米空軍がステルス戦闘機F-22“ラプター”のコックピット映像を公開した。
参考:2019 F-22 DEMONSTRATION FLIGHT TEAM
米空軍が飛行中のF-22コックピット内部からの映像を公開
1990年にF-22が初飛行を行ってから20年以上が経過するが、未だに、コックピット内部の映像はもちろん、画像でさえ撮影を行うのに制限がある。特にコックピットの計器画面に関しては特に厳しい制限を受けている。
今のところ、F-22の計器画面を映した写真は2枚のみだ。
映像に関しても、ジェット戦闘機のコックピットから撮影されたダイナミックで、エキサイティングな映像は、YouTubeで山のように見つかるが、F-22のコックピットからの映像となると本当に数が少ない。
今回、米空軍が公開したF-22の映像は、F-22のデモンストレーションチームによるもので、5月16日に公開されたばかりだ。
この映像は、航空ショーに出演するため、F-22デモンストレーションチームのパイロット、Paul “Loco” Lopez少佐がF-22に乗り込み、デモフライトを行うシーンを、コックピット内部からの映像と、地上から撮影した映像を織り交ぜて編集してある。
この映像を見る限り、これまでに公開されたF-22の映像とは比べ物にならないほど、非常に映像の質が高く、美しい飛行シーンが印象的だ。
特に、Paul “Loco” Lopez少佐が乗り込んだF-22が、滑走路を飛び立ち、急角度に上昇していくシーンは、まるでロケットの発射シーンのように地表がぐんぐん遠ざかっていく。
同じく、飛行中のF-35コックピット内部の映像も公開
そして、同じく米空軍のF-35デモンストレーションチームが、コッピットからの映像(フルバージョンは近日公開予定)を5月9日に公開した。
参考:The F-35 Demo like you’ve never seen before (Teaser Trailer)
F-22のコックピット映像とは角度が違うため、パイロットがフライ・バイ・ワイヤ制御のF-35をサイドステックで操っている様子がよく分かる。
20年以上前に設計されたステルス戦闘機F-22と、最新鋭のステルス戦闘機F-35のコックピットを見比べると、コックピットの広さは圧倒的にF-35の方が広く、上半身の大部分が機体より上、キャノピー部分に収まっているためか、視点に位置が高く、視界の良さが桁違いだ。
F-35のコックピットが従来の機種よりも、広く作られているのは訳がある。
米軍や英軍では、兵士の肥満問題に頭を悩ませていて、英国議会では、肥満した兵士のために、潜水艦のハッチの大きさを大きく、戦闘機の座席を大きくするよう提案が出るほど深刻化している。
恐らく、伝統的なコックピットの広さ以上の空間を確保しているF-35は、肥満気味なパイロットが乗っても窮屈な思いをしないで済むという訳だ。
話が逸れたが、最近、米空軍は、飛行中のステルス爆撃機B-2“スピリット”に、民間人を登場させ、コックピット映像を撮影させたりもしている。
しかも、公開された映像には、B-2コックピット内部の計器画面も映っているのに、一切、モザイク無しで公開されている。
F-22のコックピット映像も、B-2のコックピット映像も、従来なら到底、公開不可能な映像だ。
それにも関わらず、機密扱いだったステルス機の公開ラッシュは、米軍が意図的に制限を緩和しているという意味だろう。
私達のようなミリタリーファンにとっては、両手を挙げて歓迎すべき事だが、逆を言えば、F-22やB-2でさえ、もはや時代遅れになりつつあり、もはや機密でもないと暗示していると言えば、少し寂しい気もする。
※アイキャッチ画像の出典:public domainF-22
F-35の方はグラスコックピット化が進みすぎて最新の小型化自家用機のコックピットだよと言われても騙されそうですね。
もうHUD付ける時代ではないのかと思い技術進歩に喜ぶ反面、かっこいいのはHUD付きだよなという自分の心が対立して複雑な気分です。