国営イラン通信社(IRNA)は23日「アルメニア国境の変更を試みるアゼルバイジャンの背後にはイスラエルが潜んでいる」と指摘、我々の利益を損なおうとする行為に大きな犠牲が伴うことを伝えるため「大規模演習を実施した」と報じている
参考:Iran MP: Military exercises on Azerbaijan border are decisive response to Israel
参考:Իրանն այստեղ է հանուն հայ ժողովրդի. Իրանի գլխավոր հյուպատոս
参考:Կապանում Իրանի գլխավոր հյուպատոսությունը կարեւոր նշանակություն կունենա տարածաշրջանի անվտանգության համար․ ԱԳՆ
今回の演習は我々の利益を損なおうとする行為に大きな犠牲が伴うことを伝えるために実施した
アルメニアとアゼルバイジャンは「領土の相互承認」や「国境の策定」が含まれる和平条約締結に向けて本格的な実務協議を行うことで合意、この協定はアルメニアとイランの国境近く設置されるザンゲズール回廊(過去記事)の建設について踏み込んでくる可能性が高いためイランは「アルメニア国境の変更は容認できない」と牽制、今月17日にはアゼルバイジャン領から数メートルしか離れていないアラス川周辺で大規模な軍事演習を開始した。
両国の国境として機能するアラス川の渡河訓練は「アゼルバイジャン領への侵攻=アルメニア国境の変更を強行するなら武力を行使してでも阻止する」という意味なので、アゼルバイジャン側も「アルメニアとの国境策定交渉に何の権利があってイランが干渉するのか?今回の演習は我々に対する力の誇示=事実上の脅しなので容認できない。演習がやりたければインド洋沿岸やキーシュ島でやれ」と鋭く反発。
しかしイランはザンゲズール回廊の建設が予定されているアルメニアのシュニク地方に総領事館を開設、総領事に任命されたバラミン氏は「アルメニア国境の変更は絶対に容認できない。アルメニアの安定のために我々はここにやって来た」と述べ、イラン議会のサファイ議員もIRNAに対して「シオニスト(ユダヤ民族主義者)は南コーカサスや中央アジアにおけるイランの影響力を弱体化させようとしている。特にアルメニアの国境変更はイランの国益に反するので絶対に容認しない。今回の演習は我々の利益を損なおうとする行為に大きな犠牲が伴うことを伝えるために実施した」と明かした。
つまりアルメニアとアゼルバイジャンの和平交渉にはイスラエルとトルコの思惑が絡んでおり、ザンゲズール回廊を設置してアルメニア国境を事実上変更する行為=イランとアルメニアのアクセスを分断する行為は武力を行使してでも阻止すると言いたいのだろう。
周辺国を巻き込んだ両国の和平交渉は結果次第で大きな争いに発展する可能性を秘めており、東地中海でも米国がキプロスへの武器輸出を33年ぶりに解禁したためトルコとギリシャの対立が悪化、黒海ではウクライナとロシアが戦争中で、この地域の安全保障は非常に不安定な状況が続いている。
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※アイキャッチ画像の出典:Tasnim News Agency/CC BY 4.0
日本とはそこそこ良好な関係を保って来た国だけに、こんなロシア/ソ連チックな振る舞いをするとはがっかりだ。
革命前は違ったんだろうか。当時の写真みるとかなり近代的な雰囲気だし。
がっかりも何も陸続きの隣国が現状ひっくり返そうとしているなら行動起こしたくもなるでしょうよ。そもそもの発端がザンゲズール回廊の設置に有るわけだし、イランこそそんな動きをするならがっかりだと言いたいだろうよ。
国境となるアラス川の水深は一番深くて4mらしいし、トルコが使え軍事基地が飛び地じゃない方のアゼルバイジャンに6カ所。国境近くにアゼルバイジャン陸軍と空軍基地もある。
本当に最悪のケース考えたらザンゲズール使われて自国不利な安価で効率の良い大量輸送されたら泣きを見るのはイランな訳だし。
だからそういった事のすべてがアルメニアとアゼルバイジャンの内部の話であって、イランに口出しする権利は無いって事。
日本が国内に米軍基地をつくったら、中国が「現状変更許さん!」って文句言ってくるようなもんだろ。
それいったらキューバに核ミサイル配備するのもソ連とキューバの勝手でアメリカには関係ない話って理屈が通ってしまうじゃん
国防上不利益になるから口出しするのは世界共通でしょ
> キューバに核ミサイル配備するのもソ連とキューバの勝手
そりゃ勝手だろう。一方で西ドイツに核ミサイルを配備するのも米の勝手、核搭載の原潜や爆撃機をソ連のすぐそばの海空に貼り付けとくのも米の勝手だ。
そもそもシリアのアサド政権のケツ持ちガッツリやってるんですけど…シーア派が多数派のアゼルとあまり仲が良くないのも「革命の輸出」やらかそうとした経緯も絡んでるし。
革命前はかなり世俗的だけど国王打倒とか言ったりすると秘密警察がすっ飛んでくる(この点は革命後も変わんないけど)
革命前のイランは国名をイラン帝国としアラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアの様に王族(レザー・シャー・パフラヴィ―、通称パフラヴィ―朝)が支配する立憲君主制の国でした。当初は首相を中心とする議員内閣制でしたがムハンマド・モサディック首相による石油会社国有化と親ソ政策はアメリカの反感を買い、アメリカとイギリスによる石油利権を取り戻す為の秘密工作(アジャックス作戦)によりモサデックを含め国民戦線のメンバーは追放され、レザー・シャーによる直接統治(王政)へと変わりました。
レザー・シャーは欧米の支援を受けて「白色革命」と呼ばれる豊富な石油利潤を利用した工業化と近代化(女性参政権・教育の向上など)を進め、国家も宗教(イスラム)ではなく、西洋的なナショナリズムを導入して世俗的な政策を推進することで欧米の様な近代国家に生まれ変わることを目指していました。しかしオイルショック後の急速な原油価格の安定後、1970年代に入ると革命は破綻。改革でインフレが急ピッチに進み、失業者が増大、国民の間で貧富の格差が進んだことから国王の求心力も低下、リベラルな技術官僚(テクノクラート)と保守的なシーア派宗教指導者同士での対立が激化し、これが後のイラン革命の下地となりました。
仮にパフラヴィ―朝が存続していた場合、世俗主義が強く(女性に選挙権とヒジャブ着用禁止、一夫一妻制の導入)豊富な石油利潤でアメリカを中心とする欧米諸国から最新兵器を購入するUAEやトルコの様な性格を持った国になったと思います。ただ国民の識字率は向上(即位前は文盲率95%→退位後の時点で50%に減少)するなど教育レベルが向上する一方で農地改革に失敗(大地主の土地を農民に分け与えたが灌漑用水など必要な整備をする資金を農民は持っていなかった)して農民が都市部に流れ込みスラム化するなど課題はあり、産業など社会基盤の多くを欧米に頼らざるを得ない点は変わりないと思います。
南コーカサスは歴史的にトルコとイランの争奪の場であったので(ロシアは後からそこに食い込んできた)、いまだにこの辺は俺の縄張りだみたいな意識があるのかな。
この辺の地政学はそういった過去の経緯に加え、宗教・宗派の異同、現在の経済的・軍事的結び付きなど色々な要素が絡み合って、必ずしも敵の敵が味方とも言えない複雑怪奇な様相を呈している。
そんな言うならなんでナゴルノカラバフ争ってる時に
ロシアに渡してる無人機供与してやらんかったの
イスラエルも突然名前を出されて困惑していることでしょう…。
イスラエルとトルコの関係は決して良好と言えず、今年の8月に(それまで国外追放状態だった)双方の国の大使の入国を許可して世界的なニュースになるという状態です。そんな間柄の国が共謀しているというのはさすがにちょっと…。
仮にイランがザンゲズール回廊地域に軍事進出した場合、アルメニアの出方次第では相当に大事に発展する可能性ありますよね。
停戦合意を尊重する立場であれば、イランに帰国を要請する/軍事的に排除する等の行動をアルメニアはとらなければなりません。しかし例えばアルメニア政府や軍あるいはアルメニア人の民兵組織などがイランに協力してアゼルバイジャンに対抗するような姿勢を取ってしまえば停戦合意がひっくり返る事もありえます。
アルメニアで再戦を望む勢力がイランの後ろ盾で成立し、そこにイラン軍が直接支援している場合はアゼルバイジャンどころかトルコが直に出てくる可能性までありますよね。そうでなくともザンゲズール回廊でアゼルバイジャン軍とイラン軍が睨み合っている間に偶発的な衝突が生じる可能性も充分あるでしょう(個人的に、アゼルバイジャン軍は統制がちゃんとしてなさそうという印象あります)。
最悪なのは、イランとトルコの直接対決になった場合、地上戦が長引けばイランは自前の弾道ミサイルなどでトルコ本土を攻撃する可能性があることですよね。発端が別の戦争なのでグレーですが、そうなるとNATOの参戦条項に該当するかどうかを議論せねばならないという事すらあるでしょう。そして上述の通りイラン側の戦略判断がアゼルバイジャン=イスラエル(シオニスト)=欧米みたいな思考回路になっていた場合、そのミサイルがトルコだけに向くとも限らないし、その弾頭は核かもしれないんですよね。折しもイランでは大規模な暴動が発生し収束の見通しも立ってないですから、世界がロシアに気を取られている間にイランという爆弾の導火線もかなり短くなっていると見るべきなのかもしれません。
いや、イスラエルの名前が出るのは全然唐突では無いでしょう。
先日の第2次ナゴルノ=カラバフ戦争の時から、イスラエルが供給した兵器が派手に使われている。イスラエルも戦略的な意図無しにあれだけの兵器は供給しない訳で、無関係とは言えない。
アゼルバイジャンの政策決定にトルコほど関与していないにしても、少なくともイラン国内で今回の一件で国名が出て困惑する様な話ではないですね。
唐突なロシアしぐさ
国内情勢が相当やばいのか?
まさかとは思うけど、ロシアの後釜にでも成ろうとしてんのかね?
ロシアの重しが軽くなってきてるのもあるのかもね。アゼルバイジャンとアルメニアの前の停戦の仲介はロシアだったからイランに抑えが効いてたのかもしれん。今回のEU主体の停戦協定が気に入らないようにしか見えない。
イランはロシアに武器譲渡してるけど。ロシアはキリスト教(傍流)を全面に出して軍を鼓舞してるのに。イスラム原理主義の筆頭のイランとタッグを組むのが滑稽に見えるわ。宗教よりも「反米」で結束してるのだろうけど。末端ではロシアの練兵場でイスラム教徒が侮辱されて乱射事件とか起こってるし、心底ではお互いを貶してる様に見える。
キリスト教(アルメ)+イスラム教(イラン)連合vsイスラム教(アゼル)+ユダヤ教(イスラ)
という謎の対立構図
まあ所詮は文化や宗教なんて目の前の国防問題に比べたら些事ってことかな
すべて「砂漠の一神教(アブラハムの宗教)」でつながりのある宗教どうしの対立なので根が深いですよね。
傍観しましょう
ワケわからん
ひとつだけ、ユダヤ人もアルメニア人もトルコ人にイラン人
必ずしも発言が本音ではない連中、言葉より行動で判断すること
これ一番面子潰されてるのはアルメニアのほうなのでは…?
あとこの場面でイスラエルどうこう言うのは流石に妄想が過ぎると思う。
ロシアと言ってることが変わらない。
自国の安全保障上問題だから、他国同士が勝手に折り合うな、と言っているだけ。
どこの国でも多かれ少なかれ、他国同士の紛争の解決が自国影響することはある訳で、それを理由にそれらの国に圧力をかけるのは、完全に内政干渉でしか無い。
本来、その状況に対処するために、外交政策や防衛戦略を構築するものだろうに、こんなやり方看過したら、世界中で紛争が起きまくることになる。
これに対してアゼルバイジャンは受けて立つ構えで
国営テレビが「紛争を起こせばアゼリー系イラン人3000万はこちらに味方することになる」と言ってますね
これはエスカレーションの匂いかプンプンですな
困るならはじめからアルメニアに味方しとけばよかったものを
戦争が終わってからあーだこーだ言っても遅いだろ