯に感じるね
    ヘリなどの都合で1国でやれないなら、他国と合同でやれば良い。そこで都合が付かなければ、はじめて出来ないといえる
    法に関しては超法規的措置として無視すればいいだけ。赤軍がらみであれこれやってしまい、それを合憲とした以上、今更やれないとは言わせない
    凡そ国家たるもの、大のために小を切り捨てる事があるのは当然だし構わないと思うけど、切り捨てたという事実を糊塗するのは違う

    4
    • 名無し
    • 2023年 4月 20日

    未だに憲法9条すら改正出来ていない国の政府と国民に期待するほうが愚か。紛争に巻き込まれたら災害に遭ったと思って諦めろがこの国の総意なんだろ

    5
      •  
      • 2023年 4月 20日

      こんな時こそ立憲や共産など野党には話し合いに出向いて欲しいよね。

      5
        • 第十軍団
        • 2023年 4月 20日

        立憲はグダグダだし共産は除名問題でそれどころじゃ無さそう、というか除名された人の方が九条・自衛隊問題で本出したり積極的に発信してたけど党の方針にも問題が有るとか書いてたのも除名に繋がったかも…

        3
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