米メディア「Breaking Defense」は29日、カタールがトルコにラファールを含む航空戦力を配備させる目的や背景について興味深い指摘を行っている。
参考:Qatar’s Massive Increase In Military Power Comes With Political, Logistical Headaches
ラファールのトルコ配備はフランス防衛産業界、カタール空軍、トルコ空軍の利害が奇妙に一致した結果?
カタールとトルコはカタール空軍が訓練目的でトルコ国内の空軍基地に軍用機を駐屯させる協定に署名→現在トルコ議会の承認待ちだが、これが承認されればカタール空軍はトルコにラファール×12機、ミラージュ2000×9機、C-17A×4機を派遣することを予定しているため大きな注目を集めている。
業界関係者や専門家によるとトルコ空軍基地にラファールを配備するには製造国=フランスの事前承認が必要だと主張しているが、米メディアのBreaking Defenseがフランス軍事省に直接問い合わせた結果「フランスとカタールが締結した協定にはトルコ空軍基地へのラファール配備を制限する項目は特になく、国外配備されたカタール空軍のラファールが飛行する際に当該国の航空機と一緒に飛行しなければならない=国外配備の際の単独飛行を禁止する項目ぐらいしか見当たらない」と報じているのでカタールとトルコの協定を妨げることはなさそうだ。
さらに興味深いはフランスとカタールが締結した協定にはカタール軍のラファールB(複座型)の後部座席に国外の空軍パイロットを乗せたり、国外の空軍パイロットにカタール軍のラファールを操縦させることを禁じる項目が存在しない点で、仮にカタールがフランスに許可を求めた場合「フランスは容認(黙認?)するだろう」と報じている。
フランス防衛産業界の関係者によれば「カタール空軍の戦闘機がトルコに配備されれば長年の目標だったトルコ市場への参入に繋がる」と見ており、トルコとNATO加盟国との関係は昨年悪化したがフランスとの関係は水面下で改善に向かっているらしい。ただ別の関係者は「東地中海の排他的経済水域問題でトルコと対立するギリシャがラファールを購入したばかりなので慎重に行動する必要がある」と言っているので状況は複雑だが、F-35Aとは異なりラファールにはS-400に探られて困るようなステルスの秘密がないので容認(黙認?)する可能性が高いという結論だ。
ではカタールが「なぜトルコ国内の空軍基地に戦闘機を配備するのか?」だが、これには中々ハードな理由が存在する。
2017年に周辺国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、エジプト)との関係断絶で安全保障上の危機に直面したカタールは大量の装備品調達を実行、しかし突然実行された軍事力強化に人材供給が間に合っていないという問題に直面している。
例えば2017年のカタール空軍が保有していた戦闘機戦力はミラージュ2000×12機のみだったのに、2021年時点の戦闘機戦力はF-15QA×36機(引き渡し前)、タイフーン×24機(引き渡し前)、ラファール×36機、ミラージュ2000×9機の計105機にまで膨れ上がっており、これを運用する人材をどうやって確保して日々の訓練を行うのかに頭を悩ませているらしい。
結局、トルコに戦闘機を派遣して訓練を受けるというアイデアはカタール空軍が直面する問題を解決するためのもので、日常的に人材不足の湾岸諸国では外国人将校の採用も一般的に行われているためトルコ空軍の元パイロットを採用したいという狙いもあるのだろう。
つまりトルコにカタール空軍のラファールを配備するという奇想天外なアイデアが実現に向かっているのはトルコ市場への参入チャンスだと判断するフランス防衛産業界、充実した訓練環境とトルコ空軍の元パイロットを採用することで人材面の問題を解消したいカタール空軍、対立するギリシャが導入するラファールを研究したいトルコ空軍の利害が奇妙にも一致したためで本当に興味深い話だ。
まぁラファールを導入したばかりのギリシャにとっては面白くない話だが、、、
関連記事:トルコにカタール空軍が5年間駐留、ラファールやミラージュ2000を派遣予定でギリシャが反発
関連記事:奇妙な事故、カタール空軍に引渡し前のF-15QAから米空軍のパイロットが機外に放り出される
※アイキャッチ画像の出典:Public domain カタール空軍のラファール
戦闘機9倍!?景気のいい国というか今まで備えてなかっただけなのか
まぁそらパイロットおらんわな
ラファール以外は
固定翼機
Alphajet×6
C-17×8
C-130J×4
PC-21×24
ヘリコプター
AW-139×19
SA342×13
Sea king×11
WORLD AIR FORCES 2017より
カタールって結構発展してる国だよね?
イギリスは三枚舌外交ってよく言われるけどフランスの二枚舌も負けてないよね
日本が馬鹿正直すぎるだけでこういうのが当たり前なのかもしれんが
イスラエルの核開発に協力したがアラブの石油に目が眩んで裏切った後、イラクの核開発に協力したクソムーブ
リビアのカダフィをはじめ、アフリカ中東の独裁者圧政国家に兵器売って国民弾圧の手助け
そんなの手本にしたくない
武器売るってのはその地域の軍事的、政治的ゴタゴタに片足を(時には両足を)突っ込むってこと。
その辺が車や家電売るのとは決定的に違う。
売り込みのノウハウや武器の性能以上に日本に足りないのは、そういう覚悟じゃないかな。
西側では制限なしに無定見な事やってるのフランスぐらいだからそれを参考にしろってのも
米英独伊辺りもその時々で都合のいい理屈を並べ立てながら無定見な事やってるだろw
まあそのへんは一応タテマエでも人権とか陣営とか考えるから
フランスは本当に見境ない
利益が出ればいいだけでフランスの場合は覚悟なんてないだろ
後は野となれ山となれだよ
アメリカが全部尻拭いしてくれるとでも考えてるんだろ
結局中東和平取りもったのもアメリカだし
> 後は野となれ山となれだよ
それはそれで消極的ながら「覚悟」なんだよ。
最近、この様な意見が多いが、例えば「日本は二枚舌」と呼ばれる状況って納得できるの?
「したたか」と「二枚舌」は違うと仰るでしょうが…
イギリスの三枚舌外交ってのはイギリス国内で複数の派閥がそれぞれ別の戦略目的で別々で勝手に動き回って交渉するけど外部からはそれが分からないって感じなのよね
なので三枚舌というよりはどちらかと言うと3人の小人のが正しい
日本には、『真面目』には対価が有る 、とどこか頑なに思い込んでいる癖があるかもしれませんね。
私自身を振り返った感想ですが…
現実は状況によりけりで、確かなものは何ひとつ無い。
倫理をどう繕うか?というのは課題ですね
真面目にやってきたからこそ国際社会での信頼が培われてきたんだと思うが
戦前の独りよがりな行動でどれだけ国益を損ねたのかと
“村”の中で全てが完結する社会なら真面目や誠実には対価がある、というよりそれらがある程度無ければ排斥の対象になるので必要なんですよね。その辺りは基本的に村社会の日本ならではの美点であり欠点なのではないかと思います。
逆に、一期一会の遊牧・行商生活とかだと、真面目や誠実に価値なんて無いんですよね
中東ほかが全然まとまらないのも、そういう気質故に根っこの部分で猜疑心に塗れている為ではなかろうか
で、出たぁ~!! フランス死の商人ムーブだぁ~っ
いやまぁトルコとカタールが契約の穴突いた形なんだろうけどさ
あちこちに兵器売ってると大変だねホント
カタールは2018年にVIP用747-8Iをトルコに贈呈してるらしい。
関係は深そうだね
哀れギリシャ君はNATOにもEUにも見放され中小国の悲哀イタイイタイなのであった
でも今トルコって国レベルの味方はカタールやアゼルバイジャンぐらいしかいないぞ
ウクライナとは仲が良かったよね?
ウクライナの現状で、ロシア相手にガチで攻撃しかけそうな国だし。
イスラエルもまんざらじゃないんでは?
イランの味方(アルメニア)の敵(アゼルバイジャン)の味方だから。
ポーランドも無人機の大口顧客になりそうだし、韓国とも仲良かったよな?
アゼルバイジャンとイラン関係って、宗教的繋がり(どっちもシーア派)で良好と思ってたんだが違ったか?
ギリシャはECBの救済でなんとか財政破綻を免れた国なわけで、
その国が、戦闘機や艦船の購入を許されているだけありがたいと思わないとね。
アメリカ「じゃあギリシャへの軍事援助増やしまーすwタダで供与してあげるwあ、トルコ君には制裁強化でw」
ギリシャってロシアとは正教繋がり、中国とは経済的繋がり(港明け渡してるし)で、西側とは思えないんだよな。
トルコは、ロシアとは地域や状況によって敵対と友好を使い分けたりしてるし、中国とはエルドアンは仲良しかもしれんが、ウイグル問題により国民感情は悪いから、どっちに転ぶかわからない国。