アルゼンチン国防省は26日「デンマークからF-16を購入する意向表明書に署名した」と発表、デンマークのポールセン国防相も「この売却は米国の協力によって実現した」と明かし、米国、英国、デンマークは南米に対する中国の影響力拡大阻止で協力したらしい。
参考:Argentina firma la Carta de Intención para la adquisición de 24 cazas F-16A/B Fighting Falcon a Dinamarca
参考:Con el apoyo de EEUU, Argentina firmó una carta de intención con Dinamarca para comprar 24 aviones de combate F16
何年も追いかけてきたアルゼンチンの戦闘機導入が決着し、今回の報道で答え合わせも出来たため感無量だ
米議会は昨年「バイデン政権が通知したアルゼンチンに対するデンマーク保有分のF-16AM売却」を承認、スペインのInfodefensaは22日「デンマークはアルゼンチンに24機のF-16AMを売却する」「この契約は来週中にも成立する」と報じていたが、アルゼンチン国防省は26日「F-16購入に関する意向表明書に署名した」と発表、ポールセン国防相も「F-16売却の意向書に署名するためブエノスアイレスでアルゼンチン側のパートナーと会談した。この売却は米国の協力によって実現した」と明かした。
Jeg mødtes i dag med min argentinske ministerkollega @luispetri i Buenos Aires for at underskrive en hensigtserklæring om salg af danske F-16-kampfly til Argentina. Salget af F-16-fly til Argentina er sket i samarbejde med USA. pic.twitter.com/wz2lgQlz6X
— Troels Lund Poulsen (@troelslundp) March 26, 2024
この取引についてBreaking Defenseは昨年9月「アルゼンチンがデンマークからF-16を取得するためには(米国との)微妙な政治的立場の違いを解決する必要があるものの、国防総省を担当する経験豊富なアナリストは『このオファーが水面下で静かに進められているのは中国のJF-17売却を阻止するためだ』と、別の軍事アナリストも『国防担当者が最も恐れているのは米国の裏庭に中国製航空機を運用する国が現れることで、特にアルゼンチンに提案されているJF-17にはWS-13が搭載している。このエンジンはJ-35にも採用される予定(WS-19搭載搭載する可能性もある)で輸出に成功すればエンジン産業基盤の強化に直結する』と述べている」と言及。
南米のinfobaeも26日「中国はアルゼンチンに格安でJF-17を提案していたが、米民主党は中国が希少鉱物を産出するアルゼンチンに軍事的な側面から接近するは好ましくないと考え、バイデン政権に中国のソフトパワー戦略を遮断するよう勧告した。そのためホワイトハウスは米国、英国、デンマークが関与する代替案を提示し、これをミレイ大統領が受け入れたため今回の取引が成功した」「アルゼンチンと英国はマルビナス諸島(フォークランド諸島)の主権を巡って対立しているものの、ホワイトハウスは今回の取引を英国に認めさせることに成功した」と報じている。

出典:Public domain パキスタン空軍のJF-17
infobaeは「米国は中国が南米での影響力を拡大させるよりもF-16売却を承認したほうが良いと説得した」「両国は4月中に最終契約を締結する予定だ」とも付け加えており、総額6億5,000万ドルの契約(F-16AM×24機に関する3億3,800万ドル+搭載兵器に関する3億1,200万ドル)の大部分は米国の援助で賄われ、アルゼンチン側がJF-17からF-16に乗り換える要因になったらしい。
何年も追いかけてきたアルゼンチンの戦闘機導入が決着し、今回の報道で取引の舞台裏についても答え合わせが出来たため感無量だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Ministerio Defensa
ファイナンスを含めて、全員にメリットのある取引と言えそうですね。
イギリスと中国は、香港問題で大きく対立しましたから、アルゼンチン=中国が密接になれば軍事的負担が増すリスクにも繋がるからです。
アルゼンチン新政権は、経済再建が最大の課題であり、米国との関係改善は非常にいい船出と言えます。
今後を見守りたいと思います。
ある意味、これこそがアメリカの、派遣国家の本気の実行力とでもいうべきか
(政治的な意図や、航空産業の強化も目論んでいた)中国がこれに対してどういうリアクションを返すかも気になる所
>これこそがアメリカの、派遣国家の本気の実行力とでもいうべきか
ものすごくショボく見えます…
一応答え合わせ。
☓ 派遣
◯ 覇権
4日後の新年度4月1日には早くも会社の入館証が無効化されてて詰んでそうです・・・
いろんなところに軍事的なハードパワーもソフトパワーも派遣してるので覇権国家になってるのは間違いがないのですが、製造業とか足回りが不安定になってきているのが課題ですね
話題としては蛇足になるけど、一つ前の記事でギリシャがF-16のblock30売り出しって話があるのでまたウクライナ関係で話がややこしくなる可能性もあったりして
アルゼンチン向けのAMを追加でウクライナに回して代わりにギリシャのblock30がアルゼンチン行きになったりするパターンもあり得そう
そんな事になれば契約の主体や内容が変わるのに何言っての?
何でもかんでも安直にウクライナ支援に結びつけるのやめろよ。
今回の契約にアメリカが対中だけでなくウクライナ関係も含めて関与していた可能性が高いのでそれに関連付けて語っただけですけど……反応が少し攻撃的過ぎない?
Block30って配線の関係かVに直接アップグレードできないしな
初期型からでもバージョンアップできるという謳い文句だったけど。
台湾はF-16 Block 20 (アビオニクスはBlock 5x で F-16AM/DM MLUと同一)でV型にアップグレードしてますが、Block 30/32をV型アップグレードする場合のアップグレードパスがよくわからないですね。
アメリカのF-16CM/DMはBlock 4x(CG/DG)とBlock 5x(CJ/DJ)を統一仕様にした上でAN/APG-83レーダーを積めるようになっているので、MLUアップグレードを受けてからV型アップグレードという感じでしょうか。
ギリシャはV型アップグレードを予定していますが、170機中85機の予定なのでBlock 50系のみっぽいですね。
多分Block50やAMからの改修よりも予算かかるんだろうなーとは推測できますしね>各国の改修対応から
某イング「どうしてスパホじゃないんですか!?」
あれだけデフォルトしまくったアルゼンチンの財力に果たしてF-16は維持できるのだろうか…
アルゼンチンの一番の問題は自国の財政じゃないですかね…
アメリカの大規模な援助ねえ
代わりに農地で返してもらうね、にならなきゃいいけど
極東の衰退国家にも援助しておくれ(はーと
アルゼンチンは2022年のインフレ率は脅威の72%でしたからね(日本は2.5%、アメリカは8%、ロシアさえ13%)
今アルゼンチンは少しでもお金を必要としています
金や物で中立、出来れば西側陣営に来てくれる状況なら買収するのが一番安く済んでいいですね
F-16AMとblock30は、どっちがマシなんだろう。
V型に改造し易いblock30かな。
F-16Cとミラージュ2000 は、F-35Aとラファールの下取りでウクライナに行くのかな。
調べた感じではAM/BMなどのMLUアップデート済機体、台湾向けのBlock 20はBlock 50相当のアビオニクスを積んでるのでBlock 30よりV型アップグレードのコストが下がるようです。
調べるとA/B/C/D以外にも多数のバリエーションがあって魔窟ですね。
リンク
これでフォークランド奪還やったら神
細かいですがこのJF-17の画像実機ではなくフライトシム(DCS WORLD)ですよ。